- 作成日 : 2025年3月24日
工事の同意書の書き方とは?テンプレートをもとに例文や書き方を解説
工事の同意書は、工事を行う者と、工事による影響を受ける者との間で合意を形成する書類です。工事の概要やスケジュールなどが記載されています。本記事ではテンプレートをもとに、工事同意書の書き方や注意ポイントをご紹介します。
目次
工事の同意書とは?
工事の同意書は、工事を行う申請者と工事によって影響を受ける側が、工事内容や期間、責任範囲などの条項・項目を確認し、合意を形成するための文書です。基本的には口頭であっても合意は成立しますが、後々のトラブルを防ぐためにも書面化しておくことが望ましいです。
工事開始の数週間~1カ月程度前に同意を得るのが一般的です。リフォームや賃貸物件での内装工事、外装工事、エアコン取り付けなどさまざまなケースで活用されます。
工事の同意書と工事承諾書との違い
工事の同意書と工事承諾書は、どちらも工事の実施にあたって必要な許可・承諾を文書化したものですが、用途や記載内容に若干の違いがあります。
同意書は、双方が工事条件を確認し合意した事実を示すものです。一方、工事承諾書はより承認者の立場を明確にするものであり、施設管理者や賃貸オーナーが「承諾する」形で発行する場合に用いられます。いずれも一定の法的効力を有するため、内容をしっかり確認しましょう。
工事の同意書が必要なケースとは?
工事の同意書が必要とされる代表的なケースとしては、賃貸物件の内装工事やリフォーム、大規模修繕(外装工事)、エアコンや設備の新設、道路工事などが挙げられます。例えば、賃貸物件の入居者が工事を行う際には、物件の所有者や管理者からの同意が必要になります。
分譲マンションでは、マンション管理組合の許可が必要な場合や、近隣住民の承諾がいる場合もあるため、工事前に必ず同意書を取り交わすケースが多いようです。一方、軽微な修繕(小さな穴埋め程度)など管理規約上で許可不要とされている場合もあります。
工事の同意書のひな形・テンプレート
工事の同意書をスムーズに作成するためには、ひな形(テンプレート)を利用するのが効果的です。契約書を1から作る必要がなくなり、契約手続きをスムーズに進められるでしょう。
ひな形は、そのまま使うのではなく、内容を確認して案件ごとにカスタマイズしましょう。内容を簡単に変更できる、ワード形式のひな形を選ぶのがおすすめです。
マネーフォワード クラウドでは、工事の同意書のひな形・テンプレートを無料でダウンロードいただけます。適宜加筆修正して活用してください。
工事の同意書に記載すべき内容
工事の同意書には以下の内容を盛り込み、工事の情報を明らかにしておくことが大切です。
工事の申請者
工事を行う個人の氏名、または法人名と代表者の氏名、住所などを明確にします。例えば、法人の場合、「株式会社○○ 代表取締役 ○○ ○○」と記載します。
工事名
「内装工事」「外装修繕工事」「道路舗装工事」「エアコン設置工事」など、具体的な工事内容を記載します。どのような工事を行うのか、ひと目でわかるように表記しましょう。
工事場所
住所や施設名など、工事を実施する場所を明らかにします。賃貸物件の場合は部屋番号や階数を明記し、戸建ての場合には地番や登記情報などを併記することで特定しやすくなります。
工事概要
工事の規模、目的、作業内容を明示します。例えば、リフォーム工事の場合は「キッチンの配管交換」「壁紙の張り替え」など、工事の範囲を具体的に記載しましょう。
工事の期間
工事開始日と完了予定日を記入します。日付が未確定の場合は、「令和○年○月上旬~下旬」など大まかな期間でもいいので明示しましょう。
契約の年月日
同意書を取り交わす日を記載します。後のトラブル防止のため、作成日や契約日を正確に明記し、当事者間で合意が成立したタイミングを明らかにします。
同意する人の氏名・住所
工事に同意する人(承諾者)の氏名と住所を記入し、署名をもって同意が成立したと見なすことができます。
工事の同意書に関する注意点
工事の同意書を作成する際、または同意を得る際には以下の点に注意しましょう。
拒否された場合・トラブルの対処
物件の所有者や管理者、管理組合などの同意が得られない場合、工事の着手が遅れる・中止となる可能性があります。特に賃貸の場合、オーナーや管理組合の承諾が得られなければ工事が進められません。
口頭で同意を得た場合、その場は問題なくとも、後から「聞いていない」と主張されるリスクがあるため、書面での合意形成が望ましいです。
記載内容の事前確認
工事概要、期間、責任範囲などの各条項について、相手方と認識のずれがないかを事前にしっかり確認しましょう。特に、騒音や振動など周辺に大きな影響を及ぼす可能性がある場合、その内容や日時を具体的に明示することが重要です。
曖昧な表現はトラブルのもととなるため、必要に応じて専門家によるレビューを受けると安心です。
書面と口頭での説明の両立
賃貸住宅や集合住宅、公共性の高い場所では関係者の合意が得られなければ工事ができないケースもあります。事前に挨拶まわりを行い、書面だけでなく口頭でも工事の内容やスケジュールについて十分に説明し、理解を得ましょう。誠心誠意の説明が、後々のクレームやトラブル防止につながります。
工事の同意書を締結する流れ
まず、工事を実施する申請者が物件所有者、管理者、近隣住民などの承諾者に対して工事内容を説明します。次に、工事名、工事概要、期間などを記載した工事同意書を提示し、双方で条項を確認のうえ、必要に応じて修正します。
承諾者が説明および同意書の内容に問題がないと判断した場合、契約日を記入し署名押印または電子署名を行い、それが完了した時点で同意が成立します。申請者が同意書の原本を保管、すぐに提示できるようにしておきましょう。
工事の同意書の保管年数や保管方法
工事の同意書は、契約終了後も一定期間保管することが望まれます。少なくとも工事完了までは必ず保管し、一般的には5~10年程度保管するケースが多いようですが、工事の性質や賃貸契約の残存期間によっては、より長期の保存が求められる場合もあります。
紙の書類は、水濡れや火災、紛失リスクを避けるため、専用ファイルに綴じ強固なキャビネットなどに保管しましょう。電子データの場合は、改ざん防止措置(電子契約システム、タイムスタンプなど)を講じ、バックアップ体制を整えて保存します。
工事の同意書の電子化、電子契約は可能?
工事の同意書は、電子契約サービスを利用して締結することも可能です。電子署名法に基づき、電子署名やタイムスタンプを付与すれば、紙の書類と同等の法的効力が認められます。
電子契約を利用することで、同意形成のスピードが向上し、書類の作成・郵送・管理の手間やコストが削減できます。
参考:電子署名及び認証業務に関する法律|e-Gov法令検索
参考:電子署名とは?仕組みや具体的なやり方までわかりやすく解説|Money Forwardクラウド契約
ただし、相手方が電子契約に不慣れな場合は、紙の書面と併用するなど柔軟な対応が必要です。物件の所有者や管理会社、管理組合の規定によっては電子契約が認められない場合もあるため、必ず事前に確認しましょう。
クレームやトラブルを防ぐためにも、工事の際には極力同意書で同意を形成しよう
管理者や近隣住民が存在する賃貸住宅や分譲マンションなどでは、好き勝手に工事を行うと周囲に迷惑がかかり、クレームや大きなトラブルに発展する恐れがあります。
リフォームや内装工事を行う際は、必ず関係者に合意を形成しておくことが大切です。しっかりと挨拶まわりを行い、工事内容を説明するとともに、可能な限り書面で合意を取り付けましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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