• 作成日 : 2024年11月7日

電子契約は英語で締結できる?メリットや注意点・サービス導入時のポイントを解説

海外の企業との契約を結ぶ場合には、電子契約書を使用するケースが増えています。電子契約は、国内外問わず、英語で締結できます。しかし、英語での契約経験のある方はそう多くないでしょう。近年、さまざまな英語対応契約書サービスも登場しています。本記事では、英語での電子契約の詳細、メリット、注意点、サービス導入のポイントを解説します。

電子契約は英語でも締結できる

電子契約は英語でも締結できます。ただし、電子契約が不可とされている国や地域があることを、留意しておいてください。海外企業と契約を締結する場合、英語での契約が基本となるため、英語での電子契約について知っておくことが必要です。ここでは英語での電子契約の詳細と注意点について、くわしく解説します。

英文契約書も電子契約化が可能

英文の契約書も電子契約化が可能です。電子契約化とは、紙の契約書に代わって、電磁的な方法による契約締結を指します。その際には、紙の契約書で使用されてきた署名や押印の代わりに、電子署名とタイムスタンプを使用することにより、契約の締結を証明し、法的効力を持たせます。

一般的に、日本よりも海外の企業のほうが、電子契約を積極的に活用する傾向があるといえるでしょう。海外の企業との取引のある企業は、英文契約書の電子契約化の検討をおすすめします。

企業の所在地の法律で電子契約が認められているか確認が必須

英語での電子契約が、すべての国で認められているわけではありません。海外の企業と英語での電子契約を検討する際には、まず契約を結ぶ相手企業の所在地の法律で、電子契約が認められているかどうかを、確認する必要があります。

アメリカでは、UETAやE-SIGN法によって、一部の例外はあるものの、基本的には電子契約が利用可能です。EUでは、安全な電子取引の実現を目的としてeIDAS規則が制定されており、EU全域での電子署名の法的枠組みが定められているため、電子契約を結ぶ際には、その詳細の確認が必要です。アジア各国でも2000年頃から、電子署名に関する法律が整備されてきているため、最新の状況の確認をおすすめします。

海外の電子契約の導入状況

ここでは、アメリカ、EU、アジアの電子契約の導入状況を解説します。なお、比較するために、アメリカの項目の文中で、日本の電子契約の導入状況も記載しているので、参考にしてください。

アメリカ

アメリカでは、電子契約関連の法令や判例が数多くあり、電子契約の導入がかなり進んでいます。総務省の「情報通信白書 令和3年版」によると、社外取引(グループ会社以外)の電子契約の割合について、すべて電子契約が18.1%、8割程度が35.4%という数字がでています。また、5割程度は31.3%で、5割程度以上を合計すると、84.8%です。

注意しなければならないのは、ごく一部、電子契約の使えない州があることです。アメリカの企業と契約を締結する際には、その企業の所在地を確かめて、どの州の法律が適用されるかを調べる必要があります。

一方、日本ではすべて電子契約が8.1%、8割程度が16.3%、5割程度が20.4%です。この3つの数字を合計すると44.8%となり、5割程度以上の電子契約の割合は、アメリカの半分ほどであることがわかります。

EU

EU加盟国でも、電子契約の導入がかなり進んでいます。その背景には、1999年の電子署名指令の発布、2014年のeIDAS規則の採択があります。たとえば、ドイツの場合は、総務省の「情報通信白書 令和3年版」によると、社外取引(グループ会社以外)の電子契約の割合は、すべて電子契約が11.1%、8割程度が29.3%、5割程度は40.4%です。

アメリカよりは低い数字ですが、日本よりはかなり高い数字といえるでしょう。

アジア

アジアの多くの国でも、電子契約が普及しています。とくに中国、韓国、香港、台湾、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイなどでは、日本の電子署名法に該当する法の整備が2000年頃より進んでいる状況があります。

個別にいくつか見ていくと、中国では、2015年に電子署名法が改正されたことにより、電子契約が法的効力を持つことが認められました。2002年より電子契約サービスも登場しています。また、EC法など、電子商取引に関する法律の整備が進んだこともあり、今後、電子契約の利用の拡大が予想されます。

タイでは、2001年に電子取引法が施行されました。その結果、不動産売買契約などの例外を除き、要件を満たす電子署名の記載された電子契約は、法律上有効であると認められています。

アジア各国においても、年々電子契約が普及しています。ただし、個々の国によって、電子契約に関する法律の内容が異なるため、事前に確認する必要があるでしょう。

参考:総務省「情報通信白書 令和3年版」(「働き方改革」とデジタル化)

英語で電子契約を締結するメリット

英語での電子契約の導入を検討する際には、メリットを正しく理解しておくことが必要です。英語で電子契約を導入するおもなメリットは、以下の3つです。

  • リードタイムが短縮される
  • 郵送コストが削減できる
  • オンラインで修正が可能

いずれのメリットも、かなり大きいものといえるでしょう。それぞれくわしく解説します。

リードタイムが短縮される

英語で電子契約を締結するメリットは、リードタイムが短縮されることです。海外の企業と紙で契約を結ぶ場合には、基本的には国際郵便を使用することになるため、3日から1週間程度の日数が必要になります。地域や国の情勢によっては、より多くの日数が必要となる可能性もあるでしょう。

一方、電子契約はメールで行えるため、即日での契約締結も可能です。ビジネスにおいては、リードタイムの短縮は、大きなメリットといえます。

郵送コストが削減できる

郵便コストが削減できることも、英語での電子契約のメリットです。国際郵便は、郵送する国によって料金が変わりますが、基本的には高めに設定されています。電子契約の場合、契約書は電子データとなるため、紙代、インク代に加えて、保管代などの管理コストもかかりません。

また、印刷・封入・封緘・発送などの郵送作業もないため、業務の効率化にもつながります。

オンラインで修正が可能

英語に限りませんが、電子契約はクラウドで一元管理できるため、オンラインでの修正が可能です。電子契約書は、紙の契約書と違い、訂正印による訂正はできません。また、改ざん防止のため、契約書の電子ファイルの書き換えもできません。しかし、変更点についての覚書を作成することで、修正対応が可能となります。

電子契約サービスを利用することで、迅速な契約書の訂正を実現できます。

英語で電子契約を締結する際の注意点

電子契約には、立会人型と当事者型の2種類があります。立会人型とは、電子契約サービスを提供する事業者が、電子署名を付与する電子署名方法です。立会人型の電子契約締結に必要なのは、電子契約サービスとメールアドレスのみであるため、取引相手にあまり負担をかけることなく、契約締結を実現できます。迅速さと手軽さ、コストの低さが立会人型のメリットです。

一方、当事者型とは、契約を行う当事者が電子署名を付与する電子署名方法です。契約者本人の電子証明書を利用するため、立会人型よりも高い本人性の確認ができること、つまり証拠力の高さがメリットといえるでしょう。

電子契約の種類の違い以外での、英語で電子契約を締結する際の注意点は、以下の3つです。

  • 英語対応の電子契約サービスを利用する
  • 現地の法律を遵守しているか確認する
  • 英語独特の文言や言い回しに留意する

それぞれの注意点について、くわしく解説します。

英語対応の電子契約サービスを利用する

英語で電子契約を締結する際には、英語対応の電子契約サービスを利用する必要があります。英語を使うのは、契約書の文面だけではありません。メールの文面や、クラウドにアクセスする際のガイダンスも英語対応が必須です。

電子契約サービスのメニュー画面や管理画面、ユーザーガイドなども英語対応していることが求められるため、事前に確認することをおすすめします。

現地の法律を遵守しているか確認する

海外の企業と電子契約を対決する際には、「どちらの国の法律をベースにするか」、「契約上のトラブルが発生した場合、管轄の裁判所はどちらの国か」を決めなければなりません。海外の法律をベースにする場合は、その企業の所在地の法律を確認する必要があります。

また、それぞれの国で有効となる電子署名の条件の調査が、必要な場合もあるでしょう。顧問弁護士など専門家に相談して注意点を明確にし、現地の法律を遵守できているか、確認することが重要です。

英語独特の文言や言い回しに留意する

英語で電子契約を締結する際には、英語独特の文言や言い回しに留意する必要があります。専門用語が使われるケースや、細かな違いを説明しなければならないケースも考えられるでしょう。日本語の契約書の内容をそのまま英語に翻訳するのではなく、英文契約書でよく使われる表現をうまく活用することが必要です。

曖昧な表現は、トラブルの原因になる場合もあるため、避けるのが無難です。英語の電子契約では、シンプルかつ正確な表現が求められます。

英語対応の電子契約サービスを選ぶポイント

英語対応の電子契約サービスを選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。英語対応は、あくまでも必要最低限の機能です。このほかに注目すべきなのは、以下の2つのポイントです。

  • インターフェースが多言語対応している
  • 国際規格のセキュリティ機能を搭載している

それぞれのポイントをくわしく解説します。

インターフェースが多言語対応している

英語対応の電子契約サービスを選ぶ際には、インターフェースが多言語対応しているサービスをおすすめします。電子契約書が英語で書かれていたとしても、契約する相手が英語堪能とは限らないためです。

電子契約サービスを使用する際には、自分にとっても相手にとっても使いやすい操作画面が求められます。中国語、韓国語、ポルトガル語など、多言語対応しているインターフェースを使うことで、海外の企業との契約がよりスムーズに進むでしょう。

国際規格のセキュリティ機能を搭載している

英語対応の電子契約サービスを使用する際には、クラウドを利用することになるため、セキュリティ上のリスクが生じます。改ざんリスク、情報漏えいリスク、破損リスクなどです。これらのリスクを最小限に抑えるために、適切なセキュリティ対策を行うことが求められます。

電子契約サービスのセキュリティの高さを判断する際には、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」を取得しているかどうかを確認するといいでしょう。さらに、「ログイン時の多要素認証」「信頼できる電子認証局の利用」「ファイルや通信を暗号化」など、さまざまな角度からのセキュリティ対策を行っているかどうかを、チェックすることも必要です。

情報が漏えいしてしまった場合には、損害賠償を求められることもあります。英語対応の電子契約サービスを選ぶ際に、セキュリティ対策の確認は重要なポイントです。

英語での電子契約には高機能な電子契約サービスを導入しよう

国内外で、英語で電子契約を締結する企業が増えています。電子契約には、時間の短縮、コスト削減、クラウド上での一元管理が可能など、多くのメリットがあり、世界各国で、電子契約に関する法律の整備も進んでいます。

英語での電子契約を行いたいが、経験も知識もないため、手を出せずにいる方もいるでしょう。そういう方におすすめしたいのが、電子契約サービスです。インターフェースが多言語対応し、国際規格のセキュリティ機能を搭載しているサービスも登場しています。英語での電子契約には、必要な機能の揃った電子契約サービスの導入をおすすめします。


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