- 作成日 : 2024年12月3日
契約書作成システムのおすすめは?トレンドと合わせて解説
契約書作成システムとは、契約書作成の支援から契約締結、管理まで、契約書関連の業務を効率化できるシステムです。導入により、契約書の保管や管理、更新手続きなどを自動化でき、大幅なコスト削減と業務改善を実現します。
本記事では、契約書作成システムとエクセルによる管理との違いや、主に備えている機能、選び方などを紹介します。
目次
契約書作成システムとは?
契約書作成システムとは、契約書の作成から契約締結、管理まで、一連の契約書関連業務を効率化できるシステムです。これまで紙ベースでやりとりしていたり、エクセルで管理していたりしていた契約書関係の情報をデータ化し、一元管理します。
エクセルを使った契約書管理は、「更新日が過ぎてしまった」「契約書を確認したくてもすぐに見つからない」といった問題も多く、管理に手間がかかるのが実情です。
また、エクセルは、契約の機密情報を管理するためのアクセス制限や権限設定、ログ管理などの機能がないため、セキュリティ上の不安があります。
契約書作成システムであれば、契約更新を一括管理できます。契約の更新日や終了日が近づいた際に、メールで自動通知するアラート機能を備えたシステムもあります。
さらに、契約書作成システムにはアクセス制限や権限設定機能も搭載されているため、セキュリティを高められることもメリットです。
契約書作成システムの主な機能
契約書作成システムには、契約書の作成からワークフローの管理まで、契約書に関わるさまざまな機能が搭載されています。
主な機能について、詳しくみていきましょう。
契約書の作成
契約書作成システムには、契約書作成の支援機能があります。契約書の種類ごとのテンプレートが用意され、作成をサポートする機能です。契約書を新たに作成する場合は多くの時間を要しますが、システムを利用すれば、テンプレートに入力項目を設定することで、作成の手間を省きます。
システムによっては契約内容のチェック機能もあり、作成した契約書に欠落条項や不利な条項など、法的リスクがないかをチェックします。修正に役立つ条文例を示すなど、法律や判例を調べる手間を削減できるのがメリットです。
契約書の締結
契約締結機能は、電子契約による契約書作成に特化した機能です。電子文書に電子署名をして契約締結するため、契約書の作成から締結、その後の管理まで、すべてシステム上で完結できます。
電子契約締結時に使用する相手方の会社名・氏名・メールアドレスをあらかじめ登録するアドレス帳機能もあり、送信先情報を申請のたびに入力する手間も削減できます。
契約書の保管
契約書の保管機能では、契約書を保管しながら、随時確認・共有ができます。システムで締結した契約書だけでなく、既存の紙の契約書も、スキャンしてデータによる保管が可能です。これにより、電子契約で締結した契約書と一元管理することができます。
システムの保管機能により書類の保管場所にかかるコストを削減できるとともに、アクセス制限で情報漏洩や紛失のリスクを回避し、安全にデータ共有ができるのがメリットです。
また、管理項目から、過去の契約書を絞り込んで検索する機能もあります。契約書の締結日や担当部署名などの条件を指定し、簡単に探し出すことができます。
契約書の更新期限管理
契約の終了・更新に関する期日を管理し、期日前に自動で通知をする機能です。契約書の更新期限が近づいたら、事前にメールなどでアラート通知するため、望まない自動更新や必要な契約が終了してしまうといった事態を防げます。
「契約終了日の1ヶ月前」「自動更新の解約期限の1ヶ月前」といった通知時期や、送信先を設定することも可能です。
バージョン管理
バージョン管理とは、契約書データをバージョンごとに保存する機能です。変更履歴の記録・追跡や変更点の比較、命名規則(名前の付け方ルール)の設定、契約書の有効期限管理などができます。
また、システムによっては、バージョンを自動保存し、履歴を確認したり任意の時点に戻したりすることも可能です。誤ってデータを上書きしてしまうといったリスクに備えることができます。
アクセス権の設定
契約書に関する機密情報が外部に漏れないよう、契約書の閲覧を制限する機能です。部署ごと、担当者ごとなど、アクセス権限を自由に設定できます。「閲覧のみ」「ダウンロードは不可」など、細かい制限ができるシステムもあります。
権限の設定機能により、従業員の入退社や部署異動時に閲覧権限をメンテナンスするコストを大幅に削減します。
ワークフローの管理
契約書の締結時に、承認ルートを設計する機能です。電子締結機能に加え、押印申請や承認といった回覧が必要な業務を1つのシステム内で行うことができます。複数のワークフローを作成し、それぞれの契約書に適した承認ルートを選んで申請することも可能です。
承認、締結がオンライン上で完結するため、遅滞や書類紛失のリスクがなく、業務効率化を実現できます。
契約書作成システムの最新トレンド
近年は、契約書作成システムでもAI技術の活用が進んでいます。AI技術を採用し、契約書の自動アップロードや管理台帳の作成などができるシステムが増え、管理業務の自動化が可能です。
AIによるリーガルチェック、リスク検出機能を備えたシステムもあります。契約書をアップロードすることで、AIが自動で契約書のリーガルチェックを行うため、法務担当者のチェック時間を大幅に削減できます。
クラウド型の契約書作成システムの進化も、最新トレンドのひとつです。インターネット環境があればいつでもどこからでもアクセスでき、データのバックアップやセキュリティ対策はシステム側が行うため、運用・管理にかかる手間やコストを削減できます。クラウドシステムは拡張性も高く、取引が増えても簡単にシステム拡張ができることがメリットです。
また、近年はスマートフォンやタブレットから契約書にアクセスできる契約書作成システムも増えています。外出先や移動中でも契約書の確認・承認ができるようになり、スピーディな対応で業務を効率化できます。
AI機能搭載の契約書作成システム
最新のAI機能を搭載した契約書作成システムも増えており、主に次のようなシステムがあげられます。
- マネーフォワード クラウド契約(株式会社マネーフォワード)
- OPTiM Contract(株式会社オプティム)
- クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)
- LegalForceキャビネ(株式会社LegalOn Technologies)
- Hubble(株式会社Hubble)
- SMBCクラウドサイン(SMBCクラウドサイン株式会社)
- GVA assist(GVA TECH株式会社)
マネーフォワード クラウド契約は、2024年6月、契約書の情報をAI-OCRで読み取って管理項目を自動入力する機能をリリースしました。これにより、過去に書面で締結した契約書もスキャンやアップロードによって電子化できるようになり、契約書の一元管理が可能です。記入漏れや転記ミスなどのミスを防ぎ、契約台帳作成の効率化をサポートします。
契約書作成システムの選び方
契約書作成システムはそれぞれ機能や強みが異なり、自社に合うシステムを選ぶことが大切です。そのためには、契約書作成・管理に関する自社の課題を抽出し、何を解決したいかを明確にするとよいでしょう。
ここでは、契約書作成システムの選び方について、いくつかのポイントを解説します。
電子契約書の管理機能があるか
契約書の管理に課題がある場合は、管理機能が充実しているかは重要なチェックポイントです。これから契約書の電子化を進めようと考えている場合、紙の契約書をスキャンして契約書の一元管理ができるかどうかもチェックしましょう。
契約書管理に関する主な機能は、次のとおりです。
- 契約書の読み込み
- 契約内容の自動入力
- 契約更新の通
- 文書検索
- バージョン管理
文書の検索や更新期限通知により、過去の契約書が必要なときはすぐに取り出せ、契約の更新を忘れることもなくなります。
自社の予算に合っているか
予算に合っているかの確認も重要です。システムの導入には、初期費用だけでなく、月額料金や保守費用、導入後の運用費用などがかかります。システム導入には業務効率化やコスト削減というメリットがありますが、システムにコストがかかりすぎては、本末転倒になります。
システムの導入によるコスト削減と、導入にかかる費用を比較検討し、費用対効果があるかを検討しましょう。
まず、システムを活用すると、紙の契約書にかけていた諸経費を削減できます。紙の購入費用や印刷代、郵送料、保管スペースにかかるコストなどの削減が可能です。また、電子契約にすると契約書の収入印紙代もかかりません。これらのコスト削減とシステムにかかる費用を比較衡量して、適切な費用のシステムを選ぶとよいでしょう。
契約書以外の文書管理も対応しているか
請求書などの帳票や社内規定などの文書もまとめて管理したいという場合は、契約書以外の文書管理にも対応したシステムを選ぶとよいでしょう。契約書作成システムで一元管理できれば、別のシステムを導入する必要がありません。
契約書以外の文書もシステムでまとめて管理することで、ペーパーレス化を促進でき、社内のDX(デジタルトランスフォーメーション)も加速するでしょう。
クラウドストレージがあるか
システムにクラウドストレージがあるかどうかもチェックしましょう。クラウドストレージがあれば、外出先や移動中でもオンラインでアクセスでき、契約書ファイルを開いて検索やチェックをすることが可能です。
クラウドストレージがあることで、ファイルの共有も簡単に行えます。複数の人が同時にファイルにアクセスして編集することもできるため、ビジネスのスピードも加速するでしょう。
法律に準拠しているか
契約書作成システムは、法律に準拠していることも大切なチェックポイントです。特に契約書管理と電子帳簿保存法は密接に関わり、電子帳簿保存法に準拠したシステムかどうかを確認しておかなければなりません。
電子帳簿保存法に準拠していれば、法律が要求する期間、契約書を安全に保存できるとともに、電子帳簿保存法が要求するデータ形式で契約書の保存ができます。
セキュリティや安全性はどうか
契約書は機密情報であり、セキュリティや安全性が万全なシステムかどうかの確認が重要です。
まず、システムにアクセス制限機能があるかを確認しましょう。閲覧のみやダウンロード不可など細かな権限設定ができれば、情報漏洩のリスクが大幅に軽減されます。
また、データの暗号化や2段階認証などのセキュリティ機能、バックアップ機能があるかの確認も必要です。
システム連携が容易か
他のシステムと連携できるかどうかの確認も必要です。たとえば、CRMと連携することで顧客情報を自動入力できます。会計システムと連携できれば、バックオフィス業務の効率化が図れるでしょう。
ビジネスチャットと連携すれば、リアルタイムのメッセージ交換やファイル共有ができ、迅速なコミュニケーションが可能です。チャット内で契約書の検索や参照も簡単にできるようになり、業務効率が高まるでしょう。
契約書作成システムで契約書業務を効率化しよう
契約書作成システムは契約書作成や申請・承認、締結まで対応し、契約書の一元管理ができます。手入力の負担や書類を探す手間・時間を省き、更新期限を過ぎてしまう心配もありません。エクセルの契約書管理に課題を感じている方におすすめです。
契約書作成システムにはさまざまなタイプがあるため、自社の課題に合わせ、適切なシステムを選びましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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