• 更新日 : 2024年11月14日

電子契約サービスのAPI連携とは?メリットや選び方を分かりやすく解説

ここ数年、契約業務のデジタル化が急速に進み、紙の契約書から電子契約への移行が進んでいます。その中でも、API連携による電子契約サービスの導入は、業務の効率化やコスト削減を実現する強力な手段となっています。

本記事では、電子契約サービスのAPI連携について、そのメリットや選び方、具体的な活用事例を交えて解説します。

電子契約サービスのAPI連携とは?

電子契約サービスの普及に伴い、API連携の重要性が増しています。まず、API連携の基本概念とそのメリット、選び方について解説します。

API連携とは、Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の略で、異なるソフトウェアやシステム間でデータをやり取りするための仕組みです。電子契約サービスにおけるAPI連携は、契約管理システムや人事管理システムなど、他のシステムと電子契約サービスを連携させることを指します。

具体的には、電子契約サービスが提供するAPIを利用して、自社の既存システムから電子契約サービスの機能を呼び出したり、データを送受信したりできます。例えば、人事システムから直接電子契約サービスに雇用契約書のデータを送信し、締結状況を自動で確認するといった使い方が可能です。

デジタル庁が推進するマイナポータルAPIの活用(マイナポータルで提供する機能を行政機関だけではなく企業等の民間組織に対してもAPIとして提供)も、今後の人事労務分野におけるAPI連携の可能性を広げています。

なお、電子契約については以下の記事でくわしく解説しています。

電子契約でAPI連携を行うメリット

電子契約サービスのAPI連携は、契約業務の効率化だけでなく、他の業務システムとのデータ連携を強化し、業務全体の最適化を実現します。ここでは、API連携の主なメリットについて見ていきましょう。

外部システムとスムーズにデータ連携できる

API連携により、電子契約サービスと外部システム間でのデータ連携がスムーズになります。例えば、人事システムや会計システムとの連携により、契約情報の自動更新や経理処理の効率化が可能となります。マネーフォワード クラウド契約のような先進的なサービスでは、他社から受領した電子契約データも自動で取り込める仕組みを提供しています。

この連携により、データの二重入力や転記ミスを防ぎ、業務プロセス全体の効率化が図れます。また、電子署名法改正により、電子文書や電子署名の法的効力が明確化されたことで、API連携を通じたデータ連携の信頼性も高まっています。ただし、個人情報保護法や電子帳簿保存法などの関連法令遵守にも注意が必要です。

開発コストを抑えることができる

API連携を活用することで、新たなアプリケーションを自社開発する必要がなくなり、開発コストを大幅に抑えられます。既存のシステムやサービスの機能をAPI経由で利用することで、短期間かつ低コストで機能拡張が可能となります。

例えば、クラウドサインのようなAPI連携可能な電子契約サービスを利用することで、契約書の作成から締結までのプロセスを既存のシステムに組み込むことができます。これにより、システム開発にかかる時間とコストを削減しつつ、業務効率を向上させることが可能です。

また、行政手続のデジタル化が加速している中、API連携を活用することで、各行政機関が提供するシステムとの連携も容易になり、コンプライアンス対応のコストも抑えられます。

セキュリティを強化できる

API連携を通じて電子契約サービスを利用することで、セキュリティを強化できます。多くの電子契約サービスは、高度なセキュリティ対策を施しており、これらのサービスとAPI連携することで、自社のセキュリティレベルを向上させられます。

クラウドサインは電子署名法が定める電子署名に該当するとして法務省・デジタル省より認定を受けており、高度なセキュリティを提供しています。API連携を通じてこうしたサービスを利用することで、データの改ざん防止や、アクセス制御、監査証跡の記録などの高度なセキュリティ機能を自社システムに組み込めます。

個人情報保護法改正により、個人データの取り扱いに関する規制が強化されていますが、API連携を通じて専門サービスのセキュリティ機能を利用することで、これらの法令遵守も容易になります。ただし、API連携時のデータ転送におけるセキュリティにも十分注意を払う必要があります。

電子契約サービスとのAPI連携イメージ

電子契約サービスのAPI連携は、業務効率化とデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の要となります。マネーフォワード クラウド契約を例に、具体的な連携イメージと利用シーンを解説し、時間削減や業務効率化のメリットを見ていきましょう。

CRM(顧客管理システム)との連携

マネーフォワード クラウド契約 for Salesforceは、SalesforceとAPI連携しています。この連携により、Salesforce上の顧客情報や商談情報を直接利用して電子契約の作成・送信が可能になります。例えば、商談成立後すぐに契約書を作成し、顧客に送付できるため、契約締結までの時間を大幅に短縮できるのです。また、契約状況がSalesforce上で確認できるため、営業活動と契約管理を一元化できます。営業担当者の業務効率が向上し、顧客対応のスピードアップにつながります。

ビジネスチャットとの連携

マネーフォワード クラウド契約は、Slackとも連携しています。これによって、契約書の作成や承認状況、締結完了などの通知をSlack上で受け取れます。一例として、契約書の承認依頼がSlackに通知されるため、承認者は迅速に対応できます。また、チーム内での情報共有も容易になり、契約プロセスの透明性が向上するのです。承認プロセスの遅延を防ぎ、契約締結までの時間を短縮できるだけでなく、リモートワークが普及する中、分散した従業員間のコミュニケーションを円滑にし、業務効率の向上に貢献します。

オンラインストレージとの連携

マネーフォワード クラウド契約は、マネーフォワード クラウドBoxとの連携機能があり、クラウドBox上の文書を直接電子契約サービスにアップロードし、契約書として利用できます。法務部門が作成した契約書のテンプレートをクラウドBox上で管理し、必要に応じて電子契約サービスに取り込めるため、文書管理と契約プロセスが統合され、業務効率が向上します。

請求書・会計システムとの連携

マネーフォワード クラウド契約は、マネーフォワード クラウド請求書や会計システムとの連携機能を提供しています。この連携により、契約内容に基づいて自動的に請求書を作成したり、契約金額を会計システムに反映させたりできます。契約締結後すぐに請求書を発行できるため、請求漏れを防ぎ、キャッシュフローを改善できるのです。また、契約情報と会計情報の整合性が保たれるため、財務管理の精度が向上します。これは、改正電子帳簿保存法に対応した正確な電子データの保存にも寄与し、コンプライアンス強化にもつながります。

異なる電子契約サービス間との連携

マネーフォワード クラウド契約には、他社の電子契約サービスで締結された契約書を自動で取り込む機能があり、取引先が異なる電子契約サービスを使用している場合でも、自社のシステム内で一元管理が可能になります。例えば、取引先から送られてきた契約書を手動でアップロードする手間が省けることから、契約書の見落としや管理漏れを防げます。また、複数の電子契約サービスを使い分ける必要がなくなり、業務の効率化とコスト削減につながります。

API連携できる電子契約サービスの選び方

API連携できる電子契約サービスを選ぶ際は、単にAPI対応を確認するだけでなく、セキュリティ、機能、料金体系など多くの要素を総合的に評価する必要があります。これにより、企業の業務効率を最大限に引き出す最適なサービスを選択できます。

セキュリティやシステムとの互換性

セキュリティは、電子契約サービス選定の最も重要なポイントの一つです。特に、契約書には個人情報や機密情報が含まれることが多いため、強力な暗号化技術やアクセス制御が備わっているサービスを選ぶ必要があります。また、企業が利用している既存のシステムとの互換性も重要です。マネーフォワード クラウド契約のように、他の業務システムやクラウドサービスとの連携が容易なものを選ぶことで、既存のインフラにスムーズに統合でき、システムの導入や運用コストを最小限に抑えられます。「個人情報保護法」や「電子帳簿保存法」など、法令に準拠したセキュリティ対策も確認が必要です。

機能

API連携を前提とした上で、追加機能が豊富なサービスを選ぶことも重要です。例えば、マネーフォワード クラウド契約は、契約書の一括管理機能や通知機能、他システムとの連携機能などがあり、契約管理の自動化がさらに進化します。さらに、契約の承認フローをカスタマイズできる機能や、契約書の進捗管理、リマインダー機能など、企業のニーズに応じて業務プロセスを効率化できる機能が搭載されているサービスを選定することが推奨されます。特に、業務におけるボトルネックを解消できる機能があるかを確認しましょう。

料金体系

料金体系は、企業規模や利用頻度に応じて柔軟に選べるものが理想的です。電子契約サービスには、月額固定制や従量課金制など様々な料金プランが提供されています。マネーフォワード クラウド契約のように、利用する機能に応じたプランを選択できるサービスは、コストを適切に管理できる点で優れています。また、API連携を含むオプションが追加料金となる場合もあるため、導入前に詳細なコスト比較が必要です。料金だけでなく、長期的なコストパフォーマンスや、将来的な拡張性を見越した料金体系の確認も重要です。

電子契約とAPI連携を活用した成功事例

電子契約とAPI連携を活用することで、多くの企業が業務効率の大幅な向上やコスト削減に成功しています。SalesforceとのAPI連携で工数を削減した事例と、送信コストを削減してコスト効率を高めた事例について、それぞれの課題と効果を中心に解説します。

Salesforceとの連携で月77時間の工数削減

株式会社ビズリーチは、マネーフォワード クラウド契約の導入とSalesforceとのAPI連携により、月間77時間もの工数削減に成功しました。

  1. 課題
    • 契約書作成から締結までのプロセスが煩雑
    • 手作業による人的ミスの発生
    • 契約状況の可視化が困難
  2. 効果
    • 契約書作成の自動化
      Salesforceの商談情報から自動で契約書を作成することで、入力ミスを削減し、作業時間を大幅に短縮できました。
    • プロセスの効率化
      承認フローの電子化により、契約締結までの時間を短縮が実現しました。
    • 可視性の向上
      契約状況をSalesforce上で一元管理することで、リアルタイムでの進捗確認が可能になりました。

このようにAPI連携による業務プロセスの自動化が、単なる時間削減だけでなく、ヒューマンエラーの防止や情報の一元管理による経営判断の迅速化にも寄与することが分かります。

CRMシステムとのAPI連携で契約業務のコストは1/10以下に

株式会社ラクスルは、マネーフォワード クラウド契約の導入とCRMシステムとのAPI連携により、契約業務のコストを大幅に削減しました。

  1. 課題
    • 月間約1,000件の契約処理による高いコスト
    • 紙の契約書管理による業務負荷
    • 契約締結までの時間の長さ
  2. 効果
    • コスト削減
      「送信料0円」のプランにより、契約件数の多い同社にとって圧倒的なコストメリットを実現。従来の電子契約サービスと比較して、コストを1/10以下に削減できました。
    • 業務効率化
      CRMシステムとのAPI連携により、契約情報の自動連携が可能になり、データ入力の手間を大幅に削減することにつながりました。
    • 締結スピードの向上
      電子契約の導入により、契約締結までの時間を短縮。特に遠隔地の取引先との契約で効果を発揮できました。

適切な料金プランの選択とAPI連携の活用が、大量の契約処理を行う企業にとって、コスト面でも業務効率面でも大きな効果をもたらすことを示しています。また、デジタル化による契約プロセスの迅速化が、ビジネスのスピードアップにも貢献することが期待できるでしょう。

業務効率化のために、電子契約とAPI連携を積極的に導入しよう!

電子契約サービスとAPI連携を活用することで、契約業務の効率化やコスト削減はもちろん、業務プロセス全体の透明性や正確性も向上します。自社の業務フローや既存システムとの互換性を確認しながら、最適なサービスを選定することが重要です。

また、セキュリティ面や法令遵守も重要な要素であり、信頼性の高いサービスを選ぶことで、長期的な業務改善が期待できます。成功事例を参考にし、積極的に電子契約とAPI連携の導入を検討しましょう。

上述した「マネーフォワード クラウド契約」には、さまざまな機能を備えています。API連携も活用しながらパフォーマンス向上を目指している方、無料トライアルがありますので是非検討材料の一つとしてお試しください。


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