• 更新日 : 2026年7月13日

保証契約とは?基本的なルールと民法改正のポイントを解説

PDFダウンロード
Point保証契約を結ぶ前に何を確認すべき?

保証契約は主債務者が返済できない場合に保証人が代わりに債務を履行する契約で、類型によってリスクが大きく異なります。

  • 連帯保証では主債務者と同等の責任が課される
  • 根保証は不特定の債務を対象とし、極度額の設定が義務になる
  • 民法改正で公正証書による意思確認が義務づけられた

契約締結前に主債務者の資力と債務の内容を必ず確認しましょう。

保証契約は、主債務者が借金や代金を支払えない場合に保証人がその債務を履行する義務を負う契約です。連帯保証契約・根保証契約など類型ごとに責任範囲が異なり、2020年4月施行の改正民法によって保証人保護のための規定が大幅に整備されました。

本記事では、保証契約の基本ルールとリスク、改正民法の主要ポイントをわかりやすく解説します。

保証契約とは?

保証契約とは、主債務者が借金の返済や代金の支払いといった債務を履行しない場合に、保証人がその債務を履行する義務を負う契約です(民法446条1項)。口頭では成立せず、書面または電磁的記録によらなければ効力を生じません(民法446条2項)。

保証契約の基本ルールは?

保証人は、主債務者が履行しない場合に初めて自身の保証債務を履行する義務を負います。

債権者から請求を受けた場合、保証人は「まず主債務者に請求してください」という催告の抗弁や、「まず主債務者の財産に執行してください」という検索の抗弁を行使し、履行を一時的に拒むことができます。

保証債務の範囲は、主債務の利息・違約金・損害賠償など主債務に付随するすべてのものを含みます(民法447条1項)。保証人の責任は主債務より重くすることはできないとされており、附従性・随伴性・補充性という法的性質が認められています。

参考:民法|e-Gov法令検索

根保証契約とは?

根保証契約は、契約締結時点では金額が確定しない不特定の債務を対象とする保証契約です。

通常の保証契約が「特定の債務」だけを担保するのに対し、根保証契約は「一定の範囲に属する不特定の債務」を目的とします。継続的な取引関係から生じる債務を包括的に保証するため、契約時点で保証総額が定まらないリスクを保証人が負います。

たとえば、企業が取引先との継続的な売買取引から生じる債務を広く保証する契約や、介護施設の入居費用・施設内事故の賠償金を家族が保証する契約、アパート賃貸借における賃料等を含む保証などが代表的な例です。

根保証契約は保証人が責任を負う債務の種類や、保証人が個人か法人かによってリスクの範囲や適用されるルールが変わります。同じ根保証契約でも、分類によって課される義務や保護の程度が大きく異なります。

連帯保証契約とは?

連帯保証契約では、保証人が主債務者と連帯して同等の責任を負うため、催告の抗弁権・検索の抗弁権を使えません。

通常の保証では保証人が二次的な責任を負うにすぎませんが、連帯保証では主債務者と同列に扱われます。債権者は主債務者への催告を経ずに保証人へ直接請求でき、保証人は主債務者の財産への執行を求めることもできません(民法454条)。

催告の抗弁は一時的な延期に過ぎず、実務上の影響は限定的です。一方、検索の抗弁を使えれば主債務者の財産に先に執行させられるため、保証人の負担は大きく軽減されます。連帯保証ではこの抗弁が使えない点に特にリスクがあります。

実務では連帯保証契約が用いられるケースが多いため、保証人になる際は「連帯責任」の有無を契約書で必ず確認することが大切です。

広告

この記事をお読みの方におすすめのガイド4選

この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。

※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。

電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選

業務委託契約書や工事請負契約書…など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など、使用頻度の高い45個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。

実際の契約に合わせてカスタマイズしていただきながら、ご利用くださいませ。

無料ダウンロードはこちら

【弁護士監修】チェックリスト付き 改正下請法 1から簡単解説ガイド

下請法の改正内容を基礎からわかりやすく解説した「改正下請法 1から簡単解説ガイド」をご用意しました。

本資料では、2025年改正の背景や主要ポイントを、弁護士監修のもと図解や具体例を交えて解説しています。さらに、委託事業者・受託事業者それぞれのチェックリストを収録しており、実務対応の抜け漏れを防ぐことができます。

2026年1月の施行に向けて、社内説明や取引先対応の準備に役立つ情報がギュッと詰まった1冊です。

無料ダウンロードはこちら

【弁護士監修】法務担当者向け!よく使う法令11選

法務担当者がよく参照する法令・法律をまとめた資料を無料で提供しています。

法令・法律の概要だけではなく、実務の中で参照するケースや違反・ペナルティ、過去事例を調べる方法が一目でわかるようになっています。

無料ダウンロードはこちら

自社の利益を守るための16項目 契約書レビューのチェックポイント

契約書レビューでチェックするべきポイントをまとめた資料を無料で提供しています。

契約書のレビューを行う企業法務担当者や中小企業経営者の方にもご活用いただけます。

無料ダウンロードはこちら

保証契約のリスクは?

保証人は主債務者が負う債務と同等の責任を負い、返済できなければ自宅・土地・給与・預貯金が差し押さえられるおそれがあります。

多額の借金を肩代わりすることになった場合、最終的に生活が立ち行かなくなり、自己破産を選択せざるを得ない状況に追い込まれるケースもあります。

主債務者との信頼関係を理由に深く考えずに保証契約を締結してしまうケースも少なくありません。締結後に「保証内容をよく理解していなかった」と気づいても、原則として契約は有効です。保証人になる前の慎重な判断が重要です。

保証契約に関する民法改正の内容は?

2020年4月に施行された改正民法では、個人保証人の保護を目的としたルールが複数整備されました。保証人が安易に契約を結ぶことを防ぎ、予期せぬ過重な負担を軽減することが立法の趣旨です。

参考:民法の一部を改正する法律(債権法改正)について|法務省

個人が保証人になる根保証契約の極度額の定め

改正後の民法では、個人が保証人になるすべての根保証契約において、書面または電磁的記録で極度額を定めなければ無効となります。

改正前は「主債務に貸金等債務が含まれている場合」のみ極度額の設定義務が課されていました。しかし、賃貸借に伴う未払い賃料や原状回復費用なども多額になりうることから、2020年の改正で個人根保証契約全般に対して極度額の設定義務が拡大されました(民法465条の2)。

極度額は「〇〇円」などと具体的な金額を書面に明記する必要があります。金額の記載がない場合や曖昧な記載にとどまる場合、当該根保証契約は無効となりえます。また、極度額の設定にあたっては当事者間の合意が必要で、書面(または電磁的記録)でその内容を定めなければなりません。

公正証書による意思確認

事業のための貸金等債務を保証する際、一定の個人が保証人になるには契約締結の前1か月以内に保証意思宣明公正証書を作成して意思確認を受けることが必要です。

主債務が「事業のため」の貸金等債務である場合は、根保証契約でなくとも多額になりやすいため、安易な契約締結を防ぐ規定が設けられました(民法465条の6)。

公正証書の作成にあたっては、公証人の面前で保証の意思を口授し、公証人が筆記・読み聞かせを行い、署名押印するという手順が求められます。第三者である公証人が保証の意思と内容を確認することで、リスクを十分に認識せずに保証人になることを防ぐ仕組みです。

ただし、以下に該当する者には同規定が適用されません。主債務者が法人である場合の理事・取締役・執行役・過半数の議決権を持つ者(大株主など)、主債務者が個人事業主である場合の共同経営者や当該事業に現に従事する配偶者です。これらの者はリスクや経営状況を十分に認識したうえで保証人になるとみなされ、規定の対象から外れています。

参考:民法の一部を改正する法律の施行に伴う公証事務の取扱いについて|法務省

保証人への情報提供義務

改正民法では、主債務等に関する情報を適切に提供する義務が、3つの場面に分けて設けられました。

3つの場面とは、①契約締結時の情報提供、②主債務の履行状況に関する情報提供、③期限の利益喪失時の通知です。

場面 対象者 提供される主な情報
①契約締結時(民法465条の10) 事業目的の債務を個人に委託する場合 主債務者の財産・収支状況、他の債務の有無と履行状況
②履行状況の提供(民法458条の2) 委託を受けた保証人(法人含む) 主債務の残額・不履行の有無・期限超過額
③期限の利益喪失(民法458条の3) 個人保証人全員(委託不要) 期限の利益を喪失した事実と通知期限(喪失から2か月以内)

契約締結時の情報提供(民法465条の10)

主債務が事業目的の債務で個人に保証人になるよう委託する場合に適用されます。主債務者は、財産・収支の状況や主債務以外の債務の有無・履行状況などを事前に提供しなければなりません。虚偽説明や情報提供の不履行により保証人が誤認した場合、債権者がその事実を知るかまたは知ることができたときは、保証人は保証契約を取り消すことができます。

主債務の履行状況に関する情報提供(民法458条の2)

委託を受けた保証人(法人含む)が対象です。主債務者が不履行状態になっていても、保証人が長期にわたってその事実を知らずにいると遅延損害金が膨らむおそれがあります。そのため委託を受けた保証人に限り、主債務の残額・不履行の有無・期限超過額などを債権者に請求できます。義務を果たさない債権者に対しては、債務不履行として損害賠償を請求できる可能性があります。

期限の利益喪失の通知(民法458条の3)

主債務者が期限の利益を失った後の情報提供です。保証人が個人の場合、債権者は喪失を知った日から2か月以内に通知しなければなりません。通知前の遅延損害金と、通知を怠ったことで増加した遅延損害金は請求できません。ただし、通知がない場合でも期限の利益の喪失自体がなかったことにはならず、保証人は残債務について履行に応じる義務があります。

保証契約を結ぶ前に確認すべきことは?

保証人になる前には、主債務者の資力と保証の種類・責任範囲を慎重に見極めることが求められます。改正民法の整備によって保証人保護の枠組みは強化されましたが、保証人になること自体のリスクはなくなっていません。

主債務者の財産状況を確認する

保証契約の締結前に、主債務者の収入・資産・他の負債状況を確認することで、リスクが現実化する可能性をある程度評価できます。

信頼関係だけを理由に安易に保証人になると、主債務者の財政状況が見えないまま連帯保証債務を負うことになりえます。改正民法に定められた「契約締結時の情報提供義務」(民法465条の10)を活用し、主債務者から書面で情報を入手することが大切です。

特に事業用融資の連帯保証では、事業の収益状況や他の借入残高などを確認しておくことで、保証人としてのリスクをより正確に見通せます。

保証の種類と責任範囲を書面で確認する

保証契約は「連帯保証」か「単純保証」か、「根保証」か「特定保証」かによって、責任の重さが大きく異なります。

特に「連帯保証」と記載されている場合は催告・検索の抗弁権がなく、主債務者と同等の責任を直接問われます。また根保証では極度額の上限まで保証債務が生じうるため、その金額が自分の資力に照らして過大でないかを書面で確認することが重要です。

保証契約の内容が複雑な場合や、多額の債務が対象になる場合は、弁護士などの専門家に事前に相談することもリスク回避の手段として有効です。

保証契約のリスクと民法改正を理解して適切に対応しよう

保証契約には、主債務者の代わりに多額の債務を負いかねないリスクがあります。連帯保証契約や根保証契約といった類型によってリスクの大きさは異なり、2020年4月施行の改正民法では個人保証人を守るための規定が整備されました。

極度額の設定義務、公正証書による意思確認、各種情報提供義務はいずれも、保証人が不当に過重な負担を負わないための仕組みです。これらのルールを理解したうえで、主債務者の資力や保証の種類・範囲を十分に確認してから契約を締結することが大切です。

PDFダウンロード

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

民法 債権 保証の関連記事

新着記事