• 作成日 : 2024年10月3日

賃貸借契約書は郵送可能?確認すべき重要事項と送り方を解説

賃貸借契約書は、一般的に物件を大家さんから借りる際に締結する契約書ですが、郵送しても問題ないのか気になっている人もいることでしょう。本記事では、賃貸借契約書を郵送できるのか、郵送する際の確認事項などについて解説します。

あわせて、賃貸借契約書を郵送する方法や賃貸借契約書を郵送する際のマナーについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

賃貸借契約書は郵送してもよい?

賃貸借契約書は郵送してもよいのでしょうか?ここでは、賃貸に関する契約書類を紹介したうえで、賃貸借契約書の郵送の可否について解説します。

賃貸に関する契約書類の種類

賃貸に関する契約関連書類としては、主に次の2つがあります。

  • 賃貸借契約書
  • 重要事項説明書

賃貸借契約書とは、一般的に物件を大家さんから借りる際に締結する契約についての書面のことです。そこには、賃貸条件に関する詳細な項目が記載されています。内容は不動産会社、大家さん、物件によって違いがあるため、注意しましょう。

賃貸借契約書は、契約に関して最も効力を持つ書類でもあるため、内容をしっかり確認をしたうえで署名・捺印する必要があります。

賃貸借契約書に記載されている主な内容は以下の通りです。

  • 物件の名称・所在地
  • 賃料と共益費
  • 契約期間と更新
  • 物件の構造
  • 付属品と残留物
  • 契約解除や明け渡しの条件 など

一方、重要事項説明書とは、契約する物件のルールや設備などを記載した書類のことです。物件の取扱説明書のようなものをイメージすると理解しやすいでしょう。こちらも、賃貸借契約を締結する際に重要となる書類のため、内容をしっかりと理解しておきましょう。

重要事項説明書には、次のような項目が記載されています。

  • 物件の詳細
  • 解約条件
  • 違約金 など

賃貸借契約書は郵送できる

賃貸借契約書は郵送できます。しかし、個人情報等が含まれるため、取り扱いに注意が必要です。なかには、不動産屋から郵送方法を指定されている場合もあります。

基本的には、簡易書留やレターパックで郵送することになるでしょう。

賃貸借契約書を郵送する前に確認すべき重要事項

賃貸借契約書を郵送することは可能ですが、郵送前に確認すべき事項がいくつか存在します。主な項目は、次の3点です。

  • 重要事項説明書の口頭説明
  • 印鑑
  • 金銭の受け渡し

それぞれ詳しく見ていきましょう。

重要事項説明書の口頭説明

希望する物件の入居審査に通過したら、不動産会社の宅地建物取引士から物件や契約条件など重要事項に関する説明を受けます。宅地建物取引業法では、賃貸借契約の締結前に宅地建物取引士が重要事項説明をすることが義務付けられているため、不動産の貸主側としては郵送前の口頭説明に留意しましょう。なお、現在ではビデオ通話での重要事項説明(IT重説)を受けることも可能です。

借主側は、重要事項説明書の説明を受けて、内容に納得したら、重要事項説明書に署名・捺印します。説明を受けたあと、郵送などで契約書を送付すれば、契約までが完了します。

参考:e-GOV 宅地建物取引業法

印鑑

賃貸借契約書には印鑑によって押印することが一般的です。印鑑を契約書に押印することで、契約書が真正に成立したことが推定されます。

なお、契約の押印は、基本的には認印でも問題ありません。不動産会社によっては実印を求められるケースもあるため、相互に必要となる種類の印鑑が何なのか、わかるようにコミュニケーションをとりましょう。そうすることで、その後の契約をスムーズに進められます。

金銭の入金タイミング

賃貸借契約においては、契約開始日の前日までに初期費用の入金を求められることが一般的です。重要事項説明の説明から入金までの流れは、次のようになっています。

  1. 審査が通ったら重要事項説明を受ける
  2. 契約内容に納得したら、初期費用を支払う
  3. 必要書類を提出する
  4. 契約締結

この際、確認したいのが入金方法や期日です。不動産会社に指定の入金方法があるのか、いつまでに入金すればよいのかなど、認識に齟齬がないようにしっかりと確認しておきましょう。

賃貸借契約書が郵送されてきたときに確認すべきこと

賃貸借契約書が郵送されてきた際に、借主側が確認することについて解説します。確認したい事項は、次の6点です。

  • 物件内容と契約書の内容が合っているか
  • 設備には何があるか
  • 契約期間と諸費用について
  • 大家さんと管理業者の連絡先について
  • 入居中に修繕が発生した場合のこと
  • 解約時のこと

まずは、賃貸借契約書に記載されている物件の内容が、自分が借りようとしている物件と合っているかチェックしましょう。物件名称や所在地、建物の構造、間取り、部屋番号などが記載されています。

あわせて、部屋に備え付けの設備(附属品)も確認してください。設備欄で「有」にチェックがついている設備が附属品です。また、前の入居者が残したもので、まだ使えそうな残置物もチェックしましょう。不要であれば、大家さん(管理会社)に言うと処分してもらえます。

続いて、契約期間や敷金、礼金、家賃、家賃の支払い方法などを確認します。その際に、大家さんや管理会社の連絡先も記載されているので、メモしておくと後々助かるでしょう。

最後に、入居中に修繕が発生した場合の連絡先や費用負担、解約時の原状回復義務と敷金の精算については、必ず確認してください。これらがあいまいなままだと、大きなトラブルを引き起こしかねません。

以上の内容を確認して、問題なく、同意できるようであれば、印鑑を押しましょう。

賃貸借契約書を郵送する方法

賃貸借契約書を郵送することは可能ですが、どのような方法で送ってもよいわけではありません。

契約書は信書に該当します。信書とは、特定の相手に対して送る文書のことで、法律により郵送方法が定められているものです。誤った方法で郵送すると懲罰や罰金の対象となるため、注意しましょう。

信書を送る際は、「届いていない」「間に合わない」といったようなトラブルを防ぐため、「レターパック」「簡易書留」「特定記録郵便」のいずれかで送るとよいでしょう。ここでは、それぞれの内容を詳しく解説します。

レターパック

レターパックとは、A4サイズ・4kgまでの郵便物を全国一律料金で送れるサービスです。信書も郵送できます。

レターパックは、対面で届けて、受領印をもらう「レターパックプラス」と、郵便受けへ届ける「レターパックライト」の2種類です。賃貸借契約書の場合は、受取を確認できるほうが安心できるため、レターパックプラスを利用するとよいでしょう。

普通郵便+書留

賃貸借契約書を普通郵便で郵送することも可能ですが、届いていない、といったようなトラブルが生じないとは言い切れません。その場合には、ここで紹介する書留もしくは、特定記録郵便の利用を検討しましょう。

書留とは、郵便物を引き受けた日時と配達した日時が記録される郵便サービスです。万一、郵便物等が届かなかったり、壊れたりした場合、原則として差出しの際申し出た損害要償額の範囲内で、実損額を賠償してくれます。

普通郵便+特定記録郵便

特定記録郵便とは、引き受けた日時の記録が残る郵便サービスです。インターネットで配達状況や配達された記録を確認できる点はメリットといえます。

賃貸借契約書を送付することができないサービス

信書を送付できないサービスとしては、次のようなものがあります。

  • ゆうパック
  • ゆうメール
  • ゆうパケット
  • クリックポスト
  • 宅急便

間違って送らないように、注意しましょう。

賃貸借契約書を郵送する際のマナー

賃貸借契約書を郵送する際のマナーを4つ紹介します。マナーを知らないと相手からの心証が悪くなるだけでなく、契約をスムーズに締結できない恐れもあります。契約書を郵送する前に、しっかりと内容を理解しておきましょう。

クリアファイルに挟む

賃貸借契約書を郵送する際は、郵送中に折り目がつかないようにクリアファイルに挟むようにしましょう。契約書は、重要な書類です。万が一、配達時に雨が降っていて封筒が雨で濡れても、クリアファイルに挟んでおけば契約書が濡れる心配はありません。

送付状を添える

書類を郵送で送る際は、送付状を添えるのがビジネスマナーです。必ず送付状も添えるようにしましょう。

送付状とは、請求書や契約書などのビジネス文書を送付する際に同封する書面のことです。たとえば、書類を送付する日付や送り主の氏名、相手の名前、本文、同封する書類名などを記載します。

相手は送付状を見れば、誰から誰宛てにどういった書類が来たのか、いつまでに返信すればよいのか、などを理解できます。

送付状のテンプレート

送付状にどういった内容を書けばよいかわからないという人もいるでしょう。送付状を作成する際は、テンプレートを活用すると効率的に作成できます。

以下のページから、さまざまなビジネスシーンで利用できる送付状テンプレートをダウンロード可能です。

返信用封筒を同封する

賃貸借契約書に署名・捺印をして返送してもらう場合は、返信用封筒と返送用の切手を必ず同封しましょう。封筒には自社の宛名を記載してください。

それにより、相手が封筒と切手を用意して、宛名を書く手間が省けます。

賃貸借契約書などの郵便料金が値上げに【2024年10月1日より】

賃貸借契約書をこれから郵送する・すでに郵送している場合に気をつけたいのが、郵便料金の値上げです。2024年10月1日以降、郵便料金の変更があるため、注意しましょう。

日本郵便によると、郵便料金の値上げは「郵便サービスの安定的な提供を維持するため」とされています。郵便物数が、2001年度にピークを迎えてその後大きく減少する一方で、燃料費や人件費などの上昇、協力会社への適正な価格転嫁、そのほかの調達コストの増加などが見込まれるため、郵便料金の値上げに踏み切りました。

前述した郵送方法における郵便料金の変更は次のとおりです。

 

種類変更前変更後
レターパックプラス520円600円
ライト370円430円
書留

変更なし(一般書留480円、簡易書留350円)

特定記録郵便160円210円

書留を利用する場合は、変更ありません。しかし、レターパックや特定記録郵便を利用する場合は、上記のように変更があるため、注意しましょう。

参考:郵便局 日本郵便 2024年10月1日(火)から郵便料金が変わります。 

賃貸借契約書などの郵便料金を節約する方法

賃貸借契約書などの郵便料金を節約する方法としては、契約書の電子化が挙げられます。契約書を電子化すれば、契約をインターネット上で締結できるため、郵送の手間やコストがかかりません。契約書の電子化について詳しく見ていきましょう。

電子化

契約書の電子化とは、紙ベースで郵送している契約書を電子化してペーパーレス化する方法です。それにともない、紙の使用量を減らせ、郵送コストを削減できます。

主な方法は、次の2つです。

  • PDFなどで契約書を発行しメール送信する方法
  • 契約書を電子化する方法

郵送している契約書をPDFデータとして発行する方法です。Excelなどで電子データを作成し、それをPDF化して相手へメール送信します。

変更に際してコストが不要な点や、契約書を送信してから到着までの時間が郵送と比較して短いことがメリットです。

<契約書を電子化する方法>

契約書を電子化する場合、郵送コスト以外にも、印刷コストも削減可能です。その際に注意したいのが、導入するシステムが電子帳簿保存法に対応しているかどうかということです。法的な問題点をクリアするうえでも、電子帳簿保存法についての理解を深めておきましょう。

賃貸借契約書を電子化して郵送料金を節約しよう

賃貸借契約書は、郵送可能です。ただし、信書に該当するため郵送方法には注意しましょう。

また、郵送する前や到着後にはそれぞれ確認すべき内容があります。契約をスムーズに締結するうえでも、本記事で紹介した内容をしっかりと理解して、契約に臨んでください。

契約事においては、マナーも重要です。取引相手の心証を悪くしないためにも、クリアファイルに挟み、送付状を添えてから郵送することが求められます。送付状の書き方がわからないという場合にはテンプレートを参考にし、ビジネスマナーを守った取引ができるようになりましょう。


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