• 作成日 : 2023年10月20日

食品衛生法とは?2021年施行の改正内容までわかりやすく解説

食品衛生法とは?2021年施行の改正内容までわかりやすく解説

食品衛生法は私たちの食品安全を保護し、健康を守る上で重要な役割を果たしている法律です。具体的な内容まで理解している方は多くないと思われますが、食品に関わる企業の方は同法の知識を持っている必要があります。

当記事では企業の方に向けて食品衛生法をまとめ、近年の改正についても簡単に紹介します。

食品衛生法とは?

食品衛生法は、「飲食による健康被害の発生を防止するための法律」です。

食品衛生法では、主に食品等を取り扱う事業者に対する規制や責任について定めています。食品事業を営む企業にとって、食品衛生法は非常に重要な法律です。

食品衛生法の目的や役割

食品衛生法の目的は「日本国内における食品の安全性を確保すること」です。

消費者が安心して食事ができるよう、食品の製造や加工、販売に至るまでの規制を設けています。同法が機能することによって、食品が安全で衛生的であることが担保され、食中毒や健康被害のリスクが抑えられています。

食品衛生法の対象

食品衛生法では食品はもちろん、その他さまざまな品目が適用対象となっています。

《食品衛生法の対象品目》

  • 食品:すべての飲食物。ただし薬事法に規定する医薬品・医薬部外品は除く。
  • 食品添加物:食品の製造過程または加工・保存の目的で、添加・混和・浸潤等の方法で使用するもの
  • 器具・容器包装
  • おもちゃ:乳幼児が触れるもの
  • 洗浄剤:野菜や果実、食器等を洗浄するためのもの

食品や食品添加物は、身体の中に直接入れるものです。また、「器具・容器包装」「おもちゃ」「洗浄剤」も間接的に口に触れるものなので、同法の規制対象となっています。とはいえ、口に触れるすべてものが対象になっているわけではありません。たばこは同法の規制対象ではなく、歯ブラシも対象外です。

また、同法が適用されるのは企業等が事業として食品等を取り扱う場合であって、家庭内で調理する場面などでは同法に留意する必要はありません。

食品衛生法のポイントをわかりやすく解説

食品衛生法では、総則として国・地方自治体・食品等事業者(食品に関わる事業を営む企業など)についての責務を定め、そして食品等事業者による検査の実施、危害防止に必要な情報の記録や保存についての努力義務を定めています。

その上で食品や添加物、器具・容器包装、表示、食品衛生管理者の設置などに関するルールを規定しています。それぞれの内容を紹介します。

食品や添加物の取り扱い

食品衛生法では、販売する食品や添加物の採取・製造・加工・使用・調理・貯蔵・運搬・陳列・授受(以下「製造等」)について、「清潔かつ衛生的に行われなければならない」との基本原則を規定しています。

さらに、食品や添加物の製造等について、事業者の具体的な義務を明記しています。

(例)

  • 腐敗した食品または添加物の製造等の禁止
  • 有毒な食品または添加物の製造等の禁止
  • 病原微生物により汚染された食品または添加物の製造等の禁止
  • 人の健康を損なうおそれのある食品または添加物の製造等の禁止

器具や容器包装の取り扱い

営業上使う器具や容器包装については、「清潔かつ衛生的でなければならない」と定められています。

  • 「器具」とは
    飲食器や割烹具、その他調理や保管等で使用され、直接食品等に接触する機械や道具のこと。
    例:食器、料理器具、鍋、ラップ など
  • 「容器包装」とは
    食品や添加物を入れるもの、または包むもののこと。
    例:ペットボトル、紙パック、レトルトの袋、缶 など

なお、器具や容器包装に関しては規格が設けられています。「銅や鉛などが削り取られない構造であること」「特定の場合における、古紙を使った容器包装の禁止」「食品に触れる部分に使える金属の割合」など、細かいルールが設けられています。

食品業界においては食品そのものだけでなく、器具や容器包装の取り扱いも衛生上非常に重要であるため注意しましょう。

表示義務と誇大広告の禁止

食品や添加物、器具・容器包装についての表示は、消費者が商品やサービスを選択する上でとても重要な要素といえます。また、食品等の安全性を評価するためにも、表示内容は重要です。

そこで、内閣総理大臣が食品等の表示について必要な基準を定めることができる旨や、虚偽または誇大な表示・広告の禁止などが規定されています。

なお、表示に関しては別途「食品表示法」という法律が設けられています。原産国の表示や消費期限および賞味期限の表示など、詳細なルールが規定されています。

食品衛生管理者の設置

食品の安全性をより担保するため、同法所定の製造や加工を行う企業に対し、施設ごとに「食品衛生管理者」を設置する義務が定められています。

※設置が必要な企業とは、乳製品や食肉製品、魚肉ハムやソーセージ、食用油脂、ショートニング、添加物の製造・加工を実施する営業者。

企業1社につき1人の食品衛生管理者を置けばよいわけではありません。現場ごとに製造や加工の衛生状態を管理しなければなりませんので、施設単位あるいは部門単位での設置が必要です。

2021年施行の改正内容

社会情勢に合わせて、法律は改正を繰り返します。食を取り巻く環境に関しても変化が起こっているため、それらを反映して食品衛生法も次のような改正がなされました。

施行年改正ポイント概要
2019年広域的な食中毒の対策強化食中毒の発生や拡大を防ぐため、行政間での連携を強化。情報共有を円滑にし、必要に応じて厚生労働大臣が協議会を開き事案対応に努める。
2020年HACCPの制度化HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:ハサップ)とは、食の安全性を確保するための衛生管理の手法のこと。
企業が危害要因を把握し、それを除去・低減させるための工程を管理する。国際標準に沿って日本でも制度化した。
健康被害情報の届出義務化特に注意が必要な健康食品に関して健康被害が起こったとき、行政に届出をしなければならないと定められた。
器具・容器包装に対するポジティブリスト導入規制対象をリストアップし、それ以外なら使用できるという「ネガティブリスト制度」が従来の運用。
これに対し、使用できるもののみをリストアップして、そのものに限り使用できるという「ポジティブリスト制度」が運用されるようになった。
輸出入食品の安全証明食品の輸出入にあたり、HACCPに基づく衛生証明書の添付や行政による衛生証明書が必要になった。
2021年リコール情報の報告義務化リコールとして食品の自主回収を行うとき、行政に報告しなければならなくなった。リコール情報がWebサイトにまとめられ、消費者が確認できるようにすることで健康被害の拡大を図る。

<報告対象の例>

  • 腸管出血性大腸菌に汚染された生食用食品
  • 発がん性物質に汚染された食品
  • 食品衛生法違反のおそれがある製造方法に基づく食品
  • 消費期限やアレルゲンに関する表示誤りがあり食品表示法違反がある食品 など
営業許可・届出制度の見直し営業許可業種が見直された。
営業許可業種以外の企業においても、一定の場合に届出が必要になるとする制度も創設。これにより、都道府県が地域内にどんな食品事業者がいるのか把握でき、指導等が徹底しやすくなる。
ただし、公衆衛生への影響が少ない次の営業に関しては届出不要。

    • 食品、添加物の輸入
    • 合成樹脂以外の器具、容器包装の製造
    • 器具、容器包装の輸入または販売
    • 食品、添加物の貯蔵・運搬のみの営業

※冷凍・冷蔵倉庫業は除く。

食品関連の事業者が押さえておくべき関連法律

食品を取り扱う企業が留意すべき法律は、食品衛生法だけではありません。同法だけで食品について包括的に規律しているわけではないため、以下で紹介する法律の内容にも準拠する必要があります。

食品表示法

前述の通り、食品の表示に関しては「食品表示法」で細かい規定が置かれています。

消費者の権利尊重、消費者の自立支援等を目的に表示方法のルールが定められ、「名称」「アレルゲン」「保存方法」「消費期限」「原材料」「添加物」「栄養成分」「原産地」など、企業が表示すべき事項が決まっています。

例えば、農産物や畜産物については、国産品なら都道府県名を記すこと、輸入品なら原産国を記す必要があります。水産物については、国産品なら水域名または地域名を記すこと、輸入品なら原産国を記すことなどが求められています。

また、品目によっては別途個別に表示が義務付けられている事項もあります。

例えば、生食用の魚の切り身であれば、保存方法や消費期限、加工所の所在地、加工者の名称、そして生食用である旨等を記すことが求められています。

自社が取り扱っている商品について、何を表示しなければならないのか確認しておく必要があるでしょう。

健康増進法

「健康増進法」は、国民保健の向上を目的とした法律です。地方自治体による健康増進計画の策定、健康診査の実施に関わる指針の策定、保健指導、受動喫煙の防止に関するルールなどが規定されています。

受動喫煙防止に関するルールが盛り込まれている点が特徴の法律ですが、食品関連でも乳幼児・妊産婦・病者向けの特別の表示、栄養表示に関する基準、健康保持増進の効果の表示方法などが規定されています。

製造物責任法

「製造物責任法」は、企業が製造した物の欠陥が理由で損害が発生したときの、企業の負う責任について規律した法律です。

製造物責任法のポイントは、過失の立証責任が被害者から加害者である企業側に転換されている点です。原則として不法行為責任を追及するには、被害者が加害者の過失を証明しなければなりません。しかし、同法が適用される場面においては、企業が「自社に過失はない」と証明できなければ賠償責任を負うことになります。

機械などの他、食品を製造する企業にも同法が適用されます。そのため、自社の提供した商品により食中毒が発生したときは、自社の製造や管理方法に問題がなかったことを証明しなければ責任を免れることができません。

食品衛生法に違反した場合

食品衛生法では、罰則も規定されています。同法のルールに従わない場合、懲役刑や罰金刑を科されるおそれがあります。

例えば、HACCPに基づく管理義務を果たさず違反行為があったときは、違反者である個人に対して「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科されるほか、企業にも最大1億円の罰金が科されることがあります。

その他の違反についても、違反行為の内容に応じて懲役刑または罰金刑に処されることがありますので、食品を取り扱う企業は十分注意しなければならなりません。

食品衛生法の遵守は安全と信頼のために重要

食品衛生は一般消費者の日常生活に関わる問題であり、消費者が安心して食事をするためには、企業が食品衛生法を厳守する必要があります。

また、食品等を取り扱う企業として、消費者の安全を守るためだけでなく、消費者からの信頼を獲得・維持するためにも食品衛生法を守ることが重要といえます。食品衛生法の規制を踏まえて自社の衛生管理体制を再検査し、適法な状態を維持できているかどうかを確認しておきましょう。


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