- 更新日 : 2024年7月12日
電子サインとは?電子署名の比較と導入方法をご紹介
電子サインとは、従来は紙の書類で行っていた同意や承認、本人証明などの認証を電子上で行うプロセス、および電子形式で記録したもののことを広く意味するものです。ペーパーレス化が進む近年のビジネスシーンにおいて、電子サインの導入は重要です。本記事では電子サインとは何かを電子署名との違いとともに伝え、電子サインの作り方や導入方法について紹介します。
目次
電子サインとは
電子サインとは、従来は紙の書類で行っていた同意や承認、本人証明などの認証を電子上で行うプロセス、および電子形式で記録したもののことを広く意味するものです。
買い物をする際に店のタブレット端末に手書きで署名するものが典型例ですが、広い意味で電子サインというときには署名だけでなく、ほかにもさまざまなものが含まれます。
例えば、電話やメールによる本人確認、指紋・声紋・静脈による生体認証なども電子サインの一部といえます。
電子サインの法的効力
本人が行ったことの認証ができるのであれば、電子サインにも紙の書類への署名と同等の法的効力が認められ得ます。
本人認証を行う手段にはさまざまなものがありますが、よく行われている方法としてメール認証が挙げられます。
メール認証とは、メールを用いた本人認証の方法のことです。ごく簡単に説明すれば、本人のメールアドレスへ契約用ページのURLを記載したメールを送り、本人がそのURLをクリックして契約した場合、そのURLはメールを受け取ったその人しか知り得ないものなので、本人認証として一定の裏付けが得られるということになります。
ただし、メール認証にはメールアドレスの流出や乗っ取りなどのリスクもあります。このような事態もありうる以上、本人認証として万全であるとはいえません。
「電子サイン」と「電子署名」の違い
電子サインと電子署名は似た言葉ですが、厳密には別のものを意味します。
電子署名とは、電子署名法という法律で認められた電子サインの一種であり、広い意味での電子サインの中に電子署名も含まれます。
具体的な電子署名の定義を示すと、「電子文書ファイルに別途付加された署名データで、作成者が表示されており、改ざんが行われていないかどうかを確認できるもの」ということになります。
電子署名には、政府が定めた認証局で発行される電子証明書と相まって、高い法的効力が認められています。
印鑑に例えると、電子サインが認印に、電子署名が実印に相当します。
電子サインと電子署名の具体的な違いを表にまとめましたので、参考にしてください。
(真正の推定) | |||
(非改ざん性) | |||
「電子契約書」と「紙の契約書」の違い
電子契約書と紙の契約書には、形式が電子データと紙ベースである点のほかにもさまざまな違いがあります。具体的な違いは、以下の表のとおりです。
(真正の推定) | |||
(非改ざん性) | |||
紙の契約書と比較した電子サインのメリット
電子サインを導入することで、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。企業活動において得られる主なメリットは、以下のとおりです。
郵送代や印紙税、作業する人件費コストが削減できる
紙の契約書を郵送するためには、郵送代がかかります。また、紙の契約書には印紙税法に基づいて収入印紙を貼ることが義務づけられています。1件あたりの金額はわずかでも、大量に契約書を交わす企業活動においては、これらのコストは大きな負担となります。
さらに、紙の契約書を郵送する際は印刷や宛名書き、封入、投函といった作業があり、受け取った書類をファイリングして管理する手間もかかります。またそのための人件費も必要でしょう。
電子サインを導入することで、郵送代や印紙税、人件費といったコストを削減できます。
最短数分で契約締結が出来き、業務スピード向上につながる
紙ベースで契約を締結する際は、まず契約書を印刷して相手方へ郵送し、署名・押印の上返送してもらう必要があるため、1週間程度かかる場合もあります。相手方へ契約書を持参するとしても、往復する時間がかかります。また、契約書に不備があった場合はこれらの作業を繰り返すことになるため、契約完了までに数週間かかることも少なくありません。
電子契約を導入すれば、メールやリモートで契約内容の説明・確認を行った上で、電子サインをしてもらえば最短数分で契約を締結できます。
このように契約締結にかかる工数と時間が大幅に削減されることで、業務スピードの向上につながります。
管理コストが削減できる
契約を紙ベースで行っていると、書類のファイリングや管理に人件費がかかるだけでなく、保管スペースも必要です。大量の書類を保管するために専用の部屋や倉庫を借りるとなれば、その賃料もかかるでしょう。
電子契約の場合は電子データをサーバーやクラウド上に保管できるので、書類の物理的な保管スペースは不要です。管理作業も省力化することができるので、書類の管理コストを大幅に削減できます。
電子サインの作り方
電子サインは、どのようにして行えばよいのでしょうか。ここでは、電子サインの作り方をご紹介します。
手書き署名の場合
電子サインは、電子データ(PDF)上に手書きで行うこともできます。
クレジットカードで買い物をする際や宅配便を受け取る際に、手書き署名による電子サインをした経験がある人も多いのではないでしょうか。
パソコンで電子データを表示させた場合は、マウスを使って署名します。タブレットやスマホの場合は、指やタッチペンを使って署名すれば電子サインとなります。
PDFの場合
都度手書きで電子サインをするのは手間がかかりますが、サインをあらかじめ画像として保存しておき、契約書等のPDFに挿入する方法もあります。
パソコン上でテキスト入力したものや手書きでサインしたものをスクリーンショットで画像化したものが利用できます。また、紙に手書きでサインしたものをスキャンして画像化することも可能です。
パソコンで契約書等のPDFを表示し、そこに画像として保存したサインを貼り付けてPDFとして保存すれば、電子サイン入りの契約書等が完成します。
電子サインはどのような場面で使えるか
広い意味での電子サインは電子署名と異なり電子証明書がなく、証拠力がさほど強くないため、従来の紙の書面では認印を使っていた場面での使用に向いています。実印や会社代表者の登録印を必要とする重要な書類には、電子署名のほうがよいでしょう。
電子サインを使用できる主な場面として、以下のシーンが挙げられます。
社内承認
契約を締結する前の段階で社内承認を得る際に実印は必要ないので、電子サインが使えます。
一般的に、社内承認を得るには稟議書を提出し、何人もの上司や責任者の許可印を得なければなりません。紙ベースでこのプロセスを経ると、最終決裁を得るまでにかなり時間がかかります。
しかし、稟議書を電子化すれば許可印を得るべき相手の全員に同時に送信することができ、速やかに電子サインで許可を得られるので、決裁までのスピードが向上します。その結果、業務の効率化にもつながるでしょう。
不動産契約
これまで、不動産の売買や賃貸借契約では実印が求められるケースが多くありました。しかし、近年は不動産のIT化が急速に進んでおり、電子サインも導入されつつあります。法律上は売買契約書や賃貸借契約書に実印は必要ないため、今後は電子サインによる契約が主流になっていくでしょう。
ただし、紙の書面での契約が法律で義務づけられている定期借地契約や定期建物賃貸借契約では、電子サインは使用できません。
電子サインを導入する方法
電子サインの導入は、前述の「電子サインの作り方」で説明した作業をその都度行う方法、もしくは、電子サインサービスや電子契約サービスを利用する方法があり、後者が一般的です。
どのようなサービスを契約すればよいのか検討する際は、まず電子サインを利用したい書類の種類を確認しましょう。
契約書や領収書など契約に関する書類のみを電子化したいのであれば、電子契約に特化したサービスを利用することでコストを安価に抑えることができます。そのほかにもさまざまな書類を電子化したい場合は、総合的な電子サインサービスを選ぶべきです。
マネーフォワード クラウド契約で電子署名を付与できる
マネーフォワード クラウド契約では、高い法的効力が認められる電子署名をクラウド上で付与します。
先ほどご紹介した電子サイン・電子署名のメリットが得られるのはもちろんのこと、以下のような強みもあります。
マネーフォワード クラウド契約 3つの強み
1つ目の強みは、ワークフロー機能が標準装備されていることです。社内稟議から承認、契約の締結、完成した契約書の保管・管理まで、ワンストップで行えます。そのため、電子契約のスピード感はそのままに、内部統制の強化も同時に実現できます。
2つ目は契約書の一元管理が可能で、検索性も優れていることです。紙の契約書も複数の電子契約サービスによる契約書も一元管理でき、締結済みの契約書を取引先名や担当者名で簡単に検索できるので、書類を保管する手間や探す手間を削減できます。
3つ目は、サポートが充実していることです。初心者向けの使い方動画や解説記事が豊富にあるので、初めて電子契約サービスを使う人でも安心して利用できます。初期設定やデータ移行などを代行してもらえるプランも選択可能です。また、経験豊富なスタッフがチャットやメールでサポートしてくれるので、使用中に困ったことがあってもスムーズに業務を進行できるでしょう。
マネーフォワード クラウド契約の他社と比較したサービスの違い
マネーフォワード クラウド契約は電子契約のみのサービスと異なり、ワークフロー機能が標準装備されています。
マネーフォワード クラウド契約のワークフロー機能を利用すれば、社内での申請・承認から契約締結まで漏れなく迅速に行えることはもちろん、契約管理においても証跡を含めスムーズに把握できるメリットがあります。
また、サポートが充実しているので、使用中に困ったときも安心です。
他社の電子契約サービスでは電子契約ができても、承認したワークフローとの突き合わせが複雑なこともあり、さらに連携するたびに費用が発生するケースもあります。また、契約書の電子データを移し替える際に、誰が・いつ・どこと契約した内容なのかわかりにくい上に、契約更新時期がわかりにくいという問題も生じます。
マネーフォワード クラウド契約なら、これらの情報を一目で確認できるため、業務の効率化に大きく役立つでしょう。
電子サインでペーパーレス化&効率化を!
電子サインとは、従来は紙の書類で行っていた同意や承認、本人証明などの認証を電子上で行うプロセス、および電子形式で記録したもののことを広く意味するものです。企業活動でペーパーレス化を進めるには、電子サインの導入が重要といえるでしょう。
これまで紙ベースで行ってきた業務に電子サインを導入すれば、さまざまな手間やコストを削減できるので業務の効率化に役立ち、同時にセキュリティの強化にもつながります。
電子サインをスムーズに導入するためには、状況に応じてルールやワークフローを検討して内部統制の強化を図りながら、自社に合ったシステムやサービスを選ぶことが大切です。
マネーフォワード クラウド契約なら、ワークフローを自由にカスタマイズできるので、どのような企業でも電子サインの導入に役立つでしょう。承認者を固定したり閲覧権限を管理したりする機能もあるので、内部統制の強化も可能です。
電子サインでペーパーレス化を進めて業務の効率化を図りたいなら、マネーフォワード クラウド契約の導入を検討するとよいでしょう。
よくある質問
電子サインとは?
紙の書類に署名・押印するのと同じように、電子契約書に署名するための電子技術のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
電子サインと電子署名はどう違う?
電子署名は電子証明書の取得が必要となる厳格な署名方式で、電子サインは電子証明書が不要で簡易的な署名方式です。紙の書類で例えるなら、電子証明が実印で電子サインが認印です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
署名の関連記事
新着記事
小売業で電子契約は導入できる?メリットや企業事例、サービスを選ぶポイントも
小売業における電子契約導入は、業務効率化やコスト削減に有効な手段です。多岐にわたる契約業務を抱える小売業にとって、電子契約は多くのメリットをもたらす機会となるでしょう。本記事では、電子契約の基本から、小売業で主な対象となる契約書類や導入によ…
詳しくみる電子契約サービスの導入で相手方はどんな対応が必要?ケース別に解説
電子契約サービスを導入する際には、相手方の状況に合わせた対応が欠かせません。自社が導入していても、相手方がまだ導入していなかったり、異なるサービスを利用していたりするケースがあります。 本記事では、これらのケースごとに具体的な対応策を解説し…
詳しくみる申込書にも電子契約を利用できる?電子化のメリットや電子帳簿保存法の対応も解説
電子契約は、契約書だけでなく申込書にも利用可能です。 申込書を電子化することで、迅速かつ正確な情報収集が可能となり、業務プロセスの効率化に大きく役立つでしょう。 本記事では、申込書と契約書や注文書の違いを整理したうえで、申込書の電子化による…
詳しくみる電子契約の同意書や事前承諾書が必要な書類は?作り方やひな形を紹介
電子契約の導入により、多くのビジネス契約書が電子的に締結できるようになりました。ただし下請事業者や消費者保護の観点から、一部の契約では電子化に関する事前承諾が法的に求められています。 本記事では、電子契約における同意書・承諾書の作成方法や実…
詳しくみる電子契約サービスを乗り換える方法・流れは?注意すべきポイントも解説
電子契約サービスの選択肢が増える中で、より自社に適したサービスへの乗り換えを検討する企業が増えています。電子契約サービスの乗り換えには、適切な手順と注意点の把握が不可欠です。 本記事では、電子契約サービスを乗り換える方法や流れ、注意するべき…
詳しくみる土地売買契約書の電子契約の流れは?電子化する方法やデメリットも解説
2022年5月の宅建業法改正により、土地売買契約書の電子契約が全面的に解禁されました。相手方の承諾を得れば、重要事項説明書から契約書まで、ほぼすべての書類を電子化して契約を締結できます。 本記事では、土地売買契約書の電子化に関する法的根拠か…
詳しくみる