• 更新日 : 2024年8月30日

パッケージソフトウェア販売契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説

パッケージソフトウェア販売契約書とは、パッケージソフトウェアの権利者が相手方にソフトウェアの利用を許諾する際に作成する契約書です。販売管理ソフトや会計ソフトを購入する場合に結ぶケースがあります。

本記事では、パッケージソフトウェア販売契約書の概要や契約を結ぶケース、記載項目の具体例、書き方のポイントを解説します。

パッケージソフトウェア販売契約とは

パッケージソフトウェア販売契約とは、パッケージソフトウェアの著作権者などの権利者が相手方にソフトウェアの利用を認める契約です。利用者に対して著作権に基づく特定の行為(複製など)を許可し、その見返りとして使用許諾料を得ます。なお、著作権者が権利者として販売する場合もありますし、著作権者から権利を譲り受けるなどして販売事業者が権利者である場合もあります。

パッケージソフトウェアが著作物として認識されるため、その使用、複製などは原則として著作権者の許可が必要です。利用者が著作権者に対価を支払い、そのパッケージソフトウェアを使用する権利を得る有償契約であるため、民法559条の売買契約に関する規定が準用されます。

また、著作権法10条1項9号により、パッケージソフトウェア内のプログラムが著作物として著作権法による保護を受ける点も重要です。
パッケージソフトウェア販売契約を結ぶ際には、権利関係や禁止事項を明確にするために、パッケージソフトウェア販売契約書を作成します。

参考:e-GOV 法令検索「民法」
参考:e-GOV 法令検索「著作権法」

パッケージソフトウェア販売契約を結ぶケース

パッケージソフトウェア販売契約を結ぶ具体的なケースについて説明します。

例えば、販売管理ソフトや勤怠管理ソフト、会計ソフトなどを企業で導入する際にパッケージソフトウェア販売契約の締結が必要です。ソフトウェア開発会社と契約を結び、パッケージソフトウェアをインストールすることで、各ソフトを使用することができるようになります。

契約内容には、パッケージソフトウェアのライセンス、保守・サポート、アップデートなどの条件などが含まれます。
ユーザーにパッケージソフトウェアを提供する際には、ライセンスの販売も含まれますが、一度購入したものは、ユーザーが利用しなかった場合でも返金はないのが原則です。

パッケージソフトウェア販売契約書のひな形

パッケージソフトウェア販売契約を結ぶ際には、契約書を作成する場合が多いですが、1から項目内容を考え記載すると手間がかかり、ミスも起きやすくなります。
そこで、無料でインストールしてすぐに使えるテンプレート・ひな形を用意しました。

下記のサイトからダウンロードできるため、契約内容に応じて、文言を調整しながら契約書を作成してください。

パッケージソフトウェア販売契約書に記載すべき内容

パッケージソフトウェア販売契約書には、製品名や型式、機能などの内容を記載してください。また、トラブルを避け、サービスの内容を明確にするため、禁止事項や附帯サービスを明記しておくことも重要です。

商品代金や支払方法、契約期間なども明記するようにしましょう。

本項では、パッケージソフトウェア販売契約書に記載するべき項目について解説します。

パッケージソフトウェアの内容

パッケージソフトウェア販売契約書には、特定のソフトウェアの詳細情報を明記する必要があります。
例えば、製品名や型式、バージョン、機能といった情報が含まれます。これらの情報を契約書に記載すると、販売されるパッケージソフトウェアの範囲が明確になり、双方の認識の違いを防げるでしょう。

禁止事項

パッケージソフトウェア販売契約書には、購入者が守るべき禁止事項を明記します。例を挙げると、第三者への譲渡や貸与、パッケージソフトウェアのリバースエンジニアリングや改造などが含まれます。

これらの行為は契約違反となり、販売者が特定の措置を取れるよう、契約書に定めておきましょう。

ほかにも、リバースエンジニアリングのように、ソフトウェアの構造を解析する行為も禁じられています。技術情報を不正に明らかにすることを防ぐため、禁止事項は契約書で厳密に規定する必要があるのです。

バージョンアップ

パッケージソフトウェアがバージョンアップした際には、無償で提供するのか、有償なのかを記載しておくようにしましょう。提供方法は、パッチプログラムの提供なのか、インストールプログラムのダウンロードなのかも明記しておきましょう。

附帯サービス

パッケージソフトウェア販売契約において、販売者が提供する附帯サービスの内容を明確にすることが重要です。附帯サービスの例としては、パッケージソフトウェアの導入支援やカスタマイズ、保守などが挙げられます。附帯サービスの内容を明記しておかないと、購入後に別途の費用を請求されるなどのリスクがあります。
附帯サービスを利用することで、パッケージソフトウェアの購入後のシステム導入がスムーズになり、契約後も利用者がシステムを効率的に活用できるようになります。

キャンセル・返品

キャンセルや返品に関する規定も明記する必要があります。キャンセルや返品が可能な場合「パッケージソフトウェア導入前ならキャンセルが可能」といった文言を具体的に示します。
また、キャンセルが特定の時点で可能な場合、違約金の発生についても詳細に記載してください。

著作権等

売買されるパッケージソフトウェアの著作権などの知的財産権は販売者に留保される点を契約書内に明記することが一般的です。パッケージソフトウェアがライセンスによって提供されるものであり、販売代理店やエンドユーザーへの権利移転が伴わない点を明確にしておきましょう。
これにより、知的財産権の所在が明確になり、後のトラブルを防げます。

商品代金・支払方法

契約書には、商品代金や支払方法を明確に記載しましょう。
例えば「甲は乙に対し、本件商品の対価として、以下に定める代金を支払います。商品代金 金○○円(税込)」といった具体的な金額や条件を明示します。

納期・契約期間

契約書には、商品の納期を「令和○○年○○月○○日」と具体的に定めておきましょう。
保守業務の有効期限についても「令和○○年○○月○○日まで」と明記し、双方から特別な申し出がない限り、自動で1年間の延長がなされる旨などを記載しておきましょう。
納期や契約期間に関する相違がないように、記載してください。

損害賠償

パッケージソフトウェア販売契約においては、購入後のソフトウェアの利用が前提となっていますので、契約の利用過程で発生した損害について、どちらが負担するのかを明確に定めておくようにしましょう。

具体的には「契約の履行において、もし乙の故意や重大な過失により甲に損害を与えた場合、甲は乙に対して損害賠償を求める権利を有します。ただし、この際の賠償金額の上限は、乙が甲から受領した報酬の総額に制限されます」などの内容を記載しましょう。

これにより、損害が発生した際の責任範囲を明確にし、双方にとって公平に取り決められます。

パッケージソフトウェア販売契約書の作成ポイント

パッケージソフトウェア販売契約書を作成する際には、以下の2点に注意しましょう。

  • 権利内容を明確にする
  • パッケージソフトウェアの使用範囲を確認する

パッケージソフトウェア販売契約を作成する際は、どのような権利を相手に付与し、どのような制限を加えるのかを明確にしましょう。

一般的に、パッケージソフトウェア製品はプログラムそのものを販売し所有権を移転させるのではなく、一定の条件下での使用権(ライセンス)を与える契約をユーザーと締結します。そのため、ライセンスの内容を詳細に記載してください。

パッケージソフトウェアの使用範囲に関しては、インストール可能な端末数、利用可能なユーザー数、同時に接続できるユーザー数、サーバー数、CPU数などに制限を加えることが一般的です。使用範囲を確認して契約書を交わしましょう。

パッケージソフトウェア販売契約書は、記載項目を理解して作成しよう

パッケージソフトウェア販売契約とは、ビジネスにおいて幅広い用途で使用できるパッケージソフトウェアを売買する際に締結する契約書です。

契約書には、パッケージソフトウェアの内容や禁止事項、附帯サービス、著作権の帰属などについて記載します。トラブルにならないように、納期や契約期間なども明確に記載するようにしてください。

パッケージソフトウェア販売契約書を正確な内容で作成して、ソフトウェアの導入手続きをスムーズに進めましょう。


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