- 更新日 : 2024年8月29日
個人情報保護に関する誓約書とは?テンプレートとともに解説
企業がアンケート調査などを行う際、相手に渡す書類に「個人情報保護に関する誓約書」があります。この書類は、どのような意味を持つのでしょうか。ここでは「個人情報保護に関する誓約書」の概要や秘密保持契約書との関係性、誓約書に記載する項目などについて解説します。また、作成に役立つテンプレート(雛形)も紹介します。
目次
個人情報保護に関する誓約書とは
「個人情報保護に関する誓約書」は企業などが個人情報を収集する際に、個人情報を提供する側に対して開示する書面です。個人情報を収集する目的や収集する個人情報の内容、問い合わせ方法などが書かれています。
個人情報の収集は、さまざまな場面で行われます。例えば、企業がマーケティングのために行うアンケート調査や、サービス利用のために必要な情報、病院における患者の個人情報などです。このような場面で個人情報を収集する前に、相手に対して提出する誓約書が「個人情報保護に関する誓約書」です。
なお、企業が個人情報を取り扱う従業員に提出させる誓約書を「個人情報保護に関する誓約書」と呼ぶ企業もあります。また、企業が従業員に対して個人情報を収集する際に誓約書を提出する場合もあるでしょう。ここでは、企業などが第三者の個人情報を収集する際に、個人情報を提供する人に対して提出する「個人情報保護に関する誓約書」について解説します。
個人情報の漏洩に伴う企業のリスク
個人情報の漏洩は、企業にとって非常に大きいリスクと言えます。漏洩が起きた場合、企業に過失があるかないかに関わらず、信用も失墜につながるためです。
まず、漏洩した個人情報は悪用されるおそれがあります。悪意のある者が電話番号や住所、メールアドレスなどを知り、それを詐欺に利用するといったことが考えられます。また、個人情報を買い取って営業に利用する者もいます。それによって、自身の情報が漏洩した個人が金銭的な被害を受けることもあります。金銭的な被害がなかったとしても、頻繁にかかってくる営業電話などに悩まされることもあるでしょう。
企業は個人情報が漏洩した人への補償を求められるだけでなく、漏洩の原因究明や再発防止対策などに甚大な時間的・金銭的コストを払うことになります。是正勧告を受ける可能性もあり、従わない場合は罰則が適用されます。
このような状況になると、企業が行うビジネスにも影響を及ぼします。仮に自身の個人情報が漏洩していなかったとしても、このまま個人情報を預けておいてよいのかと利用者は心配になり、同業他社のサービスに乗り換えるかもしれません。
個人情報の収集や取り扱いは、個人情報保護法に則って行う必要があります。2022年4月に施行される改正個人情報保護法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
個人情報保護と秘密保持契約書の関係性
「個人情報保護に関する誓約書」とニュアンスが似ている契約書に「秘密保持契約書」がありますが、これらは性質が大きく異なります。
まず、「保護する情報」が異なります。「個人情報保護に関する誓約書」は、企業などが収集する個人情報についてのみ言及するものです」。一方、「秘密保持契約書」は個人情報を含む場合もありますが、それに留まらず企業が所有する技術やノウハウなどの秘密情報なども対象としています。
また、「情報を守る側」も異なります。「個人情報保護に関する誓約書」では、企業などが収集した個人情報を保護することを本人に対して誓約します。一方で「秘密保持契約書」は、企業が持つ秘密情報を第三者に提供する際に、自社の秘密を守るために取り交わす契約書であり、秘密情報を提供された側がその秘密情報を漏洩しないことを目的としています。
秘密保持契約書については、こちらの記事で詳しく解説しています。
個人情報保護に関する誓約書の作成方法
では、「個人情報保護に関する誓約書」にはどのような項目を記載すればよいのでしょうか。ここでは、誓約書に記載する項目について解説します。
前文
個人情報を収集すること、そして適切に管理することを記載します。
利用目的
収集する個人情報を利用する目的を記載します。利用目的はできるだけ限定し、それを明記します。
個人情報
収集する個人情報の種類を記載します。例えば、氏名や住所、電話番号といったように具体的に記載します。
第三者提供
収集した個人情報を本人の許可なく、第三者に提供しないことを記載します。また、例外的に第三者に提供する場合についても記載します。
開示請求
個人情報を提供した本人が、開示・訂正・削除・利用停止の請求ができることを記載します。
問い合わせ先
開示・訂正・削除・利用停止の請求や、個人情報収集に関する問い合わせ先を記載します。
個人情報保護の誓約書・同意書のテンプレート
個人情報を適切に管理し、漏洩や不正使用を防ぐために、個人情報の誓約書や同意書を作成する際は、テンプレートの利用が便利です。
以下のリンクから、個人情報同意書と誓約書のテンプレートを無料でダウンロードいただけます。法律や社内規定に沿った内容となっておりますので、ぜひ業務にお役立てください。
個人情報保護に関する誓約書は個人情報を収集する時に提出する書類
「個人情報保護に関する誓約書」は企業などが個人情報を収集する際に、個人情報を提供する人に渡す誓約書で、利用目的や問い合わせ方法などを記載します。
ただし、誓約書を渡したからといって安心してはいけません。個人情報の漏洩は、企業にとって非常に大きいリスクだからです。誓約するだけでなく、大切な個人情報をしっかり保護しなければなりません。
よくある質問
個人情報が漏洩するとどのようなリスクがありますか?
企業などに過失があるかないかに関わらず、信用の失墜につながります。具体的には、顧客が自身の個人情報が漏洩することを懸念して他社サービスに乗り換える、顧客から損害賠償を請求されるといったリスクが考えられます。詳しくはこちらをご覧ください。
個人情報保護に関する誓約書には何を記載しますか?
個人情報を収集して適切に管理することや、個人情報の利用範囲、第三者への提供などについて記載します。また、個人情報の提供者は開示・訂正・削除・利用停止の請求ができるため、その旨も記載します。詳しくはこちらをご覧ください。
個人情報保護と秘密保持契約の違いは?
個人情報保護は、収集した個人情報を適切に管理し、漏洩などが起こらないようにすることです。秘密保持契約は、秘密情報を渡した相手に、自社の情報や個人情報などを漏洩させないための契約です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
誓約書の関連記事
新着記事
他社事例で学ぶ!店舗運営事業者に必要な契約業務改革
アルバイトとの雇用契約締結や、FC加盟店契約や賃貸借契約の管理、本社での承認工数の増加など、契約関連の業務に課題を感じていませんか? 店舗運営のDXが加速し、飲食店や小売店を運営する事業者様からお問い合わせをいただく機会が増えてきました。 …
詳しくみる内容証明郵便とは?効力や書き方・出し方、受け取り拒否された場合の対応を解説
内容証明郵便として文書を送付することで、裁判で適切な対応をしていることを証明でき、受取人へのプレッシャーをかけることも可能となります。書き方や出し方、料金など、一般郵便と大きく違うためよく理解しておく必要があります。 そこで、この記事では具…
詳しくみる任意後見契約公正証書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
任意後見契約公正証書とは、判断能力が低下した際に、財産の管理などを信頼できる人に任せる契約の内容を定めた公正証書です。十分に整えた案文を公証役場に持ち込めば、自分の意向に沿った任意後見契約公正証書を作成してもらえます。任意後見契約公正証書の…
詳しくみる仮登記担保設定契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
仮登記担保設定契約書とは、債権を担保することを目的として、主に代物弁済によって仮登記担保権を設定する際に締結する契約書です。本記事では、仮登記担保設定契約書の書き方やレビュー時のポイントを、条文の具体例を示しながら解説します。 ■代物弁済予…
詳しくみる土地信託契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
土地信託契約書とは、委託者が所有する土地について、管理や運用を受託者に任せる際に締結する契約書です。信託法の規定を踏まえつつ、土地の管理や運用に関するルールを明確に定めましょう。この記事では、土地信託契約書の書き方やレビュー時のポイントなど…
詳しくみる永小作権設定契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
永小作権設定契約書とは、土地について永小作権を設定する際に締結する契約書です。他人の土地上で耕作や牧畜をする際に、永小作権設定契約書が締結されることがあります。本記事では、永小作権設定契約書の書き方やレビュー時のポイントなどを、条文の具体例…
詳しくみる