• 作成日 : 2025年3月3日

規約とは?規定や会則との違い、作り方などわかりやすく解説【例文つき】

規約とは、団体や組織を運営するにあたって必要な事項を定めたものをいいます。団体・組織に参加してもらう際の約束事として、必ず定めておかなければなりません。

この記事では規約の作り方や、規約と会則、規定との違いをわかりやすく解説します。また、規約の作成手順などについて例文を使いながら説明しますので、ぜひご活用ください。

規約とは

規約とは、一般的に組織や団体を運営するのに必要な決まり事のことをいいます。組織運営をスムーズに進めるためには必ず策定しておかなければなりません。

なお、その他にもサービスなどを利用する際のインターネット利用規約なども規約の1つですが、本記事では組織や団体に関する規約について解説します。

規約の定義

規約という言葉は、法律で明確に定義されていませんが、一般的には団体や組織などの内部の運営に関するルールとされています。

団体や組織において、運営をどのように行うのか、組織や団体に誰が加入するのか、団体の資産や会計はどうするのかなどは運営上重要な事項であり、これらの内容を具体的に定めたものが、広い意味合いで規約と呼ばれています。

規約と規程の違い

規約とよく似た言葉に規程があります。規約は組織や団体の運営のための基本事項であり、総会などにおいて、組織の構成メンバーの意思決定により作られるものです。それに対し、規程とは事務処理の内容や手順などを定めた一連の条項の総体を指す言葉で、構成メンバーによる意思決定手続を取る必要はありません。

規程の具体例には会社などの社内規程や服務規程などが挙げられ、簡潔にいうと「それぞれ個別のルールなどを定めたものの集まり」ともいえます。

規約と会則の違い

規約の類義語である会則は、意味として大きな違いはありません。どちらも団体や組織などの運営のため定められるものですが、組合などの場合は規約、町内会や保護者会などの場合は会則と表現されることが多い傾向にあります。

規約とルールの違い

規約は団体などの運営に関する決まり事であるため、広い意味ではルールと同じ意味合いをもちます。ただし、ルールという言葉は社会生活の秩序を守るために使われる他、スポーツなどの競技を行うにあたり決められた事項を指すなど、広く使われます。その点、規約は一定の組織におけるルールという限定的な意味で使われる言葉です。

また、規約は構成メンバー同士の協議により決められるのが通常ですが、一方のルールの用語の定義として、そのような意思決定の手続を踏むといった意味合いは必ずしも含まれていません。

規約法律上の有効性

規約は、単に組織や団体の重要事項について定めたものであり、法律に基づかない決まり事であるため、基本的には規約自体に特段の法的有効性はありません。

しかし、一定の要件を満たす場合には規約は法的に有効とされます。

具体的には、規約の作成が当事者間の合意をもって作成されたものである場合、または加入会員がその規約内容に同意した場合、その規約は契約の1つとして法的に有効とされることがあります。

また、法人格をもたない任意団体が、その団体の運営方法などについて一定の条件を満たす内容を規約に記載していると、「権利能力なき社団」として法的に認められた団体となることができます。「権利能力なき社団」について、詳しくは次章で解説します。

規約の作り方

規約の作成には決まった様式などは特にありませんが、作成するにあたってはいくつかポイントがあります。

規約の作成目的を明確にする

一般的な規約の作成目的は、団体や組織の運営に必要な事項を定めるためです。

組織や団体の活動を円滑に進めるためには、一定のルールが必要です。

規約を作成する場合は、最初に「この規約は〇〇のために定める」など目的を明確にする文言を入れると良いでしょう。

規約に必要な項目を洗い出す

規約を作成するにあたっては、必要項目を具体的に洗い出す必要があります。

具体的に規約で何を定めるかは非常に重要で、通常は団体や組織の活動目的、会計や役員に関する事項などを定めるのが一般的です。

内容があまりに多すぎる場合や、逆に必要な事項がない場合は、規約としては十分とはいえません。団体などの規模や活動目的に合わせて、必要な項目を決めることが望ましいでしょう。

また、団体の運用方法などについて一定の条件を満たした内容を記載した規約であると、法人格を有さない団体であっても、法的に団体性を認められた「権利能力なき社団」とされることができます。

権利能力なき社団として要件を満たすためには、以下の事項を満たした規約である必要があります。

  1. 団体としての組織をそなえている
  2. 多数決の原則が行われている
  3. 構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続する
  4. その組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定している

権利能力なき社団としての地位を必要とする場合は、上記を満たす規約を策定する必要があるため、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

規約の内容を具体的に記載する

規約の作成に必要な項目が決まったら、具体的な内容を記載して規約を作成します。

法律上は特に作成方法は規定されていませんが、必要な事項をわかりやすく記載すると良いでしょう。

実際の作成例については次の章で紹介します。

規約の作成で記載しておくべき事項

規約の作成には、法律上決められたルールはありませんが、記載することが望ましいとされる項目があります。ここでは記載事項の例をいくつか紹介します。

団体の名称と所在地

団体の名称や所在地は、規約を作成する上で必須ともいえる項目です。

そもそも何という団体なのか、所在地はどこなのかといった項目は必ず記載するようにしましょう。

記載例としては、規約の冒頭部の総則などに団体名について、「〇〇組合(会)とする」「事務所は〇〇市〇〇に置く」などと記載します。

団体の目的と活動内容

団体や組織がどのような目的をもち、その目的のためにどのような活動をするのかも規約には含めるべきです。

小規模な団体であれば、「〇〇を目的とする」などの記載で良いですが、目的が複数ある場合や、活動内容が多岐にわたる場合などは、箇条書きで整理するなどしてわかりやすく記載しましょう。

団体会員に関する事項

団体の会員に関する事項も、規約に記載することが望ましいでしょう。最も必要な事項が、会員として加入できる対象者の明記です。また、組織としての形を成すためには、役員を置く必要があります。会長、副会長、会計、監事は最低限必要です。あわせて役員の任期も定めておきましょう。

その他、会費の金額と徴収する時期、団体への加入脱退の手続、会員が守らなければいけない事項、会員の権利などを記載することが一般的です。

団体の会計や財産に関する事項

組織や団体運営の会計に関する事項や、重要な財産に関する事項も規約に記載するようにしましょう。

例としては、会員から徴収した会費の管理方法や、徴収した会費の用途、団体の財産を処分する場合の手続などがあります。

運営方法に関する事項

団体の運営方法に関する事項も重要です。

例えば、総会開催日や会計年度の日付、総会等における意思決定時の賛同者数、取り決めにない事態が発生した際の対処方法などです。

取り決めにない事態が発生した際の対処方法については、規約の条項の最後に、「この規約で定める事項の他、必要な事項は別途定めるものとする。」としてまとめるのが一般的です。

規約の記載例

実際に規約を作成する場合の記載例としては以下のような例があります。

〇〇◯会規約

第1条 本団体は、〇〇〇〇と称する。

第2条 本団体の所在地は〇〇市〇〇町◯丁目〇〇号とする。

第3条 本団体は〇〇〇を行うことにより、〇〇〇〇することを目的とする。

第4条 本団体は次の活動を行う。

1)〇〇〇

2)〇〇〇

第5条 本団体の会員は〇〇とする。

第6条 本団体の会員は、年間〇〇〇〇円の会費を支払うものとする。会費は〇〇までに〇〇の方法で徴収することとする。

第7条 本団体の会員は、脱退の申出をすることにより本団体を脱退することができるものとする。

第8条 本団体には以下の役員を置く。

会長 ◯名

副会長 ◯名

会計 ◯名

監事 ◯名

第9条 会長、副会長の選任は会員の中から互選する。

第10条 役員の任期は◯年とする。

第11条 本団体の会計年度は◯月◯日から◯月◯日までとする。

第12条 本団体の規約の変更については、会員の◯分の◯の同意を必要とする。

第13条 本団体が所有する重要な財産の処分については総会により議決するものとする。

第14条 この規約で定める事項の他、必要な事項は別途定めるものとする。

上記の項目はあくまで一例ですので、実際に作成する際は内容を組合や団体に合うものに適宜修正すると良いでしょう。

規約を作成する時の注意点

規約の作成には決まったルールはありませんが、作成する時には以下のような点に注意する必要があります。

規約を改定する場合の手続を明確にする

一度作成した規約は、一定期間で修正や変更を加える必要が出てくることがあります。そのような場合に、どのような手続を経て規約を改定するのか、改定する場合の手続をあらかじめ決めておかなければなりません。

一般的に規約の変更は、総会などで会員の同意を得る手続を取った上で行われます。

いざ規約の改定が必要となった場合に、改定の手続について決めていないとトラブルになることもあります。改定の手続については明確にしておきましょう。

規約の同意を得る方法を明確にする

規約には、会員の同意を必要とする場面があります。具体例としては、予算、活動内容、規約の変更、新規加入者などに関することです。

このような場合に、どのような形で同意を得るのかを明らかにしておく必要があるでしょう。

原則としては、総会において構成メンバーからの意見を聞き、多数決を取ることです。ただし、総会は、一般的に年1回の定例総会しか行われません。急な同意が必要な場合は、臨時総会を開催するか、会員から書面での同意をもらうなどの方法が考えられます。

そのため、臨時総会はどのような形で開催するのか、何人の同意を得ればよいかなどを、あらかじめ決めておくと良いでしょう。

規約の内容を定期的に見直す

一度作成した規約は、時間の経過とともに見直しが必要になることがあります。団体や組織の活動内容や運営の手続に変更があった場合、会費の金額を増減させる場合、移転により所在地が変わった場合などがこれに該当します。

その他にも、規約の内容が当初作成したものから変更が必要になることが考えられます。

当初作成した規約に変更が生じた場合は、必要に応じて規約の改定を検討しましょう。なお、規約の改定については、事前に定めた方法により行う必要があります。

規約は団体運営をスムーズにするため明確な内容で

組織や団体において、規約の作成は円滑な運営を行う上で非常に大切です。

規約の作成には、手順や必須記載の事項などがあります。また、必要に応じて規約の改定や見直しが必要となる場面もあります。

組織や団体の運営がトラブルなく行われるためにも、規約を作成する際には必要な事項をもれなく記載するようにしましょう。


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