- 更新日 : 2024年8月30日
契約書の別紙とは?どういう場面で使用する?
契約書を作成する際、「別紙」も一緒に作成することがあります。契約書作成の実務にあまり携わらない方は、「なぜ別紙は作成されるのか」「そもそも別紙とは何か」といった疑問を持つかもしれません。
この記事では契約書の別紙ついて解説し、使用される場面や作成する際の注意点を紹介します。
目次
契約書の別紙とは?
契約書の別紙について明確な定義はありませんが、「契約書全体を見やすくし、情報を整理するために用いられる書類」といえるでしょう。
契約書の1ページとして綴じられている場合もあれば、契約書とは別に別紙が綴じられている場合もあります。
契約書の別紙が使用されるシチュエーションとしては、契約書内の各条項にすべて書き記すには情報量が多すぎる場面が挙げられます。
例えば「第〇条(契約金額)」と題して契約金額を定める場合、単一の金額ならシンプルに書き記すことができます。しかし、契約金額の種類が非常に多い場合はこの条項だけ文字数が多くなり、契約書が見づらくなるおそれがあります。このような場合は「別紙のとおり」などと記載し、別紙で契約金額のみをまとめると見やすくなります。
その他、契約内容に関係する商品や製品、物件などを具体的に指定する必要があり、かつその種類が多い場合も、別紙にまとめたほうが見やすくなるでしょう。
別紙には特に決まった使い方はないため、本文をすっきりさせたい、本文のフォーマットに合わせると見づらくなる、といった場合に別紙を作成するとよいでしょう。
契約書の別紙の扱い・立場
別紙は契約書の内容を補完するもので、契約書の本文において「別紙に定める」などと記載されることで、契約書の一部となります。
いわゆる「別添」や「付属書」などはあくまで参考資料であり、契約書そのものとは区別されることもあります。一方で契約書の本文において「別紙に定める」などと記載された場合の別紙に記載される内容は契約書と一体になっており、契約書に書くことができない情報を記載するものであり、契約書の一部である点が別添や付属書と異なります。
例えば、契約金額の定めは非常に重要な情報であり、別紙としてまとめられることはあっても参考資料とはいえません。同様に契約の目的物も重要な情報であり、別紙としてまとめられることはあっても参考資料とはいえません。
しかしながら、別紙は明確に定義されているわけではないので注意が必要です。別紙に記載する事項が契約成立に欠かせない重要な情報とは限りませんし、参考資料としての意味合いを持つ情報が別紙にまとめられることもあります。
契約書の別紙に記載する項目
別紙に記載すべき項目に、制約はありません。
必ず守らなければならない体裁や形式もなく、だからこそ別紙としてまとめるメリットがあるともいえます。
契約書本文のように「第〇条(・・・)」などとせず、単にリストを並べたり、表で示したりすることもあります。
ただし、本文の該当箇所に記載された内容との対応をわかりやすく記載する必要があります。
例えば、契約金額や目的物、その他の情報を別紙にまとめた場合、単に「別紙のとおり」とだけ記載すると、別紙のどこにその情報があるのかわからないかもしれません。
そのような場合は「別紙1」「別紙2」などと番号を付けて、情報ごとに別紙を分けるとよいでしょう。本文にも「本契約の契約金額は別紙1に定めるとおりとする」と記載すれば、別紙のどこを確認すればよいかがすぐにわかるでしょう。
契約書の別紙に関する注意点
別紙を作成する際は、以下の点にも注意しましょう。
別紙の別紙は作っても問題ない?
複雑かつ情報量が多い場合、別紙にさらに別紙を設けたいと思うことがあるかもしれません。
別紙の作成方法については法的なルールがあるわけではないため、別紙の別紙を作成することで契約書が無効になるといった問題が生じることはありません。
しかし、別紙は契約書を見やすくするために作成するものであり、別紙の別紙を作成すると階層が深くなってわかりにくくなるでしょう。また、その結果、当事者の合意した内容が争われるなどして契約書のトラブル防止効果が弱まる可能性もあります。
そのため、別紙の別紙はできるだけ作成しないようにして、「別紙1、別紙2として分けるのはどうか」「もっとすっきりとした別紙にできないだろうか」といったように、書き方を工夫したほうがよいでしょう。
追加や差し替えをするときはどうすればよい?
別紙に記載した内容に追加をしたい場合や内容を差し替えたい場合は、相手方の同意を得た上で変更を書面で行いましょう。
基本的に契約は口約束でも成立するため、内容の変更についても同意がとれていれば効力が生じます。
しかし、将来起こり得るトラブルを防止するためには、変更内容を記した書面を作成し、両当事者が記名押印を行っておくのが理想です。特に契約金額などの重要な情報は、書面を作成していないと「そんなことは聞いていない」「証拠はあるのか」と主張されるリスクがあるからです。
なお、契約内容の趣旨が変わるような場合は、契約書を一から作成し直したほうがよいでしょう。
別紙の一部を変更するような場合は、「覚書」「変更契約書」などと題した書面で「別紙1第〇条の『金〇円』を『金〇円』に変更する」といったように記載し、追加するだけで足りるのが一般的です。
別紙を使ってわかりやすい契約書を作成しよう
別紙の有無は契約書の効力を左右しませんが、本文で大量の情報を羅列するとわかりづらくなることがあるため、そのような場合は別紙を作成して情報を整理するのがベターです。
別紙の書き方に決まりはないので、契約の相手方が理解しやすいように工夫してまとめましょう。
マネーフォワード クラウド契約では弁護士監修の契約書テンプレートを用意しています。無料で利用可能ですので、以下のページからダウンロードしてご利用ください。
よくある質問
契約書の別紙とは何ですか?
契約書を見やすくするために、情報を整理した別ページのことです。詳しくはこちらをご覧ください。
契約書の別紙の扱いについて教えてください。
別紙は契約書の内容を補完するもので、通常は単なる参考資料ではなく契約書の一部として機能するため、重要な役割を担います。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
横領誓約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
横領誓約書は横領が発生したとき、犯人である従業員に着服の事実を認めさせて返済を義務付ける書面です。〇〇契約書や〇〇請求書と同様に、フォーマットを利用して作成するパターンが一般的です。本記事では横領誓約書のひな型や書き方、項目の具体例、作成時…
詳しくみる秘密保持条項とは?契約書における役割や文例を解説
「情報」は企業にとって重要な資産の1つです。多種多様、質の高い情報を持つことは企業の競争力向上にも関わってきます。しかしモノとは異なり外部に流出しやすいため、他社との契約に際しては秘密保持条項を設けることが重要です。 当記事で、秘密保持条項…
詳しくみる自動車賃貸借契約書とは?ひな形をもとに書き方や項目を解説
自動車賃貸借契約は、一定期間自動車を貸与して賃料を受け取る契約です。自動車賃貸借契約においては、双方の義務を明確に記載し、かつ合意を得るために、契約書が必須となります。 本記事では、ひな形をもとに、自動車賃貸借契約書の書き方や必須項目を解説…
詳しくみる法律文書とは?定義や種類、作成時の注意点を紹介
法律文書とは、法的効力を有する文書のことです。契約書をはじめ、通知書や同意書、利用規約など、企業活動で使う文書の多くが法律文書として挙げられます。契約や取引の証拠となる法律文書は、異なる解釈を生まないよう明確な文言で記載しなければなりません…
詳しくみる委託契約と請負契約の違いとは?各契約の特徴や注意点をわかりやすく解説
「委託契約(業務委託契約)」は委託者が雇用関係にない受託者に対して業務を委託する契約で、「請負契約」は注文者が仕事の完成と引き換えに請負人へ報酬を支払う契約です。 委託契約と請負契約では、対象となる業務(仕事)の内容や性質に違いがあります。…
詳しくみる債権質権設定契約書とは?ひな形をもとに記載項目や作成時の注意点を解説
債権質権設定契約書とは、債権に対して「質権」を設定する契約書です。主に保険金請求権や売掛金債権などの債権を、借入債務の担保として提供する際に締結されます。本記事では債権質権設定契約書の書き方や規定すべき事項の具体例、作成・レビュー時のポイン…
詳しくみる