- 作成日 : 2022年4月22日
電子契約システムの導入方法と注意点について解説
電子契約を締結する機会が増えたことに伴い、電子契約システムを導入する企業が増えています。
そこで、電子契約システムの導入を検討している事業者に向けて、導入の際の注意点や手順などを紹介します。トラブルなくスムーズに導入したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
電子契約とは
電子契約とは、契約締結の記録を電磁的方法で行うことです。例えば、パソコンで契約書の草案を作成し、インターネットを介してメール等でデータを契約相手に送付し、当該データを受信した相手がその内容を確認し、同意するといった流れで締結に至るのが一般的です。
テレワークや在宅勤務が増える中で、政府も電子署名の普及促進などに取り組み、電子契約が活用される場面が増えています。日本では押印手続きがネックとなり、契約実務の電子化やオンライン化が進みにくい状況でしたが、法整備によりそのような問題は解消しつつあります。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
「送信料0円」の電子契約が選ばれる理由
多くの電子契約サービスは送信料がかりますが、近年では「送信料0円」の電子契約サービスへの乗り換え・新規導入が多くなっています。
送信料0円の電子契約サービス導入のメリット・デメリットをまとめていますので、ぜひご活用ください。
導入で失敗したくない人必見!電子契約はじめ方ガイド
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電子契約サービス比較マニュアル
日本には多数の電子署名・電子契約サービスがありますが、各サービスを比較する中で「ここだけは事前に確認しておくべき」と考えるポイントを5つまとめました。
電子署名・電子契約サービスが、そのポイントを満たしているかどうかを確認するのに、ぜひお役立ていただければ幸いです。
電子契約導入後のよくある悩み3選
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電子契約の導入を検討中の方はもちろん、電子契約を導入した後に課題を感じている方にもご活用いただけます。
電子契約を導入するメリット
電子契約を導入する企業が増えていますが、その理由は以下のようなメリットがあるからです。
- コストの削減
- 業務効率の向上
- コンプライアンスの強化
これらのメリットについて、詳しく解説します。
コストの削減
電子契約を導入するメリットの一つに、「コスト削減」が挙げられます。
電子契約のフローが適切に構築されれば、従来に比べて書面の郵送などの手間が省けるだけでなく、書面のやりとりで発生していた諸費用もかからなくなります。また、契約書の保管スペースの問題も解消します。
さらに、電子契約を導入すると印紙税もかからなくなります。
不動産に関する売買契約書や交換契約書、金銭消費貸借契約書などは印紙税法上の「第1号文書」に該当し、課税対象です。書面に記載された契約金額が1万円以上の場合は納税の義務が課され、契約金額が億単位になると印紙税だけで数十万円かかります。
継続的な業務委託を行う際に作成される契約書も「第7号文書」に該当することがあり、原則的に1通につき4,000円かかります。
電子契約ではこれらの印紙税が不要なので、コストを削減できるのです。
業務効率の向上
書面の契約書で印刷・押印・送付・返送といった作業を行う場合、1通の契約書を作成するのに1週間以上かかることも珍しくありません。内部の承認に時間がかかることもありますし、相手方とのやりとり(送付・返送)にも時間がかかります。
電子契約であれば、契約書の到着を待つ必要はありません。システム上でやりとりを行えば迅速に手続きを進められます。タイムラグがほとんどないため、業務効率が大幅に向上するでしょう。
BCP(事業継続計画:business continuity planning)の観点でもメリットがあります。重要な契約書等を失うリスクや、大災害やテロによる業務効率の低下を抑えられます。
コンプライアンスの強化
コンプライアンスを強化するためには、社内の相互監視体制を整える必要があります。
相互監視体制は、電子化を進めることで構築しやすくなります。各種データにいつでもどこからでもアクセスでき、誰がどのようなアクションを起こしたのかという記録も残るからです。電子化に向けたシステムが適切に導入されていることが前提ですが、電子契約を導入することはコンプライアンスの強化にもつながります。
契約書の網羅的な調査も書面に比べてスピーディーに行えますし、管理もしやすくなります。また、遠隔地からでも調査や管理を行うことができます。
電子契約を導入する際の注意点
電子契約には多くのメリットがありますが、導入する際はいくつか注意すべきこともあります。
電子契約に対応していないケースがあることや、セキュリティ対策の重要性が高まること、社内への周知・理解が重要であることを認識した上で、慎重に導入を進めていきましょう。
電子契約ができない書類もある
電子契約システムによって技術的なハードルがクリアできたとしても、法令上電子契約が認められていない契約書は電子化ができません。
例えば、農地の賃貸借を行う場合、契約内容を記した書面の作成が法律で義務付けられています。近年は、書面作成が義務付けられている書類について「電磁的記録でもよい」とする規定が増えていますが、未だ紙でのやりとりしか認められていないものもあります。
任意後見契約書のように、公正証書での作成が義務付けられているものも、電子化が認められていません。任意で契約書を公正証書として作成する場合も同様です。
作成しようとしている契約書等に書面作成の義務が課されていないかどうか、事前に確認しておきましょう。
セキュリティ対策が必要になる
電子契約を導入すると、契約書等を紙で保存する場合に比べて紛失や盗難のリスクを抑えられますが、システムのセキュリティレベルが低いと不正アクセス等による問題が生じます。
そのため、できるだけセキュリティレベルが高いシステムを導入するべきであり、各端末のセキュリティ対策も必要になります。
セキュリティ対策を強化したとしても、実際に操作を行う従業員等が不適切な行為を行うと、データ漏えいなどが生じるリスクがあります。そのため、社内のセキュリティ意識を高めるための教育・研修などを行う必要もあるでしょう。
社内への周知・理解が必要
電子契約の導入にあたっては、社内の理解を得ることも大切です。
事前に電子契約の導入に関して周知し、全社的に電子契約システムの導入と、新たな業務フローの構築に取り組むべきです。
一部の者だけが導入を推し進めると、「やり方がわからない」「ルールがないので都度確認しなければならない」といったトラブルが生じるおそれがあります。
電子契約のメリットを最大化するためにも社内への周知を徹底し、理解と協力を得ましょう。
電子契約の導入手順と流れ
ここでは、電子契約を導入する際の手順について簡単に説明しますので、これから導入しようと考えている方は流れを把握しておきましょう。
課題の設定と導入目的の決定
導入すべきシステムの要件を見出すためにも、より効率的な運用フローを設計するためにも、まずは現在の課題を把握しましょう。
現在、契約書の作成はどのようなフローで行われているのか、どのような仕組みで管理しているのか、どのような問題を抱えているのかといったことを整理します。
漠然と導入を進めても、期待する効果は得られないでしょう。課題を設定し、何のために導入するのか、何を改善するのかといった目的を明確化することが大切です。
電子契約システム選定
課題が明確になり、目指すべきゴールが定まれば、それに到達するための機能等を持つ電子契約システムを探します。
電子契約システムもさまざまなタイプがあり、最低限の機能のみを備えたものから契約実務を広くサポートするものまであり、それぞれに特色があります。
大切なのは、自社に合ったものを選ぶことです。他社がある電子契約の導入と運用に成功しても、自社で同等の効果を発揮するとは限りません。また電子署名法の要件を満たす電子署名がされ、手書きの署名や押印と同様の法的効力が認められるものを選ぶことも重要です。
予算と導入スケジュールの決定
サポートの範囲が広く、機能が豊富なシステムであれば、電子契約の導入がうまくいくかもしれませんが、予算も考慮しなければなりません。不要な機能を備えたシステムを導入して予算がオーバーすることのないように、自社にとってバランスのとれたシステムを選定してください。
予算も考慮した電子契約システムを選んだら、導入スケジュールを組みます。本格的に運用開始する日を決めたり、それまでにすべきこととそれに要する期間などを整理したりして計画を立てます。
社内や取引先と調整
本格的に運用するまでに、社内調整と社外調整を行いましょう。
従業員が、電子契約の導入に否定的であることも考えられます。事前に不安や不満を解消しておく必要があるため、社内には導入のメリットを正しく伝えるとともに、導入後に変わることなどを明確に伝えておくことも大切です。
取引先に対しても、必要に応じて説明をしておきましょう。今後のやりとりのフローが変わる場合はその旨を伝え、できるだけ不満や不安が生じないようにしておくべきです。また、電子契約のフローや方法を相手に説明できるように、マニュアルを作成しておくことをおすすめします。
ルール作りと活用に向けた社内アナウンス
電子契約システムを最大限に活用できるよう、運用ルールを設けましょう。
統一的な処理ができるように体制を整え、担当者によるばらつきを抑えます。
また、操作方法やセキュリティに関する社内教育も行い、導入直後の業務効率低下やトラブルを予防してください。
電子契約システムの導入
上記の準備が完了したら電子契約システムを導入し、運用を開始します。
導入効果の検証
電子契約システムを導入した後、効果検証を行います。
まずは当初設定した目的を達成できているのかどうかを確認し、コストをどの程度削減できたのか、業務効率がどの程度改善されたのかといったことを測定します。
定量的な効果測定に加えて、担当者にヒアリングを行って定性的な評価を確認するのもよいでしょう。
このような検証を通して今後の改善点を特定し、さらに導入の効果を高めるために必要なことを見極めていきましょう。
自社に合った電子契約システムを導入しよう
電子契約システムを導入すると、契約書の作成やその電子化が円滑になります。
ただし、自社に適した電子契約システムを選ぶことが重要なので、自社に必要な機能などを事前に検討した上で判断してください。
よくある質問
電子契約の導入にはどのようなメリットがありますか?
主にコストの削減や業務効率の向上、コンプライアンスの強化といったメリットがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
どのような手順で電子契約を導入するとよいですか?
導入する目的を明確にした上で自社に適した電子契約システムを選定することに加えて、社内の運用ルールも策定し、導入を進めてください。詳しくはこちらをご覧ください。
電子契約を導入する上では何に注意すべきですか?
セキュリティ対策を行うことは非常に重要です。また社内の理解を得ず、一部の人だけで導入を進めることのないように注意してください。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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