• 更新日 : 2026年7月13日

民法555条とは?売買契約の成立要件や効果についてわかりやすく解説

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Point民法555条とは?

売買契約の成立を定めた条文です。売主が財産権の移転を、買主が代金の支払いを双方が合意することで 契約が成立します。

  • 財産権を移転することを約束する
  • 代金を支払うことを約束する
  • 口頭の合意のみでも効力が生じる

安易な口約束も法的に有効な売買契約となるため、締結には慎重な判断が必要です。

民法555条は、売買契約の成立要件を規定する条文です。売主が財産権を移転すること、買主が代金を支払うことを双方が合意することで 、書面がなくても口約束だけでも契約は成立します。日常の商品取引から不動産売買まで広く適用されるため、売買にかかわる当事者は条文の意味と法的効果を正しく把握しておく必要があります。

民法555条とは?

民法555条は、売買契約の成立と効力について規定する条文です。売主と買主の双方が意思を表示することで契約は成立し、代金の授受や書面の作成は成立要件に含まれません。

売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

参考:民法e-Gov 法令検索

当事者とは?

民法555条の「当事者」とは、売買契約を締結する「売主」と「買主」を指します。

ここでの「一方」が売主、「相手方」が買主です。売主が財産権を買主に移転することを約束し、買主が財産権の受領に対する代金の支払いを約束することで売買契約が成立します。当事者双方の意思が示された時点で契約の効力が発生するため、買主から売主へ代金が支払われていない状態でも契約が有効に成立している点に注意が必要です。

財産権とは?

財産権とは、経済的利益を目的とする私権のひとつで、不動産・動産などの有体財産と、債権・知的財産権などの無体財産に分けられます。民法555条では、売買契約成立の要件として「財産権を相手方に移転すること」を定めています。

例えば、AがBに自動車を100万円で譲渡することを約束し、Bが100万円を支払うことを約束すれば、民法555条に基づき売買契約が成立します。売買契約が成立した後は片方が一方的に契約を解除できないため、契約履行が困難な事情が生じた場合は、相手方と協議したうえで規定に即した対応が求められます。

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民法555条における売買契約の成立要件は?

民法555条では、売買契約が成立する要件として以下のとおり規定しています。

  • 売主が所有する財産権を買主に移転することを約束する
  • 買主が財産権の対価として代金を売主に支払うことを約束する

いずれの要件も満たされると、売買契約は成立したと判断されます。どちらか一方が契約を履行しない場合は、債務不履行責任や違約金条項に基づく責任を負う可能性があります。

売買契約は諾成契約として成立する

民法555条が定める売買契約は「諾成契約」にあたり、当事者双方の合意のみで成立します。

諾成契約とは、意思表示の合致だけで成立する契約の類型です。契約書などの書面の作成や、目的物の引き渡し・代金の支払いといった行為は成立要件に含まれません。口頭での約束であっても、売主と買主の双方が「売る・買う」という意思を合致させた時点で契約の効力が発生します。

これに対して「要物契約」は、当事者の合意に加えて目的物の引き渡しが成立要件となる契約類型です。売買契約は要物契約ではなく諾成契約であるため、引き渡しや代金の授受がなくても成立します。

諾成契約として成立した以上、売主には財産権を移転する義務、買主には代金を支払う義務がそれぞれ生じます。安易な口頭の約束も法的拘束力を持ちうるため、取引にあたっては慎重な判断が求められます。

他人が所有する財産も売買契約の対象となる

売買契約の目的となる財産権は、必ずしも売主が所有するものでなくてもかまいません。

民法561条では「他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う」と定められています。

他人の財産の移転を約束した売主は、まず約束した財産を自ら取得してから買主に引き渡す段取りが必要になります。例えば、CがEの所有する土地をDに売却すると約束した場合、期日までにCはEから当該土地を取得するなどして、Dに所有権を移転する対応が求められます。

民法555条の売買契約によって生じる効果とは?

民法555条では、売主と買主の合意をもって「効力を生ずる」と定めています。これは売買契約が成立し、当事者に権利・義務が発生することを意味します。

例えば、「土地Aを3,000万円で譲渡する」と売主が約束し、買主が3,000万円を支払うと約束した場合、その時点で契約の効力が生じます。

ただし、約束が成立しても売買が自動的に完結するわけではありません。売主には買主が速やかに土地を取得できるよう所有権移転登記の手続きを協力する義務が生じ、買主には規定日までに代金を支払う義務が生じます。現金を一括で準備できない場合は、ローンの利用や分割払いの交渉が必要になる場合もあります。

民法555条に関連する判例は?

山林の所有を巡る最高裁判所の判例(昭和47年5月30日判決/民集第26巻4号919頁)を取り上げます。AはB等が共有する愛知県内の山林内の立木を500万円で買い受け、即日代金を支払いました。しかし、当該山林はB等の所有物ではなかったことが判明します。本来の所有者であるCは所有権を主張し、山林・立木・伐採木の保管と立木の伐採・搬出を禁じる仮処分を裁判所に申請しました。

Cの申請は認められ、名古屋地方裁判所の執行官は当該山林と立木・伐倒木をCの占有物であるとし、売買・伐採・搬出などを禁止する旨を公示しました。

立木の買主による損害賠償の請求

仮処分の執行によりB等が売主としての義務を果たせなくなった結果、Aは損害を被ったと主張し、訴えを起こしました。

名古屋高等裁判所は、登記をしていない立木の売買においては買主が引き渡しを受ければ売主の協力がなくとも伐採して利益を享受できると判断しました。本件の売買契約は締結した日に完了したと解釈できるため、その後の仮処分執行でB等に債務不履行があったとはいえず、AはB等に損害賠償を請求できないと判決を下しました。

最高裁判所による差し戻し判断

Aは判決を不服として最高裁判所に上告し、最高裁判所は原判決の解釈を誤りと判断しました。

最高裁判所は、本件の売買が伐採を目的とするものであることは事実関係から明らかであり、伐採後には通常、造材・搬出が行われるとして、売主には立木の引き渡し後も伐採・造材・搬出の期間を通じて山林敷地を買主に使用させる義務があると判断しました。

この義務がある以上、立木の引き渡しをもって売買契約が完了したとする原判決は民法555条の解釈・適用を誤っているとして、原判決は破棄され、差し戻しが決定されました。

参考:裁判例検索|裁判所

民法555条と関連する条文は?

民法555条は売買契約の成立を規定しますが、売買にかかわる条文はほかにも複数あります。それぞれの内容をあわせて理解しておくと、実際の取引でより適切な判断に役立てられます。

条文 内容
民法549条(贈与) 贈与は片方の当事者が財産を相手方に無償で与える意思を表示し、相手方が受諾することで成立する。代金の約束が不要な点が売買と異なる。
民法556条(売買の予約) 売買の予約が成立すると、当事者は予約完結権の行使により本契約を締結させることができる。
民法557条(手付) 手付が交付された場合、相手方が契約の履行に着手する前であれば、交付者は手付を放棄し、受領者は手付の倍額を返還して契約を解除できる。
民法561条(他人の権利の売買) 他人の権利を売買の目的とした場合、売主はその権利を取得して買主に移転する義務を負う。

参考:民法|e-Gov 法令検索

民法555条が定める売買契約の要点を押さえよう

売買契約は、売主と買主の双方の合意によって成立することが民法555条で定められています。契約書の有無や代金の支払い有無にかかわらず、口頭での約束だけでも法的な効力が生じる点には特に注意が必要です。

安易な口頭合意も売買契約として成立しうるため、債務不履行責任や損害賠償責任 が発生するリスクも念頭に置く必要があります。売買にかかわる場面では条文の意味と効果を正しく把握したうえで、慎重に判断を進めましょう。

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