• 作成日 : 2024年9月26日

弁済期限変更契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説

弁済期限変更契約書とは、消費貸借契約の弁済期限を変更する際に必要な契約書です。この記事では、弁済期限変更契約の概要および弁済期限変更契約書のひな形、契約書に記載するべき内容と作成時の注意点を解説します。

消費貸借契約締結後に弁済期限を変更したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

弁済期限変更契約とは

弁済期限変更契約とは、すでに締結した消費貸借契約における弁済期日を変更するための契約です。

消費貸借契約とは、種類や品質および数量が同じものを返す約束をしたうえで、金銭やその他のものを受け取る契約です。中でも受け取るものが金銭である契約を金銭消費貸借契約といい、具体的には金融機関からの融資などが挙げられます。

消費貸借契約では返済期限や返済方法、連帯保証人、利息の支払いといった重要事項の取り決めが行われます。重要事項の1つである返済期限について、契約締結後に変更したい時に作成されるのが弁済期限変更契約です。

弁済期限変更契約を締結するケース

弁済期限変更契約を締結するのは、消費貸借契約のうち弁済期限についてのみ変更したい時です。契約内容に大幅な変更がある場合は当事者間で再度協議をして、契約書を作成し直すケースもありますが時間や手間はかかります。そのため、契約書の一部である期限のみを変更したい時には、弁済期限変更契約を締結するのです。

契約書のすべてを変えるべきか弁済期限変更契約を締結するべきかがわからない時は、弁護士などの専門家に相談してください。

弁済期限変更契約書のひな形

弁済期限変更契約では、重要事項の1つである弁済期日を変更します。そのため契約書に不備があると、トラブルの発生につながる恐れもあります。契約の変更をスムーズに進めるには、契約書の正しい書き方を押さえておくことが重要です。

弁済期限変更契約書のひな形を知りたい方は、以下からテンプレートのダウンロードをしてください。

弁済期限変更契約書に記載すべき内容

弁済期限変更契約書には、以下の内容を記載します。

項目文言
契約書名弁済期限変更契約書
債権者と債務者の名前債権者〇〇(以下「甲」という)と債務者(以下「乙」という)は、次のとおり弁済期限変更契約(以下「本契約」という)を締結する
弁済期限の変更について甲および乙は、甲乙間の〇〇〇〇年〇〇月〇〇日日付金銭消費貸借契約(以下「原契約」という)第〇条の弁済期を、〇〇〇〇年〇〇月〇〇日に変更することに合意した
なお本契約に定めのない事項は、原契約のとおりとする
利率の変更について甲および乙は原契約書第〇条に定める利息の利率を、〇〇〇〇年〇〇月〇〇日以降〇〇に変更することに同意した
甲および乙の署名捺印〇〇〇〇年〇〇月〇〇日
甲:住所氏名および捺印
乙:住所氏名および捺印

弁済期限を変更すると、利息額や利息の割合も変わります。そのため、弁済期限変更契約書には利息の変更についても記載しましょう。

弁済期限変更契約書を作成する際の注意点

弁済期限変更契約書の作成にあたっては、以下の注意点を押さえましょう。

  • 原契約の変更箇所も記載する
  • 必要に応じて遅延損害金についても記載する
  • 2通作成し債権者および債務者がそれぞれ保管する

弁済期限変更契約書を作成する際は、変更点だけでなく原契約のどの箇所を変更するかも記載してください。

また消費貸借契約を結ぶにあたっては、遅延損害金についても定める場合があります。遅延損害金とは、債務不履行があった場合に債権者が債務者に請求できる損害賠償金です。消費貸借契約における債務不履行とは、弁済期限までに借りたものを返せない場合です。弁済期限を変更する際には、遅延損害金についても再考する必要があるでしょう。

弁済期限変更契約を成立させるには、契約書を2通作成し債権者と債務者が1通ずつ保有するのが通常です。契約書には、債権者と債務者それぞれが署名捺印をしてください。

弁済期限変更契約書の法的効力

弁済期限変更契約書には債権者と債務者の双方に法的効力が発生することと、時効による債権消滅を防ぐといった2つの大きな効力があります。ここでは、それぞれの内容を詳しく解説します。

債務者・債権者どちらにも法的効力が発生する

弁済期限変更契約書は、債務者と債権者の双方の合意を記載するものです。当事者双方が署名捺印をしているため、どちらにも法的効力が発生する点が大きな特徴といえます。

なお、債権者と債務者の取り決めを記載する一般的な書類には、契約書のほかに覚書や念書があります。覚書は、すでにある契約書の補足や変更をする文書です。覚書の内容は、契約書と同じ効力を持ちます。

念書とは、片方の当事者が一方的に作成しもう1人の当事者に渡す書類です。片方の意思しか記載されないため双方の合意意思が形成された契約書と形式は異なりますが、片方の意思が表示された書面でありトラブル発生時の証拠として利用されます。

契約書、覚書、念書といった文書のタイトル名により法的効力が左右されるわけではありませんが、契約書の1つである弁済期限変更契約書は一般的に覚書や念書よりも条件を詳細に定める場合が多いため、適した方法といえるでしょう。

時効による債権消滅を防ぐ

弁済期限変更契約書には、時効による債権消滅を防ぐ効果があります。時効による債権消滅とは、ある権利が行使されないまま一定期間継続した時に、その権利の消滅を認める制度です。消滅時効の開始時期と時効までの期間は、以下のとおりです。

  • 債権者が権利を行使できることを知った時から5年間
  • 債権者が権利を行使できる時から10年間

消費貸借契約において債権者が権利を行使できることを知った時とは、「契約書に記載された弁済期日」です。債権者が権利を行使できる時は、「返済日」とされます。弁済期限変更契約書で弁済期限や返済日を変更し署名捺印すると、債務を承認したことになるため、時効が更新されるのです。

時効による債権の回収不能を防ぎたいと考えているのであれば、弁済期限変更契約書の作成を検討してください。

参考:民法第166条|e-Gov 法令検索

弁済期限変更契約書の収入印紙代

金銭消費貸借契約書は第1号文書のため課税書類です。また、弁済期限変更契約書は国税庁が定める重要事項を含むため、課税書類とされます。そのため、作成時には収入印紙を貼付しなければなりません。貼付する収入印紙の代金は、以下のとおりです。

契約金額印紙代
1万円未満非課税
10万円以下200円
10万円を超え50万円以下400円
50万円を超え100万円以下1,000円
100万円を超え500万円以下2,000円
500万円を超え1,000万円以下1万円
1,000万円を超え5,000万円以下2万円
5千万円を超え1億円以下6万円
1億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下20万円

弁済期限変更契約の印紙代は、元となる消費貸借契約書の作成や納税の有無によって異なります。ここでは、2つのケースにおける印紙代の考え方を解説します。

参考:No.7127 契約内容を変更する文書|国税庁
参考:重要な事項の一覧表|国税庁
参考:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁

消費貸借契約書を作成し印紙税納付済みの場合

変更前の契約額を記載した消費貸借契約書を作成しており、印紙税の納税も済んでいる場合の印紙代の計算方法は以下のいずれかです。

  • 変更金額が変更前の契約金額を増額させる時は、その増加金額を契約金額とする
  • 変更金額が変更前の契約金額を減額させる時は、その変更契約書の記載金額はないものとなる

なお、変更後の金額のみが記載されており変更金額が明らかでない時は、変更後の金額が契約金額となります。

契約書の作成や納税を行っていない場合

変更前の消費貸借契約書の作成の有無が不明確で納税をしていない場合、変更後の金額が記載されている時は変更後の金額を契約金額とします。

変更後の金額が明記されていない場合も、変更前の契約金額と契約変更による増減金額が記載されており変更後の金額を算出できる時には、契約金額は変更後の金額です。

参考:No.7123 契約金額を変更する契約書の記載金額|国税庁

弁済期限変更契約に必要な記載事項や印紙代を押さえ、不備のない書類作成を目指そう

弁済期限変更契約とは、すでに締結した消費貸借契約における弁済期日を変更するための契約です。弁済期限変更契約を締結するにあたっては、弁済期限変更契約書を作成する必要があります。

弁済期限変更契約書には債権者および債務者の名前、期限の変更内容、利息や遅延損害金の変更点を記載します。また、債権者と債務者双方の署名捺印も必要です。作成が難しいと感じる方はひな形も活用しましょう。

弁済期限変更契約書に不備があると、トラブルが発生する原因にもなりかねません。作成に不安がある方は、弁護士に相談してください。


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