• 作成日 : 2023年9月8日

動産譲渡担保契約書とは?ひな形をもとに書き方を紹介

動産譲渡担保契約書とは?ひな形をもとに書き方を紹介

お金を借りるなどの際に担保物権を設定する方法の1つに譲渡担保があります。譲渡担保とは、債務者の所有物についてその所有権を債権者に譲渡し、債務弁済時に譲渡していたその所有権を債務者に戻すという仕組みです。

この記事では、動産に関する譲渡担保契約書について、契約書のひな形を示しつつ、記載する事項を解説します。

動産譲渡担保契約とは?

動産譲渡担保契約(どうさんじょうとたんぽけいやく)とは、動産を対象として譲渡担保を設定する旨の契約のことです。債務を弁済した場合には対象となる動産の所有権が債務者に復帰します。他方で、債務が弁済されない場合にはその所有権は債権者に帰属します。いわば、お金を借りる際に「身代わり」として機能するのです。

譲渡担保の目的は、債権回収における優先的地位の確保にあります。基本的に複数の債権者がいる場合にはそれぞれの債権価額を按分比例の形で計算して回収することになります。もっとも、より多く自分の債権を回収したいというのが債権者の本音でしょう。そのために、他の債権者より優先して債権回収ができるように融資契約等の段階で担保を設定します。

動産譲渡担保契約は、担保としての価値があっても引渡しが望ましくない動産に利用されます。例えば、製造業を営む企業が融資を受ける場合、工場にある製造機械や製品の原材料について譲渡担保を設定することがあります。

動産譲渡担保契約書のひな形・テンプレート(ワード)

動産譲渡担保契約の作成時には、テンプレート(ひな形)を活用して作成するのが便利です。下記ページからワードで作成したテンプレートをダウンロードできるので、ぜひご活用ください。

動産譲渡担保契約書の主な条項

譲渡担保契約は、法律上で類型化されている契約ではありません。そのため、契約書に記載すべき項目を把握することがとくに重要です。

譲渡担保の対象となる契約

譲渡担保はあくまで担保手段の1つです。そのため、担保の対象となる契約の内容を明らかにする必要があり、例えば、金銭消費貸借契約などの内容について記載が必要となります(テンプレートの第1条)。

例えば、前掲テンプレートの場合は「金銭消費貸借契約に基づく債務」と明示した上で、以下項目について記載します。

  • 貸付金額
  • 弁済期
  • 利息
  • 遅延損害金

譲渡担保の内容

次に譲渡担保の内容を記載します。対象となる契約に関し、所定の動産について譲渡担保を設定している旨とその効力について記載する必要があります(テンプレートの第2条、第6条、第7条)。

具体的な効力として、以下内容を記載します。

  1. 債務を弁済した時に対象動産について債権者から債務者に所有権が移転・復帰する旨
  2. 債務の履行が遅れた場合には対象動産を現実に引渡す旨

使用貸借の条項

上述のとおり、動産譲渡担保は、担保としての価値があるが引渡しが望ましくない動産に対して利用されます。例えば、債務者である企業が工場の設備について譲渡担保を設定した場合に、当該工場設備を稼働させて、利益を出して債務を弁済することになります。

そのため、使用貸借(場合によっては賃貸借)によって、債務者による工場設備の利用が可能である旨についても、譲渡担保契約書に記載しておく必要があります(テンプレートの第5条)。

動産譲渡担保契約書の書き方・作成ポイント

以下ではさらに譲渡担保契約書の細かなポイントについて解説します。

占有改定について

動産の所有権を取得するためには、占有移転が必要となります。ただし、譲渡担保の場合は、対象動産の所有権が債務者から債権者へ移転させるものの、現実には対象動産を利用するために債務者の手元に対象動産を置いておくことになります。そのため、占有改定によって債務者が債権者のために占有する旨の記載が必要です。

また、近年は動産にも登記を利用することが可能であり、第三者へ対抗するために動産譲渡登記ファイルへの登記をする旨を記載することも重要でしょう。

対象動産の扱いについて

譲渡担保は、担保として対象動産について所有権移転が行われます。そのため、対象となる債務の弁済期限が到来するまでは、対象動産を処分して弁済に充てられないのが原則です。これを「期限の利益」といいますが、その扱い方についても記載しておいた方が良いでしょう。
また、同様に、譲渡担保の対象動産の処分方法も、契約者で設定できるため、その具体的な方法を記載することも重要です。

動産譲渡担保契約では記載すべき条項に注意

動産譲渡担保契約とは、動産を対象として譲渡担保を実施することを内容とする契約です。その作成については、譲渡担保契約の対象となる契約、譲渡担保の内容、使用貸借条項など、多くの記載事項があります。

作成のポイントとしては、占有改定に関する事項や対象動産の扱いについても詳細に記載する必要があります。

そのため、この記事で紹介したテンプレートを活用して作成するのが便利でしょう。


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