• 作成日 : 2024年5月31日

ライター業務委託契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説

ライター業務委託契約書は、ライターとクライアントの間で業務内容・報酬・納期などを明確に定めた重要な法的文書です。適切に作成されたライター業務委託契約書は、トラブルを未然に防ぎ、双方の権利を保護することが可能です。本記事では、契約書のひな形をもとに、その書き方や注意点についてわかりやすく解説します。

ライター業務委託契約とは

ライター業務委託契約とは、企業やクライアントがライターに対して、記事や文章の作成を依頼する契約形態のことです。近年、自社メディアの構築において、フリーランスのライターへの業務委託が一般的になっています。経験豊かなWebライターにコンテンツ制作を任せることで、より魅力的な自社メディアを構築可能です。

ライター業務委託契約では、ライターは個人事業主として、委託された業務を期日までに完了することが求められます。報酬は、文字数や記事数に応じて支払われるのが一般的です。

業務委託においては、契約内容を明確にするための書面である業務委託契約書が法的に必須ではありません。しかし、作成していない場合、業務の範囲・納期・報酬額・契約期間など、重要な事項についての認識の相違が生じやすくなります。このような不明確さは、双方にとって不必要なトラブルの原因となり得るため、リスクを避ける観点からも、業務を委託する際には契約書の作成をおすすめします。

業務委託契約についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご確認ください。

ライター業務委託契約を結ぶケース

ライター業務委託契約は、企業などの依頼主がフリーランスのライターに業務を発注する場合に結ぶケースがほとんどでしょう。ライター業務委託契約書を作成するタイミングは、業務を開始する前に契約書を交わすことが一般的です。

務委託契約書は、依頼主と受注側がトラブルなく、円滑に仕事が進められるよう、業務委託の内容をお互いに確認する目的で書面が作成されます。そのため、契約書を結ばないまま業務を開始すると、後になって「聞いていた内容とは違う」「報酬の条件が違う」などのトラブルが起こる可能性が高まります。

とくに高額なプロジェクトにおいて、契約書が存在しない場合、問題が発生した際に重大な影響を受けるリスクがあるでしょう。そのため、さまざまな問題を未然に防ぐ目的で、業務を開始する前にライター業務委託契約書を結ぶことをおすすめします。

ライター業務委託契約書のひな形

ライター業務委託契約書では、業務内容、報酬や納期、著作権の取り扱いなどを明確に定めることができます。ライター業務委託契約書の作成が初めての方や作成に不安を感じる方は、以下サイトのテンプレートを活用するのがおすすめです。こちらでは、弁護士監修のライター業務委託契約書の基本的なテンプレートを無料でダウンロードできます。

基本的なテンプレートを活用することにより、ライター業務委託契約書に記載すべき内容やポイントがスムーズに理解できるでしょう。内容について十分に理解したうえで、実際の保証内容にあわせて内容を調整してみてください。

ライター業務委託契約書に記載すべき内容

この章では、ライター業務委託契約書に記載すべき内容を解説します。一般的に記載すべき内容について、具体的な文言例も挙げながら解説するため参考にしてください。

まずは、委託する業務の内容・範囲・成果物の詳細を具体的に記載しましょう。なお、業務の内容や必要な記事数に毎月変動がある場合は、業務委託基本契約書と個別契約書の2種類に分けて契約を結ぶことが一般的です。

具体的な文言例

第〇条
甲は、本契約の定めるところにより、以下の業務(以下「本件業務」という。)を乙に委託し、乙はこれを受託する。
1.甲の運営するインターネットメディアにおける記事ライティング
2.甲の運営するインターネットメディアにおける記事の監修・リライト

※業務内容や記事数が毎月変更となる場合
本業務の具体的内容については、別途仕様書においてこれを定める。

契約期間

契約期間の項目では、ライターとクライアント間の業務委託契約の開始日と終了日を明確に記載しましょう。通常、契約期間は数ヶ月から1年程度に設定されますが、プロジェクトの規模や内容によって柔軟に決められます。

また、契約期間満了後の自動更新の有無についても言及すべきです。自動更新の場合は、更新回数の上限や、更新拒否の通知期限なども具体的に記載します。

具体的な文言例

第〇条
本件業務にかかる契約期間は令和〇年〇月〇日から令和〇年〇月〇日までとする。
2 前項にかかわらず、甲及び乙は、相手方に対して○ヶ月以上の予告期間を定めて書面にて通知することにより、本契約をいつでも解約することができる。
3 本契約は、甲乙間の合意により更新することができる。

報酬や支払い

報酬や支払いに関する条項では、ライターの報酬額・支払方法・支払時期を明確に定めるべきでしょう。報酬額は、原稿の分量や内容、ライターの経験や実績などを考慮して決定することが一般的です。

また、振込手数料や税別税込など、報酬や支払いに関する条項を詳細に記載することで、トラブルを未然に防げるでしょう。

具体的な文言例

第〇条
甲は、乙に本件業務の委託料として、1記事あたり金○円を支払う。支払方法は翌月〇日限り、甲が乙名義の○○銀行口座に振込む形で行う。振込手数料は甲の負担とする。

納期・納品方法・検収

納期・納品方法・検収に関する項目では、ライターが成果物をいつ、どのように提出し、検収プロセスがどのように進行するかを明確に規定します。トラブルを避けるために、検収に要する期間や修正の上限回数なども事前に定めておくとよいでしょう。

具体的な文言例

第〇条
乙は、毎月〇日までに、当月分として甲が指定した本数の記事、企画及び監修(以下「本制作物」という。)を、甲に納入する。納入方法は○○によるものとする。
2 甲は、納入された本制作物を速やかに検収し、修正または追完等(以下「修正等」という。)が必要と判断した場合は、ただちに乙にその旨通知する。
3 前項の修正等の期間は通知から〇日間とし、再修正等となった場合の進行については甲乙間で協議するものとする。
4 乙は、前2項の修正等を無償で行うものとする。ただし、甲に帰責事由がある場合はその限りではない。

再委託の可否

再委託の可否は、ライターがその業務の一部または全部を第三者に委託できるかどうかを明確にする条項です。業務委託の際、委託業務が二次下請けや三次下請けにさらに委託されることがあります。

この場合、発注者側としては自社の機密情報が外部に漏れるリスクを高めるおそれがあるため、契約書に再委託の条件を明確に記載することが重要です。

具体的な文言例

第〇条
乙は、甲の事前承諾を得て、本件業務の一部または全部を第三者に再委託することができる。
2 乙は、再委託先の業務の履行について、甲に帰責事由がある場合を除き、自ら業務を遂行した場合と同様の責任を負うものとする。

記事の著作権

ライターが制作した記事の著作権は、とくに何も定めなければ原則としてライターに帰属します。ただし、契約書において、著作権を発注者に譲渡する旨を明記することで、発注者が著作権を取得することが可能です。

著作権の譲渡は、記事の二次利用や改変等を行う場合に重要です。著作権譲渡の旨を明記することにより、発注者は記事を自由に利用できます。

また依頼者にとっては、第三者の権利を侵害していないことを明確にすることが極めて重要です。記事制作を行う際には、さまざまな媒体から情報をリサーチしますが、不正行為を働くライターの場合、他者の作品を無断でコピー&ペーストするケースが発生する恐れがあります。

このような行為は、ライターだけでなく依頼者自身も第三者から著作権侵害の訴えを受けるリスクを抱えることになります。そのため、受託者に対しては、使用する素材が第三者の権利を侵害していないことを保証するよう求めることが重要です。

具体的な文言例

第〇条
乙が甲に納入した本制作物に関する著作権は、納入と同時に全て乙から甲に譲渡されるものとする。
⑵ 乙は、甲に対し、乙自身が保有する本制作物の著作人格権を行使しないものとする。
⑶ 乙は、本制作物が、第三者の著作権その他の権利を侵害するものではないことを保証する。

秘密保持

秘密保持に関する条項は、ライターが業務上知り得た機密情報を保護するために重要です。契約書には、以下のような内容を具体的に記載しましょう。

  • 機密情報の定義
  • ライターの秘密保持義務
  • 機密情報の使用目的の限定
  • 機密情報の返還または破棄
  • 秘密保持義務の期間
  • 違反した場合の損害賠償責任

秘密保持条項を設けることで、ライターによる情報漏洩のリスクを軽減し、安心して業務を委託できます。

具体的な文言例

第〇条
甲及び乙は、本件業務の遂行に当たり、相手方より開示若しくは提供を受け又は知り得た一切の情報について、相手方の事前の書面による承認がない限り、第三者に開示もしくは漏洩してはならない。

損害賠償

万一の事態に備え、損害賠償の条項を明記しておくことが重要です。とくに、成果物の品質や納期が厳格に求められる業務委託契約では、このような条項を設けることで、潜在的なリスクへの抑止効果を期待できます。

具体的な文言例

第〇条
甲又は乙の責めに帰すべき事由により契約書に定めた内容が守られず、甲又は乙が重大な損害を受けた場合は、直接かつ現実に受けた通常損害の範囲内において、相手方に損害賠償を請求できるものとする。

反社会的勢力の排除

反社会的勢力との関わりを避けることは、企業のコンプライアンス遵守において不可欠です。自社だけでなく、業務委託先においても、これらの勢力との接触がないことを確認しましょう。

具体的な文言例

第〇条
甲及び乙は、それぞれ相手方に対し、反社会的勢力の排除に関する以下の各号の事項を確約する。
自らまたは自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役またはこれらに準ずる者をいう。)が、暴力団、暴力団関係企業、総会屋もしくはこれらに準ずる者またはその構成員(以下総称して「反社会的勢力」という。)ではないこと。
自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう)が 反社会的勢力ではないこと。
反社会的勢力に自己の名義を利用させ、この契約を締結するものでないこと。

協議

契約書に記載されていない事項や解釈に相違が生じた場合には、双方が協議を通じて解決を図る旨を明記しておくことで、将来的な不一致が生じた際にも安心できます。

具体的な文言例

第〇条
本契約に定めなき事項または本契約の解釈に疑義が生じた事項については、甲乙間において真摯に協議するものとする。

管轄の裁判所

ライター業務委託契約書には、契約に関する紛争が発生した場合の解決方法として、どこの裁判所で手続きを行うのかを明確にするため、管轄裁判所を決めておきましょう。委託者の所在地を管轄する裁判所を指定することが一般的です。実際に裁判に至るトラブルは稀ですが、管轄裁判所の記載はトラブルを未然に防ぐ効果があります。

具体的な文言例

第〇条
本契約に関し裁判上の紛争が生じたときは、○○地方裁判所を第一審の管轄裁判所とする。

ライター業務委託契約書の作成ポイント

ライター業務委託契約書を作成する際のポイントは、次の3つです。

  • 直接雇用とみなされる規定は設けない
  • 業務内容や報酬はとくに明確に定める
  • ライターに過度な責任を求める内容は避ける

実際に契約書を作成する際は、上記のポイントも押さえながら作成しましょう。

直接雇用とみなされる規定は設けない

業務委託契約と雇用契約は別物です。直接契約の場合は、勤務時間や勤務場所を契約書に記載しますが、業務委託契約の場合、労働時間などは受注者の自由なため契約書で指示してはいけません。勤務時間や勤務場所を記載すると、業務委託契約書というタイトルをつけていても、その内容から雇用契約と判断されるケースもあります。
したがって、業務委託契約書には、下記のような直接雇用とみなされる規定が盛り込まれていないことを確認しましょう。

  • 出勤時間・退勤時間を定めている
  • 休憩時間を制限している
  • 過度な報告を求める
  • 休日を自由に取らせない
  • 自社の福利厚生制度を利用させる

業務内容や報酬はとくに明確に定める

ライター業務委託契約書において、業務の詳細を明確に定義することは極めて重要です。これには、具体的なライティングの範囲・記事の文字数や本数・納期・校正の回数などが含まれます。

契約を結ぶ際、とくに重視すべき点はこの「業務内容」と「報酬」に関する部分です。契約後に「思っていた内容が違う」という状況を避けるためにも、業務の範囲や納品方法、そして報酬の金額を確実に確認し、合意することが必要です。これにより、ライターと依頼者双方が業務内容を正確に把握し、将来的なトラブルを防げます。

ライターに過度な責任を求める内容は避ける

ライターとの業務委託契約書を作成する際には、ライターに過度な責任を負わせる内容を避けたほうがよいでしょう。たとえば、無制限の修正義務を課したり、納品物に関する全ての責任をライターに負わせたりする条項は、ライターの不満を招く原因となり得ます。

また、後からトラブルになった場合に、裁判所に無効な条項であると判断されるリスクを生じさせることにもなりかねません。

過度な責任を押し付けることは、ライターとの良好な関係構築を妨げ、質の高い成果物の提供を困難にする可能性があるため注意が必要です。契約内容に対してライターからの指摘がある場合は、賠償責任の範囲を縮小するなど、柔軟に対応することが望ましいでしょう。

契約書では、ライターとクライアント双方の責任と義務を明確にし、バランスの取れた内容にすることが重要です。

正しい知識でライター委託契約書を作成しよう

ライター業務委託契約書のひな形をもとに、その書き方や注意点について解説しました。ライター業務委託契約書は、ライターとクライアント間の権利義務を明確にする、トラブルを未然に防ぐ重要な文書です。

一方で、契約書は法的拘束力があるため、作成時には細心の注意を払う必要があります。とくに報酬額や業務範囲・納期・著作権の取り扱いなど、両者にとって肝心な条件については、十分に検討し、明確に記載しましょう。

本記事で解説した注意点やテンプレートを参考に、ライター業務委託契約書をしっかりと準備してください。


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