- 更新日 : 2025年1月9日
契約書コピーの効力は?契約書の「収入印紙代」を簡単に節約できる3つの方法
「この契約書にはこの金額の収入印紙」普段、何気なく契約書に決まった額の収入印紙を貼っていませんか?
契約金額が高額であったり、同一の契約書を大量に作成したりする場合、収入印紙の額は馬鹿になりません。しかし、これらの収入印紙はちょっとした工夫で実はかなりの金額を節約することができるのです!
今回は専門家がお勧めする「契約書の収入印紙を節約する“3つの方法”」をご紹介します。
目次
収入印紙の節約法 1「契約書をPDF化する」
契約は、法律などで書面により締結することを要求されていない限り原則として口頭でも成立します。それでも多くの場合に契約書を作成する理由は、当事者間の合意内容を明確にしてトラブルを避けるためです。
ただ、合意内容を明確にしておくための契約書であれば、必ずしも収入印紙が必要であるとは限りません。
何かと利便性が高いPDFファイル(電子化)
例えば契約書をPDF化し、メールに添付で送信した場合を考えます。メール本文において契約内容の合意が確認できるようにしておけば、あえて契約書を紙で作成する必要性はほぼなくなります。
また書類が溜まることもなく、何かあった時にすぐに検索することもでき利便性も高まります。
国税局も認めている
日本の場合、特にこういった電子化による効率化に対して遅れている印象がありますが、実際には国税局もこのような“電磁的記録”を利用した契約書締結対して収入印紙を貼る必要はないと解釈している事例があります。
「もし訴訟になった時にPDFファイルや電子メールの内容が証拠になるの?」という疑問も浮かびますが、実際の訴訟では電子メールの内容は極めて強い証明力を有する証拠として扱われています。
紙媒体から電子化へ
企業会計もクラウドで管理できる現代、契約書もやっとスマートに使える時代になってきました。今ある契約書の中でも、これを機に電子化できるものは電子化してしまうことも、十分に検討に値するのではないでしょうか。
参考:国税局「請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について」(平成20年10月24日回答参照)
参考:経済産業省「電子署名及び認証業務に関する法律」(平成12年5月31日法律第百二号参照)
収入印紙の節約法 2「契約書のコピーを利用」
契約書を作成する場合には、契約当事者の人数分の原本を作成することが一般的です。この場合、全ての契約書に収入印紙を貼る必要があります。
原本もコピーもほぼ「同じ効力」を発揮
しかし実は署名押印がなされている契約書の原本もコピーも、契約の効力は原則として同じです。契約書とは契約当事者の合意を明確にするために作成されるものであり、コピーであっても契約当事者間の合意を明らかにできるためです。
そのため、契約書の原本を1通作成し収入印紙を貼り、関係者には原本のコピーを交付する事で必要な収入印紙を節約することができます。この方法を取れば、コピー代だけの比較的低コストで関係者全員に契約内容を配布し、事業リスクを下げることが可能となります。
契約書の内容によっては注意が必要
ただし、1つ注意点があります。それは「この写しは原本と相違ない」などの証明文書がコピーに記載されていると課税文書となり、収入印紙を貼る必要が生じてしまうことです。この場合は一度契約書の内容を確認する必要があります。
PDF化する場合と比べるといささか原始的に思われますが、多くの人の盲点になっているのが、この「コピーを活用して節約する」という方法なのです。
収入印紙の節約法 3「契約書の金額の表記を変える」
契約書の種類によっては、金額の表記を変えるだけで収入印紙を節約することができます。
例えば請負契約書で「請負金額1,080万円(税込)」と記載されている場合、契約金額は1,080万円であるとして、2万円の収入印紙が必要になります。
一方で、同じ金額でも以下のように記載すると契約金額が1,000万円であるとして収入印紙を1万円に節約できます。
(1)請負金額 1,080万円(税抜価格1,000万円 消費税額等80万円)
(2)請負金額 1,080万円(うち消費税等80万円)
(3)請負金額 1,000万円 消費税額等80万円 合計1,080万円
ただし、この取扱いの対象となるものは、以下の印紙税額一覧表における1号、2号及び17号書面となりますので注意が必要です。
PDF化やコピーは取引先や案件によって導入するのが難しい場合がありますが、この方法は契約書の種類が該当していればどんな時でも活用できる必見のテクニックです。
まとめ
そもそも、収入印紙代を節約するという発想を持つ方はあまり多くはいないかも知れません。
競争が激化している現在だからこそ、小さな節約を重ね大きな効果を生み出した者が勝ち残るのです。今回は取り組みやすい3つの方法を紹介しましたが、まだまだ多くの節約術が存在します。
「契約書をPDF化する」「契約書のコピーを利用」「契約書の金額の表記を変える」といった工夫をすることで、実は大きな成果が出せる収入印紙節約術、ぜひ試してみてください。
契約書の収入印紙についてもっと知りたい方は契約書に収入印紙が貼られていない場合は無効なの?も参考にしてみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
収入印紙に消印は必要?適切な押し方や印鑑の種類を解説
契約書や領収書などの文書は、印紙税法の規定に従い印紙税の課税対象になることがあります。書類に印紙を貼る場合、収入印紙を貼付した上で消印を押さなければなりません。どのように消印を行うのか、適切な押し方や使用できる印鑑の種類など、契約書作成に関…
詳しくみる産廃契約書に印紙は必要?200円と4000円の違いや負担者、不要な場合を解説
産廃契約書には、基本的に印紙の貼付が必要です。ただし、産廃契約書は3つに分類でき、それぞれ該当する課税文書が異なるため、印紙税額も変わります。本記事では、産廃契約書の種類ごとの印紙税額や、いくらの印紙が必要か判断する方法を解説します。印紙を…
詳しくみる秘密保持契約書(NDA)に印紙は不要?必要な場合や割印の押し方を解説
秘密保持契約書(NDA)には、原則として収入印紙(印紙)が不要です。ただし、文書の記載内容次第で課税文書として印紙を貼らなければならないことがあります。 印紙を貼る場合にいくら必要になるかは、内容や金額によってさまざまです。本記事では、秘密…
詳しくみる運送契約書に印紙は必要?金額や貼り方、不要なケースを解説
運送契約書には原則として、締結時に収入印紙を貼る必要があります。収入印紙なしで運送契約書を締結すると、後に追徴課税を受ける恐れがあるのでご注意ください。本記事では、運送契約書に貼るべき収入印紙の金額や、貼る場所、消印(割印)の押し方、当事者…
詳しくみる売買契約書に印紙は必要?金額や貼り方、どちらが負担するかを詳しく解説
課税文書の売買契約書には、収入印紙(印紙)が必要です。ただし、契約書の種類や記載されている金額などによって、印紙税額が異なることや印紙なし(非課税)になることがあります。 また、印紙を貼る際は割印を忘れずにしましょう。本記事では、売買契約書…
詳しくみる取引基本契約書に印紙は必要?どちらが負担する?金額や不要な場合を解説
取引基本契約書とは、継続的な取引を実施する際に結ぶ契約書のことです。取引先から「作成したい」と提案された経験がある担当者もいるでしょう。 本記事では、取引基本契約書を作成する際に印紙が必要なのか、どちらが負担するのかについて解説します。あわ…
詳しくみる