• 作成日 : 2022年6月17日

契約書管理とは?重要性や管理方法について解説

契約書は取引先とのトラブルを防ぎ、取引のリスクを低減し、契約内容を明確にするという目的で作成されます。これらの目的を果たすためには契約書を作成するだけでなく、その後の管理もきちんと行わなければなりません。
今回は、契約書管理の重要性やその方法などについて解説しますので、特に管理体制が十分でない企業の方は参考にしてください。

契約書管理とは

契約書の管理業務では、企業間取引に関する契約書やそれに関係する書類、有効期限等にも配慮し、総合的な管理を行います。
契約書は企業の規模を問わず作成されるので、管理コストは企業によって異なりますが、契約書管理業務はすべての企業が適切に行う必要があります。

契約書管理の重要性

契約書管理の重要性は、リスクマネジメントの観点や業務効率化の観点から説明することができます。

リスクマネジメントの観点

契約書がきちんと管理できていないと、さまざまなリスクが生じます。紛失や破損の可能性が高まりますし、情報共有の円滑化も図りにくくなります。
その結果、契約内容の詳細が把握できなくなり、取引先とのトラブルなどが起こりやすくなります。
また、管理体制が不十分だと、重要な情報が外部に漏れるおそれもあります。近年は情報漏えいに対する意識が社会全体で高まっているため、ずさんな管理体制によって情報漏えいが発生すると企業の社会的信用が失墜します。

このような問題を引き起こさないためにも、契約書管理はしっかり行う必要があります。

業務効率化の観点

契約書が適切に管理されていると、業務効率が向上します。逆に、必要な情報がどこにあるのかがすぐにわからなければ、確認等に無駄な時間がかかります。
特に期限が重要視される契約に関しては、その情報が適切に管理され、必要な時に必要なアクションを起こせるようにしておかなければなりません。契約書の管理体制が整っており、一元管理などによって契約日や契約期限などをすぐに確認できると、業務の効率化を図れます。

契約書管理が不十分な場合のリスク

契約書管理が適切に行われていない場合は、どのようなリスクが生じ得るのでしょうか。

災害などで重大な損失につながる可能性がある

契約書管理が適切に行われていないと、災害等の発生で契約書が紛失・流出しやすく、その結果重大な損失につながるおそれがあります。
特に書面で残している場合は、そのリスクが大きくなります。このリスクを低減するためにも、システム上で管理できる電子契約を積極的に活用し、災害時に対応できるようにしておきましょう。日本ではいつどこで大きな地震が起こるかわかりませんし、地震に伴ってさまざまな二次災害が発生する可能性もあります。もしもの時に備えて契約書の電子化を進めて、事業継続性を確保しておくことが大切です。

情報共有がスムーズにできない

前述のとおり、契約書管理を適切に行っていると業務効率の向上が期待できますが、管理体制が十分でない場合は業務効率の低下を招きます。必要な時に必要な契約書をすぐに確認できないと、スムーズな情報共有ができなくなるからです。そもそも契約書として条件やルール等をまとめるのは、それらが重要な事柄だからであり、その情報をスムーズに共有できないのは大きな問題です。今後の取引継続の可否にも関わってくるため、「情報共有はスムーズにできるだろうか」という視点で、契約書の一元管理を含めて管理体制を見直す必要があります。

社員が意図せず契約違反をする

契約書を適切に管理していないと、厳守すべき事柄について必要な配慮ができず、社員が契約違反をしてしまうおそれがあります。故意ではなかったとしても、取引の相手方は疑念を持ったり、危険を感じたりするでしょう。安定的に企業活動を続けていくためには、少なくとも契約内容を守れるような体制を構築しなければなりません。

契約書管理の理想の状態

契約書管理を適切に行うためには、理想の状態をイメージすることが大切です。そのためには「一元管理」と「電子化」が重要です。
これらを実現すれば、業務の効率化とリスクヘッジを図れます。

「契約書が担当者個人のデスクにある」「管理体制は作っているものの、管理方法が部署や担当者によって異なる」「管理台帳がない」といった企業もあるでしょう。
これでは業務効率を高めることは難しいですし、さまざまな問題が起こりやすくなります。契約書の一元管理、そして電子化された状態での管理を目指せば問題が発生しにくくなり、契約書管理のあるべき姿に近づくでしょう。

契約書の管理方法

ここからは、理想の契約書管理を実現するための方法を紹介します。

契約書情報の一元化・共有

契約書に関する情報の一元化は、契約書管理システムの活用によって実現できます。
製品にもよりますが、多くの場合は1つのシステムで電子契約による契約書と書面で作られた契約書を一元管理することができます。全社的に契約書管理システムを導入することで、部署間あるいは個人間で生じていた管理方法の差異をなくすことができます。
契約書管理システムでは契約書に関する情報が電子化され、システム上で管理されるため、検索すれば迅速に必要な情報にアクセスできます。
契約数や1つの契約の情報量が膨大になったとしても、作業がスムーズに進むはずです。

有効期限の管理

契約書管理では、契約の有効期限の管理も重要です。契約書管理システムを使えば、契約の有効期限を容易に把握できます。製品によっては、更新時期が近づくと通知してくれる機能を持つものあります。通知の回数や日時、通知先など、条件を細かく設定できる製品もあります。
自社の状況に合わせてカスタマイズすれば、より効率的な管理ができるようになるでしょう。

閲覧制限の設置

契約書管理システムの導入によって業務の効率化が図られることはよいことですが、セキュリティには十分留意しなければなりません。
意図的かどうかを問わず、社員による不正の持ち出しおよび改ざんを防止するための機能を活用するべきです。その観点で特に重要なのが、閲覧制限を設けることです。誰でも自由にアクセスできることは業務効率化の観点では喜ばしいことかもしれませんが、そのリスクも理解したうえで、権限は一定範囲内に制限することをおすすめします。
そのほか、ダウンロード制限機能やログの保存・確認ができる機能など、セキュリティの機能が充実している契約書管理システムであれば安心して利用できるでしょう。

契約書管理の運用・ワークフロー

ここでは、契約書管理のワークフロー(運用の流れ)について説明します。最終的には自社に適した形で運用するのが理想ですが、ここで基本的な流れを把握しておきましょう。

管理責任者の選定

情報漏えい対策や効率的な運用のためにも、管理責任者を選定しましょう。
社員全員が契約書管理に対する意識を高めることが重要ですが、管理責任者を定めて当該業務に関して権限を持つ者を設定することも大切です。

まずは、契約書管理に関するチームを作ることをおすすめします。企業の規模や業種なども鑑みて数人のチームを編成したり、対応する部署を設けたり、特定の部署に担当者を設けたりしましょう。

業務量が多い場合や、社内だけでは法務の専門性に不安がある場合は、業務のアウトソーシングを検討するとよいでしょう。

契約書管理台帳の作成

契約書管理チームを作って管理責任者を選定したら、契約書管理台帳の作成にとりかかりましょう。
整理しておくべき事項の例は、以下のとおりです。

  • 契約の名称・表題
  • 契約の管理番号
  • 契約の相手方の情報
  • 社内の担当者、担当部署
  • 契約締結日
  • 契約終了日と自動更新の有無
  • 解除通告の期限
  • 原本の保管場所

既存契約書の棚卸し

管理台帳を準備したら、その時点で作成済みの契約書の棚卸しを行い、台帳に登録しましょう。
契約書の量が膨大になっているかもしれませんが、その場合は今後も継続して保管をすべきものかどうかを見定めてください。すでに有効期限や保管期限が過ぎているものは、処分することも検討しましょう。

契約書原本のファイリング

契約書管理台帳への登録が済んだら、書面として作成された契約書をその分類に応じて適切にファイリングします。
後で探す際に、必要な情報をスムーズに見つけられるように整理するとよいでしょう。

契約書管理規程の制定

ファイリングが終わったら、今後契約書管理をスムーズに行うためにも、効率的な管理を行うためにも管理規程を制定しましょう。
契約の締結から保管、廃棄までの一連の流れに関する運用ルールを定めます。プロセスごとに詳細なルールを設定しましょう。規程がしっかり守られるよう社内に周知させることや、内容を社員に正しく理解してもらうことも大切です。

適切な契約書管理を心がけトラブルの予防と業務効率化を図ろう

契約書管理は業務効率を高めるためだけでなく、取引の安全性を確保するためにも重要です。契約書を適切に管理すれば、自社が被る損失のリスクを下げられるだけでなく、契約の相手方に迷惑がかかることも防ぎやすくなります。契約書の一元管理と電子化を目指し、電子契約システムを導入するなどして、契約書の理想的な管理体制を整えましょう。

よくある質問

契約書管理の重要性について教えてください。

契約書管理はリスクマネジメントと業務効率化に資するものであるため、企業にとって非常に重要です。詳しくはこちらをご覧ください。

契約書管理が不十分な場合のデメリットについて教えてください。

契約書の管理体制が整っていないと、災害による紛失リスクが高くなるだけでなく、円滑な情報共有ができなくなり、社員による契約違反も起こりやすくなります。詳しくはこちらをご覧ください。


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