- 更新日 : 2026年3月31日
契約書のフォントにおすすめはある?最適なサイズや法律上のルールを解説
契約書フォントに法的指定はありませんが、可読性が高い「MS明朝」や「游明朝」がビジネス標準です。
- サイズは10.5pt〜11ptが一般的
- Mac作成時はWinでの表示崩れに注意
- 特商法など一部契約はサイズ規制あり
Q.文字サイズに法律上の決まりは?
原則は自由ですが、特定商取引法に基づく契約(訪問販売等)や金融商品取引の交付書面では、消費者保護の観点から「8ポイント以上」等の法的規制があるため注意が必要です。
契約書を作成する際、内容の精査には時間をかけても、意外と見落としがちなのが「フォント(書体)」や「文字サイズ」です。
実は、契約書には読みやすさだけでなく、「相手に信頼感を与えるフォント」や「改ざんされにくいフォント」が存在します。また、一部の契約では法律で文字サイズが指定されている場合もあり、知らずに作成するとトラブルの原因になることもあります。
この記事では、契約書に最適なフォントの種類やサイズ、WordやGoogleドキュメントでの設定方法について、ビジネス文書の常識と法律の観点から解説します。
目次
契約書のフォントに法的な決まりはあるか?
原則として、契約書のフォント種類に法的な決まりはありません。しかし、文字サイズ(フォントサイズ)については、一部の法定書面では法律による最低ラインが定められているため注意が必要です。
フォントの種類は自由だが「可読性」が重要
民法や商法において、「契約書は明朝体でなければならない」といった規定は存在しません。極端な話、ポップ体や手書き風フォントでも、当事者が合意すれば契約自体は有効です。
しかし、ビジネス文書としての信頼性や、万が一の紛争時に裁判官が読むことを考慮すれば、「読みやすく、改ざんされにくく、フォーマルなフォント」を選ぶのがマナーであり鉄則です。
文字サイズには法律の規制がある場合も
一般的な契約書(業務委託契約書や秘密保持契約書など)ではサイズ指定はありませんが、消費者保護を目的とした特定の契約では、文字サイズが法律で規定されています。
- 金融商品取引法(契約締結前交付書面など):日本産業規格(JIS)の8ポイント以上の大きさで記載すること(金融商品取引業等に関する内閣府令 第79条)。
- 特定商取引法(訪問販売の契約書など):8ポイント以上の大きさで記載すること(特定商取引法施行規則 第6条3項)。
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契約書におすすめのフォント3選
ビジネス契約書で最も推奨されるのは「MS明朝」または「游明朝」です。また、MacユーザーやGoogleドキュメントを利用する場合は、それぞれの標準フォントとの互換性も考慮しましょう。
1. MS明朝(最も標準的)
WindowsのWordで標準設定されているフォントです。
- メリット:圧倒的なシェアがあり、どのWindows PCでもレイアウト崩れが起きにくい。細身でインクの節約になり、長文でも可読性が高い。
- デメリット:線が細いため、スキャンやコピーを繰り返すと文字がかすれやすい。
2. 游明朝(ゆうみんちょう)
近年のWindowsやMacで標準搭載されている、美しく読みやすいフォントです。
- メリット:MS明朝よりも太さがあり、くっきり見えるため高級感がある。モニター上でも印刷しても読みやすい。
- デメリット:古いOSのPCでは表示されない場合がある(PDF化すれば問題なし)。
3. 游ゴシック・メイリオ(WEB・画面表示用)
電子契約や、画面上で確認することがメインの書類に向いています。
- メリット:線が均一で視認性が高く、小さい文字でも潰れにくい。
- デメリット:契約書特有の「重厚感」や「正式感」は薄れるため、紙の契約書には不向きとされることが多い。
欧文(英字・数字)のおすすめフォント
英数字が混ざる場合は、和文フォントに従属させるか、以下の欧文フォントを組み合わせるとスマートです。
- Century:明朝体と相性が良く、契約書で最も使われる欧文フォント。
- Times New Roman:新聞などで使われる伝統的なフォント。英文契約書のスタンダード。
契約書に最適なフォントサイズと行間
本文のフォントサイズは「10.5pt〜11pt」が一般的です。タイトルは「14pt〜16pt」で強調し、行間は詰めすぎないように設定します。
本文は「10.5pt」か「11pt」
Wordの初期設定である10.5ptが最も無難です。
高齢の当事者がいる場合や、重要事項説明書などは11ptや12ptにすると親切ですが、あまり大きくするとページ数が増えすぎてしまうためバランスが重要です。法律の「8pt以上」はあくまで最低ラインであり、契約書本文としては小さすぎて不親切です。
タイトル・見出しのサイズ
メリハリをつけるために、サイズを変えたり太字(ボールド)にしたりします。
- 契約書タイトル:14pt〜16pt(中央揃え・太字)
- 条文見出し:本文と同じか、1ポイント大きくする(太字)
読みやすい行間の設定
文字がぎっしり詰まった契約書は、読む気を失わせるだけでなく、内容の確認漏れを誘発します。
Wordの設定で、行間を「1.15倍」または「固定値:18pt〜20pt」程度に広げると、可読性が格段に上がります。
契約書作成時のフォントに関する注意点
「環境依存文字」や「特殊なフォント」は文字化けの原因になるため避けるべきです。また、1つの文書内でフォントを混在させず、統一感を持たせることが重要です。
フォントの統一(ユニバーサルデザイン)
見出しはゴシック、本文は明朝……といった使い分けはアリですが、本文中で「MS明朝」と「游明朝」が混在していたり、コピペした部分だけフォントが変わっていたりするのはNGです。
完成後に「Ctrl+A(全選択)」してフォントを一括指定し、体裁の揺れを防ぎましょう。
MacとWindowsの互換性(ヒラギノに注意)
Macで作成する場合、美しい「ヒラギノ明朝」を使いたくなりますが、WindowsでWordファイルを開くと別のフォントに置き換わり、レイアウトが大きく崩れることがあります。
相手にWord形式で送る場合は、Windows標準の「MS明朝」や「游明朝」を使用するか、必ずPDF形式に変換して送りましょう。
Googleドキュメントの場合
Googleドキュメントで契約書を作成する場合、PCにインストールされたフォントではなく、Webフォントが使われます。
「MS明朝」は選択できないため、標準の「Arial」や「Roboto」、日本語なら「MS P明朝(相当)」などを選び、最終的にPDF出力して体裁を整えるのがおすすめです。
電子契約の普及と画面表示におけるフォントの重要性
近年、紙の契約書からPCやスマートフォンで確認する電子契約への移行が進んでおり、契約書の「読みやすさ」に対する意識も変化しています。株式会社マネーフォワードが独自の調査を実施し、企業における電子契約の利用実態を明らかにしました。
7割以上の企業が電子契約を主体に利用
業務委託契約の締結に関与する方を対象に、電子契約の利用状況を尋ねました。その結果、最も多いのは「電子契約と紙契約どちらも使うが、電子契約のほうが多い」で、51.7%でした。次いで「ほぼ全ての契約で電子契約を利用している」が24.3%、「電子契約と紙契約どちらも使うが、紙契約のほうが多い」が16.0%と続いています。
これらのデータから、回答者の76.0%が電子契約を主体として利用しており、契約業務のデジタル化が標準となりつつある傾向が読み取れます。
画面上で契約書を確認する機会が増える中、紙への印刷に適した明朝体だけでなく、ディスプレイでも文字が潰れにくいゴシック体(游ゴシックやメイリオなど)の特性を理解しておくことも役立ちます。契約書を作成する際は、相手がどのような環境で書類を確認するかを考慮し、文字化けを防ぐためのPDF化を含めて、最適なフォント設定で共有することが大切です。
出典:マネーフォワード クラウド、電子契約の利用状況【業務委託契約書に関する調査データ】(回答者:881名(有効回答:業務委託契約に関与する605名)、集計期間:2026年1月実施)
フォント選びは「相手への配慮」と「リスク管理」
契約書のフォントは、単なるデザインではなく、ビジネス上の信頼性を左右する要素です。
- おすすめフォント:MS明朝、游明朝
- 推奨サイズ:本文10.5pt〜11pt(法定書面の一部では8pt以上などの規定がある)
- 注意点:OS間の互換性を意識し、最終的にはPDFで共有する
読みやすく、整ったフォントで作成された契約書は、相手に「しっかりした会社だ」という印象を与え、契約締結をスムーズに進める助けになります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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