- 作成日 : 2022年7月29日
インフルエンサー契約はどう締結する?契約書の項目などを解説
動画投稿プラットフォームやSNSなどの普及の普及によって、インフルエンサーマーケティングが注目されています。インフルエンサーと呼ばれる人たちに、自身のYouTubeやインスタなどのメディアで商品やサービスをPRしてもらうことで、宣伝効果を狙うものです。
今回は、インフルエンサーにPRを依頼する際に締結するインフルエンサー契約についてご説明します。
目次
インフルエンサー契約とは?
インフルエンサーとは、人々の行動や考え方に大きな影響を与える人物のことです。具体的にはタレントやファッションモデル、スポーツ選手、特定分野の専門家、YouTuber、インスタグラマー、ブロガーなどが挙げられます。彼らがメディアで紹介した商品が飛ぶように売れ、取り上げられた翌日にはどの店舗でも売り切れ、というケースも珍しくありません。
インフルエンサーに対価を支払って、自社の商品やサービスをPRしてもらうことをインフルエンサーマーケティングといいます。その際には、あらかじめ報酬やマーケティングの内容などを記した契約書を作成し、契約を締結するのが一般的です。
インフルエンサーとの契約書の記載事項
インフルエンサー契約を締結する際はお互いの認識を一致させ、後々トラブルに発展しないように以下の項目を契約書に記しておきましょう。それぞれについて詳しくご説明します。
契約期間
まず、契約期間を決めます。いつ、どのくらいの頻度で投稿してもらうのか、トータルで何回投稿してもらうのか、単発で告知してもらうのか定期的にPRしてもらうのかによって契約期間は変わるでしょう。契約期間が明確になっていないとPRが遅れる、意図したタイミング(キャンペーン期間中など)にPRを行ってもらえない、といったトラブルが発生するリスクがあります。
投稿日などのスケジュールを決めて、契約期間を定めましょう。長期的な契約の場合は契約更新についても定めておくと、継続的に依頼しやすくなります。
納品物
納品物(依頼する業務)の内容についても十分に協議して、契約書に記載しておきましょう。インフルエンサーの納品物は動画や記事、SNSへの投稿、自社が運営するイベントやメディアへの出演などさまざまですが、これらも後々トラブルになりやすい事柄です。
「意図したものと違う」といったトラブルにならないように、またPR効果を高めるためにも、戦略を十分に練った上で納品物の内容を決定し、契約書に記載することが大切です。
報酬
報酬の単価や支払方法、支払時期などの条件を記載しましょう。特に報酬はトラブルになりやすい要素なので、事前にしっかり協議しておきましょう。
経費についても取り決めておきましょう。経費が報酬に含まれるのか、実費を請求するのかなどを記載します。自社が経費を負担する場合で、インフルエンサーがコンテンツを作成する際の費用やイベント・メディア出演に要する交通費などをインフルエンサーが立て替えるのであれば、その旨も記載しておく必要があります。
コンテンツの権利の帰属先
インフルエンサーが動画や記事、SNS投稿などのコンテンツを制作した場合、その知的財産権が誰に所属するのかについても契約書に明記しておく必要があります。知的財産権がインフルエンサーに帰属する場合は、そのコンテンツを自社が二次利用できるのか、できる場合は利用料や期間についても定めておきましょう。
競業避止義務
競業避止義務とは、契約者が競合他社の業務を請け負うなどの競業行為を避ける義務のことです。インフルエンサーが競合他社の業務を請け負った場合、ライバル会社に自社のノウハウや機密情報などが流出し、それらの情報が不当に利用されるといったリスクが生じます。
競業避止義務を設ける場合は、その期間や禁止行為の範囲を契約書で明確にしておきましょう。
禁止事項やコンプライアンス
インフルエンサーマーケティングは高いPR効果が期待できる分、批判や誹謗(ひぼう)中傷が集中する、いわゆる炎上リスクも大きくなります。これまでも多くのインフルエンサーが発信した情報が炎上し、謝罪や活動休止に至っています。このような事態になると、PRを依頼した企業の信用が毀損するおそれがあります。
コンテンツの制作時やイベント・メディアへの出演時には法令を遵守するよう、コンプライアンスや禁止事項についても定めておきましょう。よくあるのが、他人の画像や動画を無断で使用して著作権違反に該当する、虚偽や誇大表現などによって景品表示法や薬機法などの法令に抵触するといったケースです。
秘密保持
前述のとおり、競合他社に自社のノウハウや機密情報が漏洩すると不利益が生じるおそれがあります。特にインフルエンサーは依頼を通じてクライアントの内部情報などを知る機会が多く、また日々情報を発信しているため、情報漏洩のリスクが高いといえます。
例えば自社の内情を動画や記事で暴露されたり、インタビューやコラボ動画などで契約の内容を話されたりして炎上し、自社の信用が毀損するケースが考えられます。
このようなリスクを抑えるためにも、秘密保持について定めておきましょう。
インフルエンサーへの報酬の形態
インフルエンサーへの報酬の形態はさまざまです。1投稿あたり●円、動画1本あたり●円というように成果物に応じて報酬を支払う「単発」、契約期間を決めてその間に商品やサービスをPRしてもらう対価としてスポンサー料を支払う「スポンサー」、商品やサービスを無償あるいは割安な価格で提供する代わりにPRしてもらう「商品提供」などがあります。また、自社のイベントやメディアに出演してもらう場合は「出演料」を支払うのが一般的です。
前述のとおり報酬は特に見解の相違が生じやすく、トラブルに発展しやすい要素です。著名なインフルエンサーは多くの企業と契約を交わしており、報酬についてもシビアに考える傾向があります。お互いが納得できるまで、事前にしっかり話し合って契約書を作成しましょう。
インフルエンサー契約の際の注意点
インフルエンサーマーケティングでは、インフルエンサーが自身のメディアやSNSアカウントで商品やサービスを取り上げてもらう形でPRを行ってもらうため、内容や紹介の仕方などをある程度インフルエンサーに委ねることになります。
インフルエンサーの個性や人柄によって多くの人に興味を持ってもらえる反面、場合によっては意図しない紹介のされ方になる、コンテンツが自社の商品やサービスに相応しくないといったケースもあります。また、前述のとおりインフルエンサーマーケティングは拡散力が高い分、炎上リスクも高くなります。
事前にPRの内容や方法、時期などについて打ち合わせをして認識を合わせた上で、契約書の成果物の項目には具体的に内容を明記しておきましょう。また、PRで使ってほしくない手法(わざと炎上をさせたり過度にふざけたりするなど)や表現についても、あらかじめ伝えておくことが大切です。
適切に契約を締結してインフルエンサーマーケティングを駆使しよう
今や多くの企業にとって、インターネットでの広報活動は必須といえます。特にインフルエンサーマーケティングは大きなPR効果を期待できる手法です。インフルエンサーの個性や人柄、魅力的なコンテンツによって、商品やサービスの購入者が増えるだけでなく、ブランディングやファン獲得にもつながります。
PR効果を高めるためにも、お互い納得するまで協議を重ねて契約を締結することが大切です。
よくある質問
インフルエンサー契約の際に、契約書に記載すべき事項は何ですか?
契約期間や納品物の内容、報酬に関する取り決め、コンテンツの権利の帰属先、競業避止義務、禁止事項やコンプライアンスに関する取り決め、秘密保持などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
インフルエンサー契約の際の報酬にはどのような形態がありますか?
成果物に応じた単発方式、契約期間を決めてPRをしてもらうスポンサー方式、商品やサービスを無償あるいは割安で提供する商品提供、メディアやイベントの出演料などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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