- 更新日 : 2026年9月7日
退職勧奨同意書とは?作成するケースや書き方、注意点を解説
退職勧奨同意書とは、従業員と会社間で退職を合意する際に、退職の条件などを記した書面です。退職勧奨は従業員に自主退職を促す行為ですが、同意書を取り交わすことで円満な退職が実現できます。
この記事では、退職勧奨同意書の目的や、発行が必要となるケースについて解説します。記載に関わる注意点も解説しますので、ぜひ参考ください。
<関連記事>
▶契約書の書き方をテンプレート・例を用いて解説!
<サービス資料>
▶マネーフォワード クラウド契約の詳細はこちら
▶マネーフォワード クラウドAI契約書レビューの詳細はこちら
退職勧奨同意書とは
退職勧奨同意書とは、企業が従業員に対して自主的な退職を促し、双方で合意した内容を記した書面です。そもそも、退職勧奨は自主的に退職することを勧める行為を指し、従業員が退職勧奨に応じた場合に初めて労働契約が終了します。
同意書を取り交わす目的は、労使トラブルを回避するためです。例えば、どの時点でどのような理由で退職するかを記すことで、事実に反する不当解雇やハラスメントの主張を抑止できます。また、債権債務に関わる精算条項を加えておけば、後になって未払賃金や未払残業代などを請求されるリスクの回避も可能です。
さらに、もう1つのメリットとしては、企業のノウハウや財務情報、顧客情報などを守る効果もあります。従業員は退職すると就業規則に縛られないため、故意でなくとも企業の機密情報を漏らす危険性があります。場合によっては、転職先で結果を出すため、技術情報を流用される恐れもあるでしょう。
しかし、同意書の内容に守秘義務条項や口外禁止条項を設けていれば、万が一訴訟に至った場合でも有力な根拠として利用できます。
退職勧奨と解雇との違いは?
退職勧奨は従業員の意思を尊重して退職を促す方法であるのに対し、解雇は企業側が一方的に労働契約を終了させる方法です。解雇の場合は従業員に承諾の意思表示をする余地はなく、強制力をもって退職させられます。
ただし、解雇には厳しい法律規制が設けられており、退職させるには「客観的合理性」と「社会通念上の相当性」(労働契約法16条)という要件が必要です。
また、少なくとも30日前には解雇予告をしなければならないため、通知後、すぐに解雇はできません。退職勧奨は従業員と企業間の合意で行われる行為のため、これらの法的リスクを回避できるメリットがあります。
【無料】お役立ち資料
▶16項目 契約書レビューのチェックポイント(合計12ページ)
▶電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選(合計10ページ)
▶契約書の作り方 書き方の教科書(合計21ページ)
▶電子契約サービス比較マニュアル(合計12ページ)
退職勧奨同意書を発行するケース
退職勧奨同意書を発行するケースとしては、以下のようなものがあります。
経営不振や事業再編による人員削減
業績悪化や事業再編に陥った際、人件費を削減して難局を乗り切るケースです。ただし社会全体の景気が後退している状況の場合、従業員から退職の同意が得にくい側面があります。
部門・事業の廃止
採算がとれない部門や事業を対象に、配属中の従業員に対して退職を勧めるケースです。企業全体の増益につながり、抜本的な構造改革が期待できます。
労働者の適性・能力不足
ミスの繰り返しや営業成績が上がらないなど、達成度が著しく低い従業員に対して退職を促すケースです。労使トラブルに発展しやすいため、事前に指導や配置転換などで改善の機会を与える必要があります。
世代交代・体質改善
組織の若返りや体質改善を進めるためのケースです。経営状態に問題ない企業でも、新たな人材を迎え入れて組織再編を図る目的で行われます。
社内トラブルやハラスメント
顧客とのトラブルやセクハラ、パワハラなど、問題を起こした従業員に対して退職を促すケースです。退職者から被害を受けた従業員による訴訟を回避できます。
DX推進による人材のスリム化
DXの導入を進める上で、余剰人員に対して退職を促すケースです。知識が不要なルーティン業務を自動化し、経費削減・業務効率化を図れます。
退職勧奨同意書のひな形
以下のページより、退職勧奨同意書のひな形をダウンロードできます。退職勧奨同意書を作成する際にご活用ください。
退職勧奨同意書に記載すべき内容
退職勧奨同意書は、従業員が自らの意思で退職に応じた際に作成する書類です。前提として、退職勧奨同意書は、従業員が会社側からの「退職勧奨」に「同意」する書面です。そのため、従業員の視点で作成する必要があります。
退職勧奨について双方が同意した内容を明らかにするため、最低でも以下の6つを記載しましょう。
同意書を作成した日付
従業員からどの時点で同意が得られたのかを明らかにするため、作成日を記載します。日付があることで法的に有効な書類として証明できます。
企業名・代表者名
退職勧奨同意書の宛名を記載します。宛名は企業名だけでなく、責任者である代表取締役の氏名と肩書も必要です。
退職勧奨同意書を会社側が用意する場合、従業員の視点で「○○株式会社 代表取締役 ○○ 殿」と記載するよう注意しましょう。
合意退職の確認
企業と従業員が合意した上で雇用契約を解除する旨を記載します。退職が従業員の意思によって決定されたこと、および会社の一方的な解雇ではないことが証明されます。
こちらの文面も、従業員の視点で書かれる必要があるため、「私」や「貴社」といった表現になることに注意しましょう。
清算条項(未払賃金、退職金等)
退職時点における未払賃金や残業代、退職金について記載します。トラブルを回避するために解決金を支払う場合は、その内容も記載しましょう。同意書があれば他に一切の債権債務がないことが証明され、退職後に損害賠償が請求されるリスクを減らせます。
守秘義務、口外・誹謗中傷の禁止
守秘義務、口外・誹謗中傷の禁止は、企業が不利益を受けないための重要な項目です。例えば、退職者によって顧客情報や社外秘などが流出してしまうと、社会的信用が失われる恐れがあります。
特に、秘密情報に触れる機会が多い役員や管理職については、必ずこれらの記載に合意を得る必要があります。
従業員の署名・捺印
退職勧奨合意書は法的に義務付けられた書類ではありませんが、従業員の署名捺印があれば、訴訟に発展した際の根拠として利用可能です。
退職勧奨同意書を作成する際の注意点
退職勧奨同意書を作成する際は、いかに円満に雇用契約を終了できるかが重要です。トラブルを回避するためにも、以下の4つに注意しましょう。
- 署名の強要、脅迫的な行為をしないこと
- 複数人による退職勧奨や長時間に及ぶ面談は行わない
- 退職を目的とした配置転換や業務内容の変更を行わない
- すぐに回答を求めない
退職勧奨合意書は従業員が退職条件に納得をした上で作成する書類です。合意に至るまでの過程で強要したり解雇を盾に脅迫したりすると、合意自体が無効になったり、実質的な解雇とみなされる可能性があります。
脅迫のような明らかな違法行為はもちろんのこと、退職を促すような配置転換や業務内容の変更、即座に回答を求めるといった心理的な圧力を従業員に加えることがないよう注意しましょう。
強引な退職勧奨をせず、円満な雇用契約の終了を
退職勧奨を考える企業にとって、最も避けたいのが退職者との労使トラブルです。記載すべき内容にミスや漏れがあると、後になって退職者から損害賠償を請求されたり経営にダメージを受けたりするなどのリスクを伴います。
今回ご紹介したテンプレートや注意事項を確認し、従業員が納得して退職に応じられる同意書を準備しましょう。退職勧奨同意書は法的に義務付けられていませんが、作成することで円満な雇用契約の終了を実現できます。
契約関連のおすすめコンテンツ
契約・電子契約関連記事
▶契約とは?民法における成立要件や契約書の種類などを簡単にわかりやすく解説
▶電子契約のメリット・デメリットは?導入が進まない理由や関連する法律もわかりやすく解説
▶電子契約システムとは?導入メリットや注意点を種類別に解説
▶電子契約とは?仕組みやメリット、法的有効性について解説
▶電子契約の導入の流れは?サービスの導入から契約締結までの進め方を解説
契約書関連記事
▶契約書とは?注意すべきポイントを簡単に解説
▶契約書の書き方をテンプレート・例を用いて解説!
▶雇用契約書とは?法的な必要性や項目、作り方をひな形付きで紹介
▶業務委託契約書とは?書き方や個人事業主の注意点を解説
▶印紙が必要な契約書の種類と金額まとめ
おすすめお役立ち資料
▶電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選(合計10ページ)
▶16項目 契約書レビューのチェックポイント(合計12ページ)
▶契約書の作り方 書き方の教科書(合計21ページ)
▶マネーフォワード クラウド契約サービス資料
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
同意書 労務の関連記事
新着記事
-
# 企業法務
IPO準備・M&A検討で見直したい「契約の整理状態」。企業の信頼を支える3つの条件
IPO準備やM&Aの検討が進むと、財務情報だけでなく、主要な契約の内容や管理状況についても説明を求められる場面があります。しかし、紙の契約書、複数の電子契約サービス、部門ご…
詳しくみる -
# 企業法務
「あの契約書どこ?」からの脱却。ファイル名ルールに依存しない、これからの契約書管理術
「ファイル名のルールを決めたのに、人によってバラバラで守られない」 「過去の契約書を探すのに、毎回時間がかかる」 このような悩みを抱えてはいないでしょうか。 契約書の管理において最…
詳しくみる -
# 企業法務
契約管理ツールの費用対効果はどう示す?経営層に伝わる4つの評価軸と試算方法
「契約管理ツールの必要性は感じているものの、経営層へ費用対効果をうまく説明できない」 「今のExcelや共有フォルダによる管理で何が問題なのかと問われ、明確に答えられない」 バック…
詳しくみる -
# 企業法務
不透明な時代の経営判断を支える「契約情報の資産化」という考え方
「契約条件をすぐ確認したい」 「更新や解約の可否を判断したい」 「トラブル発生時に契約内容を精査したい」 こうした局面で、契約書を探す作業そのものに時間を取られてはいないでしょうか…
詳しくみる -
# 電子契約
契約書は「増え続ける資産」。5年後、10年後のコストを左右するプラットフォーム選び
「初期費用も月額基本料も安いから、まずはこのツールで始めよう」 そう決めて導入した契約管理システムが、数年後に想定外のコスト増につながる可能性があるとしたらどうでしょうか。事業が成…
詳しくみる -
# 電子契約
取引先が「紙」でも慌てない。電子と紙の混在を解決する、契約管理の『ハイブリッド運用』
電子化が進まない原因は「締結方法」と「管理方法」の混同にある 電子契約を導入しても紙の契約書が残るのは、取引先の対応が遅れているからだけではありません。多くの場合、契約の「締結方法…
詳しくみる
