- 作成日 : 2024年8月9日
建設業の工事完了報告書とは?書き方やテンプレートを紹介
工事完了報告書とは、主に建設業者が工事の完了を報告する書類です。契約どおりに進んだことを確認する目的で、元請けなどから提出を求められることがあります。
雛形やテンプレートを活用すれば、工事完了報告書の作成も簡単です。本記事では、工事完了報告書の書き方やテンプレートを紹介します。
目次
工事完了報告書とは
工事完了報告書は、主に建設業で工事を実施した業者が、元請けなどに工事の完了を報告する目的で提出する書類です。ここからは、工事完了報告書が必要な理由や作成義務について確認していきましょう。
工事完了報告書が必要な理由
工事完了報告書が必要な主な理由として、工事が無事完了したことや当初契約通りにおこなったことなどを元請業者に説明する点が挙げられます。後に双方の間でトラブルになった際、工事完了報告書が証拠書類になることもあるでしょう。
金融機関によっては、リフォームローン利用時に業者の工事完了報告書の提出が必要なケースもあります。
工事完了報告書の作成義務について
基本的に、工事完了報告書に関する法律上の義務は定められていません。しかし、工事後のトラブルを避けるために、元請けや顧客から求められたら作成するようにしましょう。
なお、官公庁から受注する場合は、あらかじめ提出が義務付けられていることが一般的です。制定の書式が、各自治体などのホームページに掲載されています。
工事完了報告書の雛形・テンプレート
工事完了報告書をすべて自分で作成すると、手間や時間がかかります。そこで、工事完了報告書の雛形やサンプル、テンプレートなどを活用するとよいでしょう。
以下は、経費精算システム「マネーフォワード クラウド経費」が提供するテンプレート一覧です。
いずれかを選択してダウンロードすれば、無料でExcel形式で入力可能なため、簡単に工事完了報告書を作成できます。
工事完了報告書の記入例
以下は、「マネーフォワード クラウド経費」のテンプレート一覧にある「シンプル①_工事完了報告書テンプレート」で作成した例です。
宛先や工事開始日、工事内容などを記載しています。工事内容が多岐にわたる場合、工期がそれぞれ異なる場合は、「工期入力欄あり_工事完了報告書テンプレート」などを活用するとよいでしょう。
工事完了報告書の書き方
工事完了報告書の書き方を確認する前に、まず「工事」の定義を理解しておきましょう。
実は、建設業法では「工事」自体の定義は定められていません。ただし、建設業法第2条第1項で「建設工事」の例として、土木一式工事・建築一式工事・大工工事・鉄筋工事などを挙げています。また、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第2条第2項によると、「公共工事」は国や地方公共団体などが発注する建設工事のことです。
ここから、書き方・作成方法がわかるように、工事完了報告書の記載項目や、記入時の注意点を解説します。
参考:国土交通省 建設業法等における定義
国土交通省 建設業法第二条第一項の別表の上欄に掲げる建設工事の内容
工事完了報告書の必要項目
書式によって異なりますが、工事完了報告書に記載する主な項目は以下のとおりです。
- 工期
- 工事現場
- 金額
- 工事完了の写真
「工期」には、工事を実施した期間を記載します。「工事現場」とは実施した場所の住所などの概要です。
基本的に、「金額」には請負金額を記載します。「工事完了写真」とは、完了後に撮影した現場の写真です。比較するために、完了前の写真の添付もあわせて求められることがあります。
工事完了報告書を記入する際の注意点
「金額」の部分で双方に食い違いが生じないように、注意が必要です。どこまでが請負金額に該当するのか、材料費を含めるのかなど、事前に確認するようにしましょう。
また、担当者名や印鑑などの漏れ、計算ミスがないようにすることも大切です。エクセルやPDFのテンプレート(雛形)やサンプルを活用すれば、ミスを減らし効率的に作成できます。
工事完了報告書を提出する際の流れ
建設業者が工事完了報告書を提出する際の流れは、以下のとおりです。
- 工事を請け負う
- 工事が完了する
- 工事完了報告書を作成して提出する
ここから、提出方法や保存期間などを解説します。
提出方法・提出期限
工事完了後、工事完了報告書を作成して元請業者に渡すことが、提出方法として一般的です。官公庁や大手建設業者の場合、それぞれが定める制定書式での提出を求められることがあるため注意しましょう。
また、義務ではないため法律上で提出期限は定められていません。いつまでに出せばよいかわからない場合は、元請業者にあらかじめ確認しておきましょう。
保存期間
後で自分(自社)でも確認できるように、提出した工事完了報告書は控えを用意しておくとよいでしょう。ただし、控えの保存期間に明確な定めはありません。
建設業法施行規則第28条には、建設業者は営業所ごとに帳簿を備えつけて5年間保存しなければならないという規定があるため、5年間をひとつの目安とするとよいでしょう。
工事完了報告書は工事を実施した業者が提出する
工事完了報告書とは、主に工事を実施した建設業者が完了を報告するための書類を指します。法律で作成義務は課されていませんが、トラブルを未然に防ぐために作成が必要です。
工事完了報告書には、工期・工事現場・金額・工事完了の写真などを盛り込みます。記載漏れを防ぐために、工事完了報告書のサンプルやテンプレートの活用を検討しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
相殺通知書が届いたらどうすればよい?銀行から届いた時の対応
普段は、あまり目にすることのない相殺通知書。もし銀行などから自分宛に送られてきたら、どうすればよいのでしょうか。また、相殺通知書はどのような書類で、なぜ送られるのでしょうか。そもそも、相殺とはどのような意味なのでしょうか。ここでは相殺通知書…
詳しくみる契約審査は属人化しやすい?リスクや防止策を解説
企業で法務を担当される方の共通の悩みとして挙げられるのが契約審査の属人化ではないでしょうか。大企業であればともかく、中小企業で法務担当者の数も少ないような場合は特に俗人化が発生しやすく、契約審査を初めとする法務分野におけるトラブルやミスが不…
詳しくみるサブスク管理システムとは?導入するメリットや機能、選び方などを解説
「サブスク管理システム」とは、サブスクリプションサービスの契約情報を一元管理し、更新日や支払い状況を把握できるツールのことです。契約の見落としや意図しない自動更新を防ぎ、適切な予算管理を実現するために役立ちますので、個人から法人まで事業でサ…
詳しくみる契約書はスキャンしてPDFでも保存できる?スキャナ保存の要件や方法を解説
ビジネスでは日常的に用いる契約書ですが、取引相手が多くなると契約書の数も増え、保存が煩雑になります。そのため、契約書はスキャンしてデータで保存するのが便利です。 しかし、契約書の原本の取り扱いや、法的効力はどうなっているのでしょうか。この記…
詳しくみる広告審査とは?具体的な業務フローや関連する法律を解説
企業が広告を掲出する際には、表現や内容が適切かどうかについて広告審査を行う必要があります。景品表示法・消費者契約法・薬機法・健康増進法・金融商品取引法など、適用される法律の内容を踏まえて広告審査を行いましょう。広告審査の業務フローや関連する…
詳しくみる契約書の作成代行とは?費用の相場や依頼先の選び方、違法行為を解説
契約書の作成代行とは、取引内容に適した契約書を作成するサービスです。契約書の作成ができるのは弁護士か行政書士であり、いずれかに依頼する形式になります。メリットや対応できる業務範囲はそれぞれ異なるため、自社に合う依頼先を選びましょう。 本記事…
詳しくみる