- 更新日 : 2024年8月30日
特定契約・接続契約モデル契約書とは?ひな形をもとに記載項目を解説
特定契約・接続契約モデル契約書は、経済産業省が公表している特定契約・接続契約のひな形です。固定価格買取制度を使って再生可能エネルギー事業者が売電する際は、電力会社と特定契約・接続契約を締結します。その際のベースとなるのがモデル契約書です。今回は、特定契約・接続契約書モデル契約書の概要や記載項目などを解説します。
目次
特定契約・接続契約モデル契約書とは
特定契約・接続契約モデル契約書とは、特定契約・接続契約を締結する際に活用できるモデルとなる契約書のことです。
特定契約・接続契約は、再生可能エネルギー事業者が固定価格買取制度(FIT)を使って売電する際に必要な契約です。電力会社と締結します。
特定契約は、事業者が取得した事業計画認定に基づいて、調達期間・買取価格・受給開始日を決めるための契約です。そして接続契約は、電力会社の電力系統と事業者の発電設備を連系するために締結します。
固定価格買取制度とは
固定価格買取制度とは、再生可能エネルギー源を用いて発電した電気を、電力会社が一定期間・一定価格で買い取ることを義務づける制度のことです。
事業者や個人(特定供給者)が、太陽光や風力のような再生エネルギーを用いて発電した際は、電力会社に買い取ってもらえます。
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(FIT法)」に基づき、2012年7月からスタートしました。FIT(Feed-in Tariff)制度とも呼ばれます。
特定契約・接続契約モデル契約書が作成された目的
特定契約・接続契約は、電力会社の送電線と接続して売電するための契約です。
固定価格買取制度では、電力会社の利益を不当に害する恐れがある場合、接続契約を拒否できるとされています。しかし、「電力会社の不利益」の解釈によっては、電力会社がむやみに契約を断ることもあるでしょう。再生可能エネルギー事業者が、思うように事業を進められない可能性があります。
そこで、経済産業省は特定契約・接続契約モデル契約書を作成しました。電力会社と協議を進める際は、このモデル契約書に従うケースが多く見られます。
特定契約・接続契約書のひな形・テンプレート
特定契約・接続契約書を作成する際は、経済産業省のモデル契約書を参考にしましょう。モデル契約書をベースに作成したテンプレートを利用すると、さらに便利です。
以下では、モデル契約書をもとに作成したテンプレートをダウンロードできます。ワード形式であるため、内容をカスタマイズしやすいのもポイントです。
適切な特定契約・接続契約書をスムーズに作成するために、ぜひ活用してください。
特定契約・接続契約書に記載する主な項目
特定契約・接続契約書を作成する際は、モデル契約書をベースに、電源種別や発電設備の規模、個別の事案などに応じて加筆修正しましょう。
特定契約・接続契約モデル契約書には、以下のような項目が記載されています。
- 電気の調達および供給に関する事項
- 系統連系に関する事項
- 発電設備等の運用に関する事項
- 発電設備等の保守・保安、変更などに関する事項
- 契約の終了
- 表明保証
- 損害賠償
- 遵守事項
- 雑則
事業者が設置する発電設備については、所在地や再生可能エネルギー源、発電出力キロワットなどの情報を記載します。
事業者が提供する電気を電力会社がいくらで買い取るかについては、計算方法を別紙に記載してください。支払い方法や手数料をどちらが負担するかについても、事前に決めて明記しておきましょう。
また、発電設備を電力系統に接続するために必要な工事についても、詳細を決める必要があります。工事費用をどちらが負担するか、設備の保守や補修をどちらが行うのかなどを決めておきましょう。
ほかの電力会社への電力供給の可否についても定める必要があります。事業者にとっては、ほかの電力会社にも売電できる方が有利です。事前に電力会社による承諾を得ることで、ほかの電力会社にも電力を供給できる旨を記載しましょう。
事業計画認定申請の方法
事業者が固定価格買取制度を利用し、太陽光発電で売電事業を行うためには、事業計画認定申請が必要です。必要書類を提出し、発電設備の要件や効率、事業計画の確実性などがチェックされます。
事業計画認定申請のためには、以下のような書類を準備する必要があります。
- 土地の取得を証明できる書類(野立ての場合)
- 建物所有者の同意書類(屋根上の場合)
- 構造図・配線図(標準の構造図や配線図と異なる場合)
- 事業実施体制図
- 接続契約書のような、接続の同意を証明する書類
- 発電設備の内容を証明する書類
- 申請者の戸籍謄本または住民票
- 申請者分の印鑑証明
経済産業省の電子申請サイトから申請しましょう。
申請から認定までは1〜3ヶ月ほどかかるため、余裕をもって申請することが大切です。
特定契約・接続契約締結時はモデル契約書を参考にしよう
特定契約・接続契約を締結する際は、経済産業省が公表しているモデル契約書を参考にしましょう。特定契約・接続契約は、固定価格買取制度に基づき、事業者が電力会社に売電する際に締結するものです。電力会社とスムーズに協議を進め、適切な契約書を作成するうえで、モデル契約書が役立ちます。
モデル契約書をベースにしたテンプレートも存在します。効率よく契約書を作成したい場合は、テンプレートの活用も検討してみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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