• 作成日 : 2025年1月31日

広告掲載承諾書とは?ひな形をもとに書き方や例文、注意点を解説

広告掲載承諾書とは、広告主が掲載先のメディアなどを運営する事業者に提出する、広告掲載を承諾する旨の文書です。広告主とのトラブルを防ぐため、広告掲載承諾書を確実に取得しましょう。本記事では、広告掲載承諾書の書き方やレビュー時のポイントなどを文言の具体例を示しながら解説します。

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広告掲載承諾書とは?

広告掲載承諾書(こうこくけいさいしょうだくしょ)とは、広告の掲載を承諾する文書です。広告主(広告の掲載を依頼する人)が、掲載先のメディアなどを運営する事業者に対して交付します。

広告掲載承諾書の交付を受けるメリット

広告主とメディア運営者の間では、広告の掲載料・掲載期間・内容などに関して認識の齟齬が生じ、トラブルに発展するケースがあります。

掲載先のメディアを運営する事業者としては、広告掲載承諾書の交付を受けることにより、広告主との間で認識を一致させることができます。その結果、広告主とのトラブルのリスクを最小限に抑えられます。

広告掲載承諾書の交付を受けるべきケース

自社が運営するメディア(Webサイトなど)や店頭において、他の事業者(=広告主)の広告を掲載する際には、広告主から広告掲載承諾書の交付を受けましょう。

なお広告主との間では、広告掲載に関する契約書を締結することも考えられます。

契約書を締結する場合は、別途、広告掲載承諾書の交付を受ける必要はありません。ただし、広告掲載の条件を明確化するため、契約書においてその内容を詳しく記載しましょう。

広告掲載承諾書のひな形、例文

広告掲載承諾書のひな形は、以下のページからダウンロードできます。実際に広告掲載承諾書を作成する際の参考としてください。

※ひな形の文例と本記事で紹介する文例は、異なる場合があります。

広告掲載承諾書に記載すべき内容や書き方

広告掲載承諾書には、主に以下の事項を記載します。

Point広告掲載承諾書の主な事項
  • 広告掲載を承諾する旨
  • 掲載する広告の内容、条件
  • 知的財産権に関する同意
  • 広告について適用されるルールに関する同意
  • 個人情報の利用目的に関する同意
  • 免責事項

広告掲載を承諾する旨

(例)

広告掲載の承諾について

当社では、下記広告媒体において、〇〇を掲載しております。つきましては、下記の掲載対象について、下記の内容で広告を掲載することをご理解いただき、必要事項をご記入の上、広告掲載承諾書をご提出ください。

……

私は、上記の掲載対象について、貴社が広告(以下「本件広告」といいます。)を掲載することを承諾し、以下の条件について同意いたします。

広告主が、広告を掲載することについて承諾する旨を明記します。上記の例文は、メディア側による承諾依頼(上部)と広告主が作成する承諾書(下部)が一体になったものです。

掲載する広告の内容、条件

(例)

掲載対象
広告料                             円
広告期間      年   月   日 ~    年   月   日
広告媒体・貴社ホームページ

・新聞・雑誌(掲載誌名:             )

・チラシ(折込・宅配・DM)

・その他媒体(                  )

広告内容
備考

掲載承諾の対象となる広告の内容や条件を明記します。

広告内容については、実際に掲載するイメージなども含めて、具体的に明示することが望ましいでしょう。「別紙の通り」として、別紙に広告内容を示すことも考えられます。

知的財産権に関する同意

(例)

1 同意事項

(1)私は、本件広告に含まれる画像・文章等について、貴社に対し、肖像権、パブリシティ権、著作権、著作者人格権その他の知的財産権を行使しません。

掲載する広告に肖像や著作物などが含まれる場合でも、広告主が掲載先に対して知的財産権を行使しない旨を明記しましょう。
広告の掲載について不満を生じた広告主が知的財産権を理由に掲載先に対してクレームを行い、トラブルに発展する事態を防ぐためです。

広告について適用されるルールに関する同意

(例)

1 同意事項

(2)貴社による本件広告の掲載、および当該掲載に関連する貴社の広告・宣伝活動については、〇〇規程が適用されることに同意します。

広告宣伝活動に関して、対外的に公表しているガイドラインなどがある場合は、適用されるものを明示したうえで、広告主が同意する旨を明記します。内容はあらかじめ広告主に示し、質問を受けた場合は適切に回答しましょう。

個人情報の利用目的に関する同意

(例)

1 同意事項

(3)私が貴社に対し提供する個人情報は、貴社のプライバシーポリシーに定める利用目的に従って利用されることに同意します。

個人情報取扱事業者は個人情報を取り扱うに当たり、その利用目的をできる限り特定しなければなりません(個人情報保護法第17条第1項)。

また、本人との間で契約を締結することに伴い、契約書その他の書面に記載された本人の個人情報を取得する場合には、原則として、あらかじめ本人に対してその利用目的を明示することが義務付けられています(同法第21条第2項)。

上記の個人情報保護法の規定を踏まえて、広告掲載承諾書においても、個人情報の利用目的を明示したうえで、広告主が同意する旨を明記しましょう。

個人情報の利用目的は、広告掲載承諾書において具体的に列挙するか、または別途公表しているプライバシーポリシーなどにおいて明示します。

免責事項

(例)

2 免責事項

(1)私は、上記広告媒体に記載された種類の範囲内である限り、本件広告を掲載する媒体を制限しません。実際に本件広告を掲載する媒体の選定は、貴社の裁量に委ねるものとします。

(2)私は、本書に従って掲載された本件広告に関し、貴社に対し、クレームまたは損害賠償請求その他の請求を一切行いません。私は、貴社が私に対して、本件広告に関する損害賠償責任その他一切の法的責任を負わないことに同意します。

広告の掲載方法や掲載先の媒体などをメディア側に委ね、広告主は一切異議を述べないことや、メディア側が広告主に対して損害賠償責任を負わないことを明記しましょう。
免責事項を定めておけば、メディア側からクレームなどを受けるリスクを抑えることができます。

ただし、免責事項を定めたとしても、コンプライアンスやトラブル防止の観点から、広告の掲載方法や掲載先の媒体の選定は誠実かつ慎重に行う必要があります。

広告掲載承諾書の交付を受ける際の注意点

メディア側が広告主から広告掲載承諾書の交付を受ける際には、特に以下の点に注意しましょう。

メディア側の注意点(広告主からの広告掲載承諾書の交付)
  • 広告の掲載条件を明確に記載し、広告主に対して丁寧に説明する
  • 作成者に署名や押印を求める

広告の掲載条件を明確に記載し、広告主に対して丁寧に説明する

広告掲載承諾書には、広告の掲載条件を明確に記載することが大切です。特に広告料・広告期間・広告内容は、広告に関する重要な条件なので、曖昧な記載がなされていないかどうかをチェックしましょう。

広告の掲載条件については、広告主とメディア側の間で認識を共有することも大切です。メディア側としては、広告主に対して掲載条件を丁寧に説明することが求められます。

作成者に署名や押印を求める

広告掲載承諾書には、作成する広告主に署名や押印をしてもらいましょう。
広告主が個人事業主の場合は署名と押印の両方を行う「署名捺印」、法人の場合は記名のうえで押印をしてもらう「記名押印」が一般的です。

広告主の署名、または広告主の印章による押印がなされていれば、広告掲載承諾書が真正に成立したことが推定されます(民事訴訟法第228条第4項)。

後に広告主から偽造や改ざんが主張されても、その合理的な根拠が示されない限りは、広告掲載承諾書が有効なものとして取り扱われます。

広告掲載承諾書の有効性が確実なものとなれば、広告主とのトラブルの発生や複雑化の防止につながります。

広告掲載承諾書の保管年数や保管方法

広告主から提出を受けた広告掲載承諾書は、きちんと保管しておきましょう。

法人税法により、広告掲載承諾書を含む契約書類は、原則として事業年度終了後7年間保存することが義務付けられています(法人の場合)。

ただし、欠損金が生じた事業年度に提出を受けた広告掲載承諾書は、事業年度終了後10年間保存しなければなりません。

また、広告主から広告の掲載について損害賠償を請求される可能性も想定しておくべきです。

法人税法上の保存期間が過ぎても、事業を続けている限り、広告の掲載終了から20年程度が経過するまでは保管しておくことが望ましいでしょう。

広告掲載承諾書を保管する際には、紛失、改ざん、個人情報の流出などのリスクを防がなければなりません。

紙で広告掲載承諾書の提出を受けたときは、施錠できるキャビネットなどに保管してその鍵を厳重に管理しましょう。

電子データで広告掲載承諾書の提出を受けたときは、データにアクセスできる人を必要最小限に絞るため、アクセス権とパスワードを適切に設定しましょう。

広告掲載承諾書の電子化は可能?

広告掲載承諾書は、電子化することも可能です。

ただし、電子データで作成される広告掲載承諾書には、広告主に署名や押印をしてもらうことができません。本人が作成したことを証明できるように、広告掲載承諾書の電子データには電子署名を行ってもらいましょう。

広告掲載承諾書に電子署名を付すメリットと方法

電子データを本人が作成した(真正に成立した)ことを証明するためには、「電子署名」が有用です。

パスワードなどを適正に管理することにより、本人だけが行うことができる電子署名が付されていれば、電子データは真正に成立したものと推定されます(電子署名法第3条)。将来的に、広告主が広告掲載承諾書の偽造や改ざんを主張してきても、その合理的な根拠が示されない限り、広告掲載承諾書のデータは有効なものとして取り扱われます。

電子署名を行う際には、「マネーフォワード クラウド契約」などの電子契約サービスをご利用ください。簡単な操作で、セキュリティ性の高い電子署名を付すことができます。

紙の広告掲載承諾書をスキャンして電子化するのはOK?

紙で提出してもらった広告掲載承諾書をスキャンしてデータ化する方法も考えられます。

ただし、スキャンした後で原本を破棄してしまうと、スキャンデータについては真正に成立したことが推定されません。広告主とのトラブルを防ぐため、紙の広告掲載承諾書をスキャンしてデータ保存する場合には、原本を破棄せず保管しましょう。

広告掲載承諾書には、広告の内容や条件を明確に記載しましょう

広告掲載承諾書は、広告主と掲載先メディアの間で締結する契約書に相当するものです。

メディア側としては、広告主とのトラブルを予防する観点から、広告掲載承諾書に広告の内容や条件を明確に記載する必要があります。また、広告の内容や条件については、広告主に対してきちんと説明を行い、十分な理解と納得を得るように努めましょう。


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