- 更新日 : 2024年8月29日
印章管理規程とは?雛形を基に定めるべき項目を解説
取引先や顧客との契約、公的機関や銀行での手続き、日々の書類の決裁など、企業では押印を行う機会が少なくありません。そのため、印章(ハンコ)を適切に管理しておかないと、思わぬトラブルに発展するリスクがあります。そこで、今回は印章管理規程についてひな形を交えてご説明します。
また、近年では印章の代わりに電子印鑑を用いるケースも増えてきました。本記事では電子印鑑の規程の作成方法についてもご紹介します。
目次
印章管理規程とは?
印章管理規程とは、その名の通り印章を管理するルールのことです。印章とは印影(朱肉の跡)を残すためのもの、いわゆる「ハンコ」を指します。
会社には代表印や会社印、角印など、さまざまな印章があります。これらを適切に管理・保管していないと印章の紛失や盗難、あるいは偽造やなりすまし、無秩序な押印など、さまざまな問題が発生するリスクがあります。
後々のトラブルを防ぐためにも、印章管理規程を作成して管理や保管、持ち出しなどのルールを定めておくことが大切です。
印章管理規程のテンプレート/ひな形
では、実際に印章管理規程はどのように作成すればよいのでしょうか。ワード形式のひな形をご用意しましたので、参考にしながら自社に合った印章管理規程を作成してみましょう。
ひな形はこちらよりダウンロードできます。
また、次章では印章管理規程に記載する項目について詳しく説明しますが、ひな形を見ながら読み進めていくことで、より理解しやすくなります。
印章管理規程で定めるべき項目
印章管理規程では、主に以下のような項目を記載します。
- 印章の定義
- 印章の管理責任者
- 印章を使用する範囲
- 印章の作成・改印・廃印について
- 印章を使用する際の手続き
- 印章の持ち出しについて
- 印章が紛失・盗難に遭ったときの対処方法
それぞれ詳しく見ていきましょう。
印章の定義と種類
まずは、印章とはどのようなものかを定義します。また、印章管理規程が適用される印章の種類(代表印や銀行印、角印など)についても定めます。
印章の管理責任者
誰が印章を管理するのかを規定します。管理者を決めておかないと紛失や盗難のリスクが非常に高くなりますので、あらかじめ決めておいて責任を持って管理してもらうことが大切です。
代表印は秘書部門や総務部門、銀行印は経理部門、角印は総務部門や営業部門などの部門長を管理責任者として指定するのが一般的で、印章が保管されている金庫などの鍵の管理、押印の申請手続きの受付、押印記録の作成などの管理業務を担当してもらいます。なお、管理責任者は代理を置くことも可能です。
印章を使用する範囲
印章ごとに使用する書類の種類や場面などを決めておきます。使用する範囲を決めておかないと、どの書類にどの印章を使うのかがわかりにくくなり、無秩序な押印につながります。例えば、日頃顧客に提出している見積書や領収証などに代表印や銀行印を押してしまうと、印影を偽装されて悪用されるリスクがあります。
印章を使用する範囲をルールとして決めておけば、従業員が印章を使い分けられるようになり、スムーズな押印にもつながります。
印章の作成・改印・廃印について
新規で印章を作成する、印章を変更する、あるいは印章を廃止する際の手続きや流れについても定めておきましょう。それぞれ項目を作成します。これらの規程を置くことで、印章を作ったり廃止にしたりする際に、スムーズに対応することができます。
印章を使用する際の手続き
従業員が印章を使用する際の手続きについて規定します。一般的に、押印者は印章管理責任者もしくは代理人に押印年月日や押印文書名、提出先、押印理由、押印者氏名などが書かれた申請書を提出したうえで押印し、管理責任者はその内容を記録します。自社に合った手続きの方法や手順について定めておきましょう。
印章の持ち出しについて
印章の持ち出しの規程についても、しっかりと記載しておきましょう。一般従業員の印章の持ち出し、とりわけ社外への持ち出しについては、特段の理由がない限り原則として禁止した方がよいでしょう。可能であれば押印の際に管理責任者や代理人が立ち会い、印章の移動について目を光らせておくと、紛失や盗難などの事故を防ぐことができます。
印章の紛失・盗難時の対処方法
印章を紛失した、盗難された場合の対処方法について記載します。トラブルが発生した際に大切なのは、スピーディーな対応です。事故が発生したことをすぐに上長や経営者に報告させ、適切な再発防止策を講じるようルールを定めておきましょう。
印章管理規程で電子印鑑についてもカバーする場合
電子印鑑を導入した場合、既存の印章管理規程に電子印鑑に関するルールも組み込むという方法があります。例えば、印章の種類に「電子印鑑」を、対象となる文書に「電磁的記録」を追加することで、電子印鑑も他の印章と同じように印章管理規程で取り扱いのルールを定めることができます。
ただし、電子署名はセキュリティ管理や認証の方法など、物理的な印鑑とは異なる方法で管理しなければならないため、新たに項目を追加する必要があります。
電子署名管理規程を別途作成するケース
印章管理規程とは別に「電子署名管理規程」を新たに作成するという方法もあります。基本的な取り扱いのルールは印章管理規程と同じ考え方に基づけば問題ありませんが、セキュリティ管理や認証などについて、別途ルールを作成する必要があります。電子署名管理規程の作成方法や内容については、他の記事でさらに詳しくご紹介しています。
印章管理規程を作って印鑑をしっかり管理しましょう
企業にとって、印章の管理は非常に重要です。特に、代表印や銀行印が悪用された場合は、取り返しがつかない損害が発生するおそれや、企業としての信用が毀損するおそれもあります。この機会に印章管理規程を作成し、しっかり管理しましょう。
電子印や電子署名も同様です。パソコンやスマートフォンを使ってネットを通じて手軽に決済ができる分、しっかりとしたルールを作成し、それに基づいて運用することが大切です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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