- 作成日 : 2022年4月22日
注文請書とは?注文書となにが違う?
商取引を行う際に、注文を受けた側が「注文請書」を発行することがあります。取引先から「注文請書を発行してください」と言われたものの、作成方法がわからず戸惑う人は少なくありません。
今回は、注文請書の概要や記載すべき内容、作成時の注意点、注文書・受注請書との違いについて説明します。
目次
注文請書とは?
注文請書とは、注文を受けた企業や人が、発注内容を承諾したことを明らかにするために作成・発行する書類のことです。提供する商品・サービスの内容や数量、納期、代金の支払方法などを記載します。項目については後ほど詳しく解説します。
売買契約は書面による締結がなくても成立するため、注文請書の発行は必須ではありません。必須ではありませんが、注文請書の発行を求められることもあるため、どのような書類なのか知っておくとスムーズに対応できるでしょう。
注文請書の意味と目的は?なぜ必要?
発注する側は注文書を発行しますが、それだけでは先方に注文が伝わっているかどうかがわかりません。そこで、受注した側が「この注文を確かに承りました」という意思を表示するために注文請書を発行します。しかし、前述のとおり注文請書の発行を省略する企業は多く、メールや電話、FAXで「注文を承りました」と伝えるケースが多いようです。
注文請書を発行することで、「注文したが商品・サービスが提供されない」「注文を受けた覚えがない」といったトラブルを防ぐことができます。
注文書との違い
注文書は発注者側が作成・発行する書類で、発注書とも呼ばれます。注文請書と同様に、欲しい商品・サービスの内容や数量、納期、支払方法などを記載します。注文書は日本の商取引で一般的に使われるため、見たことがある人は多いでしょう。
(契約の成立と方式)
第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
引用:民法|e-Gov法令検索
売買契約は書面がなくても成立するので、注文書の発行も義務ではありませんが、商品・サービスを注文したことを証拠として残すことができるため、日本の商取引では注文書を発行するのが一般的です。なお、下請法の対象となる取引では、一定事項を記載した注文書の発行が義務付けられています。
(書面の交付等)
第三条 親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより下請事業者の給付の内容、下請代金の額、支払期日及び支払方法その他の事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない。ただし、これらの事項のうちその内容が定められないことにつき正当な理由があるものについては、その記載を要しないものとし、この場合には、親事業者は、当該事項の内容が定められた後直ちに、当該事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない。
注文書をメールやFAXで送れば、注文を受けた側はそれに対して「承りました」と返信することにより受注の意思表示ができるので、わざわざ注文請書を作成する手間を省けます。これが、注文請書があまり普及していない理由です。
受注書との違い
受注書は注文請書とほぼ同義で、発注を受けた側が「注文を承りました」という意思を表示するための書類です。
加工を必要とする商品を提供する場合や、金額が大きい商品・サービスの場合は「受注」、加工を必要としない場合や比較的安価な商品・サービスの場合は「注文」といったように、使い分けている企業もあるようです。
注文請書を取り交わすタイミング
発注側は商品・サービスを正式に注文する際に注文書もしくは発注書を発行し、受注側にはメールやFAX、手渡し、郵送などで届きます。その内容を確認し、自社で対応できるかどうか(材料などの仕入が間に合うか、自社工場や外注で生産できるか、サービスを提供できる体制になっているかなど)を確認し、発注側が求める商品・サービスを提供できることを確認した時点で、受注者が発注者に注文請書を発行します。
注文請書発行の流れ
一般的に、発注者は発注する前に見積書の発行を受注者に依頼します。発注者は見積書の内容を検討し、発注することを決めたら注文書を作成・発行します。その後、受注者は注文請書を発行し、注文を受けたことを発注者に示します。ただし、メールやFAXの返信をもって意思表示を行うケースがほとんどです。
受注者は商品・サービスを提供する際に納品書を発行し、発注者は受領書を発行します。納品物を検収して問題がなければ発注者が検収書を、受注者は請求書を発行し、発注者は代金を支払います。入金を確認したら受注者が領収書を発行し、一連の取引が完結します。
注文請書に記載する項目
注文請書の項目に決まりはありませんが、以下のような内容を記載することで、発注者側と受注者側の認識のズレを防ぐことができます。
発行日
注文請書を発行する日付です。注文がないと受注することができないため、注文請書には注文書の発行日以降の日付を記載します。
発注者側の名称
誰が発注したのかを明確にします。者側の会社名や部署名、担当者名を記載します。
受注者側の名称
誰が注文を受けたのかを明確にします。受注者側の会社名、部署名、担当者名を記載します。
注文の内容
発注を請けた商品・サービスの内容(名称や数量、納期、金額、納品方法、備考など)を具体的に記載します。金額は税抜き額、消費税額、税込み額を記載します。受注金額や受注内容によっては、収入印紙を貼付する必要があります。
支払方法
代金の支払方法について記載します。支払いはトラブルが多い事項なので、いつ・どのように支払ってもらうのかを明確にしましょう。
注文請書に関する注意点
注文請書を正しく作成しないと、発注者側と受注者側で認識のズレが生じ、それがトラブルを招くことがあります。注文請書を作成する際は、以下の点に注意してください。
日付の記載は必要?空欄でもよい?
いつ注文を受けたのかを明らかにするためにも、注文請書には発行日を記載することをおすすめします。ただし、注文書の日付よりも前の日付を記載すると、発注される前に受注したことになり、取引の整合性が取れません。あらかじめ注文されることがわかっていたとしても、注文書が届いた後で注文請書を発行し、注文書の発行日以降の日付を記載しましょう。
注文請書の捺印方法は?認印でも大丈夫?割印を行う?
注文請書への押印は認印でも問題なく、割印も不要です。民法では、押印がなくても双方の合意があれば契約は成立するとしています。そのため、押印がなかったとしても、さらに言えば注文請書がなくても、注文は成立します。
注文請書がない場合は?
注文請書がない場合は、注文書が送られてきたFAXやメールに返信するか、電話や口頭で注文を受け付けた旨を伝えることで、受注の意思表示ができます。取引先から注文請書の発行を求められた場合は、新たに作成・発行したほうがスムーズです。これを機会に、フォーマットを作っておいてもよいでしょう。
注文請書とは何か?を知っておこう
「この記事を読んで初めて注文請書というものを知った」「取引先に注文請書の発行を求められてこの記事を読んだ」という人もいるかもしれません。注文請書がどのような書類なのか、どのタイミングで発行するのか、どういった項目を記載するかを把握しておけば、注文請書の発行を求められた場合にスムーズに対応できるでしょう。
注文請書を作成することになった場合は、今回の記事を参考にしながら進めることをおすすめします。
よくある質問
注文請書とは何ですか?
受注者が注文を受けたという意思を示すために、注文者に対して発行する書類のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
注文請書を取り交わすタイミングはいつですか?
注文書を受け取り、その内容どおりに商品・サービスが提供できることを確認した際に発行します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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