• 更新日 : 2022年3月30日

契約書には誰の住所を書けばよい?会社それとも個人?

ほとんどの契約書には住所の記入欄が設けられていますが、どの住所を書けばよいかわからない方もいるのではないでしょうか。この記事では、契約締結者の書き方を企業の場合と個人の場合に分けて解説し、「そもそも住所の記載を省略することはできないのか?」といったことにも触れていきます。

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契約が企業間取引の場合は会社の住所を記載

会社が当事者となって契約書を作成する場合は、一般的に「住所の記入」「記名」「押印」を行います。

その目的は、契約の当事者である会社を特定することです。当事者を特定できなければ、トラブルが生じた場合に「この契約を交わしていない」といった主張が通る可能性があるからです。

当事者を特定するために、契約書に「記名」「押印」および「住所の記入」を行います。

住所の欄には、契約の当事者である会社の住所を記入します。会社代表者の個人の住所を記入しないように気を付けましょう。

会社の住所としてどの住所を記載すればよい?

「会社の住所」といっても本社と支社がある場合や、登記されている本店所在地と活動拠点が異なる場合は複数の住所があります。特段の事情がなければ、このような場合は登記されている本店所在地の住所を記入するとよいでしょう。

会社の住所を記入することの目的が契約当事者の特定にあることを考えると、公的な登記情報を用いるのが目的に適うからです。また、登記された商号と住所を記入すれば、同名の会社と区別することもできます。

住所が違えば同じ商号で登記を行うことができるため、会社名だけで特定できるとは限りません。しかし、同じ住所で同じ商号の登記を行うことはできないため、商号と住所を記入すれば、より確実に当事者を特定することができます。

ただし、登記された住所と事業の実態がある住所が異なっている場合、契約書では実際の会社の場所がわかりません。
このような混乱を避けるために、登記上の住所と当該契約における活動を行っている住所を記入しておくとよいでしょう。

契約の締結者が個人の場合は個人の住所を記載

フリーランスや個人事業主が増えているため、個人を相手に契約を締結することもあるでしょう。

契約の相手方が個人でも、住所を記載することの目的が契約当事者の特定にあることに変わりありません。同姓同名の人がいるケースもあるため、住所の記載がないと当事者を特定できないおそれがあります。

しかし、個人は法人のように登記を行う義務がありません。よって、個人の住所を記入することになります。

個人事業主は、個人の住所と事業所が別であることも多いです。確実に特定できるのであればどちらでも構いませんが、バーチャルオフィスなどを使っていて特定が難しいとみられる場合は、別途対応を検討する必要があります。

リスクが大きい契約であれば、住民票や免許証など、身分証明書の写しの提出を求めるとよいでしょう。ただし、その場合は取得した情報を法令にしたがって厳重に管理しなければなりません。

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契約書における住所の記入は省略できる?

前述のとおり、契約書に記入する住所は契約者の同一性を示すための情報です。

そのため、契約の効力という観点では省略が可能です。住所の記入を省略したからといって契約自体が無効になるわけではありませんし、問題が発生しないケースも少なくありません。

契約内容の履行に問題が生じたり、取引中に損害が発生したり、契約に基づく責任を追及したりする場合は相手方を特定する必要がありますが、契約書以外の情報から住所を知り得る場合は問題にはならないでしょう。とはいえ、住所情報がないとリスクにつながるため、住所を記入することをおすすめします。

電子契約においても、個人が特定できないことによって同じリスクが生じます。そのため、相手方に住所や氏名といった情報を契約書に記入してもらうようにしましょう。

なお、近年は、電子契約が締結されるケースが増えています。
民事訴訟法および電子署名法においても、「本人の署名又は押印」「本人による電子署名」があれば、文書の成立の真正に関して推定効を得ることができると規定(下記)されており、住所は文書の成立の真正が推定されるための要件として求められていません。

私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。

引用:民事訴訟法228条第4項|e-GOV法令検索

電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

引用:電子署名法第3条|e-GOV法令検索

契約書の住所欄には当事者の住所を記入しよう

契約の相手方が企業でも個人でも、相手方を特定するためには住所の情報が必要です。企業の場合は代表者個人の住所ではなく、契約の主体である企業の住所を記載します。同じ名前の会社が存在することによるリスクをなくすためには、登記されている本店所在地を記入するとよいでしょう。

契約の相手方が個人の場合は、個人の住所を記入してもらいましょう。登記情報からは確認できないため、必要に応じて身分証明書の写しを提出してもらい、住所等の情報に間違いがないかチェックすることをおすすめします。

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よくある質問

契約書には誰の住所を記入すればよいですか?

個人の場合は個人の住所、企業の場合は代表者個人の住所ではなく、企業の住所を記入してください。詳しくはこちらをご覧ください。

契約において住所の省略は可能ですか?

省略しても契約の効力に影響はありませんが、取引先を特定できなくなるリスクを避けるために、省略せず記入することをおすすめします。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:福谷陽子(元弁護士、法律ライター)

弁護士時代は契約書作成やレビュー、不動産取引や債権回収、破産倒産、一般民事、家事事件など多種多様な事件を取り扱っていた。今はその経験を活かし、専門的な法律知識を一般ユーザーへわかりやすく解説する法律記事の作成に積極的に取り組んでいる。
各種サイトで法律記事を執筆監修。実績は年間1000件以上。ブログやYou Tubeなどによる情報発信にも熱心に取り組んでおりチャンネルを運営中。
元弁護士・法律ライター福谷陽子のblog
世捨て人mimi
元弁護士の世捨て猫🌟ぴりか(mimi)法律ライター

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