- 作成日 : 2024年10月25日
契約書管理を効率化する方法とポイントを解説
契約書管理とは、取引先と交わした契約に関する書類を管理することです。ただ保管するだけでなく、適切に管理するためにはさまざまなポイントがあります。
本記事では、契約書管理についての基本的知識を解説した上で、適切な管理の必要性や方法、効率よく管理するためのポイントについて解説します。
複数ある管理方法、それぞれのメリット・デメリットも紹介します。
目次
契約書管理とは
契約書管理とは、自社が締結したさまざまな契約に関する書類および記載事項を管理することです。
契約書は、取引の内容によってさまざまな種類があります。例えば、売買契約書、金銭消費貸借契約書、雇用契約書といったものが挙げられます。1つとして同じ契約はなく、それぞれ取引金額や期日、引き渡し場所や禁止事項などさまざまな項目が定められているのです。
こうした取引内容の一つひとつを把握し、管理するのが契約書管理です。
契約書管理が適切に行われている状態
契約書管理が適切に行われている状態とは、主に以下のようなものを指します。
- 適切な場所に保管されている
- 必要な情報にすぐにアクセスできる状態にある
- セキュリティーがしっかりしている
契約書は取引の当事者双方が合意した非常に重要な内容が記載されています。代金や返済期日など契約書の内容が守られなければ損害が生じ、トラブルに発展することもあります。場合によっては、損害賠償請求や訴訟に発展するおそれもあるでしょう。
こうした危険を防ぐためにも、契約書に記載された情報をきちんと管理し、必要な時はいつでもアクセスできるようにする必要があります。また、第三者による改ざんを防ぐことも重要です。
このような管理がしっかり行われて初めて「契約書管理が適切に行われている状態」といえるのです。
契約書管理を怠った場合のリスク
契約書管理を怠った場合に起こり得るリスクには、主に以下のようなものが挙げられます。
- 紛失などによる損失・損害
- 業務の遅延・効率低下
- 信頼の低下
契約書が適切に管理されていないことによる紛失や破損があると、必要な情報が確認できなくなり、取引金額や期日を誤るリスクが高まります。結果、債務不履行に陥り、相手から損害賠償を請求される事態にもつながります。
また、契約書に関する情報へのアクセスがスムーズにできないと、業務の遅延や中断につながり、相手方にも不利益を与えることになりかねません。
契約書の管理を怠ったことで業務が滞ったり誤った進め方をしたりすれば、相手方のみならず自社の株主や他企業からの信頼も著しく低下する可能性があります。
このように、契約書の管理は企業にとって非常に重要な業務なのです。
契約書管理の主な方法
契約書管理の主な方法として3つ解説します。また、各方法のメリット・デメリットについても紹介します。
契約書管理システムを利用する
1つ目は、契約書管理システムを利用する方法です。契約書管理システムでは、契約書管理に関するさまざまな機能が使えます。
契約書管理システムを利用するメリットは、契約書管理の一連の業務を一元化できる点です。契約書管理に特化したシステムなので、契約書の中から必要な情報をすぐに検索でき、レベルの高いセキュリティー設定が可能です。大量の契約書でも混乱せずに管理しやすいメリットもあります。
契約書の管理がそれほど多くない場合や、他の書類の方が多く管理しなければならない場合などは、新しく契約書管理システムを導入するとコストが負担になる可能性があるため注意が必要です。一方で、契約書の数が多くない段階でシステムの導入をしておけば、管理業務の移行が負担なく進められるメリットもあります。
表計算ソフトで契約書管理台帳を作成する
2つ目は、Excelなどの表計算ソフトを使って契約書管理台帳を作成する方法です。
表計算ソフトで管理するメリットは、契約書管理専用のソフトを新たに導入する必要がなく、低コストで始められる点です。また、普段から他の業務でExcelを使い慣れている担当者であれば、自身の使いやすいように設定して管理できるメリットもあります。
一方のデメリットとして、大量の契約書管理が難しい点や、Excelについて高度な知識やスキルがないとスムーズな管理がしにくい点が挙げられます。また、Excelを開かない限り内容の更新に気付けない点や、高度なセキュリティー設定ができない点もデメリットといえるでしょう。
こうしたデメリットは、Excelがあくまでも表計算に特化したソフトであり、契約書管理のためのソフトではないことによるものです。
自社で利用中の文書管理システムを利用する
3つ目は、自社で利用中の文書管理システムで契約書管理をする方法です。例えば、請求書や稟議書などの管理で使用しているシステムが挙げられます。
この方法のメリットは、別のシステムを新しく導入する必要がなく、コストがかからない点です。また、新しい操作方法などを覚える必要がないため管理しやすい点もメリットです。
一方デメリットとしては、契約書管理にまつわる新たな管理項目を追加しなければならず、混乱を招くおそれがある点が挙げられます。これまで自社のシステムで契約書管理の経験がない場合、どのような設定をすればよいか、必要な項目は何かを適切に洗い出さなければならない手間がかかります。
契約書管理を効率化する方法
契約書管理を効率的に行う方法としては、以下の2点を押さえておきましょう。
- 社内のルールを統一する
- 契約書管理を一元化する
上記2つの方法について解説します。
社内のルールを統一する
契約書管理を効率的に行うためには、まず社内のルールを統一することが大切です。契約書管理についての文書管理規程を作成し、社内に周知しましょう。
文書管理規程とは、社内の文書管理について統一のルールを定めたものです。文書の作成や取り扱い、保存・保管方法、セキュリティー、破棄などの項目について、社内で遵守すべきルールを明文化します。
文書管理規程を社内で周知してルールの統一化を図れば、どの部署からでも必要な情報にすぐにアクセスできるようになり、業務の効率化につながります。また、紛失や破損のリスクも減るため、スムーズな業務遂行にも効果があるのです。
管理担当の部署や従業員が変わっても、社内でルールを統一していれば、部署や人によって管理方法が異なることによる混乱が起きにくくなります。
契約書管理を一元化する
次に、契約書管理を一元化することも、業務効率化において重要です。なぜなら、管理しなければならない契約書が多数ある場合は、各工程をバラバラに行うよりも一元化した方がスムーズかつ正確な管理が行えるからです。
契約書の作成や送付、署名、保存や管理といった一連の作業をそれぞれ別の部署や異なるシステムで行うと、大量の契約書がある場合は業務が煩雑になり、ミスもしやすくなります。
この点、一元化して管理すれば、スムーズに作業しやすくなり、ミスも生まれにくくなります。また、作業する人や部署が変わっても、一元化されたシステムの中であれば統一された方法で作業でき、混乱を防げます。
契約書管理のポイント
契約書を適切に管理するためには、主に以下の3つを押さえておくことが大切です。
- 保管場所・保存方法
- 更新や解約の期限管理
- アクセス権限の管理
上記3つのポイントについて解説します。
保管場所・保存方法
契約書を適切に管理するためには、保管場所と保存方法に注意しましょう。契約書は、内容によっては7年や10年などの長期間にわたって保管することが法律で決められています。その間、紛失や破損、改ざんなどが行われないように適切な保管場所で保存をしなければなりません。
また、契約書は紙の書類による保存の他に、電子上で取り交わされる電子契約書による保存も可能です。電子契約書は、サーバーやクラウド上での保存が認められています。
更新や解約の期限管理
次に、契約書の更新や解約の期限を管理することも重要です。これらの期限をしっかり把握していないと、契約が自動更新または解約されてしまい、不測の損害を被るおそれがあります。
また、更新や解約の期限を管理すること自体が、都度契約内容を見直す機会にもなります。定期的に見直すことで、自社にとって好条件の契約内容を交渉するチャンスにもつながるのです。
他にも、取引先とのトラブルを防ぐためにも、契約書の更新や解約の期限はすべてきちんと管理しておく必要があります。
アクセス権限の管理
アクセス権限の管理も、契約書の適切な管理において非常に重要です。取引に関係のない第三者による契約書類の閲覧や、契約内容の改ざんを防ぐ必要があるからです。
紙の書類の場合は保管場所のセキュリティーシステムを向上させ、電子契約書の場合はアクセス権限の設定をシステム上で行いましょう。
契約書類に閲覧権限を設定していないと、機密事項が漏えいしたり第三者に悪用されたりするリスクが増します。また、勝手に記載内容を書き換えられるなどの可能性もあります。
こうしたリスクを防ぐため、契約書に関わる人物だけがアクセスできるように設定しておくことが必要です。
マネーフォワード クラウド契約なら契約書管理だけでなく契約書の作成〜締結も可能
マネーフォワード クラウド契約であれば、契約書の管理を適切かつ効率的に行えます。契約書類を電子化し、一連の業務を一元化することが可能です。
主に、以下の3つの点から契約書類の管理をサポートします。各ポイントについて紹介します。
紙の契約書と電子契約をまとめて管理
マネーフォワード クラウド契約であれば、電子契約書はもちろん、紙の契約書もまとめて管理できるため、効率的に業務を進められます。
また、他社の電子契約サービスから受領する電子ファイルやデータも、自動で取り込むことが可能です。大量の契約書の中から、必要な情報にすぐにアクセスできるため、業務がスムーズに進みます。また、更新・解約期限の管理がしやすい点も強みです。
契約書管理業務を一元化
マネーフォワード クラウド契約では、契約書の作成から申請・承認、締結、保存、管理までを一括して完結させることが可能です。「電子契約システムで契約書管理をしたいが、どうすればよいかわからない」という場合でも、一からサポートします。
また、一画面で一連の作業を完結できるため、電子契約システムに慣れない方でも使いやすい点がメリットです。内部統制強化やルールの統一もしやすくなります。
契約書保管料は0円
マネーフォワード クラウド契約では、契約書の保管件数による課金や上限設定はありません。したがって、管理したい契約書が増えても金額の心配なく保管ができます。大量の契約書を管理・保存したい場合に便利です。
業務を効率化して適切な契約書管理を
契約書管理は、数ある取引先と円滑かつ安全にビジネスを進めるために非常に重要です。すべての契約書は適切に管理されなければなりません。必要な契約情報をすぐに検索できることや、紛失・破損・改ざんなどがないように保管することなど、適切な管理に求められるポイントは多くあります。
契約書を適切に管理するためには、自社にとって負担がなく、効率よく管理業務の遂行をすることが必要です。自社の取引状況や規模、コストなどの面を総合的に考慮し、場合によっては契約書管理システムの導入も検討してみましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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