- 作成日 : 2025年1月31日
社判とは?社印との違いや種類、押し方・ルール、作成時の注意点などを解説
社判とは、会社で使用する印鑑の総称です。請求書や納品書に使われる角印や銀行の取引に使う銀行印など、用途に応じてさまざまな印鑑があります。それぞれサイズや書体、素材など、適したものを選びましょう。
今回は、社判について詳しく説明するとともに、主な種類や押し方のルール、作成するときの注意点などを解説します。
目次
社判とは
社判とは、会社で使用する印鑑の総称です。代表者印や銀行印、角印など、さまざまな種類があります。
ここでは、社判の概要を解説します。
社判の読み方
社判は、一般的に「しゃばん」と読みます。漢字では「社版」と書くこともあり、間違いではありません。
社判は特定の印鑑を指すものではなく、会社で使っているさまざまな印鑑を指します。
会社によって社判と読んでいる印鑑の種類は異なり、角印を自社の社判としている会社もあれば、代表者印を社判と読んでいる場合もあります。
社判と社印の違い
社判はさまざまな印鑑の総称であり、社印はそのうちの1つです。社判が必ず社印とは限らず、会社によって異なります。
社印は、会社名や屋号が彫られた四角い形状の角印を指すのが一般的です。角印は、会社の日常業務で認印として使用されています。ただし、社印イコール角印というわけではなく、社印は角印のほかに丸印も含まれます。
社判の種類
社判にはさまざまな種類がありますが、ここでは代表的な社判について解説します。
角印(社印・認印)
角印とは、会社名や屋号などが彫られており、印影が四角い印鑑のことです。社印や認印とも呼ばれます。
角印は、主に見積書や納品書、請求書といった書類に使用され、社名や所在地の右側に押すのが一般的です。角印の有無で書類の効果が変わるわけではありませんが、角印を押すことで相手に安心感を与えるという効果があります。
丸印(代表者印・実印)
丸印とは印影が丸い形をしている印鑑で、主に代表者印・実印に用いられます。代表者印は経営者の肩書が彫刻された印鑑のことです。
代表者印は必ず丸でなければならないわけではありませんが、ほとんどの会社が丸い印影の印鑑を使用しているため、代表者印のことを丸印と呼ぶことが少なくありません。
代表者印はすべて実印というわけではなく、会社設立の際に法務局に登録した印鑑が実印となります。代表者印でも登録されていないものは、会社認印にすぎません。
銀行印
銀行印とは、銀行などの金融機関に登録された印鑑のことです。預金口座の開設や預金引き出しなどに使います。近年は窓口で預金を引き出す機会は減っていますが、小切手や手形の発行や届出内容の変更など、銀行印を使う機会は少なくありません。
銀行印と代表者印(実印)を兼ねることは可能ですが、実印の紛失・盗難のリスクを考慮すると併用は望ましくなく、それぞれ別に作成したほうがよいでしょう。
ゴム印(住所印)
ゴム印とは、印面がゴム製で、会社名や住所などの印影を押すスタンプのことです。住所印が一般的ですが、手書きする手間を省くため、日付や勘定科目など繰り返し使用する文言のスタンプも作成されています。
使用するときは、通常の印鑑と異なり、朱肉ではなくスタンプ台を使います。分割できるため、住所や社名変更、代表者が変更したときに行だけを作り直して使用できるのがメリットです。
社判の押し方・ルール
社判は、印鑑の種類によって押し方が異なります。
代表者印や会社認印は、代表者名や会社名の右側に押印するのが一般的です。少しだけ文字と重なるようにすることが多いでしょう。「印」という文字が印刷されていたり枠が設けられていたりする書類は、文字と重ねるか枠内に納めるように押印します。
角印は、住所と会社名の右側に、やや被さるように押すことが多いでしょう。
社判を押す権限のある社員
社判を押す権限が誰にあるかは、会社によって異なります。管理職に権限があるケースが多く、代表者印の場合は経営者に権限があります。
ただし、権限がある人が必ず押印するとは限りません。権限のある人と実際に押す人は異なるケースも多く、権限のある代表者や管理職から委任されて社判を押す場合もあります。
委任により押印する場合、問題が生じた際の責任を負うのは権限のある者です。あくまで社判の責任者となるのは権限に基づき管理する側であり、押印を承認したことにより責任を負います。
社判を作成するときの注意点
印鑑にはさまざまなサイズや書体、素材があり、作成する印鑑の種類に応じて適切なものを選ぶことが大切です。
ここでは、社判を作成するときの注意点を解説します。
社判のサイズ
社判の適切なサイズは、印鑑の種類により異なります。
法務局で代表者印を登録する場合、登録できる印鑑の印影サイズは、「一辺が1センチの正方形より大きく、3センチの正方形に収まるサイズ」と定められています。そのため、代表者印として販売されている印鑑は直径18ミリまたは21ミリの丸型が一般的です。
銀行印には、明確なサイズの決まりはありません。手続きの書類にある捺印欄に収まるサイズで作成するのが一般的です。
角印や会社認印は、見積書や請求書など、取引先とやり取りする書類に使用するため、押印したときのイメージを考え、書類に合ったサイズを選ぶとよいでしょう。
ゴム印は、それぞれの用途に応じて、最適な大きさを作成してください。
社判の書体
社判の書体は、複雑な書体を用いるのが一般的です。複雑な書体にすることで、印影の偽造や複製を防止できます。具体的には、篆書体(てんしょたい)や吉相体(きっそうたい)がよく選ばれています。これらの書体は可読性が低く、偽造が難しいとされているためです。
ただし、書体は複雑でも、社名は判別できるものであることが必要です。 会社の印鑑は請求書や契約書などにも押印するため、相手方が社名を確認できなければなりません。可読性は低くても、ある程度社名を読み取れるものを選びましょう。
社判の素材
印鑑にはさまざまな素材が使われており、社判として使用される印鑑の素材は、主に次のものがあげられます。
- 水牛の角
- チタン
- 木材
水牛の角は、黒水牛の角を加工した素材が一般的です。高級感があり、耐久性が高いというメリットがあります。
チタンは錆びにくく水牛の角よりも耐久性がありますが、価格は高めです。
木材は手に馴染みやすくリーズナブルですが、耐久性が低く、かけやすい点がデメリットです。使用頻度が高い社判は水牛やチタンを選び、使用頻度が低い社判は木材を選ぶようにするとよいでしょう。
個人事業主も社判を作成すべき?
個人事業主も事業を営む点で法人と変わらず、取引先と契約したり、さまざまな書類をやり取りしたりします。そのため、社判が必要になるでしょう。
個人事業主は個人で使用している印鑑を社判として兼用することも可能ですが、できれば仕事で利用する印鑑とは分けておくことをおすすめします。特に屋号のある個人事業主は、屋号の印鑑を作成して社判にすれば、対外的な信用も高まるでしょう。
ただし、個人事業主は法人のような印鑑の登録ができないため、実印が必要な場面では、印鑑登録をした個人の実印を使用するという点に注意が必要です。
社判の意味や印鑑の役割を把握しておこう
社判とは、角印や代表者印など、会社で使用する印鑑の総称です。会社ごとに、何を社判としているかは異なります。社判は権限のある人が押すのが一般的ですが、日常業務では委任を受けた社員が押すことが多いでしょう。
社判には、さまざまなサイズや書体、素材があります。一部の印鑑には決まりがあり、社判として適しているとされるものもあるため、印鑑ごとによく吟味して作成するとよいでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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