• 作成日 : 2023年9月21日

損害賠償条項とは?契約書に記載すべき事項や文例を紹介

損害賠償条項とは?契約書に記載すべき事項や文例を紹介

契約書には損害賠償条項によって損害賠償の支払いについて定めておくことが大切です。仮に損害賠償条項を記載していない場合、本来損害賠償が請求できるようなトラブルが発生したとしても、請求できなくなってしまい、損失が発生する可能性があります。

この記事では損害賠償条項の記載方法や盛り込むべき内容、注意点を例文も交えてご紹介します。

契約書における損害賠償条項とは

損害賠償条項とは損害賠償の支払いについて定めた契約書の条項です。これを盛り込むことで、相手方の行為によって生じた損害に関して賠償を受けることができるようになります。

民法における損害賠償

民法第415条では債務者がその債務を履行しないとき、もしくは履行が不能となったときには、債権者はそれによって生じた損害の賠償を請求できると定められています。民法第417条では損害賠償は金銭によって行われる旨が定められています。例えば、売買契約を締結して期日までに店(債務者)が商品を引き渡さなかった場合、客(債権者)はそれによって生じた損害の賠償をお店に請求することが可能です。

また、民法709条では相手方が契約の有無に関わらず不法行為をした際にも損害賠償を請求することができると定められています。例えば、客がお店に陳列されている商品を故意に壊した場合、器物損壊という犯罪行為となるため刑事罰に処されますが、それに加えて不法行為として被害者であるお店が商品を破損されたことによって生じた損害の賠償を請求することが可能です。

損害賠償の基礎知識については、下記の記事でも詳しくご紹介しています。

契約書で損害賠償条項を定めるメリット

損害賠償条項が契約書に記載されていなくてもトラブルによって損害を被った場合、相手方に損害賠償を請求することは可能です。ただし、取り決めが明確になっていないと債務者が言い逃れをする、あるいは逆に債権者が損害賠償と銘打って不当な金銭の要求をしてくるなどし、もめる可能性があります。

損害賠償条項によって損害賠償の支払条件や金額、範囲などを明確にしておくことで、その後の対応がスムーズになる可能性があります。

損害賠償条項に記載すべきことと具体例

損害賠償条項を記載する際には、「損害賠償が発生する条件」「賠償金額の上限」「賠償責任の範囲」の3点を盛り込むことが重要です。それぞれ例文を交えて詳しく見ていきましょう。

損害賠償が発生する条件

まずは、どのようなケースで損害賠償が発生するか?という条件を取り決めておく必要があります。基本的に損害賠償が請求できるケースは、以下の4点の事実が必要です。

  • 契約不履行の事実がある
  • 損害が発生している
  • 債務者に帰責事由がある
  • 契約不履行と損害に因果関係がある

これらを網羅した損害賠償条項を盛り込んでおくことが大切です。

甲又は乙は、本契約の不履行に関して相手方又は第三者に損害を与えたときは、当該損害(紛争解決に要した弁護士費用及び人件費を含む)を賠償する責任を負う。

例えば、上記のような条項を盛り込むことで、契約内容の不履行によって損害が発生した場合、弁護士費用や対応にあたった従業員の人件費も含めて相手方に損害賠償を請求できることが明らかとなります。

賠償金額の上限

損害賠償の額には上限を設けることもできます。仮に、上限が定められていない場合は、相手から際限なく賠償を求められる事態も考えられるため、一定の線引をしておくことが大切です。「1,000万円」という明確な額を記載することもあれば、「商品や役務(サービス)の対価と同額を上限とする」と取り決めるパターンもあります。

甲が本契約に違反して乙に損害を与えた場合、その損害(第〇条に定める本製品の価格相当額を上限とする)を賠償する責任を負う。

上記のような条文を記載すれば、提供した製品と同じ価格以上の損害賠償はしなくても良いということになります。ただし、契約内容に照らして極端に低い金額を上限とした場合は、上限の定めそのものが無効とされる可能性がありますので注意してください。

賠償責任の範囲

損害をどの範囲まで賠償するかということも非常に重要です。損害の範囲は「通常損害・特別損害」「財産的損害・精神的損害」という2つの考え方があります。

通常損害とは民法第416条第1項に定められている「通常生ずべき損害」のことです。債務不履行によって直接的に生じた損害のことを指します。

特別損害とは民法第416条第2項で定められている「特別な事情によって生じた損害」のことです。債務不履行によって通常起こると考えられている範囲外の損害、つまり債務不履行とそれ以外の特殊な要因が絡み合って生じた損害のことを指します。

財産的損害・精神的損害とは被害によって被った財産的損害や精神的損害のことです。財産的損害は被害者が支払った費用や実損、被害を受けなければ将来的に得られたであろう利益(逸失利益)など、精神的損害は被害によって被害者が受けた精神的な損害のことを指します。精神的損害に対する損害賠償は「慰謝料」とも呼ばれます。

甲又は乙が、本契約に違反して相手方に損害を与えたときは、相手方に対して直接かつ現実に生じた通常の損害(逸失利益を含まない)に限り賠償する責任を負う。

上記のような条文を記載した場合、損害賠償の範囲は通常の損害に限られ特別損害は含まれないことになります。また、逸失利益を除く財産的損害に限られ精神的損害は含まれないことが明らかとなります。

損害賠償条項を設定する際の注意点

害賠償条項を設定する際、まずは極端に自社あるいは自分が不利になるような条件になっていないかどうかをチェックしましょう。例えば、賠償額の上限が定められていない場合、債権者となったときに多額の損害賠償を請求されるリスクがあります。ただし、逆に上限が設けられている場合、債務者の立場としては十分な賠償が受けられなくなってしまう可能性もあります。

また、損害の範囲に関してもしっかりと定めておきましょう。通常損害のみ賠償すればいいのか、特別損害や精神的損害まで賠償しなければならないのかにもよって、賠償額は大きく異なります。

弁護士費用の有無についても明記しておきましょう。訴訟を起こす際に大きな負担となるのは弁護士費用です。「紛争解決に要した弁護士費用も含む」と明記することで、相手に弁護士費用も負担させられるようになります。

損害賠償条項は紛争解決の道しるべ

契約を締結した相手方とトラブルが発生した場合、損害賠償の支払いでもめるケースがあります。事前に契約書に損害賠償が発生する条件や上限金額、賠償を請求できる損害の範囲に関して取り決めておくことで、スムーズに解決できる可能性が高くなります。

損害賠償についてしっかりと理解を深め、契約書には損害賠償条項を盛り込んでおくことが大切です。また、相手方から契約書を提示された際には、自分が過剰に不利になる内容になっていないかどうかもチェックしましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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