- 更新日 : 2024年8月30日
団体交渉申入書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
団体交渉申入書とは、労働組合が使用者に対して団体交渉を申し入れる際に交付する書面です。団体交渉の日時・場所・出席者・協議事項などを明確に記載しましょう。本記事では、団体交渉申入書の書き方のポイントや、記載内容の具体例などを解説します。
目次
団体交渉申入書とは
団体交渉申入書とは、労働組合が使用者に対して団体交渉を申し入れるに当たり、申し入れの内容を記載したうえで交付する書面です。
労働組合には、団体交渉その他の団体行動をする権利が認められています(日本国憲法28条)。使用者は、正当な理由なく労働組合の団体交渉の申し入れを拒否することができません(労働組合法7条2号)。
事業場における労働条件などに不満を持っている場合、労働組合は改善を求めて、使用者に対して団体交渉を申し入れることができます。その際、団体交渉の日時・場所・出席者・協議事項などを記載したうえで、交付するのが団体交渉申入書です。
労働組合および労働組合法に関する詳細は、以下の記事を併せてご参照ください。
団体交渉申入書を作成するケース
団体交渉申入書を作成するのは、労働組合が使用者に対して団体交渉を申し入れるときです。
団体交渉では、賃金・労働時間・休暇などのさまざまな労働条件が議題となります。団体交渉申入書には、団体交渉の概要を使用者へ事前に伝えることで、スムーズな話し合いを促す役割があります。
団体交渉申入書のひな形
団体交渉申入書のひな形は、以下のページからダウンロードできます。実際に団体交渉申入書を作成する際の参考としてください。
団体交渉申入書に記載すべき内容
団体交渉申入書には、主に以下の事項を記載します。
①表題
「団体交渉申入書」と記載します。
②宛先
使用者の商号(会社名)と代表者の職位・氏名を記載します。
③差出人
労働組合の名称を記載します。
④日時
団体交渉の希望日時を記載します。事前に使用者側との間で日程調整をした上で、決まった日時を記載することもあります。
⑤場所
団体交渉の希望場所を記載します。日時と同様に、使用者との事前調整で決まった場所を記載することもあります。
⑥出席者
団体交渉の出席者を記載します。日時・場所と同様に、使用者との事前調整が行われることがあります。
⑦協議事項
団体交渉において協議すべき事項の概要を簡単に記載します。
⑧作成日
団体交渉申入書の作成日を記載します。
団体交渉を進めるうえでのポイント
団体交渉へ臨むに当たっては、健全な交渉ができる環境を適切に整えることが大切です。労働組合・使用者はそれぞれの立場で、相手方と対等に交渉できるような環境整備に努めましょう。
労働組合側が気をつけるポイント
労働組合側としては、使用者側に対する要求事項をあらかじめ明確化することが大切です。団体交渉における協議事項を事前に伝えておけば、スムーズな協議が可能となります。
団体交渉の場において、事前に通知していない要求事項を提示することも、交渉戦略上ないわけではありません。しかし、議論を混乱させるケースも多いので、このような対応の乱発は避けるべきでしょう。
団体交渉における協議事項は、団体交渉申入書に記載したうえで使用者側に交付します。議題を一言だけで記載するケースもありますが、それだけでは分かりにくいと思われる場合は、議題の概要を簡潔に記載することが望ましいでしょう。
使用者側が気をつけるポイント
使用者側としては、労働組合から団体交渉申入書を受領したら、まず協議事項を確認しましょう。各協議事項について、使用者としてどの程度まで応諾できるのか、拒否するならどのような理由を伝えるかなどを検討する必要があります。
団体交渉が決裂するとストライキなどに発展する恐れがあるので、ある程度の譲歩はやむを得ない場合が多いようです。労働条件を低く抑え過ぎると労働者のモチベーションの低下につながり得る点も考慮して、バランスのよい方針を立てて団体交渉に臨みましょう。
また、団体交渉が行われる場所や、参加者の数も重要なポイントです。
団体交渉を会社のオフィスや労働組合の事務所などで行うと、参加が予定されていない労働者側の人の乱入を許してしまう恐れがあります。また、団体交渉の時間が押しても、だらだらと続行しやすくなってしまいます。そのため基本的には、外部の公共施設などで開催することが望ましいでしょう。
参加者の数については、使用者側と労働組合側を同数とするのが原則です。使用者側は役員や顧問弁護士だけで対応するのに対して、労働組合側の参加人数が多すぎると、団体交渉において余計なプレッシャーを受けることになってしまいます。団体交渉申入書において通知された労働組合側の参加人数が多すぎる場合には、人数の削減を求めましょう。
団体交渉申入書において示された団体交渉の条件を修正すべき場合は、労働組合との間で調整を行い、改めて団体交渉申入書を提出し直してもらいましょう。
団体交渉申入書には、団体交渉の条件や協議事項を明記しましょう
団体交渉申入書の目的は、団体交渉の条件や協議事項を使用者へ事前に通知し、話し合いの円滑化を図ることです。特に協議事項については、何を話し合うのかが分かりやすいような記載を心がけましょう。
団体交渉申入書は、あくまでも労働組合側の意向を使用者に伝えるものです。使用者から何らかの修正依頼を受ける場合もありますので、その際には使用者側の言い分にも耳を傾け、健全な交渉環境の整備に努めましょう。
健全に団体交渉が行われれば、労使関係の改善や労働のモチベーション向上につながります。団体交渉申入書は、重要な団体交渉の入り口となる書面ですので、適切な内容で作成したうえで使用者に交付しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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