• 作成日 : 2022年2月10日

業務委託契約書とは?書き方とテンプレートを紹介

ほとんどの「契約」は二当事者の合意のみで成立する「諾成契約」がですが、実際の取引では契約書を作成し、取り交わすケースが多いです。ここでは業務委託契約書の目的や種類、請負契約・委任契約・雇用契約との違いなどを説明し、契約書の記載事項や雛形となるテンプレートを紹介します。

   

業務委託契約書とは

業務委託契約は、企業などの委託者が自社の業務の一部を外部に委託する際に、受託者との間で締結する契約です。業務委託時に業務内容や対価の支払方法、期日などの諸条件を記載したものが業務委託契約書であり、作成後に署名捺印し、双方が1通ずつ保管します。
「業務委託契約」は民法で規定される「典型契約」ではありませんが、以下の2つの典型契約に類する(もしくは融合する)場合がほとんどです。

請負契約

請負契約は注文者がある仕事の完成を依頼し、当該仕事の完成後に依頼した相手に報酬を支払うことを約束する契約です(民法632条)。注文を受けた側は、仕事を完成しない限り報酬を受け取れません。例えば家を建てることを約した請負契約では、8割方仕上げたところで仕事をやめてしまった場合、報酬が受け取れない可能性があります。

委任契約

委任契約は仕事の完成ではなく、委託側が委託した業務の遂行を受託者に委任する典型契約です(民法643条)。訴訟行為を弁護士に依頼する際に交わす契約は、典型契約に該当します。

委任契約では業務をどのように遂行するかについて、受託者の裁量が認められるケースが多いです。
業務委託契約は、業務内容や契約内容によって裁量の有無が変わります。どんな業務をどのように委託するかで、請負契約にも委任契約にもなり得るのです。

業務委託契約を結ぶ目的

業務委託契約は典型契約ではないので、双方が内容をしっかり確認する必要があります。業務内容や報酬が発生する条件、問題が生じた場合の対応方法や責任の所在、損害賠償など取り決めることが多いため、それらのすべてについて双方に意思の合致があったことを認めるために業務委託契約を結び、意思合致の証拠として業務委託契約書を作成します。
口頭で交わした業務委託契約にも効力はありますが、トラブルが発生した時に「言った」「言わない」の水掛け論になることを避けたり、訴訟になった際の証拠としたりするために契約書を交わす必要があります。

業務委託契約と雇用契約の違い

雇用契約は依頼者が指示した労務を行うことで、依頼された側が報酬を得ることを約束する典型契約です(民法623条)。依頼者側に指示管理の権限があり、労働内容や遂行方法に関する裁量権は雇用される側にはありません。使用者と労働者という主従関係が存在するのが雇用契約の特徴です。
一方、業務委託契約は委託者と受託者の立場がそれぞれ独立しており、対等です。受託者は委託者の指示によらず、自己の裁量で業務を行えます。

業務委託契約の種類

業務委託契約の種類はたくさんありますが、主なものは以下の3つです。

  • 定額報酬制
  • 成果報酬制
  • 単発業務委託

それぞれの内容を見ていきましょう。

毎月定額の報酬を支払うもの

継続的に業務を委託し、委託者が毎月に定額の報酬を支払うことを約する契約で、顧問契約はこれに該当します。自社に税務や会計の専門家がいないため、外部の税理士に定額の顧問料を支払ってそれらの業務を依頼したり、相談やアドバイスを求めたりすることができるといった契約内容が一般的です。

業務の成果により報酬が決まるもの

委託した業務の成果によって報酬の有無や額が決まるという内容の契約です。
何らかの「物」を製造して引き渡すことで報酬受取権が発生する請負契約的なものや、内職のように成果物の量によって報酬額が決まるものなどがあります。

単発の業務を委託するもの

継続的ではない業務委託契約です。上述の物の製造であっても、一度だけの依頼なら単発業務委託になります。単発で確定申告のみを税理士に依頼する場合なども、これに該当します。

業務委託契約書の主な記載事項

業務内容にもよりますが、業務委託契約では後で揉めることがないよう契約書に記載しておくべき事項がいくつかあります。主な記載事項は以下のとおりです。

委託業務の内容

典型契約ではない業務委託契約は、委託内容を正確に記することが非常に重要です。どんな業務をどのような形で委託するかで、どの典型契約の規定に準じて考えるべきかが変わってくるからです。例えば、明らかに委託者と受託者に主従関係があると認められる内容であれば、請負でも委任でもなく雇用契約として考えるべきケースもあります。

委託料

委託料(報酬)も業務委託契約において重要な記載事項です。特に内容が委任契約の類である場合は無償が原則であるため、報酬が発生する場合は記載しておかなければなりません(648条1項)。
金額や支払時期、支払方法についてもあらかじめ具体的に決めておき、「事情が変化した場合は協議可能」としておくとよいでしょう。

契約期間

業務の契約期間を記載します。委任契約の場合はもちろん、仕事の完成が求められる請負契約であっても目安として期間を記載しておくべきです。

支払条件・支払時期

定時払いか成功報酬なのか、支払時期は当月か翌月か、着手金の有無などの条件を記載します。お金に関することですから、きちんと定めておきましょう。

成果物の権利

委託する業務内容が研究や著作物制作(カタログやホームページなど)など、業務成果物が知的財産権を有する場合、その権利が委託者と受託者のどちらに帰属するかを記載します。曖昧にしておくと、後のトラブルの原因となることがあります。

再委託

再委託とは受託者自身が業務を行わず、第三者に委託することです。委託者は実際に業務を行うのは誰でも構わないのか、あるいは受託者自身に業務を行ってもらいたいのか、どこまでなら再委託を認めるかなどについて、あらかじめ記載しておくべきです。

秘密保持

当該業務に関して、契約者同士で共有する情報の秘密保持が必要な場合に記載します。個人情報や知的財産に関することなど外部に漏らしたくない情報は多いので、必ず記載しておきましょう。

反社会的勢力の排除

契約の一方当事者が反社会的勢力に属している場合、他方当事者は契約の解約ができるとする条項です。全国での「暴力団排除条例」の施行後、ほぼすべての契約書に盛り込まれるようになりました。

禁止事項

原則として委託者が受託者に対し、業務を行う際に禁止する事柄を記載します。

契約解除

どのような場合に一方から他方への契約解除ができるかについて記載します。契約解除は、賠償責任にも関わる重要規定です。無条件解除ができる期間や条件、一般的な解除条件などを記載します。

損害賠償

当事者の一方に契約解除や契約違反、債務不履行などがあった場合の損害賠償責任や額について定めます。

契約不適合責任の発生期間

契約にある内容に関して成果の目的物に隠れた瑕疵がある場合に発生する「瑕疵担保責任」は2020年4月の民法改正によって廃止され、新たに「契約不適合責任」という規定ができました。契約不適合責任の内容は任意で調整できるので、当事者同士で話し合って決めましょう。例えば、委託業務の成果に契約内容と異なる点があることがわかった際に、受託者がやり直しや損害賠償を請求できる場合はその旨を記載し、同時に委託者がいつまで請求権を行使できるか、期間についても決めておきましょう。

管轄裁判所

裁判になった場合、第一審の裁判所をどこにするかを記載します。特に契約当事者の管轄裁判所が離れている場合は、きちんと定めておきましょう。

業務委託契約書の雛形・テンプレート

ここまで、業務委託契約書について解説してきました。以下の業務委託契約書のテンプレートをぜひ参考にしてみてください。

テンプレートはこちらからダウンロード頂けます

業務委託契約書を作成するうえで収入印紙は必要?

契約書を作成する際に気になるのが、収入印紙の要否とその金額です。
業務委託契約書の場合、その内容がどの典型契約にあたるかによって金額などが変わることがあるので、注意が必要です。

請負に関する契約書の場合

請負契約については、報酬(契約金)の額ごとに必要な収入印紙代が定められています。業務委託契約内容が請負に分類される場合は、以下の表に従って収入印紙を貼付してください。

記載された契約金額
税額
1万円未満のもの非課税    
1万円以上 100万円以下のもの200円
100万円を超え 200万円以下のもの400円
200万円を超え 300万円以下のもの1,000円
300万円を超え 500万円以下のもの2,000円
500万円を超え 1,000万円以下のもの1万円
1,000万円を超え 5,000万円以下のもの2万円
5,000万円を超え 1億円以下のもの6万円
1億円を超え 5億円以下のもの10万円
5億円を超え 10億円以下のもの20万円
10億円を超え 50億円以下のもの40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円

引用:No.7102 請負に関する契約書|国税庁

継続的取引の基本となる契約書の場合

業務委託契約書の契約期間が3ヵ月を超え、かつ更新の定めがある継続的取引の場合は、1通につき4,000円の収入印紙が必要です。

請負もしくは継続的取引のどちらでもない場合

委任契約に分類される契約書であれば、原則として収入印紙は不要です。印紙税法は税がかかる文書として20種類を定めていますが、委任契約はその中に含まれていないからです。
委任でも請負でも継続的取引にも当てはまらない業務委託契約というのは考えにくいですが、その場合は国税庁の該当ページで収入印紙が必要な契約書かどうかを判断しましょう。

参考:No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断|国税庁

業務委託契約書について理解し、正しく作成しましょう

「業務委託契約」は民法上の規定はないものの、実務上でよく使われる名称です。委託する業務の内容や報酬支払条件などによって、どの典型契約に分類すべきかかが変わり、業務内容によって定めておくべき条項も変わります。どのような内容の業務をどのような条件で委託・受託するのか、当事者間でしっかり確認してから契約書を作成することが大切です。

よくある質問

業務委託契約書とは何ですか?

委託者が自己の業務の一部を外部に委託するために受託者との間で契約を結ぶ際、業務の内容や支払などの諸条件を記載して作成し、契約当事者間で取り交わす書類です。詳しくはこちらをご覧ください。

業務委託契約書を作る目的は何ですか?

契約当事者間で委託業務内容をあらかじめ確認しておくため、またトラブルの発生時にスムーズに解決するための証拠とするためです。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:福谷陽子(元弁護士、法律ライター)

弁護士時代は契約書作成やレビュー、不動産取引や債権回収、破産倒産、一般民事、家事事件など多種多様な事件を取り扱っていた。今はその経験を活かし、専門的な法律知識を一般ユーザーへわかりやすく解説する法律記事の作成に積極的に取り組んでいる。
各種サイトで法律記事を執筆監修。実績は年間1000件以上。ブログやYou Tubeなどによる情報発信にも熱心に取り組んでおりチャンネルを運営中。
元弁護士・法律ライター福谷陽子のblog
世捨て人mimi
元弁護士の世捨て猫🌟ぴりか(mimi)法律ライター

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