- 更新日 : 2026年3月27日
訪問販売のクーリングオフ通知書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
訪問販売のクーリングオフ通知書は、特定商取引法に基づき契約を解除する意思を伝える書面です。
- 原則8日以内に通知
- 発信主義で効力発生
- 違約金は原則不要
メールでも有効です。ただし送信記録の保存が重要です。
クーリングオフ通知書とは、訪問販売など特定の販売方法により契約を交わした場合に、これを取り消すために相手方事業者へ送付する文書のことです。
特定商取引法で整備された消費者保護の仕組みですが、本業とは別の部分で一般消費者と変わらず契約を交わすときには、法人でもクーリングオフの権利を行使できる可能性があります。通知書の書き方などについて当記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
訪問販売のクーリングオフ通知とは?
訪問販売では、消費者が不意の勧誘を受けて契約してしまうことが少なくありません。そのため特定商取引法は、一定期間内であれば無条件で契約を解除できる「クーリングオフ制度」を設けています。訪問販売のクーリングオフ通知とは、この制度に基づき契約を解除する意思を事業者に伝えることをいいます。
訪問販売のクーリングオフ通知は、契約解除の意思を正式に伝える行為
訪問販売とは、事業者が消費者の自宅などを訪問して行う取引や、キャッチセールスなどで営業所外に呼び出して契約させる取引を指します。消費者が自ら求めた取引ではないため、冷静な判断ができないまま契約するリスクがあります。そこで特定商取引法は、原則として契約書面を受け取った日から8日以内であれば、書面又は電磁的記録により無条件で契約を解除できると定めています。
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訪問販売のクーリングオフ通知書を作成するケースは?
訪問販売では、不意の勧誘によりその場で契約してしまうことが少なくありません。そのような場合に、消費者が契約を見直すために活用するのがクーリングオフ制度です。
自宅などで突然勧誘を受け、その場で契約してしまった場合
事業者が自宅を訪問し、商品やサービスの契約を勧誘する取引は典型的な訪問販売にあたります。例えば、リフォーム工事や健康食品の販売などで、その場の雰囲気に流されて契約してしまった場合、後日冷静に考え直して契約を解除したいときに通知書を作成します。契約書面を受け取った日から8日以内であれば、原則として無条件で解除できます。
キャッチセールスなどで営業所以外の場所に呼び出された場合
街頭で声をかけられ、喫茶店やイベント会場など店舗とはいえない場所で契約した場合も訪問販売に該当します。また、営業所であってもキャッチセールスやアポイントメントセールスによって誘引された場合は対象になります。このようなケースでも、契約後に不安や疑問が生じた場合には通知書を作成してクーリングオフを行います。
契約内容に不安や疑問が生じた場合
契約後に費用やサービス内容に疑問が生じた場合や、家族の反対などで契約を見直したい場合も、クーリングオフ通知書を作成するケースに該当します。訪問販売は不意打ち性が高く、冷静に判断できないまま契約してしまうこともあるため、制度を正しく活用することが消費者保護につながります。
訪問販売のクーリングオフ通知書のひな形
訪問販売を受け、クーリングオフ通知書を作成するときは、こちらのひな形をご活用ください。事業者名や契約内容のことなど、書き換えが必要な箇所もありますが、骨格部分は出来上がっているため、作業がスムーズに進められるでしょう。
訪問販売のクーリングオフ通知書に記載すべき内容は?
訪問販売により交わした契約に関してクーリングオフをするときは、下表の記載事項に留意して通知書を作成していきましょう。
| 記載事項 | 書き方 |
|---|---|
| 表題 | 「クーリングオフ通知書」など、特定商取引法の規定に基づく権利行使に関わる文書であるとわかるように記載。 |
| 解除の旨 | 「本書面をもちまして、貴社との上記売買契約を解除いたします」など、申し込んだ・締結した契約を解除したい旨を明記する。 |
| 解除の対象となる契約 | 「〇年〇月〇日に、貴社の販売する商品○○を、代金○○円で購入することを承諾し・・・」など、解除の対象となっている契約を特定する情報を記載。 |
| 根拠の提示 | 「貴社の販売員が訪問し・・・」や「特定商取引法第9条の規定に基づき・・・」など、契約解除等の根拠およびクーリングオフの適用対象であることを示す。 |
| 作成年月日 | 「〇年〇月〇日」など、通知した日を特定するように記載。 |
| 事業者の情報 | 相手方事業者の会社名や住所を記載。 |
| 差出人の情報 | 差出人の氏名または名称、住所を記載し、捺印。 |
訪問販売のクーリングオフ通知書を作成する際の注意点は?
訪問販売では、契約締結後でも一定期間内であれば無条件で解除できるクーリングオフ制度が認められています。ただし、期間内に適切な通知を行わなければクーリングオフできない可能性があります。ここでは、通知書作成時の注意点を整理します。
通知期間を正確に確認し、期限内に発信する
特定商取引法では、訪問販売のクーリングオフ期間は原則「8日間」と定められています。起算日は「法定書面(契約書等)を受け取った日」であり、初日を含めて計算します。訪問購入・電話勧誘販売なども8日間ですが、連鎖販売取引や業務提供誘引販売取引は20日間です。通知書には契約締結日や書面受領日を明記し、期間内であることを明確にしましょう。
契約内容を特定し、解除の意思を明確に記載する
通知書には、契約日、商品名やサービス内容、契約金額などを具体的に記載し、どの契約を解除するのかを明確にします。また、「本契約をクーリングオフにより解除します」といった明確な意思表示が必要です。曖昧な表現では効力が争われるおそれがあります。
発信日を証明できる方法で送付することが望ましい
クーリングオフは「期間内に発信すれば効力が生じる」ため、発送日が重要です。発信日を証明できる方法で送付し、控えや送付記録を保管しておきましょう。証拠を残すことが、後日の紛争防止につながります。
いざという時に備え、契約書類をすぐに確認できる管理体制を
訪問販売で契約を交わした際、クーリングオフの期間(原則8日以内)を正確に把握するためには、受領した法定書面(契約書など)の記載事項や日付を速やかに確認する必要があります。しかし、いざという時に該当の契約書がすぐに見つからず、対応が遅れてしまうケースも少なくありません。
マネーフォワードクラウドが実施した契約書管理に関する調査において、特定の契約書を探し出すまでの時間を尋ねたところ、「確認に10分〜30分程度かかる」と回答した人が最も多く、54.3%でした。次いで「概ね10分以内に確認できる」が31.7%となっていますが、「確認に1時間以上かかる」(8.7%)や「見つけられないことが頻繁にある」(3.8%)を合わせると、全体の約7割が目的の契約書類に即座(10分以内)にはアクセスできていない実態が浮き彫りになりました。
クーリングオフは期限を1日でも過ぎてしまうと、原則として無条件での解除が認められなくなります。万が一のトラブルに備え、契約書を受け取った際は紛失しないように指定の場所に保管し、必要なときにすぐ検索・確認ができる管理体制を日頃から整えておくことが重要です。
出典:マネーフォワード クラウド、特定の契約書を探し出すまでの時間【契約書の種類・書き方に関する調査データ】(回答者:849名(有効回答:契約書の管理業務経験者416名)、集計期間:2026年2月実施)
訪問販売のクーリングオフ通知書の送付方法は?
相手方事業者とのトラブルをこじらせないためには、クーリングオフ通知書の作成方法だけでなく、通知書の送付方法にも意識を向ける必要があります。送付に関するルールや留意すべき点を以下で簡単に紹介します。
2022年6月1日よりメールやファクスでの通知が可能になった
2022年6月1日より、特定商取引法の改正を受け、訪問販売におけるクーリングオフの通知方法として従来の「書面による通知」に加え、「メールやファクスでの通知」も可能になりました。
この改正により、迅速かつ手軽にクーリングオフの手続きを行うことができるようになりました。無理に書面を届ける必要はありません。
メールで送付する
メールでの送付であれば手軽でコストもかかりませんが、必ず送信したという事実の記録を残しておきましょう。また、送りっぱなしではなく相手方からの返信をチェックしたり、届いたことの確認をしたり、その後のやり取りも丁寧にしておくともめ事も避けやすくなります。
書面で送付する
書面で送るときもメールと同じく記録を残すことが大事です。郵送をするときは簡易書留や特定記録郵便などを利用すると、送付したことの証明とできるため、安心でしょう。
「相手方に到着する具体的な日付がわからない」と不安に感じるかもしれませんが、郵便局が書面を受理した日付で判定するため、問題はありません。
クーリングオフができないケースは?
クーリングオフ制度は、訪問販売などで契約した消費者を保護するための重要な制度です。しかし、すべての契約で無条件に利用できるわけではありません。特定商取引法では、一定の条件に該当する場合にはクーリングオフの適用が除外されています。
自ら営業所に出向いて契約した場合
訪問販売に該当するのは、事業者から不意に勧誘を受けて契約した場合です。消費者が自ら店舗や営業所に出向き、落ち着いた環境で契約した場合は、原則としてクーリングオフの対象外となります。ただし、キャッチセールスなどで実質的に誘引された場合は対象となることがあります。
3,000円未満の現金取引
代金が3,000円未満で、かつ現金で全額支払った場合は、クーリングオフは認められません。少額取引まで対象とすると事業活動に過度な影響が生じるため、法律上除外されています。
消耗品を使用・消費した場合
健康食品や化粧品などの消耗品について、消費者が自ら使用・消費した場合は、その部分についてクーリングオフできない場合があります。ただし、使用を勧められた場合などは例外が認められることもあります。
事業者間取引
クーリングオフ制度は消費者保護を目的とするため、事業者同士の取引(BtoB)には原則として適用されません。契約の当事者が消費者かどうかを確認することが重要です。
クーリングオフ後のお金・商品の返還ルールは?
クーリングオフが有効に行われた場合、契約ははじめからなかったものとみなされます。そのため、支払ったお金や受け取った商品については、法律に基づいた返還ルールが適用されます。事業者・消費者双方が正しい手続きを理解しておくことが重要です。
支払済みの代金は原則として全額返金される
特定商取引法では、クーリングオフが成立すると、事業者は受け取った代金を速やかに返還しなければならないと定められています。違約金や解約手数料を請求することはできません。また、すでに商品代金の一部を支払っている場合でも、その全額が返金対象となります。
商品の返還費用は原則として事業者が負担する
消費者が受け取った商品を返還する場合、その返送料は原則として事業者負担です。消費者が自ら費用を負担する必要はありません。事業者は、商品の引き取りや回収について適切に対応する義務があります。
工事やサービスが開始していても原則として無償で解除できる
訪問販売でリフォーム工事や役務提供がすでに始まっている場合でも、クーリングオフ期間内であれば契約は解除できます。原則として、事業者は既に提供した工事やサービスについて対価を請求できません。
ただし、消費者があらかじめ契約の申込み又は契約する意思を有し、その住居で申込み又は契約を行いたい旨を明確に示して事業者を呼んだ場合などは、そもそも特定商取引法上の「訪問販売」に該当せず、クーリングオフの対象外となります。このような事例に該当するかどうかは、契約書面や申込書の内容を確認することが重要です。
訪問販売にも冷静に対応しよう
クーリングオフが適用される取引類型とはいえ、訪問販売を受けたとき安易に契約を交わすべきではありません。一般個人ではなく会社(法人)として営業を受けたときはクーリングオフの適用対象とならない可能性もあり、まずは契約に対して慎重になりましょう。
もし訪問販売のことやクーリングオフの制度について疑問があるときは弁護士に相談するか、消費者ホットラインの利用もご検討ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
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