- 作成日 : 2024年9月3日
内装工事請負契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
内装工事請負契約書とは、内装工事を請け負う業者と内装工事を依頼する施主が締結する契約書です。
この記事では内装工事請負契約書の書き方や盛り込むべき内容、注意点について、ひな形も交えてご紹介します。
目次
内装工事請負契約とは
内装工事請負契約とはハウスメーカーや工務店、リフォーム会社などの内装工事施工業者と、内装工事を依頼する施主が締結する契約です。内装工事契約書には工事の内容や代金、引き渡し、不具合の発生時などの対処方法が記載されています。
内装工事請負契約書に施工業者と施主がそれぞれ署名押印したら契約が成立となり、内装工事業者は内装工事を開始します。
内装工事請負契約書の作成が必要なケース
内装工事請負契約書は、施主が内装工事を施工業者に依頼する際に締結します。具体的には両者が内装のデザインや仕様、費用、工期などについて話し合い、それらが決まって施主が正式に工事を発注する段階で契約を結びます。
契約自体は口約束でも成立します。しかし、それでは後から「言った・言わない」のトラブルに発展するリスクが大きくなります。そこで、契約書を用いて工事の内容や取り決めを明らかにし、証拠として残しておくことが重要となるのです。
内装工事請負契約書を作成しないと違法?建築業法違反?
前述の通り契約は口約束でも成立します。しかし、内装工事の場合は必ず契約書をもって契約を締結しなければなりません。建設業法19条でその旨について定められています。
(建設工事の請負契約の内容)
第十九条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
たとえ金額が少ない、小規模な工事であってとしても、知り合いの施工業者に工事を依頼する、あるいは親族から内装工事を依頼された場合だとしても、口約束ではなく必ず内装工事請負契約書を作成し、両者が署名押印しましょう。
内装工事請負契約書のひな形
内装工事請負契約書は施工業者もしくは施主が作成します。さまざまな内容を盛り込まなければならず、独特の言い回しをするため、何もない状態で作成するのは大変です。そこで、本記事ではすぐに使えるひな形を用意しました。
内装工事請負契約書に記載すべき内容
ここからは内装工事請負契約書に記載すべき内容について項目別にご紹介します。ひな形をもとに解説しますので、ダウンロードしてご覧いただければより理解が深まるはずです。
契約者の事業者名・氏名
内装工事請負契約書を締結する内装工事業者の事業者名と施主の氏名もしくは事業者名を明記し、内装工事請負契約を締結する旨を記載します。両者の事業者名・氏名を「甲」「乙」、締結する内装工事請負契約を「本契約」と置き換えると、その後都度正式名称を記載する手間が省けます。
工事の発注
対象となる建物や工事場所、工事期間について明記します。以下のように箇条書きにするとわかりやすいでしょう。
(1) 工事対象 〇〇ビル
(2) 工事場所 〇〇県〇〇市〇〇町
(3) 工事期間 〇〇〇〇年〇月〇日から〇〇〇〇年〇月〇日
請負代金
請負代金の金額と支払期限、支払い方法、振込手数料の負担者、代金の支払いが遅延した際の遅延損害金の金額や支払条件について明らかにします。内装工事は前金を支払うケースも多々あります。「本契約締結時 金〇円(税別)」「本工事の完了時 金〇円(税別)」のように支払いのタイミングとそれぞれの金額についても明らかにしておきましょう。
引き渡し
工事が完了して施工業者が施主に引き渡す際のルールについて記載します。具体的な引き渡し期限やそれまでに間に合わない可能性が生じた際の対応方法について記します。
検収
施主は引き渡しが完了した後に、内装工事に不備がないかどうかをチェックする検収を実施しますが、その取り決めについても記載します。検収の期限や不具合があった場合の施工業者への通知、施工業者の対応について明確にしておきましょう。
契約不適合責任
契約不適合責任とは、引き渡したものが契約の内容(品質や数量など)と異なっていた際に、引き渡した側が負うべき責任のことを指します。仮に内装工事で不具合が見つかった場合、施工内容が契約書に定めたものと異なっていた場合は、施主は代金の減額や不適合の補修、損害賠償などを請求することが可能です。この項目では契約不適合が発生した場合の対処方法について明らかにします。
危険負担
当事者双方の責任によらない不具合が発生して建物が損傷した場合の損害の負担者について規定します。
譲渡禁止
両当事者が内装工事請負契約によって得る権利もしくは履行すべき義務を第三者に譲渡できない旨を記載します。一切禁止する場合もあれば、相手方の事前の書面による承諾があった場合にのみ譲渡できると規定することもあります。
再委託
施工業者が工事を下請け業者に再委託できるかどうかを規定し、「事前の書面による承諾を得た場合でなければ、本契約から生じる委託業務を第三者に再委託できない」というように条件を記載します。
契約解除および期限の利益の喪失
契約の解除や期限の利益(一定期間債務を履行しなくてもよいという債務者の利益)が喪失する場合の条件について記載します。一般的には相手方が破産した場合や行政処分を受けた場合、債務の履行が難しい状況になった場合などを条件とします。
損害賠償
一方の当事者が契約違反行為をして相手方に損害を与えた場合に、損害を補償するか否かを規定します。
合意管轄
両当事者間で紛争が発生した場合に訴訟手続を行う裁判所を指定します。「●●地方裁判所」のように裁判所を指定することもあれば、内装工事施工業者の本店所在地や施主の住所地を所管する地方裁判所と記載することもあります。
協議
内装工事請負契約に関する疑義や契約書に定められていない問題が発生した場合に、両当事者が話し合いで解決を目指す旨を記載します。
署名押印欄
契約書の末尾に契約を締結する年月日と両当事者が署名・押印する欄を設けます。ここに署名押印した時点で契約に同意したとみなされます。
内装工事請負契約書を作成する際の注意点
以上で内装工事請負契約書に盛り込むべき内容・書き方についてご紹介しました。最後に契約書を作成する際の注意点について見ていきましょう。
工事の内容が明確になっているかどうかを確認する
内装工事請負契約書を作成する際には工事の対象となる建物、工事場所、期間、代金の額や支払期限など、工事の内容や費用を明らかにしておきましょう。これが明確になっていないと、後で認識のズレが発生してトラブルに発展するリスクが高くなります。
余裕がある工期を設定する
特に施工業者の方は工期を設定する際には余裕をもちましょう。ギリギリの工期であると何らかのトラブルが発生して工期遅れが発生してしまう可能性が高くなります。その場合、施主から損害賠償を請求されるおそれもあります。また、施主においても事業を開始する、店舗を開くなどのスケジュールは、工期も踏まえて余裕をもって立てておきましょう。
不具合や損害が発生した場合の対応方法について明記をしておく
内装工事で何らかの不具合が発生する可能性も0ではありません。また、内装のトラブルは損害も大きくなってしまいます。万が一不具合が発生した際の対処方法や責任の所在についても契約書で明らかにしておきましょう。
双方がすり合わせしたうえで内装工事請負契約を締結しましょう
内装工事は金額が大きく、不具合やトラブルが発生した場合は深刻な事態にもなりかねません。内装工事を含む建設工事を請け負う際には、必ず契約書を作成することが義務付けられているので、たとえ小規模な工事、親族や知り合いの間柄であっても契約書で契約を締結しましょう。
また、「法律で決まっているから」と形式的な契約書を使うと、これまた後々トラブルにつながりかねません。工事内容の詳細を内装工事施工業者と施主がすり合わせをしたうえでそれを契約書に反映し、契約時には双方が再度その内容を精査して署名押印しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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