- 更新日 : 2024年6月12日
契約書の郵送方法は?送付時のマナーや郵便での送り方を徹底解説!
会社員であれ自営業者やフリーランスであれ、仕事をしていると契約書を郵送することがあります。特に新入社員の方は、「どうやって送ればいいんだろう」と戸惑うこともあるでしょう。送り慣れている方でも、いつの間にか自己流になっているかもしれません。
今回は、契約書の郵送のマナーや送り方を徹底解説します。ビジネスでは契約が非常に重要です。取引先と円滑に仕事を進めるためにも、ぜひ押さえておきましょう。
目次
契約書の郵送方法は何が望ましい?
契約書は、郵便で送るケースが多いです。普通の手紙であれば普通郵便でも構いませんが、契約書は重要な書類です。「届かない」「間に合わない」といったトラブルを防ぐため、「特定記録郵便」「簡易書留」「レターパック」のいずれかで送るのが望ましいです。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
特定記録郵便で送付する
特定記録郵便は引き受けた日時の記録が残る郵便サービスで、インターネットで配達状況や配達された記録を確認することができます。郵便物を送った記録を残したい場合や、インターネット上で配達状況を確認したい場合におすすめです。
郵送する際はポストへの投函はできず、郵便局の窓口に持ち込む必要があります。受取人の郵便受けに配達され、配達の記録(受領者による押印や署名)は残りません。普通郵便の代金に210円を追加すると利用できます。
簡易書留で送付する
簡易書留は、引き受けた日時と配達した日時が記録される郵便サービスです。特定記録郵便とは異なり、配達の記録(受領者による署名や押印)が残るため、相手方に届いていない場合に郵便局が配達したかどうかを調べることができます。また、インターネットで配達状況を確認することも可能です。当日中の再配達や土日・祝日の再配達にも対応してくれる、配達日・時間帯希望再配達が利用できるといったメリットもあります。
普通郵便代金+350円で利用できます。万が一未達などで損害が発生した場合は、5万円まで補償を受けられます。
簡易書留も、郵便局の窓口に持ち込みます。配達時は受取人に直接渡され、配達の記録(受領者の署名や押印)が残ります。戸建住宅の場合は、宅配ボックスに配達されることもあります。
レターパックで送付する
レターパックは専用の封筒を使うことで厚み3cm、重量4kgまでの荷物を送ることができるサービスです。資料と一緒に契約書を送りたい、書類を折り曲げたくないといった場合におすすめです。封筒をあらかじめ購入しておけばポスト投函も可能で、インターネットで配達状況を調べることもできます。
詳しくは次項で説明しますが、レターパックには「レターパックライト」と「レターパックプラス」の2種類があります。レターパックライトは相手方の郵便受けに、レターパックプラスは相手方に対面で配達してくれます。利用料金(封筒代)は、レターパックライトが全国一律430円、レターパックプラスは600円です。レターパックの専用封筒は郵便局の他、コンビニで購入することもできます。
レターパックを使った郵送方法を詳しく解説
レターパックを使って契約書を送付すると、郵送作業が楽です。レターパックは手軽に入手できますし、窓口に行かなくてもすぐに発送できます。コストも数百円と少額です。
レターパックプラスとレターパックライトのどちらを使えばいい?
前述のとおり、レターパックにはレターパックプラスとレターパックライトがあります。契約書を送付する場合はどちらを選択するべきかを判断できるよう、両者の違いを下表に整理しました。
レターパックプラス | レターパックライト | |
---|---|---|
費用 | 一律600円 | 一律430円 |
封筒のサイズ | A4サイズ (300mm×248mm) | A4サイズ (300mm×248mm) |
最大重量 | 4㎏ | 4㎏ |
最大の厚さ | 制限なし | 3㎝ |
配達方法 | 対面 | 投函 |
追跡機能 | あり | あり |
※ 上記記載の金額は2024年10月時点のもの
このように比較すると、大きな違いは配達方法にあるといえます。
特に契約書のような重要書類は、受取を確認できるほうが安心です。より安全に書類を送付したい場合は、レターパックプラスを利用すると良いでしょう。
コストにも違いはあるものの、どちらも全国一律で数百円程度ですので、金額面での差は大きくありません。厚さが3㎝を超えそうな場合は使い分けが必要になりますが、同じA4サイズの封筒に入れるためレターパックプラスにしても大幅に容量が増すわけではありません。
また、レターパックプラスは速達に準じた扱いになるため、相手方に早く届きやすいといえます。
レターパックを使った郵送の流れ
レターパックを使って郵送する際の流れは、以下のとおりです。
- レターパックを購入する: 郵便窓口やコンビニ、ネットショップ等で購入できます。郵便局のネットショップでは20枚単位で販売しています。
- 契約書をレターパックに入れる: レターパックの記入欄に宛名を書き、送りたい契約書などを入れ、封入します(現金は不可)。切手は不要です。
- 郵便ポストなどからレターパックを送る: 郵便ポストや郵便窓口から発送できます。一部レターパックが入らないポストがあるため、注意しましょう。レターパックプラスはポスト投函や郵便窓口の他、集荷により送ることも可能です。
- 相手方にレターパックが届く: 土曜日や日曜日、休日などでも配達してもらえます。レターパックプラスの場合は、対面にて受領印または署名をもらった上で渡されます。不在の場合は不在配達通知書を郵便受けに入れて、郵便局に持ち帰ることになります。レターパックライトでも、ポストに入らない場合は不在配達通知書を郵便受けに入れて、郵便局に持ち帰ることになります。
契約書を郵送する際のマナーは?
ここからは、契約書を送る際のマナーについて見ていきましょう。マナーを守らないと取引先の心証が悪くなるだけでなく、スムーズに契約を締結できないといったトラブルが発生するリスクもあります。以下のことをしっかり意識した上で、契約書を郵送しましょう。また、送る前にはこれらのことができているか、再度チェックしてください。
契約書を折らずにクリアファイルに挟む
契約書は非常に重要な書類であり、契約締結後もお互いがファイルなどに綴じて保管するケースが多いため、折り目がつかないように気をつけましょう。封筒は、契約書を折らずに入れられる定形外封筒を使用します。
また輸送中に折り目がつかないよう、クリアファイルに挟んで封筒に入れましょう。配達時に雨が降って封筒が濡れてしまっても、クリアファイルに挟んでおけば契約書が濡れる心配がありません。新品のものを使い、中身がよく見える透明のものを選びましょう。
送付状を添える
契約書に限らず、郵送で書類を送る際は送付状を添えるのがマナーです。送付状とは「この書類を同封します」というメッセージが書かれている書面のことです。書類を送付する日付や相手方の名前、送り主の氏名、本文(あいさつ文や書類に関する補足説明、返送に関する依頼内容など)、同封する書類名などを記載します。
相手方は送付状を見ると、「誰から誰宛ての書類なのか」「どのような書類が入っているのか」「いつまでに、どのように返送すれば良いか」がわかります。特に企業に契約書を送る場合は、契約締結者本人が封筒を開けるとは限らないため、送付状は必須です。
送付状を作成する際は、テンプレートを活用すると効率的です。マネーフォワードではワード形式のテンプレートを無料で提供しているので、ぜひご活用ください。下記ページから、ケース別・時期別の送付状テンプレートをダウンロードできます。
返信用封筒を同封する
契約書に署名・押印をして返送してもらう場合は、必ず返信用封筒と返送用の切手を同封しましょう。封筒には自社の宛名を記載しておきます。これによって、相手方が封筒と切手を用意し、宛名を書く手間を省くことができます。また、返信用封筒に契約書を入れて投函するだけで済むので、契約締結までの時間も短縮できます。
押印する順番に注意する
民間企業の場合、「どちらが先に契約書に押印するか」という決まりは特にありません。自社が先に押印して取引先に郵送し、相手方が押印して1通のみ返送してもらうと、スムーズに契約を締結できます。
ただし、契約者の一方が官公庁の場合は注意が必要です。国の契約事務取扱規則には、以下のような規定があります。
第十四条 契約担当官等は、契約の相手方を決定したときは、遅滞なく、契約書を作成しなければならない。
2 契約担当官等が前項の契約書を作成する場合において、必要があると認めるときは、まず、当該契約の相手方に契約書の案を送付して記名押印させ、さらに、当該契約書の案の送付を受けてこれに記名押印するものとする。
3 前項の場合において、契約担当官等が記名押印をしたときは、当該契約書の一通を当該契約の相手方に送付するものとする。
官公庁と民間企業が契約を締結する場合は、民間企業が先に押印しなければなりません。
契約書を郵送する際の封筒の書き方は?
契約書を作成したら、封筒の宛名を書きましょう。これについてもマナーを守ることで相手方の印象が良くなり、スムーズな契約締結につながります。ビジネスでは契約書以外の書類を郵送する機会も多いので、宛名のマナーはしっかり押さえておきましょう。
宛名
会社名や相手方の氏名は、最も重要です。間違えると失礼にあたるので、覚えているつもりでも名刺やホームページで確認し、書いた後は再度チェックしましょう。会社名は略称を使わず、正式名称で記載します。「(株)」「(有)」ではなく、「株式会社」「有限会社」と記載しましょう。
会社名だけでなく、部署名・担当者名まで記載します。会社名のみ、あるいは会社名と部署名のみだと、担当者に届かないおそれがあります。
具体的には、以下のように記載します。
XX株式会社 YY部 ZZ様
会社や部署に送る場合は「御中」、個人に送る場合は「様」という敬称をつけます。ちなみに敬称は併用しません。例えば、「XX株式会社 YY部御中 ZZ様」は誤りです。
宛名の隣には契約書が入っていることがわかるように、「契約書在中」と赤文字で記します。
住所
住所に関しても、正確に記載しなければなりません。縦書きの場合は数字を漢数字で記し、横書きの場合は英数字で記します。
気をつけたいのは番地です。例えば「1丁目2番地の3」が正式な住所の場合、「1-2-3」と表記しても届かないことはありませんが、正確に「1丁目2番地の3」と記載したほうが丁寧な印象を与えられます。住所に関しても、事前に名刺やホームページでしっかり確認しておきましょう。
切手の取り扱い
切手は宛名が縦書きの場合は左上に、横書きの場合は右上に貼ります。切手を複数枚貼る場合は、横または縦につなげて貼ります。切手を離して貼ると見た目が美しくなく、配達員の手間も増えるため、つなげて貼るようにしましょう。
返送用封筒を同封する場合は、返送用封筒にもあらかじめ切手を貼っておきましょう。
契約書を宅配便で送るのは違法!
荷物を送る際は、郵便ではなく宅配便で送ることもあります。しかし、契約書は郵便以外の手段で送ることはできません。
郵便法第4条では、以下のように定められています。
第四条 会社以外の者は、何人も、郵便の業務を業とし、また、会社の行う郵便の業務に従事する場合を除いて、郵便の業務に従事してはならない。ただし、会社が、契約により会社のため郵便の業務の一部を委託することを妨げない。
2 会社(契約により会社から郵便の業務の一部の委託を受けた者を含む。)以外の者は、何人も、他人の信書(特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書をいう。以下同じ。)の送達を業としてはならない。二以上の人又は法人に雇用され、これらの人又は法人の信書の送達を継続して行う者は、他人の信書の送達を業とする者とみなす。
3 運送営業者、その代表者又はその代理人その他の従業者は、その運送方法により他人のために信書の送達をしてはならない。ただし、貨物に添付する無封の添え状又は送り状は、この限りでない。
4 何人も、第二項の規定に違反して信書の送達を業とする者に信書の送達を委託し、又は前項に掲げる者に信書(同項ただし書に掲げるものを除く。)の送達を委託してはならない。
「会社」とは、日本郵便株式会社のことです。日本郵便株式会社以外の法人・個人は、郵便の業務を生業とすることや信書の送達ができない、運送業者であっても信書の送達はできないということが書かれています。
信書とは「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」のことで、契約書もこれに該当するため、宅配便で送るのは違法ということになります。
「何が信書にあたるのか」は、総務省の『信書ガイドライン』に記載されています。契約書の他、領収書や見積書、申込書、結婚式の招待状、免許証、保険証券などが信書にあたります。
2024年10月1日から契約書などの郵便料金が値上げに
2024年10月1日より郵便料金が変更されます。皆さんに馴染みがある通常はがきは63円から85円、定形外郵便物は84円から110円に値上げされます。
契約書の送付によく使われる特定記録郵便については210円、簡易書留は350円、レターパックライトは430円、レターパックプラスは600円となります。サービスの種類別に新旧の価格を下表にまとめました。
種類 | 2024年9月30日まで | 2024年10月1日以降 |
---|---|---|
通常はがき | 63円 | 85円 |
定形郵便物(25g以下) | 84円 | 110円 |
定形郵便物(50g以下) | 94円 | |
定形外郵便物(50g以下) | 120円 | 140円 |
特定記録郵便 | 160円 | 210円 |
簡易書留 | 350円(変更なし) | |
レターパックプラス | 520円 | 600円 |
レターパックライト | 370円 | 430円 |
なお、すでに購入済みのレターパックの封筒については、2024年10月1日以降は差額分の切手を貼れば使用できます。例えば、レターパックプラスの場合は80円分の切手が必要です。また、差額分の料金と手数料を支払えば新しいレターパック用の封筒と交換してくれます。
電子契約なら契約書を郵送する時間・コストを削減できる
契約書を取引先に郵送する際は、さまざまなことに気をつけなければなりません。相手方に失礼がないように、またスムーズに契約を締結できるように配慮しながら契約書を送る作業には、手間がかかります。さらに、郵便代や契約書を作成・郵送する人の人件費、紙代、インク代など、さまざまなコストが発生します。
そこでおすすめしたいのが、電子契約です。インターネット上で契約を締結できるので、郵送に伴う手間やコストがかかりません。「宛名書きが面倒」「郵便局の窓口に行かなければならない」といった悩みも解消できます。契約書を送る手間や送り返してもらう手間も省けるので、契約締結が非常にスピーディーです。
ルール・マナーに従って契約書を郵送しましょう
契約は、新しいビジネスのスタートを意味します。ミスをすると契約書が届かない、相手方の心証が悪くなるといった理由で、今後の仕事に影響が出ることもあります。契約書を郵送する際は、ルールやマナーをしっかり守りましょう。今回紹介した内容は、契約書の郵送はもちろん、ビジネスで書類を郵送するシーン全般で活用できるので、ぜひ押さえておきましょう。
よくある質問
契約書はどのように送れば良いですか?
郵送で送ります。重要な書類なので「特定記録郵便」「簡易書留」「レターパック」などを利用すると良いでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。
契約書は郵送以外では送れないってホント?
はい。契約書は信書にあたるため、日本郵便株式会社ではない宅配業者が送達すると違法になります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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