• 作成日 : 2023年11月10日

建設業法とは?概要や違反事例、改正内容について解説

建設業法とは?概要や違反事例、改正内容について解説

建設業法とは、建設業の健全な発達促進などを目的として制定されている法律です。建設業者は「建設業法」という法律に従って業務を行わなければなりません。仮に違反した場合は重大なペナルティが科せられる可能性もあります。

この記事では建設業法の基礎知識についてわかりやすく解説し、違反した場合の罰則や違反事例もご紹介します。特にこれから建設業で働かれる方、起業される方はしっかりと押さえておきましょう。

建設業法とは?わかりやすく解説

建設業法は、建設業者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化、建設業者の発注者保護、建設業の健全な発達における促進を目的として制定されました。

(目的)

第一条 この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

引用:建設業法|e-Gov法令検索

そもそも建設業とは?

建設業と一口に言っても請け負う業務が幅広いですが、一般的には「土木建築の工事を請け負う業者」を指します。建設業法の規制対象となる建設業は建設業法第二条に定義されています。

(定義)

第二条 この法律において「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう。

2 この法律において「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。

引用:建設業法|e-Gov法令検索

つまり、建設業とは以下の建設工事を請け負う業者のことを指します。

■別表第一(第二条、第三条、第四十条関係)

土木一式工事土木工事業
建築一式工事建築工事業
大工工事大工工事業
左官工事左官工事業
とび・土工・コンクリート工事とび・土工工事業
石工事石工事業
屋根工事屋根工事業
電気工事電気工事業
管工事管工事業
タイル・れんが・ブロツク工事タイル・れんが・ブロツク工事業
鋼構造物工事鋼構造物工事業
鉄筋工事鉄筋工事業
舗装工事舗装工事業
しゆんせつ工事しゆんせつ工事業
板金工事板金工事業
ガラス工事ガラス工事業
塗装工事塗装工事業
防水工事防水工事業
内装仕上工事内装仕上工事業
機械器具設置工事機械器具設置工事業
熱絶縁工事熱絶縁工事業
電気通信工事電気通信工事業
造園工事造園工事業
さく井工事さく井工事業
建具工事建具工事業
水道施設工事水道施設工事業
消防施設工事消防施設工事業
清掃施設工事清掃施設工事業
解体工事解体工事業

引用:建設業法|e-Gov法令検索

道路やトンネルなどを造る土木工事や、住宅を建てる大工、壁や塀などを塗る左官、足場を組むとび、その他電気工事や塗装工事、防水工事、造園、解体など、幅広い業種が建設業に該当し、建設業法にのっとって工事をすることが求められます。

建設業法の成立の背景

建設業法は1949年(昭和29年)に制定されました。当時は第二次世界大戦終結から4年が経過し、戦後復興に向けた動きが急速に進んでいた時期です。一方で建設業者が乱立し経営難や資金難に陥る業者も増加し、請負契約に関するトラブルが多く適正な工事が阻害されていたという問題点もありました。

また、建設事業は国民経済の発展や公共の福祉の実現に大きく関わる産業であり、動くお金も莫大なものとなります。そこで、建設工事の適正な施工の確保と建設業の健全な発展を目的として建設業法が制定されたのです。

その後の建設業法は、高度経済成長やバブル崩壊、阪神大震災や東日本大震災などの災害の発生、働き方改革など、社会情勢やニーズの変化などによって細かく改正がなされてきました。

建設業法の主なルール

建設業法は主に「建設業の許可制」「建設工事の請負契約に関する規制」「主任技術者・監理技術者の設置」という3つの大きな柱から構成されています。それぞれどのようなルールが定められているのか、詳しく見ていきましょう。

建設業の許可制

建設業を営む際には国土交通大臣もしくは都道府県知事の許可が必要です。こうしたルールがあることで、悪徳業者の排除や業界の健全発展につながります。

(建設業の許可)

第三条 建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。

引用:建設業法|e-Gov法令検索

例えば、東京都内のみに営業所(※会社の本店や支店、あるいは請負契約を締結する事務所)を設けて営業する場合は、東京都知事の許可が必要となります。東京都のほかに神奈川県にも営業所を設ける場合は国土交通大臣の許可を取らなければなりません。

また、許可は業種別、例えば土木一式工事、建築一式工事を行っているのであればそれぞれに対して許可を取得すること、5年ごとに許可を更新すること、発注者から直接請け負う1件の工事代金が4,500万円(※建築工事業の場合は7,000万円)を超える場合は特定建設業の許可が必要であるといったルールが定められています。

建設業の許可に関する規則は「建設業法第2章 建設業の許可(第3条~17条)」で規定されているので、許可申請手続きをする際には確認してみましょう。

無許可で建設業を営んだ場合、特定建設業者ではないものが一定金額以上の工事を請け負った場合、許可申請書に虚偽の記載をした場合などが違反行為に該当します。

建設工事の請負契約に関する規制

「建設業法第3章 建設工事の請負契約(第18条~24条)」には工事請負時に締結する請負契約のルールについて定められています。発注者と請負業者など、当事者同士が対等な立場となるような内容で請負契約を結び、お互いが相手方の信頼関係を裏切らないよう契約を履行しなければなりません。このルールを守ることで、発注者、受注者双方の権利が保護されます。

(建設工事の請負契約の原則)

第十八条 建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従つて誠実にこれを履行しなければならない。

引用:建設業法|e-Gov法令検索

具体的には請負契約に盛り込むべき内容、現場代理人の選任等に関する通知、発注者の禁止行為、建設工事の見積もりに関するルールの仕方、工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の提供、契約の保証、元請け人の義務、建設工事の請負契約に関する紛争の処理などについて定められています。

建設工事の発注者が不当に低い請負代金で発注する行為、不当な使用資材などの購入を強制する行為、著しく短い工期で発注する行為をすることが禁じられています。

主任技術者・監理技術者の設置

建設業には施工現場で技術的な管理を行う「主任技術者」や「監理技術者」を置かなければなりません。建設工事の担い手の育成や施工技術の確保を目的としてこのようなルールが定められています。

主任技術者は所定の教育を受けている、該当建設工事に関する10年以上の実務経験を有する、国土交通大臣による認定を受けているという3つの要件のうちいずれかに該当する人がなれます。建設業者は工事を行う際には、必ず主任技術者を配置しなければなりません。

監理技術者は所定の検定試験に合格する、該当建設工事に関する2年以上の指導監督的な実務経験を有する、国土交通大臣の認定を受けるという3つの要件のいずれかを満たしている必要があります。特定建設業者が4,500万円以上(建築工事業の場合は7,000万円以上)の工事を行う際には、監理技術者を置かなければなりません。

(主任技術者及び監理技術者の設置等)

第二十六条 建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。

2 発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が第三条第一項第二号の政令で定める金額以上になる場合においては、前項の規定にかかわらず、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者(当該建設工事に係る建設業が指定建設業である場合にあつては、同号イに該当する者又は同号ハの規定により国土交通大臣が同号イに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者)で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「監理技術者」という。)を置かなければならない

引用:建設業法|e-Gov法令検索

「建設業法第4章 施工技術の確保(第26条~27条)」には、主任技術者や監理技術者の登録要件や欠格条項、講習、業務の休廃止、検定試験などのルールが定められています。

建設業法に違反するとどうなる?罰則は?

建設業法に違反した場合、懲役3年以下または300万円以下の罰金、法人に対しては1億円以下の罰金という重い刑事罰が科せられる場合があります。また、これとは別に「指示処分」「営業停止処分」「許可の取消処分」といった行政処分が下される可能性があります。

指示処分

指示とは法令違反や不適切な状態を是正するために、監督行政庁が違反建設業者に対して措置を命令することです。監督行政庁とは営業許可を与えた国土交通大臣や都道府県知事のことを指します。

営業停止処分

違反建設業者が上記の指示処分に従わなかった場合、監督行政庁が営業停止を命ずる場合があります。営業停止期間は1年以内で、監督行政庁の判断によって期間が決められます。なお、営業停止処分になった場合は業者名と所在地が官報によって公開され、国土交通省のホームページにも公表されるため、処分を受けたことが世間に知れ渡ってしまいます。

許可の取消処分

不正な手段で建設業の許可を取得したり、営業停止処分に反して営業を継続したりすると、建設業許可の取り消しがされ、建設業を営むことができなくなってしまいます。3つの行政処分の中ではもっとも重いものです。やはり営業停止処分が科せられたことが世間に公表されてしまいます。

建設業法の違反事例

以上のように建設業法に違反した場合は行政処分が科せられる可能性が高いでしょう。ここからはどのような行為で行政処分が科せられたのかといった事例について見ていきましょう。

指示処分

工事現場に適切な主任技術者を配置していなかった、特定建設業者が一定額以上の工事を請け負った、営業停止処分が科せられている業者と下請契約を締結した、一括下請け(丸投げ)を行っていたなどの理由で、指示処分が下された事例があります。

営業停止処分

指示処分を受けたにもかかわらず、それに従わず営業を継続した、不正な手段で営業許可を取得した、虚偽申請を行ったといった理由で営業停止処分が下された事例があります。また、建設業者が談合や贈賄、入札妨害、独占禁止法違反、建築基準法違反、脱税などの犯罪行為によって営業停止処分が下されるケースもあります。

許可の取消処分

上記の指示処分、営業停止処分に従わなかったケースに加え、不正な手段で営業許可を取得した、経営業務の管理責任等者や専任技術者が不在になった、役員等の懲役刑が確定した、建設業法違反によって罰金刑が科せられた、暴力団との関わりがあったなどのケースで許可の取消処分が下された事例があります。

建設業法の改正のポイント

冒頭でも述べたとおり、建設業法は時代の流れに合わせて、その都度改正されており、2023年1月1日にも改正建設業法が施行されました。

2023年の改正のメインは、特定建設業許可が必要な下請け金額の変更です。2022年までは「3,500万円以上」という要件でしたが、2023年からは「4,000万円以上」に緩和されています。また、施工体制台帳の作成が必要な下請け金額に関しても同様に、「4,000万円以上(建築工事業の場合は7,000万円以上)」から「4,500万円以上(建築工事業の場合は7,000万円以上)」に変更されています。

主任技術者・監理技術者の専任配置が必要な請負代金額、特定専門工事の下請代金に関しても変更がなされています。労働力不足や工事費の上昇を踏まえ、規制緩和がなされました。

建設業に携わる人、起業する人は必ず建設業法を押さえておこう

建設業法は業界全体が健全に発展するために、そして発注者と受注者双方の権利を保護するために必要不可欠なルールが定められた法律です。違反すると行政処分や刑事罰が科せられる恐れもあります。

現在建設業に携わられている方、営まれている方はもちろん、これから建設業界で働かれる方、起業される方も、必ず建設業法の概要を把握しておきましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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