- 作成日 : 2025年1月17日
金融機関の電子契約サービスとは?対象の融資取引や手数料、利用までの流れを解説
金融機関の中には、電子契約サービスを提供している企業もあります。主な金融機関としては、三井住友銀行やみずほ銀行、横浜銀行などです。
本記事では、金融機関が提供する電子契約サービスについて解説します。あわせて、金融機関の電子契約サービスで対象となる融資取引や金融機関の電子契約サービスを利用するまでの流れについて紹介するのでご参照ください。
目次
金融機関の電子契約サービスとは
金融機関の中には独自の電子契約サービスを提供している企業もあります。導入内容は各金融機関によって異なりますが、法人向けの融資や住宅ローン手続きにおいて電子契約サービスを導入しています。
ここでは、以下の3つの金融機関の電子契約サービスを紹介します。
- 三井住友銀行
- みずほ銀行
- 横浜銀行
三井住友銀行の電子契約サービス
三井住友銀行では、資金調達において電子契約サービスを導入しています。三井住友銀行の提供する電子契約サービスでは、お客様のパソコンから法人向けインターネット窓口「ValueDoor」を通じて、特殊当座借越や証書貸付などの電子契約のほか、契約内容の確認が実施可能です。
ValueDoorを通じて電子契約サービスにログインすることで融資契約手続きを実施します。契約書の受け渡しが不要のため、銀行営業時間に関係なく自分のタイミングで契約手続きが行える点はメリットです。
また、電子署名の暗号技術により署名の偽造ができないようになっているほか、契約内容の改ざんも検知可能で高いセキュリティを誇ります。契約を行った人や契約内容、時間などが電磁的に記録されるため、真正性も確保されるようになっています。
対象になる取引は、金銭消費貸借約定書や特殊当座借越契約書など三井住友銀行の融資取引に関する書類です。
サービス開始にあたっては、申込書に必要事項を記載し銀行担当者に提出するだけです。電子契約サービスの初期契約料・月額基本手数料は無料です。
電子契約サービスを利用するには別途ValueDoorの契約が必要ですが、こちらの利用料金も無料となっています。
【利用可能時間】
月曜日~土曜日 8:00~23:30
日曜日 8:00~18:30
【利用できない時間】
月曜日~土曜日 23:30~翌日8:00
日曜日 18:30~翌日8:00
1月1日 0:00 ~ 1月4日 8:00
5月3日 0:00 ~ 5月6日 8:00
みずほ銀行の電子契約サービス
みずほ銀行でも、法人向けに資金調達に関する支援として電子契約サービスを提供しています。みずほ電子契約サービスは、みずほ銀行と大日本印刷株式会社が共同開発したサービスです。
お客様に融資を実行する際に、お客様の捺印やみずほ銀行との契約書授受をインターネット上で完結させるもので、契約書のペーパーレス化や銀行営業日や営業時間、場所を問わない契約締結が可能になるとしています。
また、みずほ銀行が独自の認証局を立ち上げて、認証局が発行した電子証明書を活用して契約締結を実施する点も特徴です。
対象となる取引は、以下のとおりです。
- 証書貸付
- 特別当座貸越(極度内でのお借入を含む)
- 保証
- 銀行取引約定書 など
サービス開始にあたっては、「みずほ電子契約サービス申込書」に必要事項を記載し取引のあるみずほ銀行担当者に提出するだけです。なお、サービス利用にかかる初期費用・月額利用料は無料となっています。
【利用可能時間】
毎日 8時00分~21時00分
横浜銀行の電子契約サービス
横浜銀行では、事業性融資向けに電子契約サービスを導入しています。電子契約では、お客様の携帯電話番号に届く専用コードを入力するだけで、契約手続きが完了します。また、サービスにログインすれば、時間や場所を問わずに契約書の確認や契約ができる点も魅力です。
電子契約の利用には、以下の3点を満たしている必要があります。
- 個人事業主・営利法人のお客様が対象
- ショートメッセージ(SMS)を利用可能な携帯電話を保持している
- 〈はまぎん〉電子契約サービス利用規定に承諾いただいた方
電子契約サービスの利用開始にあたっては、横浜銀行本支店窓口で電子契約利用申込書の提出が必要です。利用開始時には来店が必要な点には注意してください。
電子契約手数料は、契約金額によって異なります。
- 500万円以下:無料
- 500万円超1千万円以下:5,500円
- 1千万円超~:16,500円
【利用可能時間】
原則、24時間365日
※月曜日から土曜日7:00~23:00の動作保証時間を除き、メンテナンス等で一時停止する場合あり
参考:横浜銀行 〈はまぎん〉電子契約サービス(事業性融資向け)
金融機関の電子契約サービスで対象となる融資取引
金融機関の電子契約サービスで対象となる融資取引は、金融機関それぞれで違います。利用する前にあらかじめ確認しておきましょう。
金融機関名 | 対象となる融資取引 |
---|---|
三井住友銀行 | 金銭消費貸借約定書 特殊当座借越契約書 など |
みずほ銀行 | 書貸付 特別当座貸越(極度内でのお借入を含む) 保証 銀行取引約定書 など |
横浜銀行 | 事業性融資 |
金融機関の電子契約サービスにかかる手数料
金融機関の電子契約サービスにかかる手数料も、金融機関によってさまざまです。
金融機関名 | 手数料 |
---|---|
三井住友銀行 | 無料 |
みずほ銀行 | 無料 |
横浜銀行 | 契約金額によって異なる |
金融機関の電子契約サービスを利用するまでの流れ
金融機関の電子契約サービスを利用するまでの流れについて解説します。金融機関によって多少の違いはあるかと思いますが、一般的な流れは以下のとおりです。
- 利用申込書を提出する
- ID・パスワードを登録する
- 電子契約サービスを利用開始する
ここから、順番に見ていきましょう。
利用申込書を提出する
まずは、金融機関の定める利用申込書の内容に従って必要事項を記載していきます。記載が終わったら、本人確認書などと一緒に金融機関担当者に利用申込書を提出しましょう。
ID・パスワードを登録する
金融機関での利用申込書の確認が終わったら、ログインIDとパスワードが利用申込書に記載したお客様のアドレスに届きます。メールを確認後、電子契約サービスのホームページに行き、ID・パスワードを登録してログインしましょう。
電子契約サービスを利用開始する
無事にログインできたら、電子契約サービスを利用できるようになります。あとは、金融機関から送られてきた利用方法の案内などを参考にしつつ、操作してください。
金融機関の電子契約サービスを利用するメリット
金融機関の電子契約サービスを利用するメリットを紹介します。主なメリットは以下の5点です。
- 書類や印鑑が不要になる
- 収入印紙代が不要になる
- 銀行窓口の営業時間外でも手続きができる
- 電子署名によりセキュリティが向上する
- 契約内容の確認方法が簡単になる
それぞれのメリットについて見ていきましょう。
書類や印鑑が不要になる
金融機関の電子契約サービスを利用するメリットのひとつが、書類や印鑑が不要になる点です。電子契約の場合、紙ベースではなく電子ファイルとして契約書を作成します。
そのため、印鑑を押すことが物理的にできないため、代わりに電子署名で契約者の証明を行います。電子署名には暗号化技術が使われており、契約者の情報や契約日時などが組み込まれています。
紙の契約書が不要になるため、保管スペースを確保する必要がなくなったり、印鑑を押し忘れたりなくしたりする心配もありません。
収入印紙代が不要になる
電子契約の場合、収入印紙代が不要になる点もメリットです。紙の契約書の場合は、契約書の内容が印紙税法上の課税文書に該当する場合には収入印紙の貼り付けが必要です。しかし、電子契約にした場合、契約書は法律でいうところの「課税物件に掲げる文書」ではなくなるため、印紙税が不要になります。
大きな取引になるほど税額は高くなるため、電子契約にすることで収入印紙代が節約される点は、大企業にとっては大きなメリットとなるでしょう。
銀行窓口の営業時間外でも手続きができる
電子契約サービスの場合、銀行窓口の営業時間を気にせず手続きができます。銀行は平日の決まった時間にしか開いていないため、どうしても都合が付かずに行けなかったという経験をしたことがある人も多いでしょう。
電子契約サービスなら、銀行の営業時間や営業日を気にせず手続きができるため自分のスケジュールにあわせて対応できます。
電子署名によりセキュリティが向上する
電子契約サービスにおける取引では、電子署名により高いセキュリティが担保されています。電子署名の暗号技術によって署名の偽造を防ぐほか、契約内容が改ざんされれば検知も可能です。また、契約を行った人や契約内容、契約時間などが電磁的に記録されるため、真正性が確保される点も電子契約サービスならではの魅力といえます。
契約内容の確認方法が簡単になる
電子契約サービスに切り替えることで、契約内容の確認も簡単に行えます。書類での契約の場合、書類がどこにあるのか、そして書類の何ページに求めている内容が書かれているのかを探さなければなりません。
電子契約サービスであれば、Webで確認することが可能なため、スピーディーに求めている内容にたどりつけます。
金融機関の電子契約サービスを利用するときの注意点
金融機関の電子契約サービスを利用するときの注意点は、以下の3つです。
- 電子契約手数料が必要となる
- 利用時間が決まっている
- 契約には審査が必要となる
メリットだけでなく注意点もしっかりと把握したうえで、サービスの利用を検討しましょう。
電子契約手数料が必要となる
利用する電子契約サービスによって、電子契約手数料が発生することは理解しておきましょう。今回ご紹介した三井住友銀行とみずほ銀行では手数料がかかりませんが、横浜銀行の場合は利用金額に応じて手数料が発生します。
利用予定の電子契約サービスにおいて、電子契約手数料が必要になるのかはあらかじめ金融機関に確認しておきましょう。
利用時間が決まっている
電子契約サービスのメリットとして、銀行窓口の営業時間外でも手続きができる点を挙げましたが、利用可能な時間帯も金融機関によってそれぞれです。終日利用可能なところもあれば、利用できない日を設定している金融機関もあります。利用したいときに使えるように金融機関に確認しておくことが大切です。
契約には審査が必要となる
契約内容によっては、審査が必要になる場合があります。電子契約サービスの取引において借り入れなどがある場合が該当します。
電子契約サービスをうまく活用しよう
金融機関の中には、電子契約サービスを提供している企業もあります。電子契約サービスを利用することで、書類や印鑑、収入印紙代が不要になったり銀行窓口の営業時間外でも手続きができたりする点はメリットです。
いっぽうで、電子契約手数料が必要な場合や利用時間が決まっている場合などもあるため、あらかじめ金融機関への確認を行いましょう。
金融機関の電子契約サービスを活用すれば、工数削減や業務効率化につながるため、本記事を参考に利用を検討してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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