• 作成日 : 2022年10月14日

【雛形つき】アルバイトの雇用契約書の書き方を解説

【雛形つき】アルバイトの雇用契約書の書き方を解説

アルバイトを雇う際は正社員とは雇用形態が異なるため、雇用契約書を作成しないケースは珍しくありませんが、法律上問題はないのでしょうか。

今回は、アルバイトの雇用契約書について解説するとともに、様式となる雛形を示し、その書き方についても紹介します。

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アルバイトの雇用契約書とは?

契約の一般法である民法では、雇用契約は諾成契約とされています。書面がなくても、口頭による当事者双方の合意があれば雇用契約は適法に成立します。

特別法である労働基準法や労働契約法に別のルールが定められていれば、そちらが優先しますが、実はアルバイトに限らず正社員も含めて、雇用契約書(労働契約書ともいいます)の作成は義務付けられていません。

雇用契約書と労働条件通知書はどう違う?

雇用契約の締結について、労働基準法では「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」としています(労働基準法15条)。

この労働条件を明示した書面を労働条件通知書と呼びます。労働条件通知書は、書面交付が原則です。ただし書面で出力することができれば、労働者が希望した場合はFAXやメールなどの方法で提示することもできます。

基本的には、労働条件通知書に示された賃金・労働時間その他の労働条件について、採用希望者が納得し合意すれば、雇用契約に双方が署名して契約が締結されます。なお、2020年6月に内閣府・法務省・経済産業省の連名で契約時の押印に関する見解が発表され、「契約書には必ずしも押印の必要はない」としています。

前述のとおり、雇用契約書の作成は義務付けられていませんが、労働条件通知書は労働者を採用する際に明示しなければなりません。怠った場合は、30万円以下の罰金を科せられます(労働基準法120条1項1号)。

ちなみに、正規雇用の場合に労働条件通知書に必ず明示しなければならないのは、以下の事項です。

  1. 契約期間に関すること
  2. 期間の定めがある契約を更新する場合の基準に関すること
  3. 就業場所、従事する業務に関すること
  4. 始業・終業時刻、休憩、休日などに関すること
  5. 賃金の決定方法、支払時期などに関すること
  6. 退職に関すること(解雇の事由を含む)

さらに、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律では「1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者(正社員)の1週間の所定労働時間に比し短い労働者」は、短時間労働者として保護を図っています。

アルバイトが同法の「短時間労働者」に該当する場合は、上記の正規雇用の労働条件通知書の明示事項に加えて「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」を明示しなければならないとされているので、注意が必要です(法6条1項、同法施行規則2条)。

また、明示された労働条件が事実と相違している場合、労働者は労働契約を解除できます。

労働条件通知書について、詳しくは以下の記事で解説しています。

アルバイトの雇用契約書の雛形

アルバイトの雇用契約書の作成は任意ですが、ここでは様式の雛形を紹介します。契約内容によって必要事項を記載し、活用してください。

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アルバイトの雇用契約書に記載が必要な事項

雇用契約書を作成することには、メリットがあります。例えば双方が署名するため、雇用契約の内容に合意したことを証明する書類となります。
労働条件などを巡って裁判になった場合は、重要な証拠書類として使えるでしょう。また、雇用契約書兼労働条件通知書として両者を兼ねるケースもよくあります。そうすれば、似たような内容の書面を作成する労力を省くことができます。

ここからは、アルバイトの雇用契約書の雛形を踏まえて記載すべき事項について解説します。

入社日

双方が合意した入社日を記載します。

雇用期間

期間の定めがない場合はその旨、ある場合はその期間を記載します。なお、有期雇用の場合は更新の有無と基準についても記載しましょう。

具体的な更新の基準としては、勤務成績や勤務態度、能力、会社の経営状況などが挙げられます。

勤務場所

アルバイトとして、実際に勤務する場所を記載します。単に「本社」とするのではなく、具体的な部署についても記載したほうがよいでしょう。

勤務場所を変更する可能性がある場合は、「ただし、業務の都合により、勤務場所が変わる場合がある」ことも明記する必要があります。

仕事の内容

実際に従事する仕事の内容をすべて記載します。こちらも勤務場所と同様、変更する可能性があれば、その旨を明記します。

勤務時間

始業時刻・終業時刻と休憩時間を記載します。シフト制の場合は、その旨についても記載すべきでしょう。

休日

労働する必要がない休日を「毎週土・日および国民の祝日」「週2日」「週3日」のように記載します。

所定外労働

所定外労働をさせることがあるのかないのか、ある場合は最大でどの程度の時間になるかを記載します。休日労働についても同様に記載します。

休暇

休暇については、「年次有給休暇、夏季休暇、慶弔休暇」などと記載しますが、「詳細については、パートタイム・有期雇用労働者就業規則を参照」とすることもできます。

賃金

基本給となる時間給や諸手当、所定時間外、休日労働・深夜労働に対して支払われる割増賃金率、賃金締切日、賃金支払日、賃金支払方法などを記載します。

なお、アルバイトが短時間労働者に該当する場合には、労働条件通知書の記載事項の章で述べたように、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」の記載が必要とされています。

したがって、これらの事項も雇用契約書に記載したほうがよいでしょう。

退職に関する事項

定年制の有無やその年齢、定年後再雇用制度の有無、自己都合退職の手続きについて記載します。

以上が、一般的なアルバイトの雇用契約書の記載事項です。

法的な義務はないが記載しておいたほうがよい事項

雇用契約書は、上記の記載事項が盛り込まれていれば特段問題ありません。

それら以外の事項としては、試用期間に関する事項や社会保険の加入関係、雇用に関する相談窓口について記載しておけばよいでしょう。

試用期間に関する事項

アルバイトに限らず、試用期間を設けている事業所は少なくありません。一般的には「3ヶ月」や「6ヶ月」とするケースが多いのですが、アルバイトの場合は1ヶ月から3ヶ月の間で設定することもあります。

社会保険に関する事項

労災保険はアルバイトでも必ず適用されますが、健康保険や厚生年金保険雇用保険の被保険者となるには一定の要件があります。

要件を満たしていれば被保険者となるため、該当するか否かを記載しましょう。

被保険者となる要件は、以下のとおりです。

  1. 健康保険・厚生年金保険
    1週間の所定労働時間が通常の労働者(正社員)の4分の3未満、1ヶ月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満、またはその両方の場合で、以下の5つの要件をすべて満たす場合に被保険者となります。

    • 1週の所定労働時間が20時間以上あること
    • 雇用期間が2ヶ月以上見込まれること(令和4年10月より1年以上から2ヶ月に短縮)
    • 賃金の月額が8.8万円以上であること
    • 学生でないこと
    • 厚生年金保険の被保険者数が常時100人以上の企業に属する事業所に勤めていること
  2. 雇用保険
    以下の2つの要件を満たす場合に被保険者となりますが、昼間部の学生は対象外です。

    • 1週の所定労働時間が20時間以上あること
    • 31日以上の雇用見込みがあること

雇用に関する相談窓口

前述のとおり、アルバイト従業員が「短時間労働者」に該当する場合、労働条件通知書には「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」とともに、「雇用に関する相談窓口」も記載する義務があります。

本稿でダウンロードできる雛形には「雇用に関する相談窓口」以外の項目を設けているため、追加するか、その他の項目に記載することで「労働条件通知書 兼 雇用契約書」とすることも可能です。

相談窓口として、担当部署や担当者の役職と氏名、連絡先を記載します。

アルバイトの雇用契約を締結する際の注意点

ここまで雇用契約書の記載事項について説明しましたが、契約を締結する際の注意点も紹介しておきましょう。

雇用契約書は2部作成する

契約書はトラブルになった際に証拠書類となるものですから、通常は2部作成し、署名した契約当事者がそれぞれ1通ずつ保管するのが一般的です。原本となる1部をコピーし、それをアルバイト従業員に渡してもかまいません。

もちろん、事業所でもしっかり保管しておかなければなりません。

試用期間であっても雇用契約書を渡す

試用期間であっても法的には労働契約が締結されているとみなされ、本採用前の試用期間として解約権(解雇権)が留保されている解約権留保付労働契約と解されます。

本採用の時点で雇用契約を締結するわけではないため、試用期間の前に雇用契約書を渡す必要があるのです。

また、社会保険についても本採用時ではなく、試用期間が始まる時に資格取得の手続をしなければなりません。

最近は政府が積極的に推進していることもあり、多くの契約で書面ではなく、電子契約を活用するケースが増えています。雇用契約書も労働者が希望した場合は電子契約が可能で、電子文書に電子署名を行って契約を締結し、電子データとして保管することができます。

アルバイトの雇用契約書の書き方を知っておこう!

アルバイトであっても、雇用契約については正社員と同様に扱われます。雇用契約は口頭でも成立しますが、トラブルを回避するために雇用契約書を作成しておくことが大切です。

様式は決まっていませんが、紹介した雛形を適宜加工して活用してください。

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よくある質問

アルバイトの雇用契約書はどのような書類ですか?

正社員の場合と同様に法律で作成が義務付けられているものではありませんが、トラブルの際の証拠資料として作成すべき書類です。また、労働条件通知書と兼ねることもできます。詳しくはこちらをご覧ください。

アルバイトの雇用契約書には何を記載する必要がありますか?

雇用期間や勤務場所、仕事の内容、賃金といった労働条件通知書の記載事項の他、入社日などを記載しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:福谷陽子(元弁護士、法律ライター)

弁護士時代は契約書作成やレビュー、不動産取引や債権回収、破産倒産、一般民事、家事事件など多種多様な事件を取り扱っていた。今はその経験を活かし、専門的な法律知識を一般ユーザーへわかりやすく解説する法律記事の作成に積極的に取り組んでいる。
各種サイトで法律記事を執筆監修。実績は年間1000件以上。ブログやYou Tubeなどによる情報発信にも熱心に取り組んでおりチャンネルを運営中。
元弁護士・法律ライター福谷陽子のblog
世捨て人mimi
元弁護士の世捨て猫🌟ぴりか(mimi)法律ライター

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