• 更新日 : 2022年3月30日

謎マナーと言われるお辞儀ハンコの実態を徹底解説!

謎マナーと言われるお辞儀ハンコの実態を徹底解説!

書類手続きの電子化が進んできたとはいっても、会社の中で印鑑を押す機会もまだまだ多いのではないでしょうか。パソコン上で捺印できる電子印鑑も登場しており、ビジネスの場における印鑑の地位はまだまだ下がっていません。

そんな印鑑文化の中で、しばしば「謎マナー」とされるのがお辞儀ハンコです。これは印影を斜めに押すもので、一部の業界や企業ではお辞儀ハンコが上司に対するマナーであるとされています。今回は、このお辞儀ハンコの実態やインターネット上の評判、正しい印鑑のマナーについてご説明します。

   

お辞儀ハンコとはそもそもどうして使われるようになったの?

お辞儀ハンコ
お辞儀ハンコは、一部の企業でルールとされているビジネスマナーの一つです。稟議書や請求書などのように課長・部長をはじめ複数の上司の承認を必要とする書類において、以下の図のように階層が下の人ほど深い角度で斜めに傾けて捺印をするというものです。

上司に対して失礼がないように、捺印に際しても頭を垂れてお辞儀をするというのがルールの意図とされています。いつからお辞儀ハンコのルールが存在するのかは定かではありませんが、時折TwitterやFacebookなどのSNSやネットニュースなどで取り上げられ、「形骸化した悪いビジネスマナー」の代表例として物議を醸すことがあります。

多くの企業では、書類の電子化や電子承認の仕組みが広がったことで、10年前20年前に比べて手で捺印をする習慣は少なくなったと推測されます。しかし、場合によっては電子印鑑でも角度をつけて「お辞儀ハンコ」のようになっていないといけないとされ、インターネット上では「生産性向上を妨げる文化」として、批判や揶揄の対象になっているようです。

なお、お辞儀ハンコと同じような文化に「逆さの押印」があります。これは上司(決裁者)が承認印を押す際に、「不本意ではあるが承認する」ことを意図しているとされています。書類を提出する部下が配慮するマナーではありませんが、逆さに押された上司の押印を目にしたら、次回からは配慮する必要があるということです。

「お辞儀ハンコ」はマナーなのか?

お辞儀ハンコはビジネスマナーの一つと考えられますが、身だしなみや言葉遣いなどのマナーに比べて一般的であるとはいえません。金融業界や官公庁など、礼儀と格式を重視する限られた業界で重視される慣習であると考えられ、それ以外の業界に関わる多くのビジネスパーソンにとって、お辞儀ハンコを目にする機会はほとんどないかもしれません。次にご紹介するように、インターネット上でも「お辞儀ハンコを見たことがない」という意見が少なくないためです。

また、現在お辞儀ハンコを実施しているとされる業界においても、今後長くお辞儀ハンコの習慣が続いていくとは限りません。コロナ禍を受け、政府は規制改革および行政のデジタル化の一環として押印の見直しや電子署名の活用促進に取り組んでおり、お辞儀ハンコのみならずハンコ自体を見直す動きが進んでいます。また、金融機関でも印鑑を必要としないインターネットバンキングや口座開設などが普及しており、ハンコの使用機会は減少していると考えられます。

以上を踏まえると、お辞儀ハンコは「常識」とされるレベルの一般的なマナーというよりは、一部業界に残された独自の風習であり、今後も存続するとは限らないといえるのではないでしょうか。

一般人のお辞儀ハンコに関する意見

お辞儀ハンコに関するインターネット上の意見を調べてみると、「非生産的」「無駄」など、多くが批判的なものであることに気づかされます。

ネットニュースやSNSで話題になってから初めて知った人も少なくないようで、このマナーがそれほど一般化したものではないことを物語っています。入社した会社や配属された部署でこうしたマナーがあれば従えばよいだけの話で、多くの人にとってはあまり身近とはいえなさそうです。

印鑑の正しい押し方とは

実印や銀行印、職印など印鑑にはいくつかの種類がありますが、いずれにおいても「正しい押し方」に関する公的あるいは法的な決まりがあるわけではありません。仮に斜めに押したとしてもまっすぐに押したとしても、押し方次第で書類の効力が変わることはないのです。

一般的に印鑑はまっすぐきれいに押されるのが望ましいと考えられます。力を入れすぎることなく、朱肉をつけすぎることなく、親指・人差し指・中指で印鑑を支えて軽く押すと、まっすぐできれいな印影になりやすいでしょう。この際、印鑑自体が使い古されて汚れや傷があると、きれいな印影になりにくいので、使用前後に残った朱肉を拭き取り、傷や欠損があるなら早めに新しいものを購入するなど配慮するとよいでしょう。

万が一、職場でお辞儀ハンコのような独自の印鑑ルールがある場合は、それに従うのが無難です。こうしたルールは業務マニュアルや就業規則など書面上に記載されていることは少ないため、早めに同僚や上司に確認したり、捺印された書類を確認したりする必要がありそうです。

印鑑ルールは職場における決裁手続きの一つであり、会社で仕事をするうえで少なからず重要な位置づけを占めています。「たかがハンコ」と軽視することなく、誰かに注意を受ける前に先んじて確認するのが会社に属するビジネスパーソンのあるべき姿といえるでしょう。

お辞儀ハンコは限定的なマナーである

お辞儀ハンコは、会社の上下関係を反映したビジネスマナーの一種です。時折ネットニュースやSNSなどで話題にのぼるものの、批判的な声も数多く聞こえてきます。ビジネスマナーの中でもそれほど一般的なタイプではないと考えられ、金融業界や官公庁など一部の業界を除けば目にする機会は少ないかもしれません。

あくまで限定的なマナーであり、過剰に反応する必要はありません。しかしお辞儀ハンコのような印鑑ルール自体は、会社で仕事をするうえでそれなりに重要なものです。一般的にはまっすぐ押すことが望ましいとされていますが、新しく会社に入ったら決裁の仕組みを調べる一環として、ローカルな印鑑ルールが存在しないか確認するのがよいでしょう。

よくある質問

お辞儀ハンコとは?

請求書や稟議書など社内で回される書類への捺印の際に、上司より角度をつける形とするビジネスマナーの一種です。詳しくはこちらをご覧ください。

お辞儀ハンコはどの会社でも行われているのか?

金融業界や官公庁など格式と上下関係を重んじる一部の業界では存在するとされていますが、決して一般的とはいえません。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:福谷陽子(元弁護士、法律ライター)

弁護士時代は契約書作成やレビュー、不動産取引や債権回収、破産倒産、一般民事、家事事件など多種多様な事件を取り扱っていた。今はその経験を活かし、専門的な法律知識を一般ユーザーへわかりやすく解説する法律記事の作成に積極的に取り組んでいる。
各種サイトで法律記事を執筆監修。実績は年間1000件以上。ブログやYou Tubeなどによる情報発信にも熱心に取り組んでおりチャンネルを運営中。
元弁護士・法律ライター福谷陽子のblog
世捨て人mimi
元弁護士の世捨て猫🌟ぴりか(mimi)法律ライター

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