• 作成日 : 2022年4月15日

相殺通知書が届いたらどうすればよい?銀行から届いた時の対応

普段は、あまり目にすることのない相殺通知書。もし銀行などから自分宛に送られてきたら、どうすればよいのでしょうか。また、相殺通知書はどのような書類で、なぜ送られるのでしょうか。そもそも、相殺とはどのような意味なのでしょうか。ここでは相殺通知書の概要と、よくある疑問について解説します。

相殺通知書とは?

相殺通知書とは、債務者が支払いを行わない場合に債権者が反対債務と相殺するために送る書類のことです。一般的に、金融機関が債務者に対して送ります。
相殺通知書は、どのような理由で送られるのでしょうか。ここでは「相殺」の定義や、相殺通知書が届く理由について解説します。

ここでいう相殺とは?

相殺とは、当事者同士が同種の債権を負担している時に、その債権を同額消滅させる意思表示・行為のことです。同種の債権とは、借入金と預金、買掛金売掛金のように、一般的に金銭による債権同士を指します。

相殺を行うためには、いくつかの要件を満たす必要があります。まず、お互いの債権が弁済期にあることが必要です。「弁済期にある」とは、支払期日が到来している状況を指します。双方の債権が、性質上相殺を許すものであることも要件です。例えば、借入金と預金、売掛金と買掛金といったものであれば、相殺できます。ただし、法律で相殺が禁止されている債権もあります。

相殺の具体例を見てみましょう。
Aさんは、Bさんに50万円を貸しています。また、Bさんは、Aさんに商品の代金50万円を支払ってもらう予定です。本来であれば50万円の返済と50万円の支払いが個別に発生しますが、これらを相殺することで金銭の授受はなくなります。相殺の意思表示は、どちらからでも行うことができます。Aさんから意思表示をした場合、Aさんの持つ50万円の貸金債権を自働債権と呼び、Bさんの持つ50万円の売買代金債権を受働債権と呼びます。これらを相殺することで、貸金債権と売買代金債権が同額で消滅するのです。

相殺通知書はなぜ届く?

民法第506条第1項で「相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。この場合において、その意思表示には、条件又は期限を付することができない」と定められています。さまざまな要件はあるものの、相殺という行為はどちらか一方が意思表示をすることで行えます。借入時の契約内容に相殺についての文言がなかったとしても、相殺は可能です。

相殺の意思表示を行う方法の一つが、相殺通知書です。相殺通知書は、先に口頭などで相殺することを通知し、後に確認のために相殺通知書を送付することもあり、この場合は相殺通知書が届いた時点ですでに相殺が行われていることになります。

例えば、Aさんが銀行から200万円を借りていて、すでに返済期限が過ぎているとします。その銀行のAさんの口座に120万円の預金があった場合、銀行はその預金から120万円を相殺できます。その際に送られるのが、相殺通知書です。この例では120万円を相殺した後、借入金が80万円残ります。送られる相殺通知書には120万円を相殺した事実と、残りの借入金80万円がある旨が記載されていることが通常です。

請求書の相殺とは違う?

取引先との合意があれば、請求書の相殺処理も可能です。この場合、相殺の合意はお互いの協議によって行われるため、一般的に相殺通知書は送付しません。その代わりに、「相殺領収書」という形で、相殺した事実と金額、何について相殺したのかを書面に残す方法があります。相殺領収書を作成する義務はありませんが、取引内容を明確にしておくため、また税務調査などで第三者に説明を行う場合に備えて作成しておくことをおすすめします。

相殺通知書の見方

  • 相殺の意思表示または相殺予告
    相殺の意思表示、または相殺の予告が書かれています。
  • 相殺債権
    相手と自身の相殺された債権について、具体的な金額や債権の種類などが書かれています。
  • 残債権
    相殺した後に債権が残る場合、残額などを記載します。

相殺通知書が届いたらどうすればよい?

もし相殺通知書が届いたら、どのように対応すればよいのでしょうか。相殺通知書が届いたら、まず開封して内容を確認しましょう。相殺によって債務がなくなったことに納得できるのであれば、その後は何もすることはありません。しかし、債務がなくなったということは、自身の債権もなくなったことを意味しています。もし内容に納得できなければ、相手に連絡して事情を確認しましょう。

相殺を行っても債務または債権が残る場合は、その旨が記載されています。債務が残る場合は迅速に相手に連絡し、返済方法などについて相談することをおすすめします。

相殺通知書とはお互いの債務を相殺したことを通知する書類

相殺通知書は相殺を行うこと、または行ったことを通知する書類です。相殺とはお互いの持つ同種の債権を消滅させる行為を指します。同種の債権とは、借入金と預金、買掛金と売掛金のように、一般的に金銭による債権同士のことです。例えば、Aさんが銀行からお金を借りていて、返済期限が過ぎている場合、銀行はAさんの預金を借入金の返済に充てることができます。これを相殺といい、相殺を行った銀行はその結果を相殺通知書に記してAさんに送付します。

参考:民法|e-Gov法令検索

よくある質問

相殺通知書とは何ですか?

相殺の意思表示、または相殺の予告を通知する書類です。銀行などから届く相殺通知書は、相殺後にその事実を伝えるために送られるのが一般的です。詳しくはこちらをご覧ください。

相殺通知書が届いた時に何かする必要はありますか?

相殺された内容に不服がなければ、特に行うことはありません。内容に不服がある場合には相手に連絡をとりましょう。また相殺後に債務が残る場合は、返済方法などについて、迅速に相手へ相談することをおすすめします。詳しくはこちらをご覧ください。


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