• 作成日 : 2024年12月25日

エステ利用規約とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説

エステ利用規約とはエステサロンと施術を受ける顧客との間で守るべき取り決めが記載される書類です。お客さまとのトラブルを防ぐための重要な書類ですが、どのような内容を盛り込めばいいのでしょうか。この記事ではエステサロンの経営者やこれから開業される方のために、エステ利用規約の書き方や注意点についてひな形も交えてご紹介します。

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エステ利用規約とは

エステ利用規約とはエステサロンとその顧客との間に取り決めたルールを記載した書類です。後ほど詳しい内容はご紹介しますが、禁止事項や個人情報の取り扱い方法などについて定められています。

エステ利用規約に双方が合意した場合、顧客は利用規約に従って施術を受けなければならず、エステ側も規約に定めたルールに基づいて顧客にサービスを提供する必要があります。

エステ利用規約を作成するケース

エステ利用規約は顧客が初めてエステサロンに来店した際にサロン側が提示するのが一般的です。そもそも利用規約とはサービスの提供者と利用者との間で守るべき基本的なルールを定めたものです。利用規約を顧客に提示してその内容を明確にし、安全・快適な施術につながります。

また会員制のエステサロンの場合、入会手続きで契約書を締結する際にエステ利用規約を提示するケースもあります。

いずれにしてもエステ利用規約に顧客が合意してから施術という流れになるのが一般的です。

エステ利用規約のひな形

特にこれからエステサロンを開業される方は、エステ利用規約を作成しなければなりません。当サイトではすぐに使えるエステ利用規約のひな形をご用意しましたので、こちらを参考に作成してみましょう。

エステ利用規約に記載すべき内容

ここからは先ほどご紹介したひな形をもとに、会員制のエステ利用規約に盛り込むべき内容をご紹介します。

概要

冒頭で利用規約の概要を記載します。「エステサロン利用規約」というように目立つように大きな文字で表題を明記し、その下にその書類がどのような性質のものなのかを示します。

○○エステティックサロン(以下「当店」という。)は、当店が提供するサービス(以下「本サービス」という。)の利用について、以下の通り利用規約(以下「本規約」という。)を定める。

適用

利用規約の適用対象を明記します。エステの場合は会員ということになりますが、以下のようにどのような状態の人が会員に該当するのかという定義もしておきましょう。

本規約は、本サービスの利用を当店が承認した方(以下「会員」という。)に適用されます。

2 会員は、本規約の各条項に同意したものと見なされます。

3 会員資格については、別途当店利用契約書にて定めるものとします。

サービスの利用停止

エステサロンの施術は場合によってはお客さまの身体に影響をおよぼすケースもあります。エステサロン側が危険と判断してサービスの提供を断れる条件を明記します。

以下のように、お客さまが病気に罹患している場合、お酒を飲んでいる場合、妊娠中の場合などを想定するのが一般的です。

以下項目に該当する場合、当店は当該会員の本サービスの利用をお断わりすることができます。

⑴ 医師から病気、感染症等の診断を受け、本サービス提供日に完治していない場合

⑵ 本サービス提供時に会員が飲酒・泥酔状態にある場合

⑶ 本サービス提供時に会員が妊娠中である場合

禁止事項

顧客自身や他の顧客が安全・快適に施術を受けられるように、そしてエステティシャンがトラブルに巻き込まれず円滑にサロンが運営できるように、禁止事項を定めます。

例えば他の顧客やスタッフのプライバシーを漏らしたり、不利益を与えたりする行為、違法行為、店内での飲酒・喫煙行為、エステサロンの運営を妨害する行為などを定めましょう。また、禁止事項に違反した際にエステサロン側が顧客に対して損害賠償を請求できる旨も明記します。

会員に対し、本サービス利用中の以下の行為を禁止します。

  1.  当店及び他の本サービス利用者または第三者の財産、権利もしくはプライバシー等を侵害する行為、またはその恐れのある行為
  2.  当店及び他の本サービス利用者または第三者に不利益もしくは損害を与える行為、またはその恐れのある行為

⑶ 犯罪行為に関連する行為、または法令等に違反する行為

⑷ 喫煙及び飲酒行為

2 会員が前条の行為又は本規約に違反する行為によって当店に損害を与えた場合、当店は当該会員に対して、行為の差止め及び当店の被った損害の賠償を請求することができるものとします。

個人情報の取り扱い

エステサロンが顧客の個人情報をどのように扱うのかを取り決めるための条項です。氏名・住所・電話番号・メールアドレス・LINE IDなど個人情報を定義したうえで、それらの用途と第三者への開示について記載します。

当店が所有する会員の個人情報(氏名・住所・電話番号・メールアドレス・LINE IDなど)は、本サービス提供に必要な範囲のみに使用し、原則として会員による開示の承諾を得ずに第三者へ提供することはありません。

利用規約の変更

エステサロンが利用規約の変更をできる旨と、変更した際の開示方法や適用期間について定めます。利用規約の変更の方法については後ほど詳しくご紹介します。

本規約は、民法第548条の4の規定により随時変更することができるものとします。

2 前項の変更は、変更後の本規約の内容を当店ウェブサイト(URL:○○○)上に表示する方法で周知し、相当な期間を経過した日から適用されるものとします。

準拠法

利用規約がどの国の法律に従って作成・解釈されるのかを記載します。

本規約は、日本法に準拠し、同法に従い解釈されるものとします。

合意管轄

エステサロン側と顧客で紛争(トラブル)が発生した場合に裁判を起こす裁判所を指定します。

会員と当店との間で本規約に関して生じた紛争については、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とします。

エステ利用規約を作成する際の注意点

以上でエステサロンの利用規約の書き方をご紹介しました。お客さまとトラブルにならないよう、規約を作成する際には以下のようなことを意識しましょう。

サービスを停止できる条件や禁止事項を明確に定めておく

エステサロンではお客さまの身体に触れて施術を行うため、影響をおよぼすリスクもゼロではありません。特にお客さまが病気やけがをしている場合、飲酒している場合、妊娠中の場合などは人体になんらかの影響をおよぼす恐れもあります。

また、他のお客さまの迷惑にならないよう、そしてエステティシャンが安全に施術できるよう、禁止事項についてもしっかりと定めておきましょう。規約にこれらの条件を明記しておくことで、施術を断ることができるようになります。

全てのお客さまが快適に施術を受けられるようにするために、エステサロンを円滑に運営するために、サービスの利用を断れる条件や禁止事項は可能な限り具体的にしておくことが重要です。

個人情報の取り扱いに関して明らかにする

エステサロンはお客さまの氏名や住所、連絡先などの個人情報を扱いますので、個人情報保護法に定められている「個人情報取扱事業者」に該当し、この法律に従って個人情報を扱わなければなりません。

まずは何を個人情報とするかという定義をしっかりとし、使用用途についても明らかにしましょう。また、お客さまの同意なく第三者への提供を行わないことも記載しておく必要があります。

参考:個人情報の保護に関する法律|e-GOV検索

エステの契約書を作成する場合でも利用規約は必要?

特定商取引法ではエステは「特定継続的役務」に該当します。サービスを提供する期間が1ヵ月を超えてかつ金額が5万円を超える場合は契約書を用いて契約を締結しなければなりません。

契約書と利用規約では書かれる内容が異なるため、契約書を作成する場合でも利用規約を作成した方がよいでしょう。

例えば契約書には契約期間や金額、契約解除できる条件など取引に関するルールを定め、利用規約には禁止事項や施術を断れる条件などサービスを利用する際のルールを定めるというようなすみ分けをします。

なお、契約書の中で利用規約の内容に言及する際には「別途利用規約に定める」というように記載します。

エステ利用規約を変更したい場合はどうする?

エステサロンの運営者は法律上「定型約款」に該当します。利用者の合意なく利用規約を変更することが可能です。これは民法第548条の4に規定されています。

第五百四十八条の四 定型約款準備者は、次に掲げる場合には、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。

出典:民法|e-GOV法令検索

例えば途中で禁止事項を追加したり、サービスを停止できる条件を変更したりといったことも可能です。ただし、お客さまには規約を変更したことが分かるようにしておく必要があります。新しく規約を渡す、施術前に口頭で説明する、ホームページに記載する、メールやLINEなどで通知するなどの方法で知らせましょう。

未成年のお客さまの場合、利用規約に親権者の同意が必要?

契約の締結は法律行為に該当します。民法第5条では未成年者が契約を締結する際には法定代理人(親権者など)の同意を得なければならないと定められています。

第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

出典:民法|e-GOV法令検索

そのため、未成年者を会員として継続的にサービスを提供するという契約を締結する際には必ず保護者からの同意を得ましょう。保護者同伴で来店してもらって合意書に署名押印してもらうのがよいでしょう。

なお、上記の民法第5条3項の規定には合意が不要となる例外が定められています。安価な料金(お小遣いで支払える程度)で施術を行うようなケースでは合意が必要ない可能性もあります。

安心・安全なエステサロンを運営するためには利用規約が必須

利用規約とはエステサロン側と顧客側が最低限守るべき基本的な約束が書かれた書類です。禁止事項が書かれているので「堅苦しい」という印象を持たれるかもしれませんが、お客さまとエステティシャンの安心・安全を守り、円滑なエステサロンを運営するためには必要不可欠です。

これからエステサロンを開業される方は、さまざまなトラブルを想定してしっかりと利用規約を作成しましょう。また、すでに運営されている方も、一度利用規約を見直してみることをおすすめします。


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