• 作成日 : 2022年10月28日

契約書における支払条項とは?記載すべき項目も解説

契約書における支払条項とは?記載すべき項目も解説

商取引を行う上で特に気をつけておきたいのが、お金の支払いや受け取りに関することです。金額や期限などで双方に認識の違いがあると大きなトラブルに発展しかねません。そこで、支払いに関してはしっかりと契約書に明記しておき、すり合わせを行うことが大切です。

今回は契約書の支払条項に含むべき内容について、文例も交えながらご説明します。

契約書における支払条項とは

契約書には契約の目的や取引内容、権利の帰属先、契約解除など、さまざまな条項が記載されます。支払条項とはその名のとおり金員の支払いに関するルールを定めた条項です。「誰が」「誰に」「いくらを」「いつまでに」「どのように」支払うのかを明確にします。

契約は双方の合意があれば口約束でも成立しますが、それでは後から言った・言わないというトラブルが発生するリスクがあります。特にお金に関しては「支払額が約束よりも少ない」「約束よりも多く請求された」「支払いが遅い」というように、さまざまな揉め事が発生しがちです。

こうしたトラブルを防ぐために、契約書を交わして支払条項で支払いに関する取り決めを明確にしておきましょう。

契約書全般に関して詳しく知りたい方、はじめて契約書を作成される方は、下記の記事も参考にして契約書を作成してみましょう。

支払条項に含むべき項目

前述のとおり、支払条項には支払いの取り決めについて記載します。具体的には「報酬額」「支払い方法」「振込手数料の負担者」「経費や消費税の扱い」の4点は最低限盛り込んでおきましょう。それぞれ詳しく説明します。

報酬額

支払条項の中でも最も重要かつ揉めやすいポイントと言っても過言ではありません。支払金額が決まっている場合は「●●円(消費税別)」と明記します。仕事量や取引量に増減があったり、業務内容に変動があったりするなどの理由で支払金額が一定ではない場合は、請求書に記載された請求額を支払う旨を記載するかたちでも問題ありません。

いずれにせよ、「誰が・誰に・いくら支払うのか」を明確にしておくことが大切です。

支払い方法

「どのように支払うのか」もしっかりと明記しておきましょう。民法第484条では債務者(お金を支払う方)が債権者(お金を受け取る方)の住所で現金を引き渡すことが原則とされていますが、現実には報酬を受け取る人が指定した銀行口座に振込で支払うことが大多数です。契約書にもその旨を記載しましょう。振込先銀行口座が決まっている場合は振込先口座情報を契約書に記載することも出来ます。

また、「いつまでに支払うのか」という期限もしっかりと決めておく必要があります。支払請求権が発生した際に都度期限までに支払うのが原則ですが、支払請求権がひと月内に何度も発生する場合は、一定期間ごとに締め(月末締めなど)、その翌月に支払うようにします。

振込手数料

銀行振込を行う際には振込手数料がかかります。これをどちらが負担するのかも明記しておきましょう。民法第485条では弁済の費用について別段の意思表示がないと債務者が振込手数料も含めて支払債務の履行にかかる費用を負担するのが原則であると定められています。

経費や消費税の扱い

他にも取引にかかった経費(業務を遂行するにあたって債権者が負担した旅費交通費消耗品費通信費など)は誰が・どの程度負担するかを明記しましょう。一般的に債権者は請求書に報酬と経費の項目を分けて記載し、債務者は報酬と合算して支払います。

消費税の扱いに関しても明確にしておく必要があります。消費税・地方消費税は事業者が国(地方消費税の場合は地方自治体)に支払う税金です。私たちは買い物をするときにお店に商品の代金と消費税を支払いますが、実際に国や自治体に納めているのはお店ということになります。契約書には金額が税込か税抜かをはっきりしておきましょう。具体的には、契約書の報酬額は「●●円(税別)」「●●円(税込み)」というように記載します。

やはり、請求書には報酬と消費税は別に記載するのが一般的です。なお適格請求書発行事業者と呼ばれるインボイス制度の対象となる事業者が適格請求書を発行する場合、支払対価の額と別に消費税額を記載しなければなりません。

支払条項の文例

以上も踏まえた上で、支払条項の例文を見てみましょう。書き方がわからない場合は、これをテンプレートとして、自社の内容に合わせて書き換えて使っていただけます。

【金額が決まっている場合】

第●条(報酬支払)

  1. 甲は、乙に対し、第●条に定める業務の対価として、●●円(税別)を、令和●年●月●日までに、乙が別途指定する金融機関口座に振り込む方法で支払う。
  2. 振込手数料、業務遂行に要した経費は甲が負担するものとする。

 

【請求書支払いの場合】

第●条(報酬支払)

  1. 甲は、乙に対し、第●条に定める業務の対価を支払う義務を負い、乙は当月分の業務の対価につき月末に締めで請求書を発行し、甲は当月分の翌月末日までに、乙が指定する金融機関口座に振り込む方法で支払う。
  2. 振込手数料、業務遂行に要した経費は甲が負担するものとする。

 

支払条項をしっかりと定めてトラブルを未然に防ぎましょう

冒頭でも述べたとおり、お金に関することは揉め事の原因になりやすい傾向があります。トラブルが大きくなった場合、これまで築いてきた取引先との信頼関係が失われかねません。

繰り返しになりますが、契約を締結する際には契約書を作成し、支払条項で誰が・誰に・いくらを・いつまでに・どのように支払うのかというルールをしっかりと決めておきましょう。支払条項は契約書のほんの一部分ですが、これによってお金のトラブルを防げ、取引先との良好な関係を維持することにつながります。

よくある質問

支払条項とは何ですか?

契約書の条項の一つです。報酬に関して誰が・誰に・いくらを・いつまでに・どのように支払うのかという取り決めを記載します。詳しくはこちらをご覧ください。

支払条項にはどのような項目を含めればいいですか?

「報酬額」「支払い方法」「振込手数料」「経費や消費税の扱い」の4点は最低限盛り込んでおきましょう。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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