• 作成日 : 2024年3月22日

契約類型とは?事業者がおさえておきたい典型契約と非典型契約を解説

契約類型とは?事業者がおさえておきたい典型契約と非典型契約を解説

契約類型とは、一般的には民法の条文で定められている典型契約のことです。契約類型には13種類あり、契約書に明確に定められていない場合には民法の規定に基づいて判断されます。本記事では、契約類型の概要やビジネスで用いる機会の多い典型契約、非典型契約について解説します。契約類型を理解して、法務業務をスムーズに進めましょう。

契約類型とは?

契約類型とは、一般的には民法の条文で定められている典型契約(有名契約)を指して使われます。民法の第522条第1項には互いに意思表示することで契約が成立することが定められており、契約内容を自由に決めることが可能です。

しかし、民法では契約トラブルを避けるために、使用される機会の多い契約類型の規定を設けて、法律が適用されるようにしています。

典型契約と非典型契約の具体的な種類については、下記の通りです。

法的に定められている典型契約は13種

契約類型には、13種類の典型契約があります。

民法で定められているため、契約書に明確に記載されていない場合でも、権利義務が発生するのです。

以下に、契約類型の分類と内容を紹介します。

契約の分類内容種類
移転型財産権を移転するための契約売買契約、贈与契約、交換契約
役務型労務の提供に関する契約雇用契約、請負契約、組合契約、寄託契約、委任契約・準委任契約
利用型物を利用するための契約賃貸借契約、消費貸借契約、使用貸借契約
和解型権利や義務を明確化させて確定する契約和解契約

契約類型には、売買契約や贈与契約などがあり、財産権が移転する移転型に分類されます。

また、賃貸借契約や使用賃貸借契約などのように、利用型の契約もあります。

典型契約以外はすべて非典型契約

民法の条文に記載がない契約類型は、非典型契約(無名契約)です。ただし、非典型契約は典型契約と全く異なるものではなく、典型契約を一部内容を修正して利用されるものが多いです。

民法には契約自由の原則があるため、典型契約以外にも契約内容の合意があれば、自由に契約を締結できます。

契約内容は当事者間で自由に定められますが、契約書に記載された事項により権利義務が発生します。

契約書の内容が重要視されるため、非典型契約を締結するときは、内容をきちんと確認しましょう。

参考:法務省説明資料|法務省

事業者がよく使う主な典型契約

典型契約には13種類あり、それぞれが民法の条文で定められています。例を挙げると、売買契約では、代金を支払い財産権が移転する点が規定されています。また、賃貸借契約は、賃料を支払い一定期間引き渡しを受ける契約です。

本項では、ビジネスで利用する機会の多い典型契約をそれぞれ解説していきます。

贈与契約

贈与契約(民法549条〜554条)とは、ある財産を無償で相手方に与える意思表示をし、これを受諾する当事者との間で結ばれる契約です。財産の移転を目的とする点は、売買契約や交換契約と共通していますが、無償という点で異なります。

贈与契約の例を挙げると、株式の贈与が挙げられます。

贈与契約の契約書について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

売買契約

売買契約(民法555条〜585条)とは、当事者の一方が一定の財産権の移転を約束し、相手方が代金の支払いを約束する契約です。

対価を支払う点において、無償で行う贈与契約と異なります。また、代金を支払うため、物々交換である交換契約とは異なる性質をもちます。

多くのビジネスシーンで取り交わされる機会の多い契約類型のため、下記の記事を参考にして契約書の書き方を理解しておきましょう。

交換契約

交換契約(民法586条)とは、当事者同士が互いに金銭以外の所有物の財産権を移転する契約です。

金銭ではなく「もの」で交換する点以外は売買契約と性質が同一のため、売買契約の規定が準用されます。

例を挙げると、株式の交換や土地の交換などに利用できます。

消費貸借契約

消費貸借契約(民法587条〜592条)とは、当事者の一方が金銭などを受け取る代わりに、同等の物の返還を約束する契約です。

一般的には、金銭を消費貸借の対象とする契約である金銭消費貸借契約を指すものとして利用されます。

金銭消費貸借契約では、書面を作成しない限りは「金銭の受け取り」が要件であり、法人同士のお金のやり取りにも使われる場合があります。

金銭消費賃貸借契約について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

使用貸借契約

使用貸借契約(民法593条〜600条)とは、物品を無償で借り、使用後に返還する契約です。

「借りたものそのものを返す」点で、消費貸借契約とは異なります。

使用貸借契約では、使用料を払う必要がありません。つまり、借りた物品を使用後に返還することが求められます。

賃貸借契約

賃貸借契約(民法601条〜622条)当事者の一方が物の使用を相手方に許可し、相手方が賃料を支払い、契約が終了したときに引き渡しを受けた物を返還する契約です。

「借りたものを返して、対価を支払う」という特徴があります。例えば、法人がオフィスを借りる際に利用されます。

賃貸借契約の理解を深めたい方は、以下の記事を参考にしてください。

雇用契約

雇用契約(民法623条〜631条)とは、当事者の一方が労働をして、相手方が報酬を与える約束をする契約です。

特徴は、使用者が被用者(労働者)に対し「指揮命令権限」を有する点です。労働者は、使用者の指揮命令下で労働を行い、その対価として報酬を得ます。

雇用契約の際には、民法だけでなく労働基準法や労働契約法も確認する必要があります。正社員やアルバイトを雇う際に求められるでしょう。

雇用契約書は、以下の記事を参考にして作成しましょう。

請負契約

請負契約(民法632条〜642条)とは、当事者の一方が仕事の完成を約束し、相手方が結果に対して報酬の支払いを約束する契約です。

請負人は仕事を完成させる義務を負います。原則として、仕事が未完了であれば報酬が得られない点が注意すべきポイントです。

請負契約は、建設工事や運送業務、ITシステム構築、ソフトウェア開発、デザイン制作など、さまざまな業務で利用されます。

請負契約書の書き方は、以下の記事を参考にしてください。

委任契約・準委任契約

委任契約(民法第643条)とは、一方の当事者がもう一方に法律行為(当事者の意思表示により法的効果を生み出す行為)の実施を依頼し、受け入れられることで効力を生じる契約です。例えば、弁護士に訴訟の代理を依頼する場合や、エージェントに契約の締結を任せるときが該当します。

一方で、準委任契約は、法律行為以外の業務を委託する際の契約です。委任契約、準委任契約は、成果(結果)に対する責任を負わない点が特徴です。

委任契約については、以下の記事を参考にして理解を深めましょう。

寄託契約

寄託契約(民法第657条)とは、当事者の一方が物品の保管を相手方に依頼し、それが承諾されると成立する契約です。

美術品をセキュリティの整った倉庫に預けたり、商品を物流センターに管理してもらったりする場合が該当します。また、車を整備工場に長期間保管してもらう場合も挙げられます。

寄託契約書の書き方は、以下の記事を参考にしてください。

組合契約

組合契約(民法第667条)は、2人以上の当事者が共同で事業を行うために資金を出し合うことを約束する契約です。

例えば、AとBがそれぞれ200万円を出資して店舗を運営する場合が挙げられます。この場合は、事業運営における細かな取り決めも定められます。

組合契約書の作成方法は、以下の記事を参考にしてください。

和解契約

和解契約(民法第695条)は、双方の当事者が譲歩し合い、既存の紛争をやめる締結をする契約です。

法的な争いが発生した際に、訴訟にもち込まず解決するための契約であり、和解によって紛争を終結できるメリットがあります。

以下の記事から和解契約書のテンプレートがダウンロードできますので、ぜひ活用してみてください。

事業者がよく使う主な非典型契約

民法で定められている典型契約以外に、事業者がよく使う非典型契約には以下のようなものがあります。

例えば、リース料を支払って物品を利用するリース契約や自社の秘密情報の取扱いを制限する秘密保持契約です。外部委託する際に必要な業務委託契約も契約業務に必要です。

本項では、事業者が使用する機会の多い非典型契約について説明しますので、自社で契約業務を締結する際の参考にしてみてください。

リース契約

リース契約は、必要な機械設備を使用するために、リース会社に定期的な料金を支払う契約です。利用者は毎月決められたリース料を支払うと、必要な設備を借りられます。

オフィスで必要とされるコピー機や複合機などのOA機器や、パソコン、サーバーといったIT機器などのリースに活用されています。

リース契約の詳細については、以下の記事を参考にしてください。

フランチャイズ契約

フランチャイズ契約では、フランチャイズ本部が加盟店に自社の商標の使用権を与え、運営に関する指導や支援を提供する契約です。これに対する対価として、加盟店は本部に金銭を支払うことになります。

フランチャイズ契約は、本部が作成したビジネスモデルやシステムをパッケージとして加盟店が利用する場合が一般的です。

また、加盟する際には契約期間や加盟金、保証金などの条件を慎重に確認し、理解することが大切です。

ソフトウェア使用許諾契約

ソフトウェア使用許諾契約は、著作権者や商標権者が自らの権利をもつソフトウェアの使用を許可する契約です。権利を有する人から正式にの許可を得て、ソフトウェアを使用できます。

ソフトウェアの使用は有償の場合が多く、取り決めには民法上の売買契約の規定が準用されます。

例えば、Microsoft OfficeのExcelやWordです。ソフトウェアを使用する際には、使用許諾契約に基づき料金を支払うことが一般的です。

ソフトウェア使用許諾契約については、以下の記事で詳しく学べるため、参考にしてください。

秘密保持契約(NDA)

秘密保持契約(NDA)は、特定の情報を守る際に締結される契約です。秘密情報とは何かを明確に定め、扱い方を細かく規定することが必要です。

例えば、業務提携をするときや、共同での研究開発を行う際に自社の技術情報を提供する場合などが該当します。

また、外部の業者に業務を委託する際に、自社の大切な情報を伝える場合があるため、秘密保持契約が締結されます。

業務委託契約

業務委託契約とは、企業が自ら遂行する業務の一部を、外部のほかの企業や個人に任せる際に利用される契約です。この契約において、受託者は委託された業務を自分の判断で進行でき、時間配分や作業の進め方は受託者の裁量に委ねられています。

ただし、委託する側は業務の具体的な進め方や時間の割り当てを細かく指示することは原則として許されていません。

業務委託契約については、以下の記事で詳しく解説しているため、参考にしてみてください。

労働者派遣契約

労働者派遣契約は、派遣社員の提供を主な目的とする契約で、派遣会社と派遣先企業の間で結ばれます。これにより、派遣先の企業は必要な人材を派遣の形で確保できます。

特徴は、派遣会社と派遣先企業間の取引条件を定めた基本契約と派遣される労働者の勤務条件を具体化した個別契約が含まれる点です。

派遣労働者を受け入れる企業は、これらの契約内容を細かくチェックし、理解することが重要です。それにより、双方の権利義務が明確になり、トラブルを避けられます。

広告放送契約

広告放送契約とは、テレビCMやラジオCMなどの放送を依頼する際に広告主と媒体との間で締結する契約です。

具体的には、CMの制作を広告代理店に依頼する場合、あるいはCM以外の広告の制作や出稿を依頼する場合は「広告契約書」を用いて依頼先と契約を締結します。

なお、テレビやラジオの放送は放送法や電波法などの法律に基づいて行うことが必要です。

広告放送契約書の記載項目や注意点は以下の記事で説明しているため、業務の参考にしてください。

契約類型を理解して、契約業務をスムーズに進めよう

契約類型とは、民法で規定されている13種類の典型契約です。取引や採用など、ビジネスで利用される機会も多く、売買契約や賃貸借契約、雇用契約などが使用されます。

一方で、典型契約以外のものを非典型契約といい、契約内容を自由に決めて良いとされています。

契約類型についての理解を深めて、契約業務を円滑に進めましょう。


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