• 作成日 : 2023年10月13日

解約合意書とは?ひな形をもとに賃貸借契約解約のポイントを解説

建物など不動産賃貸借契約の解約合意書とは、貸主・借主の双方が契約の解約合意をして取り交わす書面のことです。解約後のトラブルを避けるためにも、書面の作成が欠かせません。作成の際はテンプレートをそのまま流用せず、契約内容に沿った記載をすることが大切です。

本記事では解約合意書を作成する流れや書き方のポイントなどを解説します。

解約合意書とは?

解約合意書とは、契約当事者双方が契約の解約に合意している場合に、合意内容を文書にしたものです。双方の同意があれば、契約の解約は口頭でもできます。しかし、トラブルを避けるため、書面を作成するのが一般的です。

ここでは、不動産の賃貸借を合意解約する際の解約合意書について解説します。

賃貸借契約の合意解約をすること

不動産の賃貸借契約を解約する際の解約合意書は、当事者双方が納得して契約を解約することを証明する書面です。

当事者双方が解約に同意していても、書面を作成しなかった場合、あとから「言った・言わない」の問題が発生し、トラブルに発展する可能性があります。

そのようなことが起こらないよう、解約合意書を作成することが大切です。

賃貸借契約の解約の合意がうまくいかない場合

賃借人との話し合いがうまくいかず、合意解約が見込めない場合、賃貸人は更新を拒絶するか、解約申入れによる契約終了をすることになります。ただし、建物賃貸借については、正当な事由がなければ更新拒絶または解約の申し入れをすることはできません。

なお、賃貸人からの一方的な解除が認められるためには、相手方に家賃を滞納するなどの債務不履行があった場合、もしくは契約内容に解除条件を定めてある場合に限られます。そのような事情がないにもかかわらず、一方的に解除することはできません。

解除できる事情がある場合は、解除する旨の通知をして、契約解除通知書を作成・送付します。書類を確実に届けるために、配達の記録が残る「内容証明郵便」で送るのが一般的です。

「解約」と「解除」の違い

契約の「解除」とは、契約を締結したあと、一方当事者の意思表示によって、契約関係を遡及的に解消することです。解除をしようとする当事者に解除をする権利がある場合に認められます。

一方、契約の「解約」は、賃貸借契約のような継続的な契約関係の場合は効力を最初から消滅させることはできないため、将来に向ってのみ効力を消滅させるときに使います。

解約合意が締結されるまでの流れ

当事者双方が合意して賃貸借契約を解約をする場合、次のような手順で解約合意書を作成します。

  • 契約内容を確認する
  • 相手方に契約解約の意向を伝える
  • 解約合意書を作成・締結する

ここでは、解約合意を締結する流れを紹介します。

契約内容を確認する

合意で解約する際は、まず契約書で定められている内容を確認します。契約書で定められている契約期間や、契約終了後も効力が残る「残存条項」について確認しておきましょう。残存条項とは、契約終了後も有効にしておきたい条項の効力を存続させるために定める条項です。

通常、契約が終了すれば、各条項の効力も失われますが、リスクを回避するため、契約終了後も、効果を存続させるべき条項があります。

賃貸借契約では、契約終了後の原状回復義務や賃貸物件の返還義務などがあげられます。

相手方に契約解約の意向を伝える

相手方に契約解約の意向を伝え、合意解約の話し合いをします。賃貸借の解約では、1〜2ヶ月先に物件の明渡しの期限を設定し、その間に賃借人に引越し先を見つけてもらうといった合意をするのが一般的です。

明渡しまでの期間は賃借人の事情により異なり、さらに長い期間を設定することもあるでしょう。

賃貸人の都合で物件を明け渡してもらうという事情があるときは、引越代を負担することもあります。

解約合意書を作成・締結する

明渡しの合意ができたら、契約書の内容を踏まえ、賃借人との間で解約合意書を作成・締結します。

解約合意書の作成は、契約を終了させるために不可欠なものではありませんが、解約後のトラブルを防止するためにも作成が必要です。

解約合意書のひな形・テンプレート(ワード)

解約合意書を作成する際は、テンプレート(ひな形)を利用すると効率的です。以下のリンクから弁護士が監修したワード形式の解約合意書のひな形を無料でダウンロードできるので、ぜひご活用ください。

解約合意書の書き方、作成のポイント

解約合意書は、契約終了の時期や明け渡しの際の注意事項、敷金の返還方法などの基本事項を記載します。

基本事項の書き方や作成のポイントを解説します。

解約通知日・解約日を明記する

解約合意書には、解約を通知した日と解約日を記載します。賃貸借契約では解約予告期間の設定をする場合がほとんどで、予告期間を設けて解約通知したかを明確にするため、それぞれの日付の記載が必要です。

賃借人の意向で解約予告期間に満たない期間で解約になる場合、解約予告期間相当の家賃額の支払いが必要になり、特約事項などに記載することになります。

建物の残置物の取り扱い

賃貸借契約が終了すると、貸与していた鍵を返却し、家財道具などをすべて運び出して物件を明け渡す必要があります。運び出しができず残置物が発生してしまう場合、残置物の取り扱いについても明記が必要です。

具体的には、「残置した動産がある場合には、賃借人は当該動産についての所有権を放棄し、賃貸人がこれを処分することに異議を述べない。」といった内容の文言を記載します。

また、撤去費用の負担についても話し合い、内容の記載が必要です。

敷金の返還方法

敷金の返還方法についても記載が必要です。敷金は、契約が終了して賃借人が退去する際、滞納などの問題がなければ、原状回復費用を差し引いた金額が返還されます。

原状回復とは、借主の故意や過失によって生じた損傷などを元通りにすることであり、人が通常の生活していて生じる劣化によるものは回復義務がありません。

敷金の返還時期については、「退去後何日までに返却されなければならない」という決まりはなく、一般的には原状回復作業がすべて終了してから返還されます。目安として、30日〜45日程度で返還されることが多いでしょう。

解約合意書には、これら敷金の取り扱いについても明記しておくことが必要です。

未払い金や債務の有無を確認する

家賃やその他の未払金・違約金などの有無を確認し、解約の時点で支払うべき費用がある場合は金額や支払方法などを解約合意書に記載します。

このほか、明け渡しの時期や、明け渡しが遅れた場合のペナルティなども記載しておくと、のちのトラブル回避に役立つでしょう。

解約合意に関する注意点

解約合意書を作成する際は、当事者双方が書面を保管することが大切です。また、テンプレートは契約内容に合わせて項目を変えるようにしましょう。

ここでは、解約合意書を作成する際の注意点を解説します。

書面を必ず残す

契約の解約をする際は、必ず書面で証拠を残しておくことが大切です。契約の解約合意書は当事者双方が保管するため、なくさないようにしましょう。あとから認識の食い違いなどが起きた場合、手元に書面があることでトラブルを抑制できます。

書類を送る際は、契約解除通知書と同じく、配達を確認できる「内容証明郵便」を利用することをおすすめします。

テンプレートは契約内容に応じて調整する

解約合意書を一から作成するのは大変で、テンプレートを利用すると便利です。しかし、書式をそのまま使うのではなく、契約内容に応じて変更するようにしてください。

テンプレートはあくまで一般的な書式であり、元の契約内容により解約合意書に記載しなければならない内容は変わります。書式をそのまま使うと記載しなければならない内容を取りこぼす可能性があるため、注意してください。合意書の内容に不安がある場合は、専門家に相談するのもよいでしょう。

解約合意書は基本事項の書き方に注意しよう

賃貸借契約の解約合意書は賃貸人と賃借人の双方が解約に合意した上で、その内容を文書にしたものです。合意解約をする場合はまず契約内容を確認し、相手方に契約解約の意向を伝えて解約について話し合います。相手方の合意を得られたら、契約内容に沿った解約合意書を作成・締結するという流れです。

解約合意書に記載するべき事項をよく確認し、あとからトラブルにならないよう、書き方には注意しましょう。


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