• 作成日 : 2024年1月26日

2023年10月施行の景品表示法改正とは?概要や事業者向けの注意点を紹介

2023年10月施行の景品表示法改正とは?概要や事業者向けの注意点を紹介

事業者の行うステマは、2023年10月から違法な行為となっています。景品表示法に基づく告示によりステマが不当表示の1つに指定されたためです。

ここでは具体的にどのような行為が不当表示にあたるステマなのか、その判断をする上で重要なポイントをまとめています。

2023年10月に施行された景品表示法の改正とは?

消費者は広告を見たとき、「広告だから当然、自分たちの商品が良いということを強調しているのだろう」という内心を持ちつつ商品等の選定を行っています。そのため、多少の誇張などが含まれていることも前提に評価を行っていることが多いのです。
しかし、広告であることを認識できなければ、誇張されたアピール内容もそのままの意味で受け取ってしまいます。こういった状況だと消費者による自主的・合理的な選定ができなくなるおそれがあることから、ステマが規制されることとなりました。

なお、厳密には景品表示法の内容が改正されたわけではありません。告示によって細かな運用方法が変わったという表現の方が適しているといえますが、同法の適用を受ける企業としては、法改正があった場合と同様に自社の営業方法等を見直す必要があります。

景品表示法の全体像から知りたいという方はこちらの記事も参考にしてください。

2023年10月の改正で制限される行為の具体例

景品表示法では、「企業自ら提供する商品やサービスについて、次のいずれかにあたる表示はしてはいけない」としていくつか不当表示を列挙しています。そのうちの1つがこちらの規定です。

商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの

引用:e-Gov法令検索 不当景品類及び不当表示防止法第5条第3号

同法で列挙する表示のほか、別途指定を受けた行為を規制する旨が法定されており、今回新たに追加指定されたのがステマになります。

その告示では、規制対象となるステマを次のように定義しています。

一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示

引用:令和5年3月28日内閣府告示第19号

一般用語として使われている「ステマ」との区別が必要です。少なくとも不当表示として規制されるステマは、次の2点を満たす行為に限られます。

不当表示にあたるステマの要件
①事業者の表示であること
  • 「事業者の表示」とは、消費者に対して商品やサービスを知らせる表示全般を指し、一般用語としての「広告」とほとんど同じように捉えることができる。
  • 「事業者の表示」に該当するのは、企業自身が広告内容の決定に関わったと認められるケース。宣伝を行ったのが第三者であってもその内容の決定を企業が行っていたのであれば「事業者の表示」にあたる。
②消費者が広告であることを認識できない
  • 事業者の表示であると明らかかどうかがポイント。表示内容を総合的に見て判断する。
  • 「広告」や「宣伝」などの文言が使われているかどうかだけでなく、全体として受ける印象や認識が基準となる。

企業自身が第三者になりすまして宣伝をする

企業が自社ホームページ等で商品の宣伝をする場合、当然「事業者の表示」であるといえます。しかし、この場合は自社媒体を使っていますので、広告であることが通常は明らかです。

そこで、ステマとして問題になり得るのは、例えば「企業自身が第三者になりすまして宣伝をする行為」が挙げられます。販売促進のため、自社商品等の認知度向上を図って次のような行為をはたらくと不当表示にあたる可能性が高いです。

例1)一般消費者のふりをしてSNSアカウントを作成し、当該アカウントで商品画像や文章をSNSに投稿。自社商品の優良さについてアピールを行う。

例2)一般消費者のふりをして、自社製品と競合製品を比較し、競合製品が劣っていることを口コミサイトに投稿する。

インフルエンサー等にステマを指示する

インフルエンサーや芸能人などがステマをすることで炎上するケースがありますが、これら第三者のするステマは景品表示法による規制の対象ではなく、違法な行為でもありません。

ただし、発信したのがインフルエンサーなどの第三者であっても、企業がステマの指示を出していたのであれば不当表示にあたります。ステマの指示が明示的に行われたときはもちろん、暗に伝えたりそのように仕向けたりしたときも不当表示にあたるステマとなり得ます。

例1)企業がインフルエンサーに対し「プロモーションであることは言わずに商品について投稿してください」とお願いした。

例2)ECサイトにて、自社製品の購入者に「高評価のレビューを付けてください」とお願いした。

例3)企業がブログ運営者に対し「自社商品と競合商品を比較して、競合商品について酷評してください」とお願いした。

例4)企業がタレントに対し、無償での商品提供をしたり、その他経済上の利益があると思わせるそぶりを見せたりして、企業の意向に沿った商品に関する投稿を行わせた。

改正を機に事業者が見直すべきポイント

今回景品表示法の運用が改正されたことに伴い、一般消費者向けに商品やサービスを展開している企業は表示の在り方について一度見直す必要があるでしょう。

「広告であることが伝わる表示になっているかどうかのチェック」だけでなく、「インフルエンサー等の第三者に対する周知・啓発と表示内容のチェック」も重要なポイントです。

自社のする表示でも広告であることを明示する

自社がする宣伝であっても、当然に「消費者にも、企業自らしている宣伝であることはわかっているだろう」と考えてはいけません。意図せず同法で規制されるステマに該当するおそれがあります。

そこで、企業自身がしている表示であることをわかりやすく示す必要があります。

「プロモーション」「PR」「広告」「宣伝」といった文字の記載はステマとなることを防ぐために有効ですが、小さい文字で記載されていたり消費者が認識しづらい箇所に記載されていたりすると対策として機能しません。

動画における宣伝においては画面上に「プロモーション」などと出力する時間や文字サイズ、色も重要になってきます。ごく短時間、画面隅に出力をしたところでステマと評価されるのと回避することは難しいでしょう。

SNS上の投稿においては、文中に「PR」などの文字を載せることも有効といえますが、大量の文章やハッシュタグに埋もれさせて表示させることのないようにしましょう。

どの媒体で表示を行うにしても、実際に発信をする前に、一般消費者の目線に立って「この内容を見たときに広告としての印象を受けるだろうか」と考えることが大事です。特定の記載があるかどうかではなく、全体として広告に思えるかどうかに着目してみましょう。

インフルエンサー等に対する周知・啓発と表示内容のチェック

インフルエンサーなどの第三者に直接ステマの指示を出さないことはもちろんですが、ステマをお願いしたかのような依頼の出し方をしないようにも注意が必要です。

明示的なお願いをしていないときでも、メールや口頭でのやり取り、対価の内容、当該第三者と企業の関係性などを総合評価して不当表示かどうかが判定されます。

適切な運用をしていきたいと考える企業の方としては、第三者との窓口になる従業員、および第三者に対する周知・啓発を行うとよいでしょう。景品表示法で規制がかけられていること、どのような行為が不当表示になるのか、違反を犯したときのリスクなどを理解してもらうことで予防しやすくなります。

また、企業が一切指示をしていなくてもインフルエンサー等が勝手にステマをしてしまうケースもあります。この場合、企業が違法になることはありませんが、一般消費者からの印象が悪くなる危険性があります。そこで、第三者に宣伝を依頼したときはその内容をチェックすることも大切です。

今後施行が予定されている景品表示法の内容

景品表示法は今回の告示以外についても改正が何度も行われており、今後もすでにその予定が組まれています。

2023年5月17日に公布された改正法があり、これは公布日から1年6ヶ月を超える前に施行されることが決まっています。改正内容については、下の表に整理しています。

改正の趣旨改正内容の概要
事業者による自主的な取組を促進する景品表示法に違反してしまった企業が自ら是正措置に向けた手続きを行うことで、行政処分を受けずに済む制度を導入する。
消費者に対する返金措置を講ずることで課徴金額は減額される運用になっているが、その際の返金方法に
電子マネー等も加わる。
違反に対する抑止力を強める過去10年以内に課徴金納付命令を下されたことがある企業が違反行為をはたらいた場合、課徴金の額を1.5倍に増額する。
「優良誤認表示」や「有利誤認表示」に対して100万円以下の罰金刑を設ける。
法執行の円滑化を図る国際化に対応した送達制度の整備、外国執行当局への情報提供制度の創設。
適格消費者団体が、表示に関して合理的な根拠を示す資料を開示するよう求められるようになる。

近年改正された景品表示法の内容

景品表示法について近年改正された点としては「課徴金制度の導入」が挙げられます(2016年4月1日施行)。

不当な表示を防ぐため、優良誤認表示や有利誤認表示をした企業に対して課徴金納付命令が出せるようにし、「対象商品やサービスの売上額の3%」を賦課金額とするように定められました。

あわせて、課徴金額を減額する措置も設けられています。違反行為について自主申告した場合は「課徴金額を50%減額できる」とする措置です。

この課徴金額の減額措置に関連して、さらに2023年3月14日にも改正法が施行されています。大きな変化ではありませんが、減額措置を受けるための自主報告方法が変更されています。
従来、ファクシミリによる提出が認められていたのですが、これが報告方法から除外されて①直接の持参、②書留郵便等による送付、③メールを用いた送信のいずれかの手段によることとなりました。

インフルエンサー等にも景品表示法の改正点を知ってもらおう

景品表示法については、ここ数年以内で何度も改正法が施行され、今後も施行予定があります。

2023年10月からの変更点については告示によるものですが、ステマが規制されるなど比較的影響の大きな変化であると思われます。今後の広告・宣伝方法について見直して、インフルエンサー等を起用している場合はその第三者にもステマに関する注意喚起を行うとともに、チェック体制を整えるなどして不当表示をしてしまわないように注意しましょう。


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