• 更新日 : 2022年12月2日

商業登記電子証明書とは?オンラインで取得する流れを解説

商業登記電子証明書とは?オンラインで取得する流れを解説

商業登記電子証明書とは、商業登記や公証をオンラインで行えるようになる非常に便利なものです。商業登記電子証明書は、登記所に申請して発行してもらえます。この記事では、商業登記電子証明書の用途や発行方法についてご紹介します。

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商業登記電子証明書とは?

まず、商業登記電子証明書がどのようなものなのか、何に利用できるのかを説明します。

オンライン申請の手続に利用できる

商業登記電子証明書は、商業登記のオンライン申請を行う上で欠かせないものです。

商業登記法や同規則の改正が進み、会社をはじめとする法人に関する商業登記のオンライン申請の利便性が向上しています。登記所に出向かずとも登記が完了するので、企業にとってオンライン申請はメリットのある仕組みです。

商業登記のオンライン申請を行うにあたり、これまで窓口で行っていた本人確認もオンラインで行わなければなりません。電子データの作成者について、オンライン上で本人確認を行うために用いられるのが「商業登記電子証明書」です。商業登記電子証明書により、電子データの受領者(法務局や自治体など)は、その電子データの作成者が誰なのか、電子データが改ざんされていないかといったことを確認できるのです。

商業登記電子証明書は法務局しか発行できない

商業登記のオンライン申請で必ず用いることになる商業登記電子証明書ですが、これを発行できるのは法務局のみです。

商業登記に基づく電子認証制度は、法務局(登記所)が管理する会社や法人の登記情報をベースにして、会社や法人の代表者に対し商業登記電子証明書を発行する仕組みです。そのため、商業登記電子証明書を取得したい場合、登記情報を有している登記所に申請し、発行を受けることになります。

書面で申請することもできますが、令和4年2月15日以降はオンラインで申請することも可能になりました。

商業登記電子証明書を利用することができるオンライン申請

商業登記電子証明書を利用してできるオンライン申請の種類は多岐にわたります。ここでは、どのような手続がオンラインで可能なのかご紹介します。

企業の業務として関わりが深い手続は、以下のものが挙げられます。

  • 商業登記のオンライン申請
  • 電子公証のオンライン申請
  • 印鑑証明書のオンライン請求
  • e-Taxを用いた国税の電子申告
  • eLTAXを用いた地方税の電子申告
  • 社会保険および労働保険関係の手続

いずれも企業の業務として日常的に発生する手続です。これらを商業登記電子証明書を用いずにやろうとすると、わざわざ紙の書類を持って登記所、税務署、年金事務所、労働基準監督署などへ行かなければなりません。商業登記電子証明書を取得してオンラインで手続を進められるようにしておけば、登記所などに行くことなく手続できます。

また、必要となる業種は限られますが、商業登記電子証明書の利用により、以下の手続もオンラインで行えるようになります。

  • 特許のインターネット出願
  • 自動車保有関係手続
  • 総務省の電波利用の電子申請/届出
  • 防衛装備庁の電子入札/開札
  • オンラインでの支払督促手続
  • 府省共通の電子調達システム
  • 電子自治体における各種の申請/届出

このように、商業登記電子証明書があれば数多くの手続がオンラインで完結します。商業登記電子証明書の取得やオンライン申請を行うための体制づくりには、短期的にみるとある程度の費用や労力はかかりますが、中長期的にみれば、コスト削減に大きく貢献するでしょう。
加えて、昨今の新型コロナウイルス感染拡大の状況に鑑みれば、オンライン申請の活用は公衆衛生の観点からも有意義といえます。

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商業登記電子証明書の発行手数料

商業登記電子証明書を取得するためには、いくらかの発行手数料が必要です。無料での取得はできません。
発行手数料は、証明期間の長さに応じて1,300円~9,300円です。

証明期間3ヶ月6ヶ月9ヶ月12ヶ月15ヶ月18ヶ月21ヶ月24ヶ月27ヶ月
手数料1,300円2,300円3,300円4,300円5,300円6,300円7,300円8,300円9,300円

証明期間とは、取得する商業登記電子証明書の有効期間のようなものです。証明期間の長さは上記の期間から申請者が選択できます。証明期間が長い方が、商業登記電子証明書の取得を申請する頻度を減らせます。

もっとも、証明期間内であっても会社の商号、本店所在地、代表者の氏名など、電子証明書の記載内容に変更が生じると、取得した商業登記電子証明書が失効してしまいます。失効した場合、証明期間を満了していなくても一度払った手数料は戻ってきませんので注意が必要です。

証明期間が長ければ長いほど手数料は割安になりますが、記載内容に変更が生じる可能性も考慮し、自社の実態に合わせて証明期間を選択しましょう。

商業登記電子証明書を取得するまでの流れ

では、商業登記電子証明書を取得するにはどうしたらいいのでしょうか。書面で取得申請する方法もありますが、今回はオンラインでの取得申請の流れをご紹介します。

電子証明書発行申請に必要な専用ソフトウェアを入手する

商業登記電子証明書の取得を申請するためには、申請に必要な電子ファイルを作成しなければなりません。この電子ファイルは、専用ソフトウェア「商業登記電子認証ソフト」を使って作成します。

「商業登記電子認証ソフト」は法務局が提供しているソフトウェアで、法務局ホームページからダウンロードできます。ダウンロードにあたり費用はかかりません。

なお、商業登記電子証明書の取得申請をオンラインで行うのが初めての場合、「申請用総合ソフト」をダウンロードする必要があり、登記・供託オンライン申請システムを使うためには、事前に申請者情報登録も必要になります。

参考:「商業登記電子認証ソフト」のダウンロード

電子証明書を用意する

取得申請した者の本人確認や電子署名を付すため、事前に電子証明書を取得しておかなければなりません。

ここで必要となる電子証明書は、公的個人認証サービス電子証明書、特定認証業務電子証明書(例:セコムパスポートforG-ID)のいずれかです。なお、すでに商業登記電子証明書を取得している場合、有効期間内に限り、取得済みの商業登記電子証明書を用いて新しい商業登記電子証明書の取得申請を行うことができます。

電子証明書発行申請に必要なファイルを作成する

商業登記電子認証ソフトをダウンロード・インストールしたら、これを使って電子ファイルを作成します。申請に必要な電子ファイルは「鍵ペアファイル」と「証明書発行申請ファイル(SHINSEIファイル)」の2つです。

「鍵ペアファイル」とは、電子証明書を作成するために必要な秘密鍵と公開鍵のペアのファイルで、SHINSEIファイルとは、会社情報、代表者情報、公開鍵の情報が記録されたファイルです。

商業登記電子認証ソフトを開くと操作手順が記載されたメニュー画面が表示されるので、この記載に従い作成を進めます。緊急時に商業登記電子証明書の使用をストップするための暗証コードの入力を求められるので、事前に暗証コードを決めておくとスムーズです。

作成した電子ファイルを送信する

申請書情報に、作成した「証明書発行申請ファイル」を添付し、申請人が電子署名を付与したものを登記・供託オンライン申請システムへ送信します。

手数料を納付する

インターネットバンキング、モバイルバンキングまたはATMでの電子納付を用いて、手数料を納付します。登記・供託オンライン申請システムへ電子ファイル等を送信すると、手数料納付のための「電子納付情報」が発行されます。「電子納付情報」が発行された日の翌日から起算して1日間が納付期限(発行されてから、おおむね2日以内)となりますので、電子ファイルを送信したらすぐに手数料を納付しなければなりません。他の公的サービスと同様に、商業登記電子証明書の手数料も前払いです。

電子証明書の取得(ダウンロード)

手数料納付まで完了すると、申請総合ソフト上の「処理状況」の欄が「手続終了」の表示になります。この表示になったら、「お知らせ」内に電子証明書のシリアル番号が通知されています。

商業登記電子認証ソフトの「電子証明書の取得(ダウンロード)」をクリックし、作成した「鍵ペアファイル」やシリアル番号を入力した上で、「電子証明書取得実行」をクリックします。これで、商業登記電子証明書のオンラインでの取得は完了です。

商業登記電子証明書を更新する方法・手続

取得した商業登記電子証明書の証明期間が満了した場合、新しい商業登記電子証明書を取得することになります(そのため、厳密にいえば「更新」ではありません)。
手順は前章「商業登記電子証明書を取得するまでの流れ」と同じです。

商業登記電子証明書のメリット・デメリット

商業登記電子証明書の最大のメリットは、登記、納税、保険などの手続をオンラインでできるため、各機関の窓口まで行かずに済むという点です。また、申請書類などをプリントアウトして郵送する必要もありませんから、これらのコストも削減できます。暑い(寒い)日や天気の悪い日に書類を持って役所に行かなくてもよくなることは、大きなメリットといえるでしょう。

デメリットとしては、発行の度に手数料がかかることやオンライン申請のやり方に慣れる必要があるという点が挙げられます。特に後者は、パソコンなどの電子機器に慣れていない人にとっては大きな負担となります。そのため、まずは手数料負担の小さな短い証明期間の商業登記電子証明書を取得し、使い勝手を確かめてから長い証明期間のものに切り替える方法をおすすめします。

商業登記電子証明書で登記、納税、保険等の手続がオンラインでできる

商業登記電子証明書を取得すれば、様々な手続がオンラインでできるようになります。初期投資として一定の費用や労力は発生してしまいますが、中長期的にみれば企業に大きなメリットをもたらすものです。この記事を参考に、積極的に導入してみてください。

参考:電子証明書取得のご案内

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よくある質問

商業登記電子証明書とは何ですか?

登記や納税などの手続をオンラインで行う際に必要になる電子証明書です。法務局から発行されます。詳しくはこちらをご覧ください。

商業登記電子証明書を利用することができるのは、どのような手続ですか?

商業登記、国税・地方税の申告、社会保険・労働保険の手続や印鑑証明書の請求など多岐にわたります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:及川善大(弁護士)

及川法律相談事務所代表。1979年生まれ、宮城県出身。2010年9月司法試験合格。2012年1月に山形県弁護士会に弁護士登録し、同年11月に及川法律事務所を開設。民事、家事、刑事、会社関係を問わず、様々な事件を取り扱っている。また、現在は日弁連の災害復興支援委員会の委員であり、東日本大震災による原発事故避難者への支援や、各種災害からの復興支援も行っている。2021年4月からは、山形県弁護士会の副会長も務めている。

及川法律事務所

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