- 更新日 : 2026年7月2日
緊急連絡先同意書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
緊急連絡先同意書は個人情報保護法に基づき、利用目的や管理方法を明記して同意を得る必要があります。
- 必須項目は連絡先・利用目的・第三者提供・削除規定
- クラウド管理時はサーバー所在等の明記が推奨
- 派遣社員等は契約確認と本人同意が必須要件
派遣社員やフリーランスから直接収集する場合、利用目的を「緊急時の安否確認」等に限定し、契約終了後は速やかに廃棄する運用を徹底しましょう。
緊急連絡先の提供についての同意書(緊急連絡先同意書)は、主に従業員の緊急時対応のためのもので、連絡先などの個人情報が記載されている重要な書類です。本記事では、緊急連絡先同意書の書き方やポイント、具体例を交えながら、実務で活用できる知識を解説します。レビューを通じて作成時の注意点も詳しく説明していきます。
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緊急連絡先の提供についての同意書とは
緊急連絡先の提供についての同意書は、従業員の事故や急病など緊急事態が発生した際に、会社が適切に対応するために必要な連絡先情報を取得・管理するための文書です。
単なる連絡先リストではなく、個人情報も記載されるため、個人情報保護法に則って作成されるべきものです。個人情報の取得、管理、利用に関する手順を明確に定め、利用目的をできる限り具体的に特定した上で、従業員の同意を得ることが必要です。
近年では、書面での提出に代わり、クラウド型の人事労務システムやWebフォームを用いた「電磁的方法」による同意取得も一般的になっています。
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緊急連絡先同意書を作成するケース
企業が緊急連絡先同意書を作成する主なケースは、以下のとおりです。
- 新入社員の入社時
- 定期的な情報更新時
- 派遣社員・フリーランス(業務委託)受入時
- 災害対策や危機管理体制の強化時
- 個人情報保護法の改正や社内規定の変更時
ここから、それぞれの内容を解説します。
新入社員の入社時
新入社員が入社する際、他の入社書類とともに緊急連絡先同意書を提出させることが一般的です。入社後に社内で不測の事態が発生して社員の家族に連絡する必要がある場合など、会社の安全配慮義務の観点から重要です。入社手続きシステム(オンボーディングシステム)上で同意ボタンを押下させる形式も有効です。
定期的な情報更新時
従業員の連絡先情報は定期的に更新しておくことが望ましいです。年に1回程度、結婚や転居などによる変更など、情報の正確性を保つために同意書の再提出(またはWeb上での登録情報確認)を求めて情報更新に努めたほうがよいでしょう。
派遣社員・フリーランス(業務委託)受入時
派遣社員を受け入れる際、入社後にその社員が事故で病院に搬送された場合などの緊急時に備えて、派遣元を通じて必要な範囲で緊急連絡先を確認することがあります。
また、2024年施行の「フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス新法)」や安全配慮の観点から、オフィスに常駐するフリーランスに対しても、緊急時の連絡手段を確認するケースが増えています。
災害対策や危機管理体制の強化時
自然災害や事故などの緊急事態に備えて、従業員の安否確認や迅速な連絡体制を構築するために作成します。
個人情報保護法の改正や社内規定の変更時
個人情報保護法の改正に対応するためや、社内規定が変更された場合にも、同意内容の見直しや再確認が必要となる場合があります。
緊急連絡先同意書のひな形
緊急連絡先同意書の作成にあたっては、正確な情報収集と法的要件を満たすため、適切なひな形を使用することをお勧めします。以下のリンクから、実務で使える緊急連絡先同意書のひな形をダウンロードできます。このひな形を参考に、自社の状況(書面運用か、Web運用かなど)に合わせてカスタマイズしてください。
緊急連絡先同意書に記載すべき内容
緊急連絡先同意書には、従業員の個人情報を適切に収集・管理・利用するために必要な項目を記載します。これらの項目は、緊急時に迅速かつ適切に対応できるようにするために必要な事項です。
収集する個人情報の項目
- 従業員本人の氏名、住所、電話番号、メールアドレス
- 緊急連絡先となる人物の氏名、続柄、電話番号、メールアドレス
個人情報の利用目的
個人情報の利用目的を具体的に記載します。
例:
・災害発生時の安否確認
・事故や急病時の緊急連絡
・重要な業務連絡が必要な場合の連絡手段
個人情報の管理方法(クラウド利用の明記)
個人情報の管理方法について記載します。近年はクラウドサービスを利用する企業が多いため、サーバーの所在(外国にある第三者への提供)に関する記述も含めることが推奨されます。
例:
第三者提供の有無
個人情報の第三者提供の有無について記載します。
例:
従業員の権利(削除・廃棄規定)
従業員の権利について記載します。特に、退職後のデータ廃棄については明確にしておくことが重要です。
例:
同意の確認
従業員の同意を確認する文言を記載します。Webで同意を得る場合は、その旨も記載します。
例:
緊急連絡先同意書には、これらの項目を明確に記載し、従業員からの同意を適切な手続きで得ることが重要です。特に、個人情報保護法に基づく適切な情報管理と、緊急時の円滑な連絡体制の確保という両面から、各項目の内容を慎重に検討する必要があります。
緊急連絡先同意書を作成する際の注意点
緊急連絡先同意書を作成する際は、法的な要件を満たし、従業員にとっても理解しやすい内容であることが重要です。以下のポイントに注意して作成しましょう。
- 個人情報保護法の遵守
- 明確な表現
- 利用目的の具体化
- 情報の更新手続き
- 同意の任意性
- 社内規定との整合性
- レビューの実施
ここから、それぞれの内容を解説します。
個人情報保護法の遵守
同意書の内容が最新の個人情報保護法に基づいていることを確認します。特に、収集する個人情報の種類や利用目的、管理方法(クラウドサービスのサーバー所在地の把握など)を明記し、従業員のプライバシーを保護するための対策を講じましょう。
明確な表現
法律用語や専門用語を避け、従業員が同意書の内容を十分に理解できるよう、平易でわかりやすい言葉を選びましょう。
利用目的の具体化
「緊急時の連絡」などの曖昧な表現を避け、具体的にどのような状況で使用されるかを記載しましょう。例えば、災害発生時や事故、急病時の連絡手段として使用されるといった点を明記することが考えられます。
情報の更新手続き
従業員の連絡先情報が変更された場合の更新手続きについても記載します。情報の更新方法や頻度(例:年に1回の確認)を明示し、定期的な情報更新を実施するための社内体制(Webシステムの活用など)も整えましょう。
同意の任意性
個人情報の提供を強制することはできません。あくまでも同意は任意であり、同意しないことによって不利益を被ることはないことを明記するようにしましょう。従業員が安心して署名できるよう、同意しないことによる不利益がないことを明記し、署名を促しましょう。
社内規定との整合性
緊急連絡先同意書の内容が個人情報保護規定や情報管理規定と整合している必要があります。特に情報管理の責任部署や担当者、アクセス権限の範囲、保管方法などを社内規定に基づいて明確に定めることが重要です。
レビューの実施
同意書の内容は法務部門や人事部門など、複数の部署でレビューを行い、法的観点と実務的観点の両方からチェックしましょう。法的に問題がないか、実務に即した内容かをしっかりと確認しましょう。
緊急連絡先同意書の提出を拒否された場合の対応
従業員が緊急連絡先同意書の提出を拒否した場合、いくつかの対応策が考えられます。
まず、拒否の理由を丁寧に確認することが重要です。プライバシーの懸念や利用目的の不明確さなどが理由として挙げられる可能性があります。次に、緊急連絡先情報の収集の重要性や管理体制について説明し、従業員の理解を求めることが大切です。情報管理の必要性を明確に伝えることで、従業員の不安を軽減できる可能性があります。
また、柔軟な対応を検討することも有効です。例えば、本人の直接の連絡先のみを記載することを提案するなど、従業員が受け入れやすい代替案を提示できます。さらに、拒否の事実と対応の経緯を書面で記録しておくことが重要です。今後の確認や対応に備えられます。
なお、同意書の提出は任意であることを説明し、提出を強制しないように注意しましょう。従業員との信頼関係を損なわないよう配慮することが、長期的には良好な労使関係の維持につながります。
緊急事態発生時に、会社は緊急連絡先への連絡義務がある?
法的には、企業に緊急連絡先への連絡義務は明確に定められていません。しかし、企業には従業員に対する安全配慮義務があり、緊急事態の発生時には適切な対応が求められます。
特に、以下のような状況では当該従業員の家族等への連絡を行うべきです。
- 従業員の重大な体調不良や事故
- 災害時の安否確認が取れない場合
- 長期の無断欠勤
緊急連絡先への連絡は、従業員の安全確保や家族への迅速な情報提供、企業の社会的責任を果たすために重要です。ただし、緊急連絡先への連絡の可否については、プライバシーを尊重しつつ、緊急性に応じて適切に判断しましょう。
派遣社員(およびフリーランス)に直接緊急連絡先として電話番号などを聞いてもよい?
派遣社員や常駐フリーランスの緊急連絡先を直接収集する場合、以下の点に注意しましょう。
- 派遣元との契約内容を確認する
- 利用目的の明確な説明(安全確保・BCP目的への限定)
- 同意の取得
- 情報管理の徹底(契約終了後の確実な削除)
- 派遣元への報告
なお緊急時の連絡体制については、派遣契約締結時に派遣元と協議しておくことがおすすめです。以下で、それぞれの内容を確認しておきましょう。
派遣元との契約内容の確認
まず、派遣元との契約内容を十分に確認し、派遣社員の個人情報取得に関する制限や規定がないかを事前に確認することが重要です。原則として、派遣社員の個人情報は派遣元を通じて取得するべきですが、緊急時の対応のために直接取得する必要がある場合は、派遣元の了承を得ることが望ましいでしょう。
利用目的の明確な説明
緊急連絡先の利用目的を具体的かつ明確に説明し、その使用範囲を限定することが必要です。例えば、災害時の安否確認や長期休暇中の緊急連絡など、具体的な状況を示して説明しましょう。また、その情報が日常的に使用されることはないと明確に伝えることも重要です。
同意の取得
派遣社員(またはフリーランス)本人から、緊急連絡先提供に関する明確な同意を得ることが不可欠です。この同意は、強制的なものであってはならず、本人が自由意思で判断できるようにする必要があります。また、同意を得る際には、書面や電子的な記録を残すことが望ましいでしょう。
情報管理の徹底(契約終了後の削除)
取得した個人情報は、個人情報保護法に基づいて厳重に管理し、目的外利用を絶対に避けなければなりません。特に、緊急連絡先として収集した情報を、他の目的で使用したり、不必要に社内で共有したりすることは避けるべきです。
また、派遣契約や業務委託契約が終了した際には、お預かりした情報を速やかに削除・廃棄することを約束し、それを徹底する運用が求められます。
派遣元への報告
派遣社員から直接情報を取得した場合、その事実を派遣元に報告することが望ましいです。派遣元と派遣先の間で情報の共有が適切に行われ、緊急時の対応がスムーズになります。また、派遣元を通じて情報を取得する方法についても、再度確認しておくとよいでしょう。
賃貸契約における緊急連絡先と連帯保証人の違い
賃貸契約における緊急連絡先と連帯保証人には、以下のような違いがあります。
| 緊急連絡先 | 連帯保証人 | |
|---|---|---|
| 役割 | 賃借人と連絡が取れない場合に使用される連絡先 | 賃借人の債務を保証する役割を持つ |
| 責任 | 金銭的な責任はともなわない | 賃借人が家賃を滞納した場合に支払い義務が発生 |
| 必要性 | 任意で設定されることが多い。
多くの賃貸契約で必要 |
法的に必須ではないが、多くの賃貸契約で必要 |
| 資格要件 | 特に制限はなく、誰でも指定可能 | 一定の収入や資産が求められる場合が多い |
緊急連絡先は主に安否確認や重要な連絡のために設定されるもので、金銭的な責任を負うことはありません。一方、連帯保証人は賃借人と同等の責任を負う立場であり、役割や責任の重さが異なります。
入社手続きにおける必要書類回収の課題
入社手続きにおける必要書類回収の課題について、企業はどのような課題を抱えているのでしょうか。株式会社マネーフォワードが独自の調査を実施し、人事・労務担当者の実態を明らかにしました。
トラブルの最大の原因は「従業員の対応遅れ」
入退社に伴う手続きに関与した経験がある方を対象に、手続き上でトラブルが発生する主な原因を尋ねました。その結果、最も原因として多く挙げられたのは「本人(入退社する従業員)の対応の遅れ・不備」で、35.3%でした。次いで「人事担当者の知識不足・確認ミス」が30.8%、「行政機関の対応待ちや制度の複雑化」が25.5%と続いています。
また、入社手続きにおいて特に苦労しやすい項目としても「年金手帳・マイナンバー等の必要書類の回収」が29.5%に上り、従業員からの書類回収が実務上の大きな負担となっていることが読み取れます。
緊急連絡先同意書は、万が一の事態に従業員を守り、迅速な対応を行うために欠かせない書類です。書類の提出遅れや回収漏れを防ぐためには、書面でのやり取りだけでなく、人事労務システムを活用してWeb上で同意を取得するなど、従業員が提出しやすく担当者の管理負担も軽減できる仕組みを整えることが大切です。
出典:マネーフォワード クラウド、トラブルが発生する主な原因【入退社に関する調査データ】(回答者:手続き業務に携わった経験がある597名、集計期間:2026年2月実施)
緊急連絡先同意書が果たす役割と運用の重要性
緊急連絡先同意書は、企業の危機管理体制を強化し、従業員の安全を確保するために不可欠な文書です。その役割を十分に果たすためには、本記事で解説した法に基づいた作成と運用が欠かせません。
適切に作成され、運用された緊急連絡先同意書は、以下のようなメリットをもたらします。
- 従業員の安全確保や緊急時の迅速な対応が可能となる。
- 個人情報保護法に基づくリスク管理が徹底できる。
- 従業員や派遣社員との信頼関係を構築できる。
さらに、運用にあたっては、個人情報保護法の遵守、利用目的の明確化、同意取得の適切さ、情報管理の厳格さが不可欠です。これらを徹底することで、企業は法的リスクを軽減し、危機管理能力を高められます。同時に、緊急時には、状況に応じた柔軟で適切な対応も不可欠です。
また企業の危機管理だけでなく、個人のプライバシー保護の観点からも、緊急連絡先同意書の運用には最新の法改正やガイドラインへの理解が欠かせません。以下のリンク先を活用し、常に最新情報を確認してください。
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