• 作成日 : 2022年11月25日

商業登記や法人登記申請の流れや注意点について解説

商業登記や法人登記申請の流れや注意点について解説

株式会社や社団法人などを設立する際はもちろん、設立後法人内の重要事項に変更が生じた場合などには登記申請が欠かせません。

この記事では特に商業法人登記に関し、必要書類やオンラインを含めた申請の流れ、注意すべき点について説明します。登記を専門家に任せている方も、概要を知っておいて損はありません。

商業法人登記とは

会社を含め法人の設立は、一定の事項を登記簿に記載すること、すなわち設立登記を行うことで成立します。株式会社の場合は会社法49条、その他の法人や組合など(以下「法人等」)も、各法に必ず該当規定があります(例えばNPO法人であれば「特定非営利活動促進法」13条)。言い換えれば、法人において設立登記は法律上の義務ということです。

登記簿は誰でも自由に閲覧や証明書の取得ができ、内容を確認できます。法人のように不特定多数と取引を行う団体は、商号を始め所在地や法人の目的、役員などの重要な情報について、その変遷も含め登記簿に公示しておくことで、取引の相手方の安全を図る必要があるのがその理由です。
もちろん国として、登記を義務付けることで法人の数や内容を把握し、管理を行いやすくする一面もあります。

「商業登記」は、法務局においては不動産登記と法人等登記を区別するための用語ですが、一般的には株式会社などの「会社法人」に関する登記をそれ以外の法人等と区別する際にも用いられています。この記事では会社法人に関する登記を「商業法人登記」としています。

商業法人登記についての詳細はこちらの記事をご参考ください。

商業法人登記申請はオンライン申請できる

2021年のデジタル庁発足に伴い、これまで紙媒体しか認められなかった契約や申請がオンラインでも可能になるケースが増えてきています。

商業法人を含めた登記申請においては、既に2008年から全国すべての登記所でオンライン申請が可能となっており、2021年のオンラインによる商業法人登記申請件数は78万件以上、オンライン利用率は6割近く(令和元年度)に上っています。
登記の専門家である司法書士が行うケースが多いことも影響しているでしょう。商業法人登記においては、オンライン申請が浸透しているといえます。

オンライン申請に必要な書類

オンラインであっても登記申請に必要な書類は紙媒体における申請とほぼ同じです。
取締役会設置会社の発起設立を例に挙げると、登記申請書、定款、発起人の同意書などがありますが、ここで記載している書類は必要書類の一部なので、詳細な必要書類は法務局のホームページをご確認ください。

参考:取締役会を設置する株式会社の発起設立

登記をオンラインで申請するためにはさまざまな事前準備が必要なため、申請に辿り着くまでにある程度時間に余裕をみておきましょう。

事前準備の詳細は次項で説明します。

オンライン申請の流れ

まず、株式会社の代表となる者は、電子契約サービスなどを通じて自身の電子署名を作成しておく必要があります。

次に、法務局が提供している「申請用総合ソフト」をインストールし、登録しておきます。

事前準備ができれば以下の手順で申請します。

  1. 申請用ソフトで「申請書作成」を選択し、必要事項を入力
  2. チェックして問題なければ申請書を保存
  3. 添付書面情報へ電子署名を付与し、ファイルを添付
  4. 申請者情報へ電子署名を付与
  5. 申請者情報を送信
  6. 登録免許税の納付

なお、登録免許税をネット上で納付するにはインターネットバンキングの口座が必要です。

商業法人登記申請の際の注意点

商業法人登記申請の際に注意すべき点は書面、オンラインのいずれであってもほぼ共通しています。補正を受けたり申請が無効となったりしないよう、よく確認しておきましょう。

申請書の提出先の確認

商業法人登記の申請は、会社の本店(本社)を管轄する法務局に提出して行います。商業登記を扱う登記所は限られており、必ずしも本店に一番近い法務局に提出できるとは限りません。
大阪府を例に挙げると、本局を含め府内に登記所は11ヶ所ありますが、商業登記申請の取扱いは4ヶ所のみです。ホームページなどで予め確認しましょう。

参考:大阪法務局 不動産登記/商業・法人登記の管轄区域一覧|大阪法務局

収入印紙の貼付

商業法人登記の申請には登録免許税の支払いが必要です。支払いは申請時に収入印紙貼付用紙に必要額の印紙を貼付する形で行うのが一般的です。オンライン申請の場合は前述のとおりネットバンキングで支払うことも可能です。
登録免許税額は、株式会社設立登記の場合で資本金額の0.7%です。なお、0.7%の額が15万円に満たないときは一律15万円になります。
必要額の印紙が添付されていない場合、当然ですが申請は受理されません。もちろんその旨申請者に法務局から連絡が入るので、連絡後ただちに支払えばよいのですが、その分登記完了は遅くなります。

申請書類の押印

昨今許可申請や委任状などの押印が不要の手続きが増えてきていますが、商業法人登記においてはまだ押印を必要とする書類が一定程度あります。会社の代表者が申請する場合は申請書に、司法書士に委任する場合は委任状に、登記所に提出している印鑑(会社の実印)の押印が必要です。設立申請の場合は印鑑届出を同時に行います。
その他、定款や議事録などにも押印が求められます。

なお、申請をオンラインで行う場合には印鑑の届出は義務でなく任意となりました。

申請期限

設立登記であれば任意のタイミングで申請を行えばよいのですが、設立後に役員や会社(支社も含め)の住所などの変更があった場合は変更後2週間以内に変更登記の申請をしなければなりません(会社法915条)。
もっとも、申請期限を過ぎると申請できなくなるわけではありません。うっかり変更登記を忘れていた場合は、気づいた時点で速やかに申請を行いましょう。

登記すべき事項と定款内容は一致しているか

株式会社設立登記申請時の必要添付書類の一つに定款があります。定款は会社の目的や運営方法などを定めた、いわば会社の礎となるものです。設立の登記申請書に記載した会社の目的や役員、資本金などの内容が定款と一致しているか、提出前に再確認しておきましょう。

令和4年9月1日改正にも注意しよう

商業登記規則等が改正され、令和4年9月1日に施行されました。

まず、これまで登記事項だった支店や従たる事務所の所在地が登記不要となりました。
次に、定款に電子提供措置(株主総会資料などをウェブサイトに掲載すること)を行うと定めている場合はその旨の登記が必要となりました。

他にも時代に即した改正がいくつかありますが、特に注意すべきなのは上記2点です。

商業法人登記申請は郵送でもオンラインでも可能!

会社(法人)は設立から始まり重要事項の変更の度に登記申請が求められます。電子署名による取引を日常的に行っている会社であれば、登記申請をオンラインへ移行することのハードルも低いでしょう。いずれの方法を採るにせよ、補正にかからないよう慎重に書類を作成すべきです。変更登記の申請期限にも注意しましょう。

よくある質問

商業・法人登記はオンラインでもできる?

オンラインでもできますが、申請ソフトのダウンロードや電子署名の登録などが必要です。詳しくはこちらをご覧ください。

商業・法人登記は令和4年9月の改正で何が変わった?

支店の所在地の登記が廃止されました。また、定款に電子提供措置を行うと定めている場合はその旨の登記が必要となりました。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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