• 更新日 : 2022年3月30日

代表者印・丸印・会社実印の役割とは?角印の比較や作成ポイント

代表者印・丸印・会社実印の役割とは?角印の比較や作成ポイント

電子署名があればハンコ不要で契約完了という電子契約。
普及が進んでいるとはいえ、日本はまだまだハンコ社会としての実態を残しています。法人設立の際に登録が必要な代表者印をはじめ、シーン別に2~3種類の印鑑を使い分けている会社が多いでしょう。
今回は法人としての実印ともいえる代表者印(いわゆる丸印)と、代表者印とセットで作成される角印について、役割の違いと作成する時のポイント、また万一紛失した際の対処法などを解説していきます。(なお、会社組織ではない法人(NPO法人など)にも代表印登録義務はありますが、ここではすべて「会社」と表します。)

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代表者印(丸印・会社実印)とは

代表者印とはその名の通り、特定の会社を代表する者が会社の意思表示を対外的に証明する際に使用する印鑑です。通常は、会社設立手続時に専門業者に依頼し作成します。代表者印は商業登記規則により直径1cm以上3cm未満のサイズと定められていますが、印影の形状は規定がありません。しかし、ほぼすべての業者は慣習的に丸印を代表者印として提示しており、たいていの会社側もその流れに沿って丸印にするため、代表者印は別名「丸印」と呼ばれます。

なお、代表者印を実印として法務局に登録しなければならないという規定はありませんが、押印が必要な業務をスムーズに進めるために、代表者印を印鑑登録するのが一般的です。そのため代表者印は「会社実印」とも呼ばれることがあります。

代表者印(丸印)の役割

上述の通り、代表者印は原則的に会社の実印としての機能を持ち、個人の実印と同じく日常的に使用されるものではありません。会社にとって重要な法律行為の実行や、公に提出する書類の作成時などの用途に限定して用います。

代表者印の活用シーン

代表印の具体的な活用シーンの例をいくつかあげます。

  • 代表や役員の変更時、定款に規定のある臨時総会の議事録への押印。また登記変更申請書にも押印が必要。
  • 官公庁への届出書類(許認可申請や更新など)。専門家に委任する場合は委任状に代表印が必要。
  • 会社として締結する契約書
  • 新株発行など会社として法律行為をする時
  • 会社が正しく存在していることの証明(印鑑証明書の提出も求められる)

丸印(代表者印)と角印(社印)の違いや使い分け

一般的に会社印を用意する時には、代表者印と四角型の「角印」をセットにして作成します。角印は日常的な取引や領収書などに使われる、いわば会社の認印としての役割を持つ印鑑で、「社印」とも呼ばれます。
使用できる権限(会社行為の決定権)者が限られる代表者印と違い、角印は見積もりや請求書などの日常的な書類発行の際などに使用するため、社員であれば使用可能としている会社も多数あります。

代表者印と角印の主な違いは以下の通りです。

 
代表者印(丸印
角印(社印)
役割
会社の実印会社の認印
法務局への登録
必要(実印として利用する場合)不要(通常は実印として利用しない)
刻印内容
二重円外枠に会社名
内枠に役職名
社名のみ
サイズ
直径10㎜を超え30㎜未満
直径18㎜か21㎜が定番
20㎜~30㎜程度
用途
重要な契約時、官公庁への届出など自社発行の領収書、請求書など

丸印(代表者印)と角印(社印)の併用は可能?

印鑑登録された代表者印の認印としての使用や、印鑑証明書を要しない契約書類への角印の使用は、法律的な問題はありません。しかし実態とは異なる用途への使用は大変なリスクを抱えるため、実際には避けるべきです。
代表者印の乱用は印影をコピーされ悪用されるリスクが高まる上、勝手に持ち出されて冒用される恐れもあります。
また一般に角印は「認印」として認識されているため、契約時や書類提出時への使用は、相手方に認められないケースもあるでしょう。ひいては会社自体の信頼性にも影響が出るかもしれません。
二つの印鑑は責任を持ってきちんと使い分けるようにしましょう。

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代表者印と銀行印の違いや使い分け

会社印を作成する際、丸印、角印ともう1本丸印が入った3本セットを提示されることがあります。この2本目の丸印は、いわゆる「銀行印」として使用するための印鑑です。
銀行印に用いる丸印には社名のみ、あるいは外枠に会社名、内枠に「銀行之印」の刻印がされています。
代表者印より小ぶりで1本だけ寸胴タイプであるケースも多く、同じ丸印である代表者印との違いが一目で分かるのが一般的です。

銀行印は金融機関への登録に用いられることから、他の2本同様に会社にとって重要な印鑑です。作成は義務ではありませんが、代表者印とは用途が異なるため、別途作成しておく方が便利かつ安全といえるでしょう。

代表者印(丸印・会社実印)を作成する際のポイント

代表者印を作成する際に押さえておくべきいくつかのポイントをまとめます。

サイズ

丸印のサイズ

商業登記規則(以下「規則」)9条3項は「印鑑の大きさは、辺の長さが一センチメートルの正方形に収まるもの又は辺の長さが三センチメートルの正方形に収まらないものであつてはならない。」と定めています。実際には刻印内容の見やすさや持ちやすさなどの観点から、直径18㎜又は21㎜のサイズが定番となっています。

形状

丸印の形状

一般的な丸印には、天丸タイプと寸胴タイプがあります。寸胴タイプは個人の印鑑として一般に使われている円筒形で、天丸タイプは掴む部分が細くなっていて印面の逆側が丸い形状です。天丸タイプには蓋が付いており印面を保護できるため、法人印に用いられるのが定番となっています。

丸印の刻印内容

丸印の刻印内容

規則9条4項では「印鑑は、照合に適するものでなければならない。」とのみ規定しており、法人名さえしっかり確認できれば刻印内容としては問題ありません。一般的には丸印は外枠と内枠の二重円になっており、外枠に会社名や屋号、内枠に「代表取締役印」などの役職を刻印します。

丸印に適した書体

印面に使用する書体には特に規定はありませんので、好みの書体で作成してかまいません。
一般的には吉相体(きっそうたい)・篆書体(てんしょたい)・古印体(こいんたい)の中から選ばれます。これらの書体はそれぞれ会社印らしい風格がありますが、たいていの業者はより読みやすい行書体や楷書体での作成にも対応しています。

丸印に適した素材

規則9条4項で規定された「照合に適するものでなければならない」を満たすためには、印影が年月を経て変化しないことが必須です。そのため、耐久性が高く経年劣化しにくい堅めの木材、黒水牛の角、チタンなどを用いた作成が推奨されています。
いわゆる「シャチハタ印」やゴム印は、経年劣化が激しいため、登録が認められていません。

代表者印(丸印)を紛失した場合の対処方法

代表者の意思表示を証明する代表者印および登録時に発行される印鑑カードは、紛失、盗難などが起きないよう適切に管理すべきです。万一紛失した場合には、悪用等のリスクを抑えるためにも速やかに対応しましょう。以下で紛失した場合の対処方法を示します。

代表者印のみ紛失した場合

紛失に気がついた時点で直ちに管轄の法務局へ届け出て、改印手続を行いましょう。
印鑑廃止届を出せば代表者印としての効力がなくなりますので、法的な効力を伴う契約に用いられるなどの悪用を防げます。
できる限り早急に新しい代表者印を作成すべきですが、作成に日数がかかる場合はまず「印鑑廃止届」を提出し、代表者印を廃止しましょう。新しい代表者印の作成後、以下の書類等を揃えて法務局に提出すれば、新しい代表者印の再登録が完了します。

  • 改印届(印鑑届)
  • 新しい印鑑
  • 代表者の身分証明書
  • 代表者の実印(印鑑証明書)

印鑑カードのみ紛失した場合

印鑑カードのみの紛失であれば新たな印鑑を作る必要がないので、登録済みの代表者印を法務局に持参し「印鑑カード廃止届」と「印鑑カード交付申請書」を提出しましょう。

代表者印と印鑑カードのどちらも紛失した場合

早急に印鑑と印鑑カードの廃止届を提出し、新たな印鑑作成後に印鑑届と印鑑カード交付申請書を提出しましょう。

なお、代表者印の廃止届を提出すると、その会社は新たな印鑑ができるまで代表者印がない状態になります。その状態が長引けば業務に支障をきたすだけでなく、対外的な信用にも影響が出ますので、管理にはくれぐれも注意しましょう。代表者印と認印との併用は、紛失を防止するという観点からも避けるべきです。また、代表者印と印鑑カードの同時紛失を避けるためにも、別々に保管しておくとよいでしょう。

電子契約の場合は代表者印の押印が不要!

代表者印をはじめとする現在使用中の会社印をデータ化し「電子印鑑」として電子契約に使用できます。
ただし電子印鑑化された代表者印の印影には、法的な効力が認められません。電子契約においては、データ化された代表者印の押印だけでは不十分なのです。
「電子署名法(2001年施行)」3条は、電子契約書は「当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(中略)が行われている時は、真正に成立したものと推定する」と規定しています。有効な電子署名を行うには、電子印鑑ではなく「本人性」「非改ざん性」「固有性」などの法律の要件を満たす必要があります。

コロナ禍でリモートワーク化が進んだ現在、電子契約の普及はさらに進んでいくでしょう。
で「マネーフォワード クラウド契約」は、電子契約が安全に行える上、紙ベースによる契約と電子契約の双方を一元管理できるサービスです。是非ご参考ください。

代表者印(丸印)は重要な契約の際に使われる会社の顔となる印鑑

代表者印は、契約などにおける会社としての意思を対外に示す効力を持つ非常に重要な印鑑です。管理に気を付けるのはもちろん、代表者印の押印は契約内容を十分に確認してから行うように心がけましょう。

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よくある質問

代表者印の役割は?

会社の実印。契約締結や登記変更などの重要な行為の際に、会社が作成者であることや代表者としての権限を証明するために使用する。詳しくはこちらをご覧ください。

代表者印(丸印)と角印の違いは?

角印は会社の認印としての役割を持つ印鑑で、請求書や見積書などの会社が発行する書類に日常的に使用する。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:福谷陽子(元弁護士、法律ライター)

弁護士時代は契約書作成やレビュー、不動産取引や債権回収、破産倒産、一般民事、家事事件など多種多様な事件を取り扱っていた。今はその経験を活かし、専門的な法律知識を一般ユーザーへわかりやすく解説する法律記事の作成に積極的に取り組んでいる。
各種サイトで法律記事を執筆監修。実績は年間1000件以上。ブログやYou Tubeなどによる情報発信にも熱心に取り組んでおりチャンネルを運営中。
元弁護士・法律ライター福谷陽子のblog
世捨て人mimi
元弁護士の世捨て猫🌟ぴりか(mimi)法律ライター

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